ダニエル書
1 ユダのエホヤキム+王の治世の第3年,バビロンのネブカドネザル王が攻めてきて,エルサレムを包囲した+。 2 エホバは,ユダのエホヤキム王と,真の神の家*の器具の一部を,ネブカドネザル王の手に渡した+。王はその器具を,シナル*+にある自分の神の家*に持ち帰り,自分の神の宝物庫に入れた+。
3 それから王は廷臣の長アシュペナズに,王族や高貴な人たちを含むイスラエル人の中から幾人かを連れてくるよう命じた+。 4 欠点がなく,容姿が良く,知恵と知識と識別力に恵まれ+,王の宮殿で仕えるのにふさわしい若者たちを連れてきて,カルデア人の言語や文学を教えるようにとのことだった。 5 さらに王は,自分の美食とぶどう酒の中からその若者たちに毎日の食事を供給するよう定めた。彼らは3年間訓練され*,その期間が終わったら王に仕えることになっていた。
6 若者たちの中に,ユダ族出身のダニエル*+,ハナニヤ*,ミシャエル*,アザリヤ*がいた+。 7 廷臣の長は彼らに別の名前*を与え,ダニエルをベルテシャザル+,ハナニヤをシャデラク,ミシャエルをメシャク,アザリヤをアベデネゴと呼んだ+。
8 しかしダニエルは,王の美食やぶどう酒で自分を汚さないことを心に決めた。それで,自分を汚さずに済むよう,廷臣の長に許可を求めた。 9 真の神は,廷臣の長がダニエルに親切と憐れみを示すようにした+。 10 とはいえ,廷臣の長はダニエルにこう言った。「私は王を恐れている。王がおまえたちの食べ物と飲み物をお定めになったのに,同じ年頃の若者たちと比べておまえたちの顔色が悪いのをご覧になったら,どうなるだろうか。王の前で私の首が危うくなる*」。 11 ダニエルは,自分とハナニヤとミシャエルとアザリヤの世話係として廷臣の長により任命された人に言った。 12 「どうか,私たちを10日の間試してください。食べ物は幾らかの野菜,飲み物は水にしてください。 13 そして,私たちの顔色と,王の美食を食べている若者たちの顔色を比べた上で,私たちをどうすべきかご判断ください」。
14 世話係はこの願いを聞き入れ,彼らを10日の間試した。 15 10日の後,彼らの顔色は,王の美食を食べていたどの若者よりも良く,健康的だった。 16 それで世話係は,その後も彼らに美食とぶどう酒ではなく野菜を与えた。 17 真の神はこの4人の若者に,知識と,あらゆる書物の意味を悟る力と,知恵を与えた。ダニエルはどんな幻や夢も理解できるようにされた+。
18 王が定めた期間が終わり,廷臣の長は若者たちをネブカドネザルの前に連れていった+。 19 王が彼らと話すと,全ての若者の中で,ダニエル,ハナニヤ,ミシャエル,アザリヤに並ぶ者は一人もいないことが分かった+。それで4人は王に仕えることになった。 20 王は,知恵と理解力を要する事柄について彼らに尋ね,その全てにおいて彼らが王国中の魔術師やまじない師よりも10倍優れていることを知った+。 21 ダニエルはキュロス王の治世の第1年までそのままとどまった+。
2 ネブカドネザルは治世の第2年に,何度か夢を見て心が落ち着かず+,眠れなくなった。 2 それで王は,夢について説明させるために,魔術師,まじない師,呪術師,カルデア人*を招集するよう命じた。その者たちはやって来て,王の前に立った+。 3 王は彼らに言った。「私はある夢を見た。その夢で見たのが何だったのか知りたくて,心が落ち着かない」。 4 カルデア人たちはアラム語+で王に答えた*。「王がいつまでも生き続けますように。どのような夢かを私どもにお話しください。そうすれば解き明かします」。
5 王はカルデア人たちに言った。「これが最後の通告だ。もし夢の内容を私に話さず,解き明かさないなら,おまえたちは手足を切り取られ,おまえたちの家は公衆便所*にされる。 6 だが,もし夢の内容を話し,解き明かすなら,贈り物と褒美と大きな栄誉を与えよう+。さあ,夢の内容を話し,解き明かしてみよ」。
7 彼らは再び答えた。「どのような夢かを私どもにお話しください。そうすれば解き明かします」。
8 王は言った。「分かっているぞ。おまえたちは最後の通告を受けて,時間を稼ごうとしているのだ。 9 もし夢について私に説明しないなら,おまえたちは皆必ず罰を受けることになる。だから,申し合わせてうそ偽りを並べ立て,状況が変わるのを待つつもりだろう。さあ,夢の内容を話してみよ。そうすれば,解き明かせるかどうかも分かる」。
10 カルデア人たちは王に答えた。「王が求めておられることを行える者は,地上に一人もいません。どんな大王や総督も,このようなことを魔術師やまじない師やカルデア人に求めたことはありません。 11 王が求めておられることは難しく,それを王に説明できる者がいるとすれば,死にゆく人間とは暮らしを共にしない神々だけでしょう」。
12 すると王は激怒し,バビロンの賢人を皆殺しにするよう命じた+。 13 命令が出されて賢人たちが殺されることになった時,人々はダニエルとその友たちも殺そうとして捜した。
14 バビロンの賢人たちを殺すためにやって来た,王の護衛官の長アルヨクに,ダニエルは思慮深く用心しながら話し掛けた。 15 王の役人アルヨクにこう尋ねた。「なぜ王はこのような厳しい命令を出されたのですか」。アルヨクはダニエルに事情を話した+。 16 それでダニエルは王のもとに行き,解き明かしをするための時間を願い求めた。
17 それからダニエルは自分の家に帰り,友であるハナニヤ,ミシャエル,アザリヤに事情を伝えた。 18 そして彼らに,自分たちがバビロンの他の賢人たちと共に殺されてしまわないよう,天の神に祈って憐れみと秘密の解き明かしを求めてほしいと頼んだ。
19 すると夜,幻の中でダニエルに秘密が明らかにされた+。そのためダニエルは天の神を賛美した。 20 ダニエルは言った。
23 私の父祖たちの神,あなたに感謝し,あなたを賛美します。
知恵と力を私に与えてくださったからです。
そして,私たちが願い求めたことを知らせてくださいました。
王の気に掛かっている事柄について知らせてくださったのです+」。
24 ダニエルは,バビロンの賢人たちを皆殺しにするよう王から任命されていたアルヨクのもとに行き,言った+。「バビロンの賢人を誰も殺さないでください。私を王の前に連れていってください。私が王の夢を解き明かします」。
25 アルヨクは急いでダニエルを王の前に連れていき,言った。「ユダで捕らえて連れてきた人々の中で+,王の夢を解き明かせる者を見つけました」。 26 王は,ベルテシャザルと呼ばれていたダニエルに言った+。「おまえは本当に私が見た夢の内容を話し,解き明かせるのか+」。 27 ダニエルは王に答えた。「どの賢人も,まじない師も,魔術師も,占星術師も,王が尋ねておられる秘密について説明することはできません+。 28 しかし,秘密を明らかにされる神が天におられます+。その方が,最後の日々に起きる事柄をネブカドネザル王に知らせたのです。あなたが見た夢,床に就いておられた時に頭の中で見た幻について申し上げます。
29 王は床に就いて,将来何が起きるかを考えておられました。そして,秘密を明らかにされる方が,起きる事柄を知らせました。 30 この秘密が私に明らかにされたのは,ほかの誰よりも優れた知恵を持っているからではありません。王が解き明かしを知って,心の中のお考えを理解できるようになるためです+。
31 王は巨大な像をご覧になりました。その像は非常に大きく,まばゆい輝きを放ち,あなたの前に立っていました。恐ろしい姿でした。 32 像の頭は純金でできており+,胸と腕は銀+,腹とももは銅+, 33 すねは鉄+,足は一部が鉄,一部が粘土*でできていました+。 34 あなたが見ておられると,1つの石が人手によらずに切り出され,像の鉄と粘土でできた足の所を打って,粉々に砕きました+。 35 その時,鉄も粘土も銅も銀も金も全て粉々に砕けて,夏の脱穀場のもみ殻のようになり,風に運び去られて跡形もなくなりました。そして,像を打った石は大きな山となり,地上全体に広がりました。
36 これが夢の内容です。では,これから私たちが王に解き明かします。 37 王よ,あなたは王の中の王です。天の神はあなたに王国と力と強さと栄光を与えました+。 38 また,至る所に住む人々と,野獣や鳥をあなたの手に委ね,その全てをあなたに支配させました+。あなたこそが,金の頭です+。
39 あなたの後に,劣った別の王国が生じます+。次いで別の王国,3番目の銅のものが生じ,全世界を支配します+。
40 4番目の王国は,鉄のように強いものとなります+。鉄は他の全ての物を打ち砕いて粉々にしますが,この王国も,物を粉砕する鉄のように,それまでの王国を全て粉砕します+。
41 ご覧になったように,足とその指は一部が粘土*,一部が鉄でできていました。つまり,この王国は分裂することになります。ですが,鉄の硬さもいくらか持ち合わせています。ご覧になったように,鉄が軟らかい粘土と交ざっているのです。 42 足の指には鉄の部分と粘土の部分があるので,この王国には強い部分ともろい部分があることになります。 43 ご覧になったように,鉄が軟らかい粘土と交ざっていますから,強い部分が人々*と交ざることになります。しかし,鉄が粘土と結び付かないように,それらが一つになることはありません。
44 この王たちの時代に,天の神は決して滅ぼされることのない+王国を建てます+。その王国はほかのどんな民にも渡されません+。これらの王国を全て打ち砕いて終わらせ+,その王国だけが永遠に存続します+。 45 山から1つの石が人手によらずに切り出され,鉄,銅,粘土,銀,金を打ち砕いたのを,あなたがご覧になった通りです+。偉大な神が,将来起きる事柄を王に知らせました+。この夢は真実であり,解き明かしも確かです」。
46 すると,ネブカドネザル王はダニエルの前でひれ伏して敬意を表し,贈り物を与えて香をたくよう命じた。 47 王はダニエルに言った。「あなた方の神はまさしく,神の中の神,王たちの主,秘密を明らかにされる方だ。あなたがこの秘密を明らかにすることができたのだから+」。 48 そして王はダニエルを高い地位に就け,たくさんの良い贈り物を与え,バビロン州*全体を治めさせ+,バビロンの全ての賢人の大長官とした。 49 また,ダニエルの願いを聞き入れ,シャデラク,メシャク,アベデネゴにバビロン州の行政を任せた+。ダニエルは宮廷で仕えた。
3 王ネブカドネザルは金の像を造った。高さは27メートル*,幅は2.7メートル*で,彼はそれをバビロン州のドラという平野に建てた。 2 そしてネブカドネザル王は使いを送り,太守,長官,総督,顧問官,財務官,裁判官,行政官など,各州の高官全員を招集して,自分が建てた像の奉献式に来させた。
3 そこで,太守,長官,総督,顧問官,財務官,裁判官,行政官など,各州の高官全員が,ネブカドネザル王の建てた像の奉献式のために集まり,像の前に立った。 4 伝令官が大声でこう宣告した。「あらゆる民族や国や言語の人々に命じる。 5 角笛,笛,チター,三角琴,弦楽器,バグパイプその他の楽器の音が聞こえたら,あなた方はひれ伏して,ネブカドネザル王が建てた金の像を崇拝しなければならない。 6 ひれ伏して崇拝しない者は,直ちに火の燃え盛る炉に投げ込まれることになる+」。 7 それで,角笛,笛,チター,三角琴,弦楽器その他の楽器の音が皆に聞こえると,あらゆる民族や国や言語の人々はひれ伏し,ネブカドネザル王が建てた金の像を崇拝した。
8 その時,何人かのカルデア人が進み出て,ユダヤ人たちを非難*した。 9 彼らはネブカドネザル王に言った。「王がいつまでも生き続けますように。 10 王のご命令によれば,角笛,笛,チター,三角琴,弦楽器,バグパイプその他の楽器の音を聞く者は皆,ひれ伏して金の像を崇拝しなければなりません。 11 ひれ伏して崇拝しない者は,火の燃え盛る炉に投げ込まれることになっています+。 12 ところが,王がバビロン州の行政を任せたユダヤ人のシャデラク,メシャク,アベデネゴは+,王を無視しています。王の神々に仕えず,王が建てた金の像を崇拝しようとしません」。
13 するとネブカドネザルはいきり立ち,シャデラク,メシャク,アベデネゴを連れてくるよう命じた。そのため彼らは王の前に連れてこられた。 14 ネブカドネザルは彼らに言った。「シャデラク,メシャク,アベデネゴ,おまえたちが私の神々に仕えず+,私が建てた金の像を崇拝しようとしないというのは本当か。 15 もし今おまえたちが,角笛,笛,チター,三角琴,弦楽器,バグパイプその他の楽器の音を聞いたらひれ伏して,私の造った像を崇拝するつもりなら,それでよい。しかし,崇拝しようとしないなら,直ちに火の燃え盛る炉に投げ込む。一体どんな神が私の手からおまえたちを救い出せるというのか+」。
16 シャデラク,メシャク,アベデネゴは王に答えた。「ネブカドネザル王,この件で私たちがお答えする必要はありません。 17 もし火の燃え盛る炉に投げ込まれても,私たちが仕えている神は私たちを救い出すことができます。王の手から救い出してくださるでしょう+。 18 そうならないとしても,ご承知ください。私たちはあなたの神々に仕えることも,あなたが建てた金の像を崇拝することもいたしません+」。
19 ネブカドネザルは,シャデラク,メシャク,アベデネゴに対して激怒し,血相を変えて*,炉をいつもより7倍熱くするよう命じた。 20 そして自分の軍隊の屈強な男たちに命じて,シャデラク,メシャク,アベデネゴを縛らせ,火の燃え盛る炉に投げ込ませた。
21 それで3人は,マントや服や帽子などを身に着けたまま縛られ,火の燃え盛る炉に投げ込まれた。 22 王の命令が厳しく,炉が非常に熱かったため,シャデラク,メシャク,アベデネゴを抱え上げた男たちの方が炎によって死んでしまった。 23 シャデラク,メシャク,アベデネゴの3人は縛られたまま,火の燃え盛る炉の中に落ちた。
24 すぐさまネブカドネザル王は怖くなり,慌てて立ち上がって高官たちに言った。「われわれは3人の男たちを縛って火の中に投げ込んだのではなかったか」。彼らは,「その通りです,王よ」と答えた。 25 王は言った。「見ろ! 4人の男たちが火の中を自由に歩いている。彼らは全く無傷で,4人目はまるで神々の子のようだ」。
26 ネブカドネザルは火の燃え盛る炉の口に近づいて,言った。「至高の神+に仕えるシャデラク,メシャク,アベデネゴ,出てきなさい!」 シャデラク,メシャク,アベデネゴは火の中から出てきた。 27 そこに集まっていた太守,長官,総督や他の高官たちは+,3人の体が火の影響を全く受けていないのを見た+。髪の毛1本も焦げておらず,マントも元のままで,火のにおいさえ付いていなかった。
28 ネブカドネザルは言った。「シャデラク,メシャク,アベデネゴの神が賛美されますように+。その方は天使を遣わして,ご自分に仕える者たちを救った。彼らはその方を信頼し,王の命令に背いて死ぬ*ことになっても,自分たちの神以外の神に仕えたり,他の神を崇拝したりしなかった+。 29 それで私は次のことを命じる。どの民族や国や言語の者であれ,シャデラク,メシャク,アベデネゴの神を悪く言うなら,その者は手足を切り取られ,その者の家は公衆便所*にされる。この神のように人を救うことができる神はほかにいないからだ+」。
30 それから王は,シャデラク,メシャク,アベデネゴをバビロン州でさらに高い地位に就けた+。
4 「ネブカドネザル王から,全世界の民族や国や言語の人々へ。あなた方に豊かな平和があることを願う。 2 至高の神が私に行われた,奇跡*と不思議なことについて知らせようと思う。 3 その方の奇跡*は何と壮大で,不思議なことは何と並外れているのだろう。その方の王国は永遠に存続し,その方の統治はいつの時代までも続く+。
4 私ネブカドネザルは,家で安らかに過ごし,宮殿で優雅に暮らしていた。 5 だが,ある夢を見て怖くなった。床に就いていた時,頭の中で恐ろしい光景や幻を見た+。 6 それで命令を出し,バビロンの全ての賢人を私の前に連れてこさせて,夢を解き明かさせることにした+。
7 魔術師,まじない師,カルデア人*,占星術師たち+がやって来た。私はどのような夢を見たか話したが,彼らはそれを解き明かすことができなかった+。 8 最後にダニエルがやって来た。この者は私の神の名にちなんで+ベルテシャザルと呼ばれており+,聖なる神々の力を持っている+。私は彼に夢の内容を話した。
9 『魔術師の長ベルテシャザル+,あなたが聖なる神々の力を持っていて+,どんな秘密も明らかにできることを,私はよく知っている+。私が夢の中で見た幻について説明し,解き明かしてほしい。
10 私は寝ながら,頭の中でこのような幻を見た。大地の真ん中に,非常に高い+木が立っていた+。 11 その木は成長して強くなり,頂が天に達して,地の果てからも見えるほどだった。 12 葉が美しく茂り,豊かに実がなって,全てのものを養うことができた。木陰に野獣が集まり,枝に鳥がすみ着き,全ての生き物がその木から食べ物を得た。
13 私が寝ながら頭の中で幻を見ていると,見張りの者,聖なる者が天から下ってきた+。 14 その者は大声でこう言った。「この木を切り倒し+,枝を切り落とし,葉を振り落とし,実をまき散らしなさい! 木陰から野獣を,枝から鳥を追い払いなさい。 15 しかし,切り株と根は地面に残し,鉄と銅のたがをはめて野の草の中に放置しなさい。天からの露にぬれるままにし,地上の草木の間で野獣と共に生かしておきなさい+。 16 その心は変えられ,人の心ではなくなり,獣の心が与えられて,7つの時+が過ぎることになります+。 17 これは見張りの者たちによって布告され+,この要請は聖なる者たちによって告げられました。そのようにして,至高者が人間の王国の統治者であり+,ご自分の望む者にそれを与え,最も立場の低い人をさえその上に立てるということを,人々に知らせるためです」。
18 これが,私ネブカドネザル王が見た夢だ。さあ,ベルテシャザル,これを解き明かしてくれ。私の王国の他の賢人たちは誰も解き明かせないのだ+。だが,あなたにはできるだろう。聖なる神々の力を持っているからだ』。
19 その時,ベルテシャザルと呼ばれるダニエルは+,しばし驚き,おびえ始めた。
王は言った。『ベルテシャザル,この夢と解き明かしのためにおびえることはない』。
ベルテシャザルは答えた。『王よ,この夢があなたを憎む者たちに当てはまり,解き明かしがあなたの敵に当てはまるとよいのですが。
20 あなたがご覧になった木,すなわち,成長して大きく強くなり,頂が天に達して地の果てからも見え+, 21 葉が美しく茂り,豊かに実がなって,全てのものを養うことができ,木陰に野獣が集まり,枝に鳥がすみ着いた木+, 22 それは王ご自身です。あなたは強大な方となり,威光が天にまで達し+,支配が地の果てにまで及んだからです+。
23 そして王は,見張りの者,聖なる者+が天から下ってくるのをご覧になりました。その者はこう言いました。「この木を切り倒して損ないなさい。しかし,切り株と根は地面に残し,鉄と銅のたがをはめて野の草の中に放置しなさい。7つの時が過ぎるまで,天からの露にぬれるままにし,野獣と共に生かしておきなさい+」。 24 王よ,これも解き明かしましょう。これは至高者の布告であり,必ず王の身に起こる事柄です。 25 あなたは人々の中から追いやられ,野獣とすみかを共にし,雄牛のように草を食べることになります。天からの露にぬれるままになり+,こうして7つの時+が過ぎます+。そしてあなたは,至高者が人間の王国の統治者であり,ご自分の望む者にそれを与えるということを知るのです+。
26 木の切り株と根は残しておくようにとのことでしたから+,天が治めているということをあなたが知った後に,王国は再びあなたのものになります。 27 王よ,私の忠告を聞き入れてくださいますように。正しいことを行って罪から離れ,貧しい人たちに憐れみを示して悪から離れてください。そうすれば,繁栄が長続きするかもしれません+』」。
28 この全てがネブカドネザル王の身に起こった。
29 12カ月後,王はバビロンの王宮の屋上を歩いていた。 30 王は言った。「私はこの大いなるバビロンを,王家のために,また私の輝かしい威光を示すために,自分の偉大な力で築いたのだ」。
31 王がその言葉を言い終えないうちに,天から声が聞こえた。「ネブカドネザル王,あなたに告げます。『王国はあなたから取り去られました+。 32 あなたは人々の中から追いやられ,野獣とすみかを共にし,雄牛のように草を食べることになり,こうして7つの時が過ぎます。そしてあなたは,至高者が人間の王国の統治者であり,ご自分の望む者にそれを与えるということを知るのです+』」。
33 途端に,その言葉通りのことがネブカドネザルに起こった。彼は人々の中から追いやられ,雄牛のように草を食べ始め,体は天からの露にぬれた。やがて髪の毛はワシの羽根のように長く伸び,爪は鳥の爪のようになった+。
34 「その期間の終わりに+,私ネブカドネザルは天を見上げた。すると,正気に戻った。私は至高者を賛美し,永遠に生きておられる方をたたえた。その方の統治は永遠に続き,その方の王国はいつの時代までも存続するからである+。 35 地上に住む全ての者は無に等しく,その方は天の軍勢にも地上に住む人々にも望み通りのことを行う。誰もその方の行動を妨げる*ことはできず+,『いったい何をしたのか』と言うこともできない+。
36 私は正気に戻り,私の王国の栄光や,私の輝かしい威光も元に戻った+。高官や貴族たちも私に面会を求めるようになり,私は自分の王国に復帰して,威厳が増した。
37 今,私ネブカドネザルは,天の王を賛美し,あがめ,たたえる+。この方は行うこと全てが正しく*,公正であり+,おごり高ぶる者を辱めることができるからである+」。
5 ベルシャザル+王は,1000人の貴族のために大きな宴会を催し,彼らの前でぶどう酒を飲んでいた+。 2 酔ったベルシャザルは,父*ネブカドネザルがエルサレムの神殿から奪った金や銀の器を持ってくるよう命じた+。それを使って,自分と貴族たち,また側室やそばめ*たちが酒を飲むためだった。 3 そこで,エルサレムにあった神の家の神殿から奪った金の器が持ってこられ,王と貴族たち,また側室やそばめたちはそれを使って酒を飲んだ。 4 彼らはぶどう酒を飲み,金,銀,銅,鉄,木,石でできた神々を賛美した。
5 その時,人の手の指が現れて,王宮のランプ台に近い壁*に文字を書き始めた。王は,文字を書くその手の甲を見た。 6 王は青ざめ,おびえて腰を抜かし+,膝が震えた。
7 王は大声で命じ,まじない師,カルデア人*,占星術師たち+を連れてこさせた。そしてバビロンの賢人たちに言った。「この文字を読んで意味を解き明かす者には,紫の衣を着せ,金の首飾りを掛け+,この王国の第3の地位を与えよう+」。
8 王に仕える賢人が皆やって来たが,文字を読むことも,王に解き明かすこともできなかった+。 9 そのためベルシャザル王は非常に怖くなり,顔が青ざめた。貴族たちも困惑した+。
10 王や貴族たちが話しているのを聞いた太后*が,宴会場に入ってきてこう言った。「王がいつまでも生き続けますように。おびえたり,青ざめたりしないでください。 11 あなたの王国には,聖なる神々の力を持つ人*がいます。あなたの父上の時代に,その人は啓発を受け,洞察力や神々のような知恵を示しました+。父上ネブカドネザル王はその人を,魔術師,まじない師,カルデア人*,占星術師たちの長に任命しました+。あなたの父上がそうなさったのです。 12 王がベルテシャザルと呼んだそのダニエルは+,並外れた知性や知識や洞察力を持ち,夢を解き明かしたり,謎を解いたり,難問を解決したりすることができたからです+。ダニエルを呼べば,文字の意味を解き明かせるでしょう」。
13 そこでダニエルが王の前に連れてこられた。王はダニエルに尋ねた。「私の父である王がユダで捕らえて連れてきた+ダニエル+というのは,あなたのことか。 14 あなたが神々の力を持っており+,啓発を受けて洞察力や並外れた知恵を示したと聞いた+。 15 ここに書かれた文字を読んで解き明かしてもらうために,賢人やまじない師たちを私の前に連れてこさせたが,誰も解き明かすことができない+。 16 聞くところによると,あなたは解き明かしをしたり+難問を解決したりできるそうではないか。もしこの文字を読んで意味を解き明かせるなら,あなたに紫の衣を着せ,金の首飾りを掛け,この王国の第3の地位を与えよう+」。
17 ダニエルは王に答えた。「贈り物は必要ありません。褒美はほかの人にお与えください。ですが,私はこの文字を王にお読みし,解き明かします。 18 王よ,至高の神はあなたの父上ネブカドネザルに,王国と偉大な力と栄誉と威光を与えました+。 19 神から与えられた偉大な力のゆえに,あらゆる民族や国や言語の人々が父上の前で恐怖に震えました+。あの方は思いのままに人を殺したり生かしたり,重んじたり辱めたりしました+。 20 しかし,心が傲慢になり,強情になって,思い上がった振る舞いをした時+,王座から降ろされ,尊厳を奪われました。 21 人々の中から追いやられ,心が獣の心のようになり,野ロバとすみかを共にし,雄牛のように草を食べ,体は天からの露にぬれました。そして,至高の神が人間の王国の統治者であり,ご自分の望む者をその上に立てる,ということを知ったのです+。
22 ところが,その方の子*であるあなたベルシャザルは,この全てを知りながら,謙遜になっていません。 23 かえって,天の主に対して高ぶり+,その神の家の器を持ってこさせました+。そして,あなたと貴族たち,また側室やそばめたちは,それを使ってぶどう酒を飲み,銀,金,銅,鉄,木,石でできた神々を賛美しました。何も見えず,何も聞こえず,何も知らない神々をです+。それなのにあなたは,あなたの命と全ての道を掌握しておられる神をたたえてはいません+。 24 そのため,神から送られた手によってこの文字が書かれたのです+。 25 書かれた言葉はこうです。メネ,メネ,テケル,そしてパルシン。
26 意味を解き明かしましょう。メネ。神はあなたの王国の日数を数えて,それを終わらせた+。
27 テケル。あなたはてんびんで量られて,不足があることが分かった。
28 ペレス。あなたの王国は分けられて,メディア人とペルシャ人に与えられた+」。
29 するとベルシャザルは命令を出し,家来たちはダニエルに紫の衣を着せ,金の首飾りを掛けた。そして,ダニエルが王国の第3の支配者になることが布告された+。
30 まさにその夜,カルデア人の王ベルシャザルは殺された+。 31 メディア人ダリウス+が,およそ62歳の時にその王国を治め始めた*。
6 ダリウスは,王国全体を治めるために120人の太守を任命することにした+。 2 また,彼らの上に3人の高官を立てた。その1人がダニエルだった+。王が損失を被ることがないように,太守たち+はその高官たちに報告することになっていた。 3 ダニエルは,他の高官や太守たちの中で抜きんでるようになった。並外れた知性を持っていたからであり+,王は彼に王国全域を治める権威を与えようと考えていた。
4 高官や太守たちは,国務に関することでダニエルを非難する口実を探そうとしていたが,何の口実も落ち度も見つけられなかった。ダニエルは信頼でき,怠慢や落ち度は全くなかったからである。 5 そのため彼らは言った。「ダニエルの神の律法のことで言い掛かりをつけない限り+,彼を非難する口実は見つからないだろう」。
6 そこで高官や太守たちは一団となって王のもとに行き,こう言った。「ダリウス王がいつまでも生き続けますように。 7 王に仕える役人,長官,太守,高官,総督が皆で相談いたしまして,王に次のような法令を制定していただくとよいということになりました。30日の間,王以外の人や神に請願をしてはならず,背いた者はライオンの穴に投げ込まれる,という禁令です+。 8 王よ,この法令を制定し,ご署名くださいますように+。そうすれば変更できなくなります。メディアとペルシャの法律は取り消すことができないからです+」。
9 それでダリウス王は禁令に署名した。
10 ダニエルは,法令に署名がされたことを知ると,すぐに自分の家に入った。屋上の部屋の窓はエルサレムに向かって開かれていた+。ダニエルはそれまでいつもしていた通り,日に3度ひざまずいて祈り,自分の神を賛美した。 11 その時,役人たちが押し入ってきて,ダニエルが自分の神に請願して恵みを求めているのを見つけた。
12 彼らは王のもとに行き,王が制定した禁令について思い起こさせた。「ご署名になった禁令によれば,30日の間,王以外の人や神に請願をする者がいれば,ライオンの穴に投げ込まれることになっていたのではありませんか」。王は答えた。「その通りだ。メディアとペルシャの法律は取り消すことができない+」。 13 すぐに彼らは王に言った。「ユダで捕らわれて連れてこられたダニエルは+,王も,ご署名になった禁令も無視し,日に3度祈っています+」。 14 これを聞いた王は非常に悩み,何とかしてダニエルを救えないものかと考えた。日が暮れるまで,ダニエルを助けようと手を尽くした。 15 ついに役人たちが一団となって王のもとに行き,こう言った。「王よ,ご承知の通り,メディアとペルシャの法律によれば,王が制定した禁令や法令は一切変更できません+」。
16 それで王は命令を出し,ダニエルは連れてこられて,ライオンの穴に投げ込まれた+。王はダニエルに言った。「あなたが常に仕えている神が,あなたを救ってくださるに違いない」。 17 それから石が運ばれてきて,穴の口に置かれた。王は自分の認印指輪と貴族たちの認印指輪でそれに封印をし,ダニエルの件に関して何も変更されないようにした。
18 王は宮殿に帰った。断食をし,あらゆる楽しみ事を拒み*,眠れぬ夜を過ごした。 19 夜が明けるとすぐ,王は起きてライオンの穴へ急いだ。 20 穴に近づくと,悲しげな声でダニエルに呼び掛け,こう尋ねた。「生きている神に仕えるダニエル,あなたが常に仕えている神は,あなたをライオンから救うことができたか」。 21 すぐにダニエルは王に言った。「王がいつまでも生き続けますように。 22 私の神が天使を遣わして,ライオンの口をふさいでくださいましたので+,私は無事です+。私は神の前で潔白であり,王に対しても何も悪いことはしておりません」。
23 王は大喜びし,ダニエルを穴から引き上げるよう命じた。引き上げられたダニエルは,全く無傷だった。自分の神を信頼したためである+。
24 それから王は命令を出し,ダニエルを非難*した人たちが連れてこられて,妻子と共にライオンの穴に投げ込まれた。彼らが穴の底に落ちる前に,ライオンが飛び掛かり,彼らの骨をことごとく砕いた+。
25 そしてダリウス王は,全土に住むあらゆる民族や国や言語の人々にこう書き送った+。「あなた方に豊かな平和があることを願う。 26 私は次のことを命じる。私の王国の領土全域において,民はダニエルの神の前で畏れかしこまるように+。この方こそ生きている神であり,永遠に存在されるからである。この方の王国は決して滅ぼされず,統治*は永遠に続く+。 27 この方は人を助け+,救い,天においても地においても奇跡*や不思議なことを行われる+。ダニエルをライオンの爪から救ったのである」。
28 こうしてダニエルは,ダリウスの王国+でもペルシャ人キュロスの王国+でも活躍した。
7 バビロンのベルシャザル+王の治世の第1年に,ダニエルは夢を見た。床に就いていた時に頭の中で幻を見たのである+。それで,その夢を書き留め+,見た内容を全て記録した。 2 ダニエルは言った。
「私が夜に幻を見ていると,天の四方の風が広大な海を波立たせていた+。 3 そして,4匹の巨大な獣+が海から出てきた。それぞれ姿が異なっていた。
4 1匹目の獣はライオンに似ており+,ワシの翼があった+。私が見ていると,翼は引き抜かれ,その獣は地上から持ち上げられて,人間のように2本足で立つようにされ,人間の心を与えられた。
5 2匹目の獣は熊に似ていた+。前足を上げ*,口には3本のあばら骨をくわえており,『起き上がって,肉をたくさん食べよ』と言われた+。
6 さらに見ていると,別の獣が現れた。ヒョウに似ており+,背中に鳥のような翼が4つあった。頭も4つあり+,支配する権威を与えられた。
7 この夜,私が見ていた幻の中で,続いて4匹目の獣が現れた。恐ろしく,すさまじい獣で,非常に強く,大きな鉄の歯があった。この獣はむさぼり食い,打ち砕き,残ったものを足で踏みにじった+。それまでのどの獣とも異なっており,10本の角があった。 8 私が角を眺めていると,それらの間に別の小さな角が生えてきて+,初めにあった角のうち3本が引き抜かれてしまった。生えてきた角には人間のような目があり,高慢*に語る口があった+。
9 さらに見ていると,王座が据えられ,年月を経た方+が座った+。その方の衣服は雪のように白く+,髪の毛は真っ白な羊毛のようだった。王座は炎であり,その車輪は燃える火だった+。 10 その方の前から火が川のように流れ出ていた+。その方に仕えている者は千の千倍,その方の前に立っている者は1万の1万倍いた+。法廷+が開廷し,書物が開かれた。
11 角が高慢*な言葉を語り続けるので+,見ていると,獣は殺され,その体は燃える火の中に投げ込まれて滅ぼされた。 12 残りの獣は+,統治権を取り去られたが,ひとときの間生かしておかれた。
13 この夜,私が見ていた幻の中で,今度は天の雲と共に人の子のような者+がやって来た。その者は年月を経た方+に近づくことを許され,その方のすぐ前に連れてこられた。 14 その者に統治権+と栄誉+と王国が与えられ,あらゆる民族や国や言語の人々が彼に仕えるようにされた+。その統治は終わることなく永遠に続き,その王国は滅ぼされることがない+。
15 私ダニエルは,頭の中で見た幻のせいで怖くなり,心がかき乱された+。 16 それで,立っている者の1人に近づき,見た事柄の意味を尋ねた。すると彼は答えて,これらのことを解き明かしてくれた。
17 『この4匹の巨大な獣は+,地上で権力を持つようになる*4人の王です+。 18 しかし,至上者の聖なる者たち+が王国を受け+,いつまでも永遠に王国を手にします+』。
19 私は4匹目の獣についてさらに知りたいと思った。それはほかのどの獣とも異なっていた。並外れて恐ろしく,鉄の歯と銅の爪を持ち,むさぼり食って打ち砕き,残ったものを足で踏みにじっていた+。 20 頭には10本の角があり+,別の角が生えてきて3本が抜け落ちた+。生えてきた角には目と,高慢*に語る口があり,ほかの角よりも大きく見えた。私はこれらについても知りたかった。
21 見ていると,その角が聖なる者たちに戦いを仕掛け,優勢になったが+, 22 年月を経た方+が来て裁きを下し,至上者の聖なる者たち+が勝利を収めた。そして定められた時が来て,聖なる者たちが王国を手にした+。
23 解き明かしをしてくれた者はこう言った。『4匹目の獣は,地上に生じる4番目の王国です。それはほかのどの王国とも異なり,全世界をむさぼり食い,踏みにじり,打ち砕きます+。 24 10本の角は,その王国から出て権力を持つようになる10人の王です。その後さらに別の王が権力を持ちます。彼は先の王たちとは異なり,3人の王を辱めます+。 25 そして至高者に逆らう言葉を語り+,至上者の聖なる者たちを絶えず悩ませ,時と法を変えようとします。聖なる者たちは一時と二時と半時*の間,彼の手に渡されます+。 26 しかし,法廷が開廷し,彼の統治権を取り去りました。彼を根絶やしにし,完全に滅ぼすためです+。
27 王国と,統治権と,天の下の全ての王国の栄光は,至上者の聖なる者たちに与えられました+。彼らの王国は永遠に存続し+,全ての国の人々は彼らに仕え,従います』。
28 私が見聞きした事柄はこれで終わりである。私ダニエルは仰天し,青ざめた。しかし,このことを自分の胸に納めておいた」。
8 ベルシャザル+王の治世の第3年,私ダニエルは,以前に見た幻とは違う幻を見た+。 2 私はエラム+州にあるシュシャン*+城*にいて,ウライの水路のそばで幻を見ていた。 3 目を上げると,1匹の雄羊+が水路の前に立っていた。それには2本の角があった+。2本の角は長かったが,一方が他方よりも長く,長い方は後から伸びたものだった+。 4 見ていると,その雄羊は,西,北,南に向かって突進した。どんな野獣もその前に立つことはできず,その力から誰かを救い出せる者もいなかった+。雄羊は思うままに振る舞い,高慢になった。
5 さらに見ていると,1匹の雄ヤギ+が西*からやって来た。地表に触れることなく,地上全体を横切って来た。目の間に1本の際立った角があった+。 6 その雄ヤギは,水路の前に立っていた2本の角がある雄羊に向かって,猛烈な怒りを抱いて走ってきた。
7 雄ヤギは雄羊に対する敵意に満ち,迫っていって,雄羊を打ち倒して2本の角を折った。雄羊には立ち向かう力がなかった。こうして雄ヤギは雄羊を地面に投げ倒して踏みつけた。その力から雄羊を救い出す者はいなかった。
8 雄ヤギは非常に高慢になったが,強大になると,大きな角は折れた。代わりに4本の際立った角が生えてきて,天の四方の風に向かって伸びた+。
9 そのうちの1本から,別の小さな角が生え出た。それは非常に強大になっていき,南と東*と「美しい地*+」に力を及ぼした。 10 天の軍勢に達するまでに強大になり,その軍勢と星の幾らかを地上に落として踏みにじった。 11 天の軍勢の長に対してさえ高ぶり,その方への日ごとの*犠牲が途切れるようにし,その方の聖なる所の定まった場所を打ち壊した+。 12 違反のゆえに,軍が日ごとの犠牲と共に引き渡された。そして角はしきりに真理を地面に投げ付け,行動して成功を収めた。
13 私は1人の聖なる者が話しているのを聞いた。別の聖なる者が,話している者に言った。「日ごとの犠牲と,荒廃を引き起こす違反に関する幻+,聖なる場所と軍が踏みにじられるという幻は,いつまで続くのでしょうか」。 14 するとその者は私に言った。「2300の晩と朝*が過ぎるまでです。そうすれば聖なる場所は必ず正しい状態に戻されます」。
15 私ダニエルが幻を見ながら理解しようとしていると,突然,人のような姿の者が私の前に現れた。 16 すると,ウライの水路+から人の声が聞こえて,こう呼び掛けた。「ガブリエル+,その人に,見た事柄を理解させなさい+」。 17 彼が私の立っている所に近づいてきた時,私は怖くなってひれ伏した。彼は私に言った。「人の子よ,この幻が終わりの時に関するものであることを理解しなさい+」。 18 しかし,彼が私と話している間に,私は顔を地面に付けたまま眠り込んでしまった。それで彼は私に触れ,立ち上がらせてくれた+。 19 それから彼は言った。「糾弾の時の末期に起きる事柄をあなたに知らせます。幻は定められた終わりの時に関するものだからです+。
20 あなたが見た2本の角がある雄羊は,メディアとペルシャの王を表しています+。 21 毛深い雄ヤギはギリシャの王を表していて+,目の間にあった大きな角は最初の王を表しています+。 22 その角が折れて,代わりに4本の角が生えてきましたから+,彼の国から4つの王国が生じる*ことになります。しかし,彼ほどの力はありません。
23 彼らの王国の末期,違反を犯す者たちの行いが極限に達する時,曖昧な言い回しを理解する*,どう猛な顔つきの王が権力を持つようになり*ます。 24 その王の力は強大になりますが,自らの力でそうなるのではありません。彼は甚だしい破滅*をもたらし,行うこと全てにおいて成功を収めます。力の強い者たちや聖なる民を破滅に至らせます+。 25 ずる賢く人々を欺いて成功し,心の中で高慢になり,人々が安心している時に*大勢を破滅に至らせます。そして長たちの長にさえ立ち向かいますが,人手によらずに打ち砕かれることになります。
26 幻の中で晩と朝について述べられた事柄は真実ですが,あなたはこの幻を秘密にしておかなければなりません。遠い将来に関するものだからです+」。
27 私ダニエルは疲れ果て,何日か体調を崩した+。その後起きて,宮廷の仕事をしたが+,自分が見た事柄のためにぼうぜんとしていた。誰もその幻を理解できなかった+。
9 アハシュエロスの子ダリウス+の治世の第1年のことである。(ダリウスはメディア人の子孫で,カルデア人の王国の王とされた+。) 2 その年に,私ダニエルは書物*を調べ,エルサレムの荒廃が終わるまでの年数を知った。それはエホバが預言者エレミヤに語ったもので+,70年だった+。 3 それで私は真の神エホバに顔を向け,祈って懇願した。断食をし+,粗布をまとい,灰をかぶりながらそうした。 4 私の神エホバに祈り,次のように告白をした。
「真の神エホバ,あなたは偉大で威厳に満ちる方です。あなたを愛してあなたのおきてを守る人たち+との契約を守り,揺るぎない愛を示す方です+。 5 私たちは罪を犯し,間違いをし,悪事を働き,あなたに逆らいました+。あなたのおきてや法規からそれました。 6 あなたに仕える預言者たちが,あなたの名によって,私たちの王たち,高官たち,父祖たち,民全てに語ったのに,耳を傾けませんでした+。 7 エホバ,あなたは正しい方ですが,私たちは今も恥辱を受けています。ユダの人たち,エルサレムの住民,イスラエル全体が,あなたに対して不忠実なことをしたために,近くにいる人も遠くにいる人も,あなたに追いやられた全ての土地で恥辱を受けているのです+。
8 エホバ,私たちはあなたに対して罪を犯したので,恥辱を受けています。王たちも,高官たちも,父祖たちもです。 9 憐れみ深く許してくださる神エホバに+,私たちは背きました+。 10 私たちの神エホバの声に従わず,あなたに仕える預言者たちを通して与えてくださった律法を守りませんでした+。 11 イスラエル全体はあなたの律法を破り,背を向けてあなたの声に従いませんでした。そのためあなたは,私たちに災いが降り掛かるようにされました。真の神に仕えたモーセの律法に記された,誓いによる災いです+。私たちがあなたに対して罪を犯したからです。 12 あなたは,私たちと指導者たちに対して語った言葉を実行し+,私たちに大きな災難をもたらされました。それまで地上全体で起きたためしがないようなことが,エルサレムで起こりました+。 13 モーセの律法に記されている通り,災難がことごとく私たちに降り掛かりました+。それでも私たちは,神エホバに恵みを求めず,自分たちの過ちから離れず+,あなたの真理*を洞察しませんでした。
14 そのためエホバは見張っておられ,私たちに災難をもたらされました。私たちの神エホバは常に正しいことを行ってこられました。しかし,私たちはその声に従いませんでした+。
15 私たちの神エホバ,あなたは力強い手でご自分の民をエジプトから連れ出し+,ご自分の名を上げて今に至っています+。私たちは罪を犯し,悪事を働きました。 16 これまで常に正しいことを行ってこられたエホバ+,どうかあなたの怒りと憤りが,あなたの都市エルサレムから,あなたの聖なる山から離れますように。私たちの罪と父祖たちの過ちのために,エルサレムとあなたの民は周囲の全ての人々から非難されています+。 17 ああ,私たちの神,あなたに仕える私の祈りと懇願を聞いてください。エホバ,あなたご自身のために,あなたの荒廃している+聖なる所を気に掛けてください+。 18 私の神,耳を傾けて聞いてください! 目を開けて,私たちの荒れ果てた様子を,あなたの名で呼ばれてきた都市をご覧ください。私たちが懇願しているのは,自分たちの行いが正しいからではなく,あなたが深い憐れみを示してくださるからです+。 19 エホバ,聞いてください。エホバ,お許しください+。エホバ,私たちに注意を向けて,救ってください! 私の神,あなたご自身のために,行動を遅らせないでください。あなたの都市とあなたの民は,あなたの名で呼ばれているからです+」。
20 私はこのように声を出して祈り,自分の罪と自分の民イスラエルの罪を告白し,私の神の聖なる山に関して,私の神エホバに恵みを求めていた+。 21 私が声を出して祈っていると,以前に幻の中で見た+人ガブリエル+が私の所にやって来た。夕方の供え物をする頃で,私は疲れ切っていた。 22 彼は次のように述べて,私が物事を理解できるようにした。
「ダニエル,私はあなたに洞察と理解を与えるために来ました。 23 あなたが懇願し始めた時に神が述べられた言葉を,私は伝えに来ました。あなたは大切な*人だからです+。それで,このことについてよく考えて,幻を理解しなさい。
24 あなたの民と聖なる都市のために+,70週*が定められました。これは,違反を終わらせ,罪をなくし+,過ちを償い+,永遠の正しさをもたらし+,幻と預言*に証印を押し+,最も聖なる所*を神聖なものとする*ためです。 25 あなたが知って理解すべきこととして,エルサレムを修復して建て直せという命令が出されてから+,指導者+であるメシア*+が現れるまでに,7週,さらに62週があります+。都市は広場も堀も修復され,建て直されますが,それは苦難の時となります。
26 そして,62週の後にメシアは除かれ*ます+。彼には何も残りません+。
やがて来る指導者に率いられた人々が,都市と聖なる場所を滅ぼし+,洪水が終わりをもたらします。終わりまで戦争があり,荒廃が定められています+。
27 彼*は多くの人のために1週の間契約の効力を保たせ,週の半ばに犠牲と供え物を終わらせます+。
そして,荒廃をもたらす者が,極めて不快なものの翼に乗って来ます+。全てが滅びるまで,定められた事柄が,荒廃しているものの上に降り掛かります」。
10 ペルシャのキュロス+王の治世の第3年,ベルテシャザルと呼ばれていたダニエル+に啓示が与えられた。その内容は真実であり,大きな争いに関するものだった。ダニエルは自分が見た事柄について説明を受け,その内容を理解した。
2 その頃,私ダニエルは丸3週間,嘆き悲しんでいた+。 3 何も良い物を食べず,肉もぶどう酒も口にせず,体に油を塗ることも丸3週間しなかった。 4 第1の月の24日,大河チグリス*+の岸にいた時, 5 私は亜麻布の服を着た人を見た+。腰にはウファズ産の金でできたベルトを巻いていた。 6 体はかんらん石のようで+,顔は稲妻のように明るかった。目は燃えるたいまつのようで,腕と足は磨き上げた銅のように見えた+。彼の話す声は群衆の声のようだった。 7 この幻を見たのは私ダニエルだけだった。私と一緒にいた人たちは見なかったが+,強い恐怖に襲われ,逃げていって身を隠した。
8 私は1人残された。この壮大な幻を見た時,私は力尽き,青ざめて,気力をすっかり失った+。 9 それから彼の声が聞こえてきたが,彼が話すのを聞いているうちに,私はひれ伏して顔を地面に付けたまま眠り込んでしまった+。 10 すると,手が私に触れて+起こしてくれたので,私は両手と両膝を突いて起き上がった。 11 彼は私に言った。
「大切な*人+ダニエル,これから私が話す言葉に注意を払いなさい。その場で立ち上がりなさい。私はあなたに会うために遣わされたのです」。
こう言われた時,私は震えながら立ち上がった。
12 彼はさらに言った。「ダニエル,恐れることはありません+。あなたが物事を理解しようと努め,神の前で謙遜になろうと心に決めた最初の日から,あなたの祈りは聞かれています。私が来たのもそのためです+。 13 しかし,ペルシャの領土の長+が21日間,私の前に立ちはだかりました。そこへ主立った長のひとり*ミカエル*+が助けに来てくれて,私はペルシャの王たちのそばにとどまりました。 14 私が来たのは,最後の日々+にあなたの民に起きる事柄をあなたに理解させるためです。幻は将来に関するものだからです+」。
15 彼がこれらのことを私に話した時,私は下を向いて言葉を失った。 16 すると,人のような姿の者が私の唇に触れた+。それで私は口を開き,目の前に立っていた者に言った。「私は幻のために震えており,力が残っていません+。 17 私のような者が,どうしてあなたと話せるでしょうか+。力が残っておらず,息も絶え絶えになっています+」。
18 人のような姿の者は再び私に触れて,力づけてくれた+。 19 そしてこう言った。「大切な*人よ+,恐れることはありません+。あなたに平和がありますように+。勇気を出し,強くありなさい」。彼が話しているうちに私は力づけられ,こう言った。「どうぞお話しください。あなたは私を力づけてくださいました」。
20 彼は言った。「私がなぜあなたの所に来たか,分かりますか。私はペルシャの長+と戦うためにすぐ戻らなければなりません。私が去ると,ギリシャの長が来ます。 21 しかし,私は真実の書に記されている事柄をあなたに伝えます。これらのことにおいて私を強く支えてくれているのは,あなたたちの長+ミカエル+にほかなりません。
11 メディア人ダリウス+の治世の第1年に,私は彼*を力づけて守るために立ち上がりました。 2 これから私があなたに話すことは真実です。
さらに3人の王がペルシャのために立ち上がります。4人目の王は他の王たちよりも多くの富を築きます。その富によって強くなると,彼は総力を挙げてギリシャ王国を攻めます+。
3 強大な王が立ち上がり,大きな権力を振るって支配し+,思うままに行動します。 4 しかし,立ち上がった後,彼の王国は砕かれ,四方*に分けられます+。彼の子孫に分けられるのではなく,彼が支配した時のような権力が振るわれることもありません。王国は根こそぎにされ,他人の手に渡ります。
5 彼に仕えていた高官の1人だった南の王が強くなります。しかし,別の者がその王をしのぐようになり,彼よりも大きな権力を振るって支配します。
6 幾年かの後に彼らは同盟を結び,南の王の娘がその締結のために北の王のもとに来ます。しかし,彼女は自分の力*を保てず,彼も立つことなく力を失います。彼女も,彼女を連れてきた者たちも,彼女の父親も,彼女を強くしていた者も,引き渡されることになります。 7 彼女の根から出た芽の1つが父親に代わって立ち上がり,軍隊の所に行って北の王の要塞を攻め,戦って勝利を収めます。 8 そして,彼らの神々,金属像*,貴重な銀や金の品を携え,捕虜を連れてエジプトに戻ります。幾年かの間は北の王に近づきません。 9 北の王は南の王の王国を攻めますが,自分の国に戻ります。
10 彼の子たちは戦いに備えて大軍を集めます。その1人*は勢いよく進軍し,洪水のように土地を通っていきますが,引き返し,戦いを続けながら要塞にたどり着きます。
11 南の王は憤慨し,出陣して北の王と戦います。彼*は大軍を集めますが,それは敵の手に落ちます。 12 大軍は連れ去られてしまいます。彼*は高慢になり,幾万もの人を打ち倒しますが,自分の強い立場を生かしません。
13 北の王は戻ってきて,前よりも大きな大軍を集めます。そして,幾年かの後,ある期間の終わりに,大きな軍隊を率い,大量の物資を携えてやって来ます。 14 その時,多くの者が南の王に立ち向かいます。
あなたの民の中の暴力的な人たち*は,駆り立てられて幻*を実現させようとしますが,つまずきます。
15 北の王はやって来て土塁を築き,防備された町を攻め取ります。南の軍勢*は対抗できず,えり抜きの兵士たちにも立ち向かう力がありません。 16 攻めてくる者は思うままに行動し,誰もその前に立ちはだかりません。彼は『美しい地*+』に立ち,根絶やしにする力を手にします。 17 自分の王国の全勢力をもって突き進むことを決意し,協定が結ばれることになり,こうして彼は行動を取ります。娘*を破滅に至らせることが彼に許されます。彼女は立ち続けず,彼のものではなくなります。 18 彼は海沿いの地帯に目を向け,多くの場所を攻め取ります。1人の司令官が自分のために彼からの侮辱をとどめ,それはやみます。司令官はその侮辱に報復します。 19 彼*は自分の国の要塞に目を向け,つまずいて倒れ,姿を消します。
20 彼に代わって立ち上がる者は,取り立て人*を遣わして輝かしい王国を巡らせます。しかし,その者は数日のうちに倒れます。それは怒りや戦いによるのではありません。
21 彼に代わって,嫌悪されている*者が立ち上がります。人々は彼に王国の威光を与えようとしません。彼は人々が安心している時に*来て,やすやすと*王国を手に入れます。 22 洪水のような軍勢*は彼のために押し流されて,砕かれます。契約+の指導者+もそうなります。 23 人々との同盟のゆえに,彼は欺くことを続け,小さな国民によって強大な者となります。 24 人々が安心している時に*,彼は州の最も豊かな地域に行き,父祖たちが行わなかったことを行います。略奪品や戦利品を分配し,防備された場所を攻めることをたくらみますが,それはひとときの間だけです。
25 彼は力と勇気を奮い起こし,大きな軍隊で南の王を攻めます。南の王も戦いに備え,非常に強大な軍隊で応戦します。人々が陰謀を企てるため,彼*は立ち続けることができません。 26 彼の美食を食べていた者たちが彼を倒れさせます。
彼の軍隊は押し流され,大勢が殺されて倒れます。
27 この2人の王は心の中で悪事をたくらみ,1つの食卓に着いてうそを言い合います。しかし,何事も成功しません。定められた時に終わりが来るからです+。
28 彼*は大量の品々を携えて自分の国に戻り,心は聖なる契約に逆らいます。彼は行動を取り,自分の国に戻ります。
29 定められた時に彼は再び南を攻めますが,以前のようにはいきません。 30 キッテム+の船に攻められて,打ち負かされるからです。
彼は戻っていって聖なる契約+に糾弾*を浴びせ,行動を取ります。戻っていって,聖なる契約を破る者たちに注意を向けます。 31 彼から出る軍勢*が立ち上がり,聖なる所+,要塞を汚し,日ごとの*犠牲を除き去ります+。
彼らは荒廃をもたらす極めて不快なものを据えます+。
32 悪を行って契約を破る者たちを,彼は言葉で欺いて*背教へと導きます。しかし,自分たちの神を知っている民は持ちこたえ,行動を取ります。 33 洞察力がある人たちは+,大勢に物事を理解させます。彼らはしばらくの間,剣や炎,拘禁や強奪によって倒れることになります。 34 倒れている時,彼らは多少の助けを得ます。人を言葉で欺いて*彼らに加わる者が多くいます。 35 洞察力がある人たちの幾人かが倒れ,その人たちのゆえに終わりの時まで,精錬し,清め,白くすることが行われます+。その定められた時はこれから来ます。
36 その王*は思うままに行動し,高慢になり,自分はあらゆる神より上だと考え,神の中の神+に向かって厚かましいことを語ります。そして,糾弾の時が終わるまで成功を収めます。決められた事柄は必ず起きるからです。 37 彼は自分の父祖たちの神を無視し,女たちの願いも他のあらゆる神々も無視して,自分は全ての者より上だと考えます。 38 ただし,要塞の神をたたえます。父祖たちが知らなかった神を,金や銀や宝石や他の貴重な物によってたたえます。 39 なじみのない神と共に*,強固に防備されたとりでに対して行動を取ります。自分を認めてくれる*者たちに大きな栄誉を与え,大勢を支配させます。また,代価と引き換えに土地を配分します。
40 終わりの時に,南の王は彼と押し合い*ます。北の王は,兵車や騎手や多くの船で南の王を激しく攻撃し,国々に入って,洪水のように勢いよく通っていきます。 41 『美しい地*+』にも入り,多くの国が倒れることになります。しかし,エドム,モアブ,またアンモン人の主な人たちは彼の手から逃れます。 42 彼は国々に向かってしきりに手を伸ばし,エジプトは逃れることができません。 43 彼は隠された金銀の宝を支配し,エジプトの貴重な物全てを支配します。リビア人とエチオピア人は彼に従います。
44 しかし,彼は東*と北からの知らせに動揺し,激怒して出陣します。破壊し,多くの者を滅ぼし尽くすためです。 45 彼は自分の壮麗な*天幕を,大きな海と『美しい地*+』の聖なる山との間に張ります。そして,ついに終わりを迎えます。彼を助ける者は誰もいません。
12 その時,あなたの民のために立っている偉大な長+ミカエル*+が行動を起こし*ます。そして,国が始まってからその時まで生じたことがない苦難の時が来ます。その時,あなたの民,書に記されている人+は皆,逃れます+。 2 地面の中で眠っている多くの人が目を覚まします。ある人たちは永遠の命を得,ある人たちはとがめられて永久に嫌悪されます。
3 洞察力がある人たちは,天空のように明るく輝きます。大勢を正しい道へと導いている人たちは,星のようにいつまでも永遠に輝きます。
4 ダニエル,終わりの時までこれらの言葉を秘密にしておき,この書を封印しておきなさい+。多くの人が巡り歩き*,真の知識が満ちあふれます+」。
5 私ダニエルが見ると,ほかに2人の者が立っていた。1人は川のこちらの岸に,もう1人は向こう岸にいた+。 6 亜麻布の服を着た人+は川の水の上にいて,1人がその人にこう尋ねた。「これらの驚くべき事柄が終わるまでに,どれほどの時が過ぎますか」。 7 すると,亜麻布の服を着て川の水の上にいた人が,天に向かって右手と左手を挙げ,永遠に生きている方+に懸けてこう誓うのが聞こえた。「定められた一時,定められた二時,そして半時*が過ぎます。聖なる民の力が打ち砕かれるとすぐ+,これらの事柄は全て終わります」。
8 私は聞いたが理解できなかったので+,こう尋ねた。「これらの事柄はどんな結末を迎えるのでしょうか」。
9 彼は言った。「ダニエル,行きなさい。これらの言葉は終わりの時まで秘密にされ,封印されるからです+。 10 多くの人が自分を清めて白くし,精錬されます+。悪い人たちは悪いことを行い,誰一人として理解しません。しかし,洞察力がある人たちは理解します+。
11 日ごとの*犠牲+が取り除かれ,荒廃をもたらす極めて不快なものが据えられる時から+,1290日がたちます。
13 あなたは最後まで進んでいきなさい。あなたは休みますが,日々の終わりに,報いを受けるために*立ち上がります+」。
または,「神殿」。
バビロニアのこと。
または,「神殿」。
もしかすると,「養われ」。
意味,「私を裁くのは神」。
意味,「エホバは好意を示した」。
意味はもしかすると,「誰が神のようだろうか」。
意味,「エホバは助けた」。
つまり,バビロニア人の名前。
直訳,「私の頭が有罪になる」。
占星術などの占いに精通している人たちのこと。
ダニ 2:4後半から7:28はアラム語で書かれた。
もしかすると,「ごみ捨て場」,「ふんの山」。
または,「永遠から永遠まで」。
または,「焼いた粘土」。
直訳,「陶芸家の粘土」。
または,「人の子孫」。一般の人々のこと。
または,「管轄地域」。
直訳,「60キュビト」。付録B14参照。
直訳,「6キュビト」。
または,「中傷」。
または,「態度を一変させて」。
または,「体を差し出す」。
もしかすると,「ごみ捨て場」,「ふんの山」。
直訳,「しるし」。
直訳,「しるし」。
占星術などの占いに精通している人たちのこと。
または,「手をとどめる」。
または,「真理であり」。
または,「祖父」。
用語集参照。
直訳,「壁のしっくい」。
占星術などの占いに精通している人たちのこと。
直訳,「女王」。
または,「持つ有能な人」。
占星術などの占いに精通している人たちのこと。
または,「孫」。
または,「与えられた」。
もしかすると,「演奏者たちを呼ぶこともなく」。
または,「中傷」。
または,「主権」。
直訳,「しるし」。
または,「体の片側が起こされ」。
または,「自慢げ」。
または,「自慢げ」。
直訳,「立ち上がる」。
または,「自慢げ」。
つまり,三時半。
または,「スサ」。
または,「宮殿」,「要塞」。
または,「日が沈む方」。
または,「日が昇る方」。
または,「飾りの地」。
または,「絶え間ない」。
または,「2300日」。
直訳,「立ち上がる」。
または,「悪巧みにたけている」。
直訳,「立ち上がり」。
または,「ひどい滅び」。
もしかすると,「警告をせずに」。
聖なる書物のこと。
または,「あなたの正しさ」,「あなたが信頼できること」。
または,「高く評価されている」,「神に愛されている」。
1週は7年。
直訳,「預言者」。
または,「至聖所」。
直訳,「に油を注ぐ」。用語集の「油を注ぐ」参照。
または,「選ばれた者」。
または,「死刑にされ」。
メシアのことと考えられる。
直訳,「ヒデケル」。
または,「高く評価されている」,「神に愛されている」。
または,「最高位の長」。
意味,「誰が神のようだろうか」。
または,「高く評価されている」,「神に愛されている」。
ミカエルのことと思われる。
直訳,「天の4つの風」。
直訳,「腕の力」。
または,「鋳造された像」。
直訳,「彼」。
北の王のことと思われる。
南の王のことと思われる。
または,「強盗の子たち」。
または,「理想」。
直訳,「腕」。
または,「飾りの地」。
直訳,「女たちの娘」。
北の王のことと思われる。
税の取り立て人のことかもしれない。または,「仕事を割り当てる者」。
または,「卑劣な」。
もしかすると,「警告をせずに」。
または,「陰謀によって」。
直訳,「洪水の腕」。
もしかすると,「警告をせずに」。
北の王のことと思われる。
北の王のことと思われる。
または,「怒り」。
直訳,「腕」。
または,「絶え間ない」。
または,「おだてて」,「唆して」。
または,「おだてて」,「唆して」。
北の王のことと思われる。
または,「の助けを得て」。
もしかすると,「自分が認める」。
または,「角を突き合わせ」。
または,「飾りの地」。
または,「日が昇る方」。
または,「宮殿のような」。
または,「飾りの地」。
意味,「誰が神のようだろうか」。
直訳,「立ち上がり」。
または,「それ[つまり,書]を徹底的に調べ」。
つまり,三時半。
または,「絶え間ない」。
または,「一心に待って」。
または,「自分の取り分のために」,「割り当てられた場所で」。