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目ざめよ! 1970
目70 3/8 19–20ページ

心臓移植手術はどうなりましたか

フィリップ・ブレイバーグ氏の死は医学の一時期の終わりを画するものとなりました。昨年8月に死亡したブレイバーグ氏は,心臓移植手術を受けた患者中,一番長く生き残れた人で,手術後1年半余,つまり合計594日間余命を保ちました。

しかしブレイバーグ氏の死は今後の心臓移植手術に真剣な再考を促すものとなりました。アメリカ,テキサス州ヒューストンの心臓外科医デントン・クーレー博士は語りました。「彼が生きているあいだは心臓移植手術計画も存続できたが,今やこの計画を続けるべきかどうかを再検討しなければならない」。

こうした再検討を迫る主要な問題はなんですか。それはブレイバーグ氏の死因とされている「心臓の慢性的な拒絶反応」にあると言えます。臓器移植手術の技術的成功とは裏はらに,新しい心臓が移植された瞬間から激烈な戦いが始まり,手術後,ブレイバーグ氏はこの戦いに日々敗れていったのです。それは“異物”である第二の心臓に対する“拒絶反応”との戦いでした。

神は,ビールスを含め種々の病原菌に対するすばらしい防御の仕組みを備えた人間を創造されました。この仕組みがあるからこそ,人体は異物の侵入を受けると直ちに異物に対する攻撃を開始できるのです。まだ十分に理解されてはいませんが,白血球の一種であるリンパ球がこの仕組みで主要な役割をはたしています。体内では幾十億ものリンパ球が働いています。そしてこれらリンパ球は体組織の細胞を識別する能力を「付与」されており,体内の細胞に対しては無抵抗ですが,体組織に属さない細胞などの異物を見つけると,そうした異物を攻撃する抗体を生産し,異物の働きを中和させたり,異物を破壊したりします。

移植後,急激に,あるいは直ちに拒絶反応が起きると,移植された細胞はそうした攻撃のために大きくはれ上がって突如死んでしまいます。しかし拒絶反応が徐々に進行する場合もあります。ブレイバーグ氏の場合,拒絶反応は緩慢なものでした。しかし緩慢とは言っても,それは絶え間なく進行しました。彼のからだの防御体制は,新しい心臓という異物に対する攻撃を決してやめなかったのです。

医師は人体のこうした拒絶反応の進行を妨げる方法を工夫していますが,そのために重大な窮地に立たされています。種々の薬剤を用いて拒絶反応の進行を押えれば,移植された臓器に対する拒絶作用は緩慢になります。しかし拒絶反応を抑制すればするほど,病原菌に対する人体の防御能力が低下してゆくのです。したがって,拒絶反応を押える薬剤を用いると,からだの抵抗力は弱められ,患者は他の病気にかかる危険に直面します。

ブレイバーグ氏は手術後6か月ごろ肝炎にかかり,その後,肺炎を起こしました。拒絶反応を抑制する薬剤と,こうした新たな病気を克服する薬剤を,微妙な平衡を保たせながら投与されたので彼は命を保てましたが,その間,拒絶反応は休むことなく進行したのです。

彼の死亡当時,その第二の心臓はどんな状態にありましたか。ニューヨーク・タイムズ紙1969年8月19日号はこう報じています。「ブレイバーグ博士の心臓の筋肉はすっかりそこなわれ,実際のところ,その心臓は移植手術前の元の心臓の状態に等しいものであったと医師たちは語った」。

別の心臓移植を行なう余地はありませんでした。なぜですか。8月29日号「タイム」誌が述べたとおり,彼の新しい心臓は悪化して,「からだの必要とする酸素を取り入れるだけの血液を肺臓に送ることも,大切な浄化作用を続けさせるだけの血液を腎臓に送り出すこともできなかったため,これらの臓器もそこなわれていた」からです。

心臓移植手術の問題が真剣に再検討されているのは,現段階では医師も拒絶反応の進行をとどめることができないからです。ブレイバーグ氏の心臓移植手術を行なったバーナード博士も次のように認めました。「わたしは,解決策があるとして自分や世界の人々を欺いたことは決してない。拒絶反応を防ぐことはできない。できるのはその進行を抑制することだけである」。臓器の移植手術後,長期間生き延びている患者がほとんどいないのはこのためです。昨年の8月現在で,心臓移植手術を受けて生き残った患者はわずか29人だけでした。

他の臓器移植に際しても同様の拒絶反応が働きます。臓器移植手術に関するアメリカの統計は次のとおりです。肺臓移植の行なわれた患者20人中,生残者は一人,膵臓移植患者10人中,生残者一人,肝臓移植を受けた患者100人中,生残者は14人です。腎臓移植の場合,血縁関係のない臓器提供者の腎臓を移植された患者中,58%は1年以内に死亡していますが,肉身の提供者から腎臓を受けた患者の生存率はやや高くなっています。

生存率の低さや,生存期間の短かさのゆえに多数の病院では,臓器,特に心臓の移植手術を危険視しています。アメリカ,クリーブランドのアービン・H・ページ博士はこう述べました。「心臓移植手術はこれまでの結果からすれば,それに要する時間と費用,またその危険性の点で正当な医療とは言えない」。またニューオーリアンズ市の心臓学者G・E・バーチ博士は,「現段階において心臓移植手術を心臓病の療法として患者に推奨するのは不当である」と断言しました。

正常な人はだれも死を望みません。命は貴重なものであり,人は生きることを願います。しかし他人の臓器を用いる,いわば人肉嗜食にも等しい仕方で余命を保たせるのは,正しい解決策とは言えません。真の解決策はこの事物の体制が終わったのち,エホバ神の治める新秩序においてのみ与えられるでしょう。神の霊感の下にしるされたみことばは黙示録 21章4節でそのことを保証しています。「[神は]かれらの目の涙をことごとく拭ひ去り給はん。今よりのち死もなく,かなしみも,さけびも,苦痛もなかるべし」。

その時,長寿,そうです,永遠の命を受けることができるでしょう。それは,心臓の提供者が見つかり,その移植手術を受けるお金を持っている人だけに与えられるのではなく,神の御子イエス・キリストを通してとこしえの命を与えるエホバの備えに信仰を働かす人すべてにもたらされるのです。それはなんとすばらしい命でしょう! 聖書でそれが「真の生命」と言われているのもまさに当然です。―テモテ前 6:19。ヨハネ 3:16。

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