急速な変化
モロッコのエホバの証人は昨奉仕年度中,野外の宣教ですばらしい時を過ごしました。
次の経験は,真理が良い「土」に落ちると,すばらしい変化をもたらしうることを示しています。特別開拓者と呼ばれる全時間奉仕者はある戸口で,「わたしは満足のゆく有用な仕事がないので,なんの生きがいもありません」ということばを聞きました。相当の本を所有しているその婦人は,「どうぞおはいりくださいませんか。ごらんください。わたしは答えを見いだそうとして,これらの本を全部読みました。」と言いました。エホバの証人は婦人に聖書を持っているかどうかを尋ね,自信を持って聖書には確かにその答えがありますと告げると,婦人はさっそく聖書をほしいと言いました。しばらくのあいだ,彼女はものみの塔協会の出版物を夜半まで読みつづけました。長年のあいだ彼女は強力な鎮静剤を飲んでおり,そのうえ,相当量のたばこをのんでいました。しかし,エホバのご要求をすぐに理解したため,思い切った処置を取ることにしました。まる二日間自室に文字どおり監禁状態にしてもらい,食事だけを運んでいただきたいと夫に頼んだのです。二日間を聖書研究や祈りで過ごした彼女は,それまでの悪習を捨て去りました。しかも,このすべてはその全時間奉仕者の訪問後の最初の一週間中に起きたのです。第二週目にも同様にいろいろな事がありました。婦人は文字どおりひとりで野外宣教を始め,なんと十二冊の聖書と二十冊の雑誌を配布したのです。
その夫は最初関心がないようでしたが,第二週目の家庭聖書研究後,自分も参加することにしました。その人はある大きな会社の取締役で,最近まで乗馬競技用の馬を育てて訓練することに余暇の大半を費やしていました。真理に対する愛が育つにつれ,馬の趣味に時間を費やし過ぎていることに気がついた夫は,自分も妻も馬がたいへん好きだったにもかかわらず,馬を売り,伝道活動のためにさらに多くの時間を作り出しました。一度は真理に対する立場のゆえに職業上の地位が危うくなりましたが,そうした脅威にも動じませんでした。そのふたりは,初めてエホバの証人に会ってから,わずか9か月でともにバプテスマを受け,夫は今や献身したクリスチャンとして四つの家庭聖書研究をみずから司会しており,妻はすでに休暇開拓奉仕に携わって,なんと十の聖書研究を司会しています。
学校に通う若い伝道者は学友に証言をするすぐれた特権にあずかれます。モロッコのある学校では,歴史と地理を担当する先生が時おり授業中に生徒が選んだ問題を討論させています。ある時,エホバの証人のことが討論の対象に持ち出されました。そのような場合よくあることですが,先生はにが笑いを浮かべながら,エホバの証人はほうぼうを歩きまわっては人々を煩わせ,医療その他をいっさい拒否する奇妙な団体であると説明しました。そのクラスにいたエホバの証人の一女生徒はもはや黙っていられなくなり,そうした事柄に対するエホバの証人の立場を説明させてほしいと申し出ました。許しを得たその女生徒は,輸血をも含め,いくつかの細かな点まで詳細に説明しました。先生は驚いて,「あなたがそんなによく知っているとは一度も考えたことがありませんでした。あなたはエホバの証人で,しかも,なんら異常のない,良い生徒なんですね!」と言いました。他の生徒たちは多くの質問をし,大半の生徒がたいへん熱心に討論をしました。ベルが鳴り,その日の討論は終わりました。しかし,先生と生徒の多くからもっと話を聞きたいとの要望があったので,翌週,少女は準備をしてエホバの証人について話をする取り決めが設けられました。その話にさいして,献身したクリスチャンである彼女は自分の聖書を使い,いくつかの聖句を生徒に読んでもらいました。また,エホバの証人が開いている大会の一つをスライドで見せました。話の終わりに,クラスの生徒に雑誌を提供してもよいかどうかを尋ねました。そして,30冊の雑誌,特に,「終わりはまだ先のごとですか」と題する「目ざめよ!」誌を配布しました。先生は,「聖書はほんとうに神のことばですか」と題する本を一冊求めました。このクラスでの証言の結果,一つの家庭聖書研究が始まり,また,もうひとりの生徒は「ものみの塔」と「目ざめよ!」誌の両方を予約購読しています。
若い伝道者の皆さん,あなたの前にあるすぐれた機会を活用して,ぜひ学校という,特別の個人的な区域で証言してください。
― エホバの証人の1971年度年鑑より