家庭の創始者の導きに従う
幸福な家族生活は喜ばしいものであり,それを多くの人が願っているにもかかわらず,今日,世界の多くの家庭で問題が増えています。しかし人間の創造者であり家庭の創始者であるエホバ神は,幸福な家族生活を送るのに必要な導きを与えておられます。その導きに従い,多くの人が家庭生活を楽しむようになりました。聖書の健全な導きを実行することによって,夫との真の一致を取り戻した一婦人は,自分の経験を次のように語っています。
「私の住んでいる所は,車はひんぱんに通りますが人通りは全くないと言ってよい程へんぴな所です。生活を支えるために,夫婦でドライブインを経営していました。
「こんな不便な所にも聖書の良いたよりが届きました。聖書を説明した雑誌を予約しますと,一週間程してエホバの証人が再び来られ,子供のしつけの話から子供との聖書研究が取り決められました。子供は4歳でしたが,二人とも働いていたため,しつけは全くなされていませんでした。それで,子供と聖書を勉強してもらえば少しは良くなるのではないかと思い聖書研究を始めてもらったのです。司会をしてくださるエホバの証人の方は,私の子供との聖書研究のために毎週定期的に足を運んでくださいました。子供との仲も良くなり,より親密になり,子供も研究の日を心待ちにするようにまでなりました。
「そのような時にそのエホバの証人の方は,『あなたを幸福にする良いたより』という本を開きながら,『ここには良い妻になるための秘けつが書かれています』と話されました。私は『良い妻』という言葉に引かれ,さっそくその次の週から私も聖書研究を始めることになりました。第一回目の研究の時,聖書の箴言 27章15節にある,『相争う女は雨ふる日に絶えずある雨漏のごとし』という言葉を聞き,また頭の権についての話を聞いた時,主人よりむしろ自分が頭の権を持っていたことに私は気づき,胸のつきささるものを感じました。
「そのころの私と主人の間には,すでに大きなきれつが生じていました。原因は私の方にありました。と言いますのは,数年前に私はふとお店の改造を思いつき,主人の反対を押し切って改造工事を行なってしまったからです。この時から私は何事にも先頭に立って行動を取るようになりました。そんな私を見て主人は,『別に僕がいなくても君は立派に生きていける。お互いに違った生き方をしよう。もうこれ以上耐えられない』と言い,二人の仲は急速に冷えきっていきました。主人は,ギャンブルとお酒にもっぱら生きがいを求め,空しい欺まんだらけの生活に一変していきました。子供が幼かったのでなんとか離婚は思いとどまりましたが,形だけの夫婦でした。
「こんな状態でしたが,聖書研究が進むにつれて私は自分の愚かさに気がつき,心から主人に申し訳なかったと思い,研究をしている最中によく涙をこぼしたものでした。それからというものは,ペテロ第一 3章1,2節にある,『妻たちよ,自分の夫に服しなさい。それは,みことばに従順でない者がいるとしても,ことばによらず,妻の行状によって,つまり,深い敬意のこもったあなたがたの貞潔な行状を実際に見て引き寄せられるためです』という聖句を心の支えとし,今からでも遅くない,もっと努力し心から夫に仕えようと決心しました。さらに,聖書研究をしているうちに,別の大きな聖書の約束,つまり永遠の命というすばらしい備えを知りました。そして,エホバの存在を信じられるようになったころからエホバに祈るようになりました。そして,毎日の祈りの中で,もしご意志ならば主人も共に真理が得られますように,と祈りました」。
このような妻の努力に対して,夫はどのように答え応じたでしょうか。夫自身,次のように述べています。
「最初,妻が聖書を学び始めた時,私はいつもの調子ですぐにあきてやめるだろうと思っていました。というのは,以前から妻は何か習い始めても3か月も続けば良いほうで,すぐにやめてしまっていたからです。しかし今度はいっこうにやめる気配もなく,かえって日がたつにつれて熱心になってゆきました。そして,妻が学び始めてから10か月程過ぎたころから,私に対する態度が変化してきたことに気付きました。それまでは全くと言ってよいほど従順でなかった妻が素直になり,口答えをしなくなってきました。妻が努力して自分を変えようとしているのを見ているうちに,なぜ聖書にそれ程の力があるのか不思議に思うようになり,私もエホバの証人と聖書研究を始めることにしました。そして,私たちに対する神のご意志と目的を知り,そのご意志に従って生きることを決意しました。その結果,分裂していた家族は一致し,楽園の来る前にも私たち家族は本当に幸福を味わっています」。
この夫婦は,聖書を学び,それに基づいて行動し,家庭生活を改善することができました。確かに,家庭の創始者であるエホバ神は,「幸福な神」であられるゆえに,その導きに従うことは幸福な生活につながります。―テモテ第一 1:11。