宣教者になることを決意する
ものみの塔ギレアデ聖書学校の69期生の50人の若い男女は,決意を抱いてやって来ました。この人たちは宣教者になることを決意していたのです。そしてこの学校で与えられる訓練は,各々がその目的に到達するのを助けるよう意図されていました。ギレアデのほかのクラスと同様,69回目のクラスも国際色豊かで,学生たちは10の異なった国から来ていました。平均年齢は約30歳で,エホバの証人として平均約12年奉仕してきました。1980年9月14日はこの学生たちにとっての卒業式の日でした。
妻と共に長年にわたってアイルランドで奉仕してきた一人の青年は,この学生たちの決意のほどをよく示しています。青年はこう語っています。「1969年にエホバの証人になった時以来,私は宣教者になりたいという願いに燃えていました。バプテスマを受ける前でさえギレアデは私の目標でした」。二人の決意は非常に固く,「自分たちの頭の中からその考えを取り除けなかった」ほどでした。二人はその目標を祈りの中に含め,毎年ギレアデ学校に入るための申込書を出し,聖書を全時間教える者として一生懸命働きました。とうとうそのねばり強さは報われ,二人はギレアデの69回目のクラスに呼ばれました。
神の王国の良いたよりを全時間宣べ伝えるために,学生たちが進んで世俗の仕事を断念したことにもその決意は示されています。メキシコから来た一人の学生は,あと1年だけで訓練期間が終わるという時に,電子工学の技師になる道を捨てました。一人の若い女子学生は,看護婦の奨学金を得ましたが,その分野での成功をあきらめました。彼女に言わせると,「聖書を教える者となれば,人々を永遠に助けることができる」からです。
学生たちの中には生活を大きく変化させた者もいます。米国から来た一学生はかつてヒッピーでした。その人はこう語っています。「15歳の時には麻薬をやっていました。この事物の体制はむなしいことが分かりました。妻と同様,私は急進的な運動に関係し,1960年代には幾つもの大学に武器を運び込む活動にも携わりました」。しかし,エホバの証人の一人が神の王国によって世の諸国家がやがて滅びることをこの人に話し,ダニエル 2章44節からその考えを説明しました。「それは正に“私の願っていたこと”で,聖書研究に同意する原動力になりました」とこの人は語っています。聖書に関する知識の点で進歩するにつれ,この人は麻薬をやめ,長髪を少しずつ短くしてゆきました。「私は時を違えて7回理髪店に行きました。一回散髪してもらう度に7㌦(約1,700円)かかりましたが,それにはそれだけの価値がありました」。この夫婦は興味深い意見を述べています。「私たちが以前に交際していた友人たちの大半は,今では死んでいるか,刑務所にいるか,麻薬を使ったために気が狂っているかのいずれかです」。この夫婦はエホバに喜ばれるために必要とされる変化を遂げたことをどんなにか喜んでいることでしょう。
これらの人たちは宣教者としてどこへ遣わされたでしょうか。19の異なった土地に遣わされましたが,その中にはコロンビア,エクアドル,ホンジュラス,チリ,ペルー,ブラジル,パキスタン,インド,ビルマ,ドミニカ共和国,ケニア,シエラレオネ,ザイール,リベリア,オートボルタ共和国,日本,香港<ホンコン>などが含まれています。
ギレアデの69期生すべての願いは,他の人々がエホバを知り,そのみ言葉に耳を傾けることの益を認識し,永遠の命の見込みを抱いて神に仕えるよう助けることです。