エリノア,アルバート,トマスは専門家を驚かせる
『エリノアは母親から相手にされない平凡な少女でした』。ビクター・ガーツェル博士は,教育学専攻の大学院生たちを前によくその話をしました。エリノアの父親はアルコール中毒にかかっていて,妻とは別居していました。子供のころのエリノアは,お菓子を盗んだり,うそをついたりすることで知られていました。ある時など,自分に注意を引くためにコインを飲み込んだりもしました。父親が死んだ後,エリノアは,やもめになっていた祖母のもとに預けられました。そこには,若いおじとおばが4人いました。おじの一人は飲んだくれで,家出しました。おばの一人は失恋の痛手で部屋に閉じこもったきりでした。エリノアは友達と遊ぶことが許されず,小学校にも行かせてもらえず,祖母には変な服を着せられました。
『では,16歳のエリノアが5年後にどうなっているか予想してください』と,精神医学者のガーツェル博士は学生たちに問いかけました。エリノアは,予想以上に立派になりました。彼女は,アメリカの有名な作家であり講演者であり米大統領夫人であった,エリノア・ルーズベルトその人だったのです。
ガーツェル博士は,惨めな子供時代を過ごしたにもかかわらず立派に身を立てた若者の例として,ほかにも若き日のアルバート[アインシュタイン]やトマス[エジソン]のことを引き合いに出します。教訓として学べるのは,若者はこれらの有名人をただひたすら見倣うべきだということではなく,人生のスタートでのつまずきを克服することは可能だということです。『少年はまさにその行ないによって自分を明らかにする』と,聖書は述べています。―箴言 20:11。