エホバの証人だけ?
世界的に有名な歴史家また哲学者であり言語の専門家でもあるウンベルト・エーコは,最近,二人の投書者から非難されたことを新聞紙上で述べました。なぜ非難されたのでしょうか。説明によると,エーコ氏はそれらの人たちから「旧約聖書の神のことを述べるのに『ジェオーバ』(Geova)[「エホバ」のイタリア語]という名称を用いるべきではなく,『ヤーウェ』もしくは『ヤハウェ』を用いるべきである。なぜなら,『ジェオーバ』と呼ぶのはその証人たちだけだからである,と言われ」ました。エーコ氏の答えは,「これはナンセンスである。幾つもの辞書は,『ジェオーバ』をヤーウェの現代イタリア語として挙げているからである」というものでした。
言うまでもなく,エーコ教授の答えは正解です。興味深いことに,エホバのみ名はイタリアにある多くの教会の装飾の中に用いられていますから,そのみ名はかつて国中に広く知られていたに違いありません。この写真に見られるのは,その一例です。初期の時代のイタリアの諸教会では,神のみ名が“Geova”ではなく“Jeova”と綴られたことも注目に値します。しかし今日,エーコ教授に関して投書した人たちの言葉に示唆されているように,もし一般のイタリア人がジェオーバという名を知っているのであれば,それはエホバの証人のだれかから聞いて初めて知ったということではなさそうです。