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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1956
塔56 3/15 103–104ページ

「お気の毒ですが,暇がありません」

『お気の毒ですが,忙しいんです。』と人は言います。ちよつと離れた所の人も,同じことを言いました。ヱホバの証者が,人々のお宅を訪問するとき,多くの人々はたしかに忙しく働いています。でも,『忙しいんです』という言葉の本当の意味は『そんなものに時間をかける値打はない』ということです。なにか自分のしたいこととか,又は大切と考えることをしようとする時に,忙しくてできない,などということは先ずありません。

もし訪問した人が,長年の借金を返しに来たとしたら,その家の方は『忙しいんです。』と言うでしようか? それなら,金銭よりもはるかに大切なものをなぜ断るのですか? いつたい,霊的な価値は,金銭の価値よりも少いのですか? 金銭は,平和と生命よりも大切であると思うからでしようか? 又は,ヱホバの証者の告げる音信の性質,目的,そして重要性について正しく知つていないからでしようか? 断る理由は,そのどちらかか,あるいはその両方です。

むかしの聖書時代のとき,イエスはマリヤとマルタの家に行かれたことがあります。マリヤは,イエスの語られる良き事柄に聴き入りました。しかし,マルタは『接待のことで忙しく』立ち働き,そして,マリヤは楽なことをしていると,不平がましく言いました。だが,イエスは『マリヤはその良い方を選んだのだ。そして,それは彼女から取り去つてはならないものである。』と言われています。あなたは,マルタのような『ひまが無かつた』部類の人ですか? 又は,マリヤのように,重要な事柄に時間をかける部類の人ですか?―ルカ 10:38-42,新口。

サウロは,今日の多くの人々と良く似ていました。彼は,第1世紀のクリスチャンたちの活動について,正しい理解を持つておらず,クリスチャンたちを迫害して,ステパノを殺すことにも参加していました。目のくらむような奇蹟をうけて,彼の霊的な目は初めて真理に開きました。19世紀むかしのクリスチャンたちと同じような今日の真のクリスチャンたちが,人々の家庭に伝えている音信の重要性を悟るためには,サウロの時のような一大異変が必要である,とあなたは思いますか?―使行 9:1-19。

この活動は,イエスの語られた言葉通りに行われています『この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そして,それから最後が来るのである。』このキリスト教の音信を人々の家庭に伝えねばならないと,イエスは更に命ぜられています『その家にはいつたなら,平安を祈つてあげなさい。もし平安を受けるにふさわしい家であれば,あなたがたの祈る平安はその家に来るであろう。もしふさわしくなければ,その平安はあなたがたに帰つてくるであろう。』『あなたがたに聞き従う者は,私に聞き従うのであり,あなた方を拒む者は,私を拒むのである。そして私を拒む者は,私をおつかわしになつた方を拒むのである。』― マタイ 24:14; 10:12,13。ルカ 10:16,新口。

イエス御自身も『神の国の福音を説きまた伝えながら,町々村々を巡回し続けられた。』第1世紀のクリスチャンたちは,たしかに家々で教えを伝えました。パウロは『あなた方の益になることは,公衆の前でも,また家々でも,すべてあますところなく話して聞かせ,また教えた。』と説明しました。そして,止めるようにと鞭打たれた後でも,『毎日,宮や家で,イエスがキリストであることを引きつづき教えたり宣べ伝えたりした。』― ルカ 8:1。使行 20:20; 5:42,新口。

人々のお宅を訪問すると,ある人々は『けつこうです。今朝教会に行つたばかりです。』と言います。もし,そうなら,同じ興味を持つ人々と霊的な事柄を,なおさら一層に論ずべきでありましよう。もし神についての知識を得るために教会へ行き,そして,その知識を得たなら,教会で学んだことを,きつとお話しするにちがいありません。しかし,他の人にお話ししなければならない程重要なものを学んでいないならば,お宅に伝えられているこの大切な音信をぜひ知るべきであります!

ヱホバの奉仕者がお宅を訪問して述べ伝える音信は,いちばん重要なものです。それは,第1世紀の弟子たちが,同じ方法で伝道した音信と同じく重要なものです。第1世紀のむかしには,イエスはメシヤであるという音信が伝えられましたが,今日ではメシヤの再臨はすでになされている,という音信が伝えられています。神を信ずる忠実な人々は,みなこの音信を待ち望んでいたのです。特に,地上に永遠の平和をもたらす神の正義の御国の設立を,注意深く見守るように,とイエスが弟子たちに語られて以来,忠実な人々はこの音信を待ち望んでいました。

ヱホバの証者が,お宅に伝えるものは,他ならぬこの音信であります。今あなたの手元にあるもののようなヱホバの証者の出版物は,その事実を明白に示す聖書的な証明を記しています。ヱホバの証者は,平和,健康,幸福そして永遠の生命のたしかな保証ということに関心を払つており,そして現在の地上には,なぜ大問題が存在しているかという理由を指摘するかたわら,その成行を示しています。そのような音信は,人に力を興えるものであり,かつ肝要なものです! それよりも重要なものは,ひとつもありません。それに時間をかけることは,全く値打ちのあることです。

ヱホバの証者も,忙しい人々です。忙しく働いて,自分の家族を養い,人のすべき事柄は全部しなければなりません。しかし,これら聖書の約東に関する真理についての確信は,きわめて大きいため,よろこんで自分の時間を割き,そして金銭的な報酬をうけることなしに,みなさんのお宅を訪問し,聖書からこれらの事を示します。ヱホバの証者は,みなさんに関心を持つています。あなたは,ヱホバの証者の言葉に聞き入りますか? そして,その言葉が果して真実のものか否かを調べてみますか? そうするからといつて,何一つ失われるものはなく,実際のところあらゆる事が得られるのです。

多くの人は,自分のしたい事のために時間を割きます。例えば,自分のひいきする野球団の成績をつけたり,雑誌や手当り次第の小説を読んだり,経済新聞を読んで自分の商売繁昌を考えたり,テレビジョンを見たり,映画館に行つたり,友人と語つたりします。このことはみな楽しいものであり,おそらくは有益なことかもしれません。この要点はこうです。まつたく,ふだん忙しいと言う人々も,自分のしたい事のためには時間を割くことができるのです。

あなたは生命を欲していますか? 仕合わせと,自由の心を欲していますか? 現在の地上には,なぜ問題が尽きず,そしてその成行は何であるかを,知りたいと思いますか? こういう事柄は,野球の成績,流行の一番良く売れる<ベスト・セラー>本,夜のテレビジョン番組と同じ程に重要である,と思いますか? もし,そうなら,聖書を研究するだけの時間を必らず設けることでしよう。特に,その聖書研究の援助をよろこんで申し出る方がいる時には,その時間をつくるでしよう。

このように見てくると,あらゆるものにもまして,最も値打のあるものを提供している人々に対して,みなさんは『忙しいんです』とは,決して言わないでしよう。

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