静かな答えは怒りをとどめる
● イタリアの一全時間奉仕者の経験は,静かな答えが怒りをとどめるということの真実を物語っています。彼があるアパートで戸別に伝道して親切な一人の婦人に聖書の話をしていると,階下からかなり大きな声が聞こえて来ました。「出て行きなさい! カトリック教会に帰りなさい! 教皇のもとに戻りなさい!」と女の人がわめいていたのです。ひどい騒ぎなので,彼は聖書の話を続けることができず,階下に行ってこの婦人と話し合おうと考えました。そして,親切にしかも静かに婦人に尋ねました。「奥さん,あなたはペテロが確かにローマにいたとお考えですか」。自分はそう考えていると婦人は答えました。そこで,彼は婦人に聖書を持って来てもらい,ペテロの第一の手紙 5章13節を開くように勧めました。そこには,明らかにペテロがこの書簡をローマからではなく,バビロンからしたためたことが示されています。次いでローマ人への手紙 16章8-27節を婦人に読んでもらいました。婦人は使徒パウロが幾人かのクリスチャンの兄弟に挨拶を送っているのにペテロについては何もふれていないことに気づきました。しかし,カトリック教会の教えによればペテロは当時ローマにいたとされているのです。この短い話し合いののちに,彼は居間に招じ入れられ,そこで真理について十分に証言できました。婦人は喜んで「失楽園から復楽園まで」という本を求め,次の訪問の約束もしました。2回訪問ののち家庭聖書研究が始まりました。その後,婦人は協会のすべての書籍を求め,「ものみの塔」と「目ざめよ!」を予約しました。二,三か月の研究ののち,この婦人は集会に出席するようになり,御国の福音を他の人に伝道しはじめたのです。そして,自分の生命をエホバにささげる決意をして,婦人は水のバプテスマを受け献身をあらわしました。