『すべての国の民への証言』
エホバの証人の1968年度年鑑より
ビルマ
人口: 25,000,000人
伝道者最高数: 306人
比率: 81,699人に1人
あなたはパウロが行なったように,区域を徹底的に伝道しますか。(使行 20:20,21)次の経験は,徹底的な伝道がいかに大切かを示しています。二人の特別開拓者は,ある日,家から家の宣教を終えたとき,1軒の家を見すごしたことに気づき,その家の家族に証言するため,区域に戻ったのです。驚いたことに,その家の婦人は大変よろこんで「ものみの塔」誌を求めました。というのは,その婦人は約3年前に「ものみの塔」誌を読んだものの,エホバの証人には一度も会えなかったからです。そして無料の家庭聖書研究のことを聞くと,自分の家ですることにすぐ同意しました。その後,バプテスト教会の牧師をしているおじが尋ねてきたので,彼女は聖書に関する質問をいくつかしてみました。答えに窮したおじは,それらの質問に答えるのは,豚に真珠を与えるようなものだと暴言を吐きました。その失礼な態度により,おじは偽りの羊飼いであることをあらわにしたため,彼女はなお一層真理を深く認識できました。彼女は急速に進歩したので,6か月後の最近の巡回大会で,水のバプテスマにより献身を表わしました。開拓者は区域を徹底的に伝道したために「羊」を見いだすことができました。
人々が聖書の音信にすぐ答え応じないからといって失望してはなりません。伝道の書 11章1節の次のことばどおり,忍耐してください。「汝の糧食を水の上に投げよ 多くの日ののちに汝ふたゝび これを得ん」。一人の特別開拓者は,家から家の宣教の際,教会の有名な指導者の一人に会いました。この指導者はその地方で,大酒を飲み,ばくちを打つことで悪名高い人でした。特別開拓者は彼に何冊かの本を配布し,定期的に話し合いましたが,彼は,教会内のその地位が妨げとなって真理を認めることができず,何の反応も示しませんでした。しかし「多くの日ののちに」,「大いなるバビロン」の本を読みました。その結果,学んだ事柄から非常に深い感銘を受けた彼は,その本を読んでいない時でさえ,「大いなるバビロン」ということばを繰り返している自分に気づくほどでした。やがて,大いなるバビロンから出ることを決意し,自分と研究を司会してほしいと開拓者に申し出ました。定期的に研究した結果,その習慣は変化しはじめました。巡回大会が近づいたとき,開拓者は献身とバプテスマの意味を説明しました。その人は兄弟たちとともに大会に出席し,そして清い良心を神に求めるその願いに従って,他の人々とともに水の浸礼を受けました。
若い伝道者のみなさん,年を取った人に対する証言をためらいますか。ためらうべき理由は少しもありません。特別の教育を受けていない若い伝道者の助けにより真理を学んだ教育のある一老人の寄せた次の手紙から,この世の成人は,エホバの証人の若い人々ほどにも,聖書を知らないことがわかります。「ある雨の日,二人の若者が私の家に来ました。雨宿りをしに来たのだと思い,わたしは二人を家の中に招じ入れました。ところが自己紹介をした二人の奉仕者は,聖書の話を始めたのです。話を聞いて,二人の若者が地球の将来についてわたし以上に知っていることに気づき驚きました。わたしは今74歳ですが,14の時以来バプテスト教会の信者で,わたしの町内では,長老および婦人団体の役員として尊敬されてはきたものの,聖書に関するわたしの知識はその二人の若者のそれとはまるで比べものにならなかったのです。二人は何冊かの雑誌や小冊子を置いていったので,わたしはそれらの出版物を夢中になって読みました。そして,それらの記事を読んで真剣に考え,もう一度二人の若者に会って,色々尋ねたいと思いました。驚いたことに,また,うれしいことに,二人の若者は再びわたしを尋ねてくれたのです。そして,そのうちの一人の援助で聖書研究を始めました。その日以来,真の神とその目的とをよく知るようになり,本当にうれしく思っています。神の助けにより,今ではみことばをよりよく理解できるようになりました。ただ一つ残念でならないのは,なぜ真理をもっと早く学ばなかったかということです。そうすれば,創造者のためにもっと多くのことを行なえたと思えるのです。しかし,残されたわずかな人生ではあってもエホバ神に今なお奉仕できることを思い,大変感謝しています。わたしがエホバの証人になったため,旧来の友や知人には,嘲笑し,悪口を言う者もおり,こう言ってわたしをさげすみました。『仏教に戻ったほうが,もっとましじゃないか』。しかし,イエスの名のゆえに憎まれる人の一人とされることは,わたしの大きな喜びです!」その老婦人は今では,献身したエホバの証人です。それで,若い人たち,年取った人にもためらうことなく証言してください。
リビア
人口: 1,560,000人
伝道者最高数: 41人
比率: 38,049人に1人
リビアの政情および経済事情は最近の中東戦争のため重大な影響をこうむりましたが,この国のエホバの証人の霊的な状態は良好です。神権的な活動は,禁じられているものの,慎重に用心しながら,定期的に行なわれています。
聞く耳を持つ人々を探すための多大の努力を払う一方,リビアの兄弟たちは興味を失った仲間の人々をなおざりにしていません。真理を捨てた人々を再び訪問するようにとの「御国奉仕」の提案に従い,次に示す経験のような,励みのある良い結果が得られました。かつては熱心な伝道者だった一兄弟は関心を失い,組織から離れてしまいました。それは,真理に反対していた妻と以前伝道者であったにもかかわらず不信者の男性と婚約してから,道を迷い出,やがて結婚した娘の影響を受けたためでした。長年この兄弟は,聖書研究を再び行なうようにと何度も励まされましたが,明らかに妻と娘に災いされて,その努力は成功しませんでした。それにもかかわらず,兄弟たちは彼を引き続き訪問しました。ついにある日のこと,この不活発な伝道者とその娘は,だれかに再び聖書研究を司会してもらいたいとしもべに申し出,過去の行ないをエホバに許していただきたいと願ったです。その下の娘は自分の非を悔い改め,どんな犠性を払ってでも神権的な活動を再開することに決心しました。そして,夫への服従は相対的であり,エホバへのそれは絶対的な服従であることを認識しました。その聖書研究は今続けられており,エホバによりこの二組の家族が祝福されるよう望まれています。
ペルー
人口: 12,014,000人
伝道者最高数: 2,810人
比率: 4,275人に1人
過ぐる12か月間,ペルーでは実り多い収穫がありました。この国における神権的な活動に,エホバの豊かな祝福が注がれたことに対して,エホバの民は神に深く感謝しています。昨奉仕年度を回顧して与えられた数々の祝福を思いめぐらすとき,詩篇の筆者ダビデの次のことばに同意せざるを得ません。「我これをいひのべんとすれど その数かぞふることあたはず」。(詩 40:5)あえて数えるとすれば,おもな祝福を二つに大別できるでしょう。その一つは国際大会です。外国から大変大勢の兄弟たちが出席し,その祝福された大会はきわめて国際的な色彩に富むものとなりました。もう一つは,ノア兄弟が約束していた,スペイン語の全訳新世界訳聖書が遂に発表されたことです。他の何物よりもこれらの二つの祝福により,兄弟たちは,一層熱心に宣教を推し進めるよう鼓舞されました。
真理の種は,多種多様な,そして興味深い状況の下で芽を出し,発育するものです。必要の大きなペルーで長年奉仕している一人の姉妹は,5年前にまいた種が,ついに実を結ぶようになったことを知りました。世俗の仕事の関係上,彼女はひんぱんにタクシーを使わねばならないので,ハンドバックの中にパンフレットや雑誌をいつも入れておき,機会を捕えてはいろいろな運転手に神の国の祝福について話すのを習慣にしてきました。タクシーの運転手の多くは,仕事の性質上,エホバの証人が訪問するときでも,家にはいません。ある日のこと,聖書の音信は一人の運転手の胸に反響を呼び起こしました。その誠実な運転手は,どう見ても自分と同じほど,あるいはもっと悪質な人間に,自分の罪深い行ないを告白する必要がはたしてあるのか理解できなかったのです。タクシーが早い速度で目的地に近づくので,彼女は,聖書の真理と偽りの宗教の言い伝えとの教理上の違いの大切な点を2,3,大急ぎで説明しました。運転手は,自分の考えていたことが,その話の中の多くの点と一致していたので,喜びました。車はすぐ目的地に着きましたが,姉妹は運転手の関心のほどを察し,近く再び会って,話を続けたいと述べました。運転手の名前と住所を聞いておけばよかったのにと,後日どれほど悔んだことでしょう!しかし,リマは大都会なので,タクシーの運転手も大勢います。それで時たつうちにそのことを忘れてしまいました。5年後のある日,1台のタクシーに乗って,話しはじめたとたんに,その運転手は,彼女が神の新しい事物の制度についてかつて説明した婦人であることに気づいたのです。5年の間,真理の種は,休眠状態にありましたが,確かに死んではいませんでした。活発な話し合いが続きましたが,車が目的地に着いたため,以前の場合と同様,話は終わってしまいました。しかし,今度は運転手の名前と住所を記録し,その運転手の家をすぐ訪問することにしました。尋ねてみると,夫婦とも聖書研究に心から応じました。二人は真理に対して大変深い認識をいだき,まもなく集会に出席し,伝道に参加するようになりました。今では,その夫婦と4人の子供が活発な伝道者で,その熱意は家族内の他の人々にも良い影響を及ぼしています。最近,その妻が姉妹に次のように話しましたが,関心のある人の名前と住所を目ざとく記録することの大切さをその姉妹はつくづく知りました。「5年前,あなたが主人に話してくださってから,まもなくわたしたちを訪ねていただけたなら,これまでの何年間もわたしたちはどんなにか祝福されたことでしょうね」。
ある日,モルモン教の熱心な一青年が,リマにある協会の支部事務所を訪れました。彼は,エホバの証人のわざを指導する責任者を改宗させる任務を自から買って出たのです。そして,モルモン教の何人かの宣教師と支部のしもべとが会見する手はずを整えました。その討論では,モルモン教の宣教師たちは,最高の権威であるエホバ神の名において,そのみことばによって自分たちの信仰を証明できずに終わり,大いにろうばいして帰りました。それは,「改宗」をもくろんだ例の青年にどんな影響を与えましたか。彼は今や真の収穫のわざに活発に携わり,正規開拓者として奉仕しています。
巡回大会に出席するため,どれほどの努力を払いますか。二人の若い特別開拓者は,遠方のジャングルにある町で開催される大会に出席することの大切さを心にとめていたので,クリスチャン兄弟たちと交わるため,小さなモーターボートに乗り,ジャングル内の川を500キロ余も下って旅をしました。普通ならそれは5日間ほどの旅ですが,11日もかかり,川の船旅にまつわるほとんどすべての危険に見舞われました。危険な急流や渦に直面したり,むさぼるように食いつく虫に襲われたりしたほか,ボートの沈む破目にさえ会いました。しかし兄弟たちは気落ちすることなく旅を続け,危害を受けずに旅を終え,霊的食事を豊かに楽しみました。二人の兄弟は,パウロが勧めたように,どんなに遠くても,兄弟たちとの『あつまりをやむる(こと)をせ(ぬ)』ように心を定めていたのです。しかし,冒険に似たその旅にすっかり気をとられたわけではなく,伝道も続け,途中で24冊の本を関心のある人々に配布できました。―ヘブル 10:25。