病気 わたしたちの受け継いだもの
若い夫婦は胸を躍らせていました。初めての子供の誕生を待つその夫婦は,期待に満ちて幸福そうでした。そして,赤ちゃんが誕生しました。かわいい女の子です。ところが,ひどく知恵の遅れた子だったのです。決して普通の生涯を送ることはないでしょう。子を持つ親でなければ,この二人のショックと悲しみを理解することはできません。
この高校生は教師たちからも認められ,生徒の間でも人気がありました。だれもが,前途有望な若者で,必ず成功すると言っていました。そうした中で,最上級生の時に,脚に痛みを覚えるようになりました。検査の結果,多発性硬化症であることが分かりました。「どうして僕が」とこの少年はつぶやいています。「どうしてこんな時に」。
この絵の女性のように頭痛に悩まされていますか。それとも胃の不調や筋肉痛,ひどい腰痛,激しい動悸,神経の緊張,関節炎などを患っている大勢の人の一人でしょうか。そのような障害で命を失うことはまずありませんが,生活の喜びは奪われます。そうした障害のために一日一日をかろうじて生きてゆくような時もあるでしょう。
このような状況がいつの日か除き去られる希望がありますか。人間が人類の古くからの敵である病気と死を,もはや味わわなくてもよくなる時が到来するでしょうか。それとも,病気や死はいつまでも人間に付いてまわるのでしょうか。