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目ざめよ! 1970
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現代の世界に役だっている古来の液体

カナダの「目ざめよ!」通信員

包装・建築・工学・工芸に供される液体! 自動車・ラジオ・テレビ・人工衛星にとっての必需品。病院・工場・家屋に欠かせない資材。はがねのように強じんで,宝石のように堅く,鉄のように重く,しかも,卵の殻のように割れやすく,絹のようなはだざわりのする,コルクのように軽い物質。これほど豊富に供給されているものとして,他に類例のないもの。それは古来の液体 ― ガラスである。

「ガラスが液体だって」。信じがたいことかもしれない。しかし,ガラスは白熱した融解原料から形成される時,のちには普通の固体と同様に堅くはなるが,その原子と分子は液体にみられる不規則な機能を保持する。外見・感触・特性が固体に似た液体と言えば非常に奇妙に聞こえるが,その類をみない特異な性質のゆえに,ガラスは,最も使用範囲の広い,有用な資材の一つとなっている。

ガラス製造は,最古の工業の一つであるが,同時に非常に新しい分野でもある。人間は35世紀余の間,ガラスを使ってきたが,75年前までは,その有用性のほんの少し知ったにすぎなかった。事実,ガラスビンの全製造工程が機械化したのは,つい1903年のことである。また,板ガラス引き上げ機が初めて市場に現われたのは,1916年ごろである。それ以後,ガラスに関する知識が進み,この驚くべき液体を利用する方法にも改善がみられ,量産が可能となり,その結果,ガラスは高価なぜいたく品から,数えきれない用途を持つ便利品へと変身した。

連続的製造作業

ガラスの原料には,何千年間,同じ物質が使われてきた。全世界で製造されるガラスの90%は依然,ケイ砂・石灰・炭酸ソーダで作られている。しかし,現代の需要に応じるため,製造規模は相当の拡大を遂げた。今日のガラス製造業者は,何㌧にも上る純粋な原料を精選し,1オンスずつ目方を計ってから十分に混ぜ合わせたもの,いわゆるバッチを,1,000㌧以上もの融解ガラスのはいる,巨大なタンクがまに投入する。製造予定のガラスと同じ組成のカレット,つまりガラスくずを加えると,溶触速度が速くなるが,それにしても,溶触がまは約1,500度近く加熱されねばならない。これほど熱い融解ガラスは非常な腐食性を帯びているため,この過程は,氷の固まりを砂糖のはいった容器の中で溶かすようなものだ,と言った人もいる。溶融がまの耐火壁は,普通,2年から4年ごとに取り替える必要がある。

一度製造作業が開始されると,作業は,昼夜を問わず毎週,連続的に行なわれ,修理箇所が生じたり,別の組成のガラスを作る必要が生じないかぎり中断されない。かまの一方にバッチを絶えず投入し,他方の出口から,あわや不純物のない,均一の粘度に混合され,精練され,成形に適したガラスを引き出す。赤熱した液体は次に,用途に応じて引き伸ばし・プレス・宙吹き加工に付される。

窓ガラス

西暦1世紀,ローマに在住した上流階級のある人々は,ほとんど透明に近いガラス窓を持つ自分の家を誇ったものだが,つい1世紀前まで,ガラス窓はぜいたく品と考えられていた。今日,1年間に製造される窓ガラスは,数千㌔の長さに達し,室内に光を入れ,騒音を押え,熱を逃がさないようにし,寒気をしゃ断するため,この古代の液体は引き伸ばされ,切られ,そして成形されている。

普通の窓ガラスは,溶融がまに取り付けられた小さい引き上げがまから引き伸ばして作る。窓ガラスを製造するには,まず,網状の鉄板を溶けたガラスの中に沈め,それから,その鉄板を徐々に引き上げる。融解ガラスは十分に液状を保持していて流れる一方,粘性が高いために鉄板にくっついたまま,垂直に引き上げられ,連続的な薄板状を呈す。次いで,鉄板がはずされ,電導式ローラーが,固まった液体を切断室まで約9㍍垂直に引き上げ,そこで,火で精練された薄板状のガラスが,標準の長さに切られる。

この方法で製造された薄板ガラスの表面は,完全な平面ではないので,それを通して物を見ると,屈曲して映る。光学的によりすぐれた窓・鏡・板ガラスを製造するには,炉から引き出されたガラスを,約300㍍にわたって巨大な研削機の間にひも状に水平に移動させる。そうすると,両面が同時に研削され,ほとんど完全な平面を得る。こうしてできた板ガラスは,適当な大きさに切断され,みがきをかけられ,道路の様子を正確に見るための,自動車運転者の用に供されたり,ばら色のほほをした,みごとな顔を映しだして,幼い子どもを魅了する鏡になったりする。

フロート・ガラス

良質の板ガラスを製造する,革命的新製造法が1959年に発表された。このフロート法のおかげで,費用の高くつく研削と研磨の工程は全く無用となった。

炉から出てきた融解ガラスは,密閉された,融解すずの容器の表面に,連続的な細長い形状のまま直接に送られる。ガラスは熱い状態に保たれたままなので,不均等状態を生じさせるものはすべて溶けて除去され,表面は完全に水平かつ平行なフロート槽を通り,ゆがみのない,火で精練された堅い表面を備えて出てくる間に,注意深く冷却される。

フロート・ガラス製法は,熱狂的に受け入れられ,特に自動車工業は,板ガラスの年間製産量のなんと約50%を消費する。

種々の用途

ガラスは毎年,ベビー・フードから酸のような腐食剤といったあらゆるものを入れる,290億個の容器を提供している。それはガラスを熱して吹くと,ほとんどどんな形にも作れる,という古代の発見によって可能になったものである。現在知られているかぎり,ガラスのこの有用性に匹敵する物質は他にない。現代の科学技術のおかげで,この発見は,超スピードの大量生産に応用されている。

ビンその他の容器の製造の際,ガラスの固まりは,炉から“ブランク・モールド”に目に見えないほどの非常な速度で送り込まれる。プランジャガガラスに力を加えて,第一次の成形を行ない,次いでガラスは“仕上げ成形”に移され,そこで圧縮空気が吹き込まれて,最終的な形にできあがる。金属性のつまみが,まだ赤色を帯びた,非常に熱い容器を,勢いよく取り出す。その間,ガラスが炉を出てから,わずか6秒にすぎない。

古代の工芸

そうした精巧な,ガラス製造機械は感銘を与えるものかもしれないが,見学者を魅了しないでおかないのは,なんと言ってもガラス吹き工である。数個の簡単な道具,および古代工芸の伝統的な技術を駆使して,この職工は,液体ガラスを意のままに細工して,自動機械など及びもつかない,精巧をきわめた美しい製品に仕上げるのである。

美しい装飾の施されたコップや,すぐれた食器類は,いわば“即席宙吹き”によって作られたものである。この古典的な職業技術が生まれたのは,数百年も前のことである。14世紀,ベニスがガラス工業の中心地であったころ,その地のガラス吹き工が,その技法を公にしようものなら,死刑を免れなかった。その後,17世紀中ごろになって,即席宙吹きに特に適した,光沢のある透明ガラスが英国で開発された。それはフリントあるいは鉛クリスタルとして知られており,現在,精巧なガラス器として最も珍重されるのは,この種のガラス製品である。ガラス吹き工は,六,七人が集まって作業場を設ける。最初に“集め師”が吹き鉄の端に必要量の融解ガラスをつける。長さ約1.5㍍のこの鉄製の筒は,空どうになっており,一方の端には口にくわえる部分がついており,他方に取手がついている。未熟な者にとって,その吹き筒は長いぎこちない管でしかないが,ガラス吹きの名人にとっては,自分の技巧に欠かすことのできない配偶者とも言える。

集め師は,“マーバー”と呼ばれる,機械加工された鉄板の上に,赤熱のガラスをころがして形を作る。筒の中に一息吹き入れると,大まかな形ができる。その柔らかい形がへこんで,形がくずれないよう,吹き管を絶えず回転させながら,いろいろな職人が自分の技術を駆使して成形するのである。吹き管を振ると,ガラスは細長く伸びるし,速く回すと,平べったくなる。種々の形成道具を使って,ガラスの口を広げたり,細い首を作ったり,底を平らにしたり,形を丸くしたり,不要部分を切り落としたりする。大きさ・形・厚さは,ガラスの中に吹き込まれる空気の量,吹き管を持つ角度,ガラスの冷却速度によって決まる。ガラスは成形可能な温度,つまり,1,000度近い温度を保つため,時々,再熱炉の炉口にもどされねばならない。

作業の間じゅう,工芸品が美しく仕上がるよう,“親方”の目が光っている。作業場の吹き工かしらとして,むずかしい仕事を引き受け,液体ガラスの利用の仕方やガラスの優美な動きに関して,長年蓄積した技術を駆使して,透き通った流れるような線を作り出す。いつ,どこでガラスがくぼむかに関する彼の知識は,ほとんど信じがたいほどである。自分の技巧が十分に発揮され,そのできばえに満足した時の親方の作品は完ぺきで,冷却がまに入れられて,徐々に冷えるのを待つ。

最終成形の段階で,ガラスは長くて固い“ポンチル”と呼ばれる鉄棒に付けられるため,底にしるしが残る。このしるしは,平らに研磨されるが,その際のわずかなくぼみの残っているものがある。それは,そのガラス製品が正真正銘の手製であることの証となる。

できあがった製品には,切り子加工や,ろくろを使って,複雑な技法を駆使する銅板彫刻を施す。彫刻師は,直径の異なる回転ろくろを50も使うことがあり,粉末の金剛砂と油を併用して,表面に模様を彫る。それは一見,浅浮き彫りのように見える。彫刻師の手になるガラスの逸品は,その特性を十分に発揮して,吸収した光をさんぜんと反射させる。古来の液体から生み出された製品のうち,そうした,すぐれた美術的な形状を整えた作品は,100万円以上もする。これで,ガラスは3,500年の昔と変わりなく,依然,宝石同様に高く評価されていることがわかる。―ヨブ 28:15-19。

ガラスの特性を変化,制御する可能性は非常に多く,10万以上の組成が,さまざまの用途のために考え出されている。鉛クリスタルグラスを変形したものは,電気回路の絶縁体,ネオン燈,精密工学レンズなどに使われる。純粋なケイ酸で作られたガラスは,人工衛星に取り付けられる望遠鏡の鏡およびレーザー光線の反射鏡となる。大気圏へ再突入する際の熱や,大気圏外の寒さに耐える特殊ガラスは,宇宙航空機の窓に使用される。

特殊組成のガラスに特殊加工を施すと,現代建築の装飾・補強資材となる,着色ガラスのパネル,ガラス・ブロック,絶縁用ガラスとなる。急激に冷却させた硬化ガラスは安全ガラスとして役だち,着色ガラスは目の保護となる。最近,ガラス繊維やガラス陶器の新種がさまざまな用途に供され,昔からの本物の繊維や陶器が顔負けするぐらいである。

確かにこの驚くべき古来の液体は,今日,数多くの形態で人間に仕えている。しかも,そのお返しとして,ガラスが求めるものと言えば,時々きれいにしてください,ということにすぎない。そうするだけで,ガラスはさんぜんと輝きつづけるのである。

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