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目ざめよ! 1970
目70 11/8 5–8ページ

賃上げ要求

「賃上げ要求貫徹!」 今日,多くの国々で,こうした要求がいよいよ高まっています。

去る3月中,アメリカでは,賃上げ要求の動きが,新たな頂点に達しました。官公吏がストを決行したのです。なぜですか。賃上げ要求が拒否されたためです。それで,郵政職員約20万人が,自分たちの雇用者つまり合衆国連邦政府相手に,ストを断行しました。

ほかにも多数のストや,ストを迫る事態が生じ,連邦政府はもとより,各地の一般企業や市当局が影響を受けました。ところで,ストの大半は,おもに,賃上げ要求のためのものでした。

今日,大ぜいの人が賃上げを要求するのはなぜですか。それはどんな結果を招きますか。どんな解決策があるのですか。

上昇する物価

多くの国々の従業員が賃上げ要求を迫る理由の一つは,物価の上昇にあります。物価や一般サービス料金はともに上昇しています。

昨年,アメリカでは生活費が平均5%上がりました。1970年の上半期中,生活費は,それとほとんど同じ高率で上昇しつづけました。しかし,多数の品目の価格は,それをはるかに上回る高率で上昇しました。たとえば,次表(第一図)に示されている,昨年の食品の価格の上昇した幾つかの例を見てください。第二図に示されているとおり,食品以外の多くの品目についても,物価上昇は平均をはるかに上回っています。

第一図

品目 価格の上昇率

玉ネギ 30%

ニンジン 27〃

ベーコン 22〃

卵 21〃

骨つき豚肉 14〃

ハンバーグ・ステーキ 13〃

第二図

品目 価格の上昇率

バス料金 16.0%

ウールのスカート 15.9〃

航空・鉄道料金 13.6〃

自動車保険料金 13.0〃

入院料金(半個室用) 12.3〃

婦人用ふだん靴 10.8〃

生活費の高騰のため,給与所得者のさいふは,ひっ迫しています。US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌上,シカゴの一タクシー運転手はこう語りました。「食べるのがやっとですよ」。その運転手の話では,家族の者は安いこまぎれの肉を買い,シチュー料理の回数をふやすことによって,食費の購買力をふやそうとしている,とのことです。

ミシガン州の一計理士は述べました。「暮らしは決して楽になってはいません。卵は1ダース80セント(288円)すると妻から聞かされたので,卵は買わないように,と妻に命じました。今,朝食にはオートミールを食べています。お金を節約するため,ミルクは配達してもらうかわりに,マーケットで買っています。以前は,毎月少なくとも一度,夕食にビフテキを食べることにしていましたが,今では,それもやめました」。

ヒューストン市の一主婦は語りました。「私は目に涙を浮かべて,やお屋を出ます。毎週一度,買い物をしますが,そのたびに品物が四,五セント(十七,八円)上がっています。家族の食事の量は切りつめられないので,食べ物の質を落とす以外にありません」。

これはなんと奇妙な事態でしょう。中には,人々が十分の食べ物を得られない土地もありますが,「豊かな国」とされているアメリカで,物価上昇のために,食べたい物も食べられない人がいるのです。

物価の上昇に加えて,税金も引き上げられました,1939年には,アメリカ人の所得1ドルにつき19セントが,連邦・州・地方の各種税金総額として支払われますが,1969年には,1ドルにつき36セントも支払われました。これは個人の所得の3分の1を上回る額です。これほど高額の税金を徴収されたのは,この国では建国以来,初めてでした。

したがって,労働者は,物価や税金が絶えず上がることを予期しています。ですから,給与の増額を交渉する際,労働者側は,向こう二,三年間の生活費の上昇に見合う賃上げ要求を迫るのです。しかも,二,三年後には,再び賃上げ要求をしなければならない,ということを知っています。

他の人が得ているものを欲する

ラジオやテレビの発達した今日,人々は宣伝されている種々の物質的なものに目をとめ,それらを手に入れたいと考えます。同時に,他の人々の給料が増額されているのを耳にし,自分たちも昇給にあずかることを欲しています。

それとともに,労働者は国の指導者たちの実例に目をとめています。たとえば,アメリカの議会が議員の給与増額に関して行なったことを,人々は知っています。1969年の初め,議会は手早く票決を行ないました。議員とその他の高官の給与は左表のように増額されました。

地位 以前の給与 新規給与 増加率%

大統領 100,000ドル 200,000ドル 100.0

閣僚 35,000 60,000 71.4

最高裁長官 39,500 60,000 51.9

議員 30,000 42,500 41.7

そのうえ,これらの官僚は,多額の“特別”給与を受けています。US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は述べました。「年間の“特別”給与を合計すれば,上院議員は40万ドル(1億4,400万円),下院議員は15万ドルを上回るであろう。それでも,こうした給与の多くは,多数の議員のことを考えれば,不十分なのである」。

労働者は,政府の官僚が自分たちの給料の膨大な増額を,ものの数日のうちに成立させているのを見てきました。しかし,郵政職員は,自分たちの昇給を政府に求めて,何か月も待ったあげく,要求を退けられたのです。それを不満として,郵政職員はストを決行しました。ニューヨーク・タイムズ紙はこう言明しました。「他の者すべてが“取る”ことばかり考えている以上,納税者には,政府職員がみずからを犠牲にして,インフレを阻止するのを期待する権利はない」。

同紙はまた,こう述べました。「自分の分を獲得するよう,あらゆる人を促す風潮のもたらす結果を,まのあたりにしているのだ,とみる者もいる。……いずれにしても,合意できる,より高潔な社会的目標がひとつもないため,人々は,より多くのお金を期待,かつ欲するものである」。

とはいっても,すべての人が“取る”ことばかりを考えているわけではありません。お金に関するわずらいから比較的に解放されている人が幾十万人もいるのです。それらの人々は生計を立てるために勤勉に働きますが,イエスが語った次のことばの真理を学び,その恩恵に浴しています。「決して,『何を食べるべきか』また,『何を飲むべきか』あるいは,『何を着るべきか』と言って心配してはならない。これらはすべて,諸国民がせつに追い求めているものだからである。あなたがたの天の父は,あなたがたがそれらのものすべてを必要としていることを知っておられるからである。だから,王国と彼の正義とを第一に求めつづけなさい。そうすれば,これら他のものはすべて,あなたがたに加えられるであろう」― マタイ 6:31-33,新。

お金もうけに没頭するあまり,神のことばの研究にほとんど,あるいは少しも時間を用いず,また,神をほんとうに愛して神に仕えている人々と交わらない人は,満足を見いだしてはいません。しかし,生活の中で,神を第一にし,「衣食あらば足れり」とし,『金を愛することのない』人は,生活に深い満足を見いだします。(テモテ前 6:8。ヘブル 13:5)それらの人が自分たちの分をつくすと,神はご自身の分をつくしてくださり,生活に必要なものは,必要以上の心配をしなくとも,備えられます。

しかしながら,世の大多数の人々は,聖書の諸原則を生活にあてはめないので,その恩恵に浴しません。したがって,たとえ法を無視するものであれ,いかなる手段に訴えてでも,賃上げを達成しなければならない,と考えているのです。

法の無視

アメリカでは,政府および市当局の職員のストは法律で禁じられています。違犯者は,解雇もしくは,1,000ドル(36万円)以下の罰金,または1年以下の禁固刑に処されることがあります。

しかし今日では,賃上げ要求があまりにも強力なため,こうした法律は無視されています。郵政職員がストを決行したのは,明らかに連邦法違犯でしたが,職場復帰を命じた法廷命令も,また,労働組合指導部の訴えも無視されました。郵便業務をまひさせ,国家経済全体に影響を及ぼす実力行使以外には,政府を納得させる道がない,と郵政職員は考えたのです。

問題のストがあまりにも重大な事柄だったため,ニクソン大統領は全国民に,こう告げました。「今や,一法治国家の存亡が問題となっている」。次に同大統領は全土に非常事態宣言を発し,郵便業務援助のため,州兵の出動を命じました。ついでですが,州兵は民間人ですから,彼らは職場や家族から離れねばならず,その結果,雇用者や家族が損失をこうむりました。

郵政職員のストのおよそ1週間後,米連邦航空局の職員である,航空交通管制官が“病気”を理由に出勤を拒否しはじめました。この戦術に出たのは,労働条件改善のための抗議が目的でした。それら管制官は,航空交通を管理する,空港の重要な仕事に携わっているだけに,その出勤拒否は航空交通の大規模な渋滞を引き起こしました。

市庁職員がストに突入した都市も,多数ありました。教師・衛生労働者・市職員その他の官吏は,この種のストを禁ずる法律を無視し,警官さえストを決行しました。ニューヨーク市の警官は,自分たちの要求が受け入れられなければ,ストを断行するといって迫りました。もとより,市の官公吏がストをすれば,重要な公務が妨げられるので,一般市民が迷惑をこうむります。ですから,市民は,賃上げ要求にからんで人質にされている,ということができるでしょう。

したがって,賃上げ要求の動きには,法を無視する傾向の高まっていることがわかります。管理職また一般職員のいずれの側にも,事前に合意に達するよう進んで努力する気持ちが薄れています。それは,聖書が今の時代について予告したとおりです。人々は,「どんな合意にも応じない」のです。―テモテ後 3:3,新。

支払うのはだれか

アメリカの賃金の上昇率は今,年平均8ないし10%とされています。西ドイツでの給料は昨年,平均14%上がりました。英国の年間昇給率はおよそ12%です。こうした増加分はすべて,だれが払うのですか。

たとえば,昇給の約束を勝ち取った前述の郵政職員の場合を考えると,結局,だれが払うかがわかります。つまり,郵便料金が引上げられることになったのです。それで,郵便の利用者はみな,もっと高い料金を払うのです。この点を示す別の例は,賃上げ要求のストをした,ニューヨーク市の引き船乗組員の場合です。組合側は,50%を上回る,莫大な賃上げに成功しましたが,引き船の業務担当者側は,水先案内料を約40%引き上げる予定だ,と述べました。1970年4月3日付,ニューヨーク・タイムズ紙はこう評しました。

「引き船の乗組員やその家族は,引き船を雇うわけではないから,港内の船舶の運航料金の引き上げを意に介さないのは確かである。しかし,それはやはり欺まん的な尺度と言わねばならない。輸送経費の増大は,ことごとく経済全般に響くのである。多額の賃上げが成立するたびに,他の組合は一斉にその目標を引き上げるようになる。

「組合側は生活費の高騰に追いつこうとして,いよいよその行動を速めるが,お金は,給料袋にはいってくる同じ速さで,出ていくのである。過去4年間の記録は,終始このことを示しており,しかも,それがいつ果てるかもわからないのである」。

これは賃上げ要求のすべてに見られる不幸な現実です。結局のところ,給与所得者自身が物品やサービスおよび税金のために,より多くを支払って,しりぬぐいをさせられるのです。会社や政府は,賃上げ分を支払うために,料金を引き上げるにすぎません。

したがって,労働者は賃金を上げてはもらうものの,自分たちの経済事情は全体として,ほとんど改善されず,多くの場合,むしろ悪化しています。過去4年間に,アメリカの普通の工場労働者の週給は,107ドルから129ドル(4万6,440円)にふえました。名目上は改善されたように思えます。ところが,実際には,もっと貧しくなっているのです。どうしてですか。賃金の増加率は,同じ期間の物価および税金の上昇率を下回ったからです。その賃金は上がったものの,購買力の点からみると,約1ドル分の損失を招いたことになります。

解決策は何か

物価や税金および賃上げ要求にかかわる事態は,深刻な失望と不幸をもたらしています。人間の経済体制は,明らかにすべての人を益するものではない,と言わねばなりません。実際,きまりきった低収入しかない貧しい老人や病人の窮状を考えてごらんなさい。インフレに対処する昇給などはほとんど,あるいは,まったくないのです。

経済事情の是正を期待できますか。各種団体がさまざまな方向に必至に進もうとしているのに,そうした期待を持てますか。それは無理です。なぜなら,利己主義がはびこりすぎており,他の人の福祉はあまりにも無視されているからです。

真に必要なのは,すべての人を益する政治体制です。しかし,今日,そのような政府はどこにあるのですか。ありのままの諸事実を直視するなら,政府官僚がいかに誠実な人々であろうと,今日,人間の政府で,国民すべての正しい欲求を充足させうるものは一つもない,ということを認めざるを得ません。

必要なのは,利己的な関心事にかかわりを持たない中央政府です。あらゆる経済問題を調整し,かつ,すべての人を益する必要な変革を行なう,知恵と力と権利をもつ政府が必要です。人間の政府で,こうした要求にかなうものはありません。これらすべてを行なうことができ,かつ,行なおうとしている唯一の政府は,神の王国です。その天の政府のために祈るようにと,イエスはご自分の追随者たちに教えました。―マタイ 6:9,10。

いいえ,このような政府に対する希望は,単なる,そらだのみや,莫然とした将来の約束ではありません。聖書の預言は,神の世界政府が全地の事柄すべてを完全に治める時が,非常に近いことを示しています。その統治下では,だれも賃上げ要求をする必要がないのです。聖書は神に向かって,こう述べているからです。「あなたは手を開いて,すべて生きているものの欲求を満たしておられます」― 詩 145:16,新。

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