世界展望
予言された経済の崩壊
◆ 最近,カリフォルニア大学のケネス・ワット博士は,3年以内にアメリカの経済は完全に崩壊するであろうと予言した。この予言はコンピューターによる計算に基づくもので,同博士は次のように語った。「何をするにも,ますますお金がかかる一方,お金を得ることはむずかしくなるばかりである。根本的な問題は,お金を消費する一方の老齢者および若年者層が,普通,そうした人々の分を埋め合わせる,自給者層を大幅に上回っていることにある。こうした事態は,今後36か月以内に経済の崩壊をもたらすであろう。」
南米のインフレ
◆ 昨今,ほとんど世界中で,物価および種々の料金の値上げが続いている。この点で最近,特に南米のいくつかの国は,ひどい打撃をこうむっている。チリでは1968年に生活費が25%あまり,また,1969年には30%余上がった。ブラジルでも物価は上昇し,1968年には,24%,1969年には23%上がった。
『犯罪の勝利』を認める,国際警察
◆ 最近,国際警察として知られる,国際的な警察組織の会議が,ベルギーのブリュッセルで開かれ,およそ100か国の警察関係責任者たちが,頭の痛いニュースをかかえて出席した。席上,指導的な犯罪学者たちは,世界各国の警察はおしなべて,犯罪に対する戦いで敗北の一途をたどっていることを明らかにした。
ホルモンで肥育された動物の肉の輸入禁止
◆ 最近,スウェーデンは,ホルモンを与えて肥育させた動物の肉の輸入を禁じた。アメリカでは,肉牛はほとんどすべて,普通,ジエチルスチルベストロールというホルモンを与えて肥育されているが,そのホルモンはハツカネズミにガンを発生させた。多くの国は,食肉用の動物にホルモンを与えることを禁止している。
バクテリアにきき目のない薬
◆ 動物に抗生物質を食べさせることは,ほとんどの「先進国」で普通に行なわれている。それには次のふたつの目的がある。病気の予防と,動物を肥育させることである。しかし,最近,日本の科学者が明らかにしたところによれば,営利目的の養殖魚が伝染病で大量に死んでおり,抗生物質は効力を発揮しなかったとのことである。
強くなった蚊
◆ アメリカのカリフォルニア州にいる,2種類の蚊は,DDTその他の殺虫剤に対して事実上,免疫になっている。そのひとつである,牧草地の蚊は4,000平方メートル当たり200万匹もの割合で大群をなして移動し,人畜に危害を加える。こうした蚊を撲滅するため,DDTが最初,1945年に用いられた。しかし,7年たって,蚊はDDTに対する抵抗力をつけたので,エチルパラチオンという新しい化学薬品が使用された。この薬品は1961年に効力を失った。次に登場したメチルパラチオンも1963年には効力を失い,もう1種類の薬品も1968年にはきき目がなくなった。最近のタイム誌はこう報じている。「今日,カリフォルニアには,人畜を害さずに牧草地の蚊を撲滅できる化学薬品はない」。
パキスタンの災害
◆ 去る11月,東パキスタンを襲った,破壊的なサイクロンと高潮は,20世紀最悪の「天」災といわれ,死亡者数は17万5,000人から50万人以上に達するものと推定されている。しかし,この災害の規模がどれほど大きかったかは,死亡者数のみならず,生存者が直面している悲惨な状態からもうかがわれる。
幼児のための光線療法
◆ イギリスの新聞,スコチッシュ・デーリー・エクスプレスが最近報じたところによれば,螢光光線をあてることにより,黄疸による脳障害から幼児を守れるという。この治療は,エジンバラ国立病院で行なわれており,これによって,交換輸血が必要ではなくなった。「毎年,黄疸のために新生児15人が輸血を必要とするが,昨年はこの治療のおかげで,この種の輸血を施す必要がなかった」と同新聞は述べている。顧問の立場にあるジョン・フォーファー教授は,この『光線療法』について尋ねられた際,次のように答えた。「この療法は驚くほど簡単で,しかもたいへん効果がある。一連のこれら強力な光線の下に幼児を3日か4日置けば,その他の処置をしなくても黄疸は直る」。
滅びに先行する退廃
◆ 近年,世界的に道徳が退廃していることは明らかである。これは将来に対して何かを示唆するものであろうか。1970年10月17日付,カナダ・モンクトンのトランスクリプト紙はこう述べた。「ローマ帝国の衰亡は一夜にして起きたのではなかった。……これは,偉大さを維持する上に,軍事力,経済力,および富という基盤がどのようにあてにならないかということの,唯一の例ではないにしても,最も著しい例であろう」。同紙は続いて,ローマ帝国の退廃を特徴づけた五つの事態を掲げているが,それは今日の社会にも一般に見られるものである。(1)離婚の増加と家庭の分裂,(2)増税と浪費,(3)快楽や残虐行為に対するあくなき追求,(4)膨大な兵器生産,(5)宗教の衰退。同様の立場から,オーストラリア,パース市の長老は次のように語った。「ローマ帝国が滅亡するころ,とりわけ好色文学が流行していた。現代のそうした傾向は,われわれの文明の崩壊がさし迫っていることのしるしとなっているのではないか,と私は考えざるを得ない」。
薬品偏重の社会
◆ カナダ,ブリチッシュ・コロンビアの労働者補償局,医療担当員のR・M・ヘイズ博士の見解によれば,人々はあまりにも気軽に薬品を使用するという。ほとんどの薬が好ましくない副作用を及ぼすことを指摘したのち,同博士は次のように語った。「アスピリンは強力な鎮痛剤で,年間何トンも使用されている。しかし,アスピリンが胃潰瘍の原因になったり,さもなくば,それを確実に悪化させたり,また,非常に微妙な凝血過程をはなはだしく害したりすることを,いったいどれくらいの人が知っているだろう」。
また,ヘイズ博士によれば,バンクーバーの検死官は,交通事故で死んだ人の血液中から,いろいろな薬品が多量に検出されることにしばしば驚かされるという。そして多くの人々は,「病気を,慎重かつ自然な方法で直すことを学んだり,教えられたりするよりも,化学薬品に頼って慰めを得ている」と同博士は語った。
化学薬品によるガン
◆ アメリカの,造ガン物質学および毒物学研究所長サムエル・エプステイン博士によれば,人間に発生するガンの多くは,発ガン性化学薬品によるものであろうという。アメリカと英国で広く見られる肺ガンが喫煙と関係していることは明白である。アジアでは,発生したガンのうち35%は口内ガンであるが,これは,ビンロウジの実やタバコの葉をかむことに原因があるとされている。日本やアイスランド,またチリでは胃ガンが多数発生しているが,これは,ニトロサミンで汚染された魚を食べることと関係しているようである。ニトロサミンは,亜硝酸塩の防腐剤を魚肉に加えると生じる。人間は,ことに食品の面で非常に多くの化学薬品を体内に取り入れるようになった。ゆえに,人間は自ら多くの病気を引き起こしていると言えないであろうか。
命取りになる喫煙
◆ 英国の衛生局医療主任,ジョージ・ゴドバー卿が最近報告したところによれば,喫煙が原因で,英国では1年間に10万人が死亡するという。同卿は次のように警告した。「これは無害な道楽どころではなく,現代人の健康に対する最大の脅威であり,しかも,避けることとのできる唯一のものである。総計すると,交通事故による死亡者数のおそらく10倍,また,喫煙以外の理由で発生したガンのすべてがもたらした死亡者とほぼ同じ数の人が,喫煙が原因で死亡している」。
ますます絶滅の危険にさらされてゆく野生生物
◆ 絶滅寸前にある動物の種類は,世界中でふえている。最近のサイエンス・ダイジェスト誌はセイロンのゾウに関して次のように述べている。「セイロンの当局者は,この巨大なほ乳類類が遠からず絶滅するおそれがあるとして,憂慮している。野生のゾウはしだいに減少し,わずか20年前当時の半数にあたる2,500頭に減った」。さらに,米内務省によれば,22種類余の動物・鳥・魚などが絶滅にひんしているとのことだ。このため,アメリカだけで,絶滅の危機にさらされている野生生物は,101種類もの記録的な数に達している。そのうちわけは,ほ乳類 ― 14,鳥類 ― 50,は虫類および両生類 ― 7,魚 ― 30種類である。そのうえ,何百種類もの野生生物が,「稀少」部類に入れられている。
麻薬のために学校閉鎖されたハワイの一高校
◆ 最近,ハワイでは学校教育史上最悪の麻薬乱用事件が起こり,ある高校は余義なく一時的に閉鎖された。問題の日,午前8時にスクールバスが到着した時には,バルビツル酸塩の錠剤が推定2,000錠ほどすでに生徒間に配られていた。2時間後,およそ200名の生徒が騒いだり,中毒症状を呈したりしたため,授業が中止された。ワイアナエ高校のミルトン・穴戸校長は次のように語った。「これほど大きな騒動はかつて見聞きしたことがありません。大半の生徒は幻覚症状を呈して,校内をうろついており,中には,ほとんど歩けない者もいました。それは恐ろしい光景でした」。17歳の生徒会の会長はこう述べた。「生徒たちはけんかを求めて,校内を歩き回っていた。それは全く手の施しようのない事態でした」。
プロテスタントの宣教師の減少
◆ 外国で働く米人プロテスタント宣教師の数が,35年来,初めて減少した。1967年の3万4,700人から1969年には3万3,289人に減った。全世界のプロテスタント宣教師の総数は5万人で,アメリカ人宣教師はその過半数を占めている。
負けいくさ
◆ 最近,医学界は細菌との戦いに敗退しているとして,憂慮する向きがある。かつては,抗生物質が細菌との戦いに勝利をもたらしたが,今では薬品に対する抵抗力を有する細菌がますますふえてきている。中には,主要な死因のにない手となる細菌が幾種かあり,その一つは自動車事故による年間死亡者数を50%も上回る死亡件数をもたらすものとなっている。薬品に対する抵抗力を備えた細菌はグラム陰性菌と呼ばれ,入院患者にとって,主要な危険の一つとされている。
オーストラリアへの航海に成功したイカダ
◆ 最近,丸太で作った1そうのイカダが,乗組員4人を乗せて,南米のエクアドルを出港し,太平洋を横断して,オーストラリアに至る,161日間,1万1,300キロの航海に成功した。この危険な長い航海を行なったのは,何世紀もの昔,中南米のインディオが同様の航海を行ないえたことを立証するためであった。1947年,トール・ヘイエルダールは,有名なイカダ,コンチキ号で南米からフランス領ポリネシアまで航海したが,今回の航行距離は,それよりも4,830キロほど長かった。
危険な騒音
◆ 最近,メキシコ・シチーの医師たちは,騒音のため,神経症や聴覚障害が増加していると抗議した。消音装置を取り付けることが法律で定められていないため,自動車交通が最悪の騒音を発してるようだ。トラックやタクシーのほとんどは消音装置をつけていない。騒音は70デシベルないし100デシベルに達すると,危険であるとされている。メキシコ・シチーの騒音は午前8時から夜の10時まで,100デシベルないし130デシベルに達している。