何をもって「文明」国とするのか
◆ ウィンストン・チャーチル卿は自著「偉大なる同盟」の中で,1905年にロシアを破って台頭した日本についてこう述べている。「1905年,海戦においてのみならず,大陸に送り込まれて満洲での大規模な戦いで勝利を収めた大軍によって,帝制ロシアが打ち破られたことに,世界はあ然とした。今や日本は列強の仲間入りをしたのである。日本人は自分たちが敬意の念をもって見られていることにみずから驚いた」。日本人はそうした事態をどう考えただろう。
チャーチルは日本人の次のようなことばを引用している。「われわれが日本古来の芸術や文化のみごとな産物をあなたがたに送ったとき,あなたがたはわたしたちを軽べつし嘲笑した。ところが,わたしたちが優秀な兵器を備えた第一級の陸海軍を持った今,わが国は高度の文明国とみなされているのである」。