柔和な答えは効果的?
● だれかがあなたに腹を立てているとき,あなたのとるべき最善の道は何でしょうか。柔和に答えるのはどうでしょうか。時の試みに耐えた箴言に,「柔和なる答は憤恨をとどめ(る)」というのがあります。―箴言 15:1。
アメリカのワシントン州に住む一エホバの証人は,二,三年前に,霊感を受けたその箴言の知恵を十分に実証する経験をしました。彼女は次のように語っています。
「ある金曜日の晩,わたしが王国会館で開かれている集会から帰ると,夫と長女が居間にいました。夫はひどく酔っていて,ピストルのそうじをし終わったところでした。娘を寝室へ行かせると,夫はピストルに弾丸をこめ,わたしの首すじをつかんで,ピストルをわたしの頭に突きつけました。わたしには法律的にも聖書的にも王国会館へ行く権利がありましたが,夫は,わたしが行くのをやめなかったことを理由にわたしを殺すとおどしました」。
そのような状態の時,どんなことができたでしょうか。酒に酔った,そしてピストルを持った男の怒りを,何がしずめたでしょうか。エホバの証人は理性的に,しかし柔和に答えました。彼女はこう語っています。「わたしはエホバに導きを求め,適切なことばが出るように祈りました。そして,わたしたちふたりの母親のどちらに子どもを育ててもらいたいかを夫に尋ねました。夫は,自分の母親が子どもを引き取る気持ちなど全くないのを知っていました。また,わたしの母親は子どもをエホバのクリスチャン証人に育てることも知っていました。この点について,しばらくのあいだ夫と静かに話し合った後,わたしは夫にピストルを捨てさせることができました。そして,少し休んで,あとからその問題を考えるよう納得させたのです」。
数年後の今なお,そのクリスチャン婦人は楽しく神に奉仕し,また,神への奉仕の面で,子どもたちの進歩をも見る喜びを得ています。彼女は,「夫はわたしのクリスチャン活動にだんだん反対しなくなりました」と言っています。確かにこの証人は,「柔和なる答は憤恨をとどめ(る)」という,神の導きに知恵があることを経験しました。