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目ざめよ! 1974
目74 1/22 8–11ページ

ファンディーを見直す

カナダの「目ざめよ!」通信員

わたしが以前にファンディー湾を訪ねたのは子どものころでしたが,今度も初めと同じ印象が残りました。つまり,とても信じられない,という気持ちでした。岩壁は9㍍も高くそびえている一方で,それにつながれた船はぐっと水から突き出ており,さらに正確に言えば,干上がったようなどろ海の中で着座しているのです。

「だれが栓を抜いたのですか」。わたしは,船具をいじっている猟師に,冗談まじりに言ってみました。あきらめのようなものを押えながら,漁師は静かに言いました,「潮が出て行ったのさ。昼の二時半にはまたやって来るはずだ」。潮の干満の差が世界でいちばん大きいファンディー湾を二度めに見た時はこのようなぐあいでした。

北大西洋が突起状になったファンディー湾は,海に沿う,カナダの二つの州,ノバスコシア州とニューブランズウイック州の間にあります。湾の奥もしくは先端は,くさびのように突き出た陸地によって,ミナス海盆とシグネクト湾の二つの小湾に分けられています。ファンディーがその筋肉を思いきり伸縮させ,潮位の差が15㍍にもなるのはこの部分です。

潮の干満とその原因

潮はさしたり引いたりして,満潮と干潮を交互に繰り返します。ファンディー湾では,大西洋沿岸のたいていの地域と同じように,こうした推移が太陰日つまり24時間50分に二回ずつ反覆されています。この不断のサイクルは来る日も来る日も続き,ノアの日以来同じ姿で繰り返されています。これはなぜでしょうか。あらかじめ時間を定めることができるほどの正確さでこうした海洋の脈動が続くのはなぜですか。

基本的に言って,答えは引力の法則にあります。太陽と月の引力が地球とその海洋に働くのです。太陽のほうがはるかに離れたところにあるため,地球に及ぼす引力という点では,月のほうがずっと大きな役割をしています。また,地球とこれら二つの天体の間の相互的な位置は日ごとに変わっているため,引力の働き方も一様ではありません。さらに,月の赤緯,月が地球の赤道の北に来るか南に来るかも絶えず変動しているため,これが地球のそれぞれの場所における潮の干満の時刻に影響を与えます。もとよりこれらは基本的な点であり,これだけですべてのことを説明できるわけではありません。科学者は潮の干満に影響する数多くの要素を挙げています。もっとも,それはおもに地方的また地理的な要素です。

ところで,ファンディー湾で太陰日に二回ずつ引き潮と満ち潮が起きるのはなぜですか。引力は地球の全面に働きますが,流体である海のほうがずっと大きな影響を受けることを忘れないでください。あるきまった場所における満潮の時刻は,月がその場所における子午線を通過してから一定時間あとです。月がその位置に来るにつれて海洋の水は剛体である地球から引き離され,地球の月側の面に“直接の”満ち潮が起きます。しかし,地球のちょうど反対側でもやはり水の集結が起こります。ここでは地面が下方に引き下げられ,結果として“逆側の”満ち潮が起きるのだ,と言われるかたがあるかもしれません。

しかし,注目すべきことがあります。地球のすべての海岸地帯でファンディー湾と同じような半日周期の(つまり一日に二回起きる)潮の干満が見られるわけではありません。それが最も普通の型であるとはいえ,地球のいろいろな場所では,潮の満ち引きが太陰日に一回ずつ起きる“日周性”の干満が見られます。このことの説明は簡単ではありませんが,海洋学者によると,これは,基本的には,さまざまな起潮力やそれぞれの地形的な特色が相殺的な効果を持つためです。

満潮と干潮の潮位の差は“潮差”と呼ばれます。潮差は満月や新月の時期に最大に達します。こうして潮位が最大に達した状態は“大潮”と呼ばれますが,これは,太陽と月と地球が一直線上に並び,引力が重なり合って最大になる結果です。月が上下弦の時には“小潮”,つまり潮位が低くなります。これは,月と太陽が直角の方向に位置し,両者の引力の差し引きが月だけの引力の約半分になるからです。ミナス海盆のエコノミーポイントでは,16㍍もの大潮を記録したことがあり,一方小潮はそれよりずっと低いとはいえ,それでも7㍍以上に及んでいます。

地球のこうした脈動はいわば高鳴りを見せることがあります。海からの強風が吹いて満ち潮の勢いが増す場合です。そうした“高潮”はたいへんな災害を起こす力を秘めています。

ファンディー湾の潮の満ち引きが特に大きいのはなぜか

しかし,ファンディー湾の潮の満ち引きが特に大きく,世界の他の場所に抜きん出ているのはなぜですか。地図を見れば,その答えがいくらか得られます。

ファンディー湾のじょうごのように広がった口に水を注ぎ込んでいるのは,メーン,ニューハンプシャー,マサチューセッツなど隣接したアメリカ諸州の湾曲した海岸線によって作られる巨大なひしゃくです。みなぎる海水がファンディー湾に流れ込むと,水路がしだいにせまくなり,海底がだんだん浅くなるために,水がひしめき合ったような状態が起こります。結果として,しだいに高さを増した水が突き進む大山のようになり,これが湾のいちばん奥に押し進むのです。ファンディー湾の海岸線にそって潮位に大きな差があるのはこのためです。ファンディー湾の入り口に近いセント・メリー湾では約6.7㍍の潮差を記録するのに対し,シグネクト湾とミナス海盆ではそれぞれ14.0および16.2㍍もの飛び抜けた潮差を記録しています。

ファンディー湾の潮の干満に影響を与えているもう一つの要素は共鳴と呼ばれる現象です。簡単な例えで説明しましょう。容器に入れた水を揺すると,水は振動もしくは動揺してふちからあふれ出るほどになります。海洋にはこれに似た自然の容器がたくさんあり,ファンディー海盆もその一つです。それらの海盆にはそれぞれ,その大きさや深さによって決まる固有の振動周期があります。ファンディーの水は一日二回(12時間25分ごとに)押し寄せたり引き返したりしますが,その海盆の長さは,太陽や月によるリズムと完全に共鳴するためにはやや足りません。この点も,ファンディーの満ち潮が湾の奥に打ち寄せて並はずれた大潮となる理由の一つです。

潮津波

「潮津波を見たいなら,間に合うように行きなさいよ」。知り合いになった漁師の不意の声で波止場の静けさが破られました。そうです,わたしはほとんど忘れかけていました。ファンディーの潮津波はここを訪れる人が見逃してはならないものです。事実,この自然現象を見たいと思う人たちのために観潮時刻表さえ発行されているのです。

潮津波は,満ち潮で押し寄せる強力な水の流れが海に注ぎ込む川の流れとぶつかる時に起こります。川岸にはさまれた狭い水路で,上流に押し進んでゆく水の壁ができるのです。海に注ぐ川なら,どこでもこの奇観が見られるわけではありません。これは普通,浅い川や川床に急傾斜があるところで起こります。

ファンディー湾に流れ込む多くの川でこの現象が見られます。あるところではわずかに数㌢から十数㌢ですが,ずっと大きな潮津波のできるところもあります。シグネクト湾から30㌔内陸に入ったモンクトン市では,旅行者たちが,90㌢から120㌢も盛り上がったペティコディアク川の潮津波をいつも見物しています。これはなかなかの景観であるとはいえ,中国の銭塘江や南米アマゾン川の場合に比べると,ファンディーの潮津波もそれほど大きなものではありません。アマゾン川では,流れ込む海水が高さ4.8㍍もの滝となり,幅1.6㌔にわたり,時速20㌔以上の速さで川を上って行くさまが見えるのです。そうです。潮の満ちる勢いにはほんとうに強力なものがあります。

潮の干満に合わせて生活する

長年の間,海洋生活者の生活リズムは“潮の時計”によって支配されてきました。漁師の船団も,商船や軍艦もみなひとしく潮の影響を受けてきました。かつて船舶界有数の繁忙な場所とされたノバスコシア造船所は潮の干満に応じて作業を行なっていました。20世紀におけるファンディー湾の船荷の積み降ろしについても同じです。

潮の干満はファンディー湾沿いの多くの漁師の生活を今でも支配しています。“やな”を利用した一つの漁法は高い柱に網を巻きつけた一種のわなですが,魚を取る作業は事実上潮の流れが行なっています。潮が満ちている時には柱のてっぺんだけが水の上に出ています。潮が引いて行く時,後退する水は魚を網のさくに残して行きます。それで,干満になるとすぐ,漁師は荷車や手押し車をやなまでどろの中に乗り入れで自分の魚を集めます。ところが,漁師と競争で獲物に急ぐものがいます。あたりにいつもたむろする,おなかをすかせたかもめの群れです。しかし,一刻のむだもできないさらに大きな理由かあります。今や再び満ちてくる潮はだれをも見境なしにのみ込むからです。

押し寄せる潮の流れを動力として利用することは別段新しいことではありません。英国では,潮の流れで回す水車の力で水をくみあげる装置が最初にロンドン市にできました。それは古いロンドン橋に取り付けられたものです。ドイツのハンブルグでは,1880年に至るまで,潮力を利用した汚水くみあげ施設が用いられていました。そして,ファンディー湾の潮の満ち引きも粉ひき所の動力として働いてきました。また,そうした潮力利用の製材所がメーン州においてほんの20年前まで用いられていたことも明らかです。

しかし,ファンディー湾の潮の流れによって大規模な動力を得るとなると,また問題が異なってきます。その可能性について今世紀には多くの研究がなされてきました。最も大々的な企てがなされたのは,ニューブランズウイック州とメーン州の境界にあるパサマコディー湾です。しかし,いずれの場合にも,とどまることのない巨大な力をとらえるだけのものを人間は持ち合わせていませんでした。人間は協力と技術と資金を欠いたのです。

ファンディーを見直す

再びファンディー湾は注目の的となっています。ファンディー湾が見直されているのはなぜですか。

技術上の経験から来る確信によって,潮力の利用ということが,夢の領域からある程度現実の問題へと移って来たのです。国際的な調査研究が進み,今では潮力を活用した二つの施設が現実に運転されています。一つは,ソ連のムルマンスクの北約970㌔にあるキスラヤ湾に設けられた小さい実験的な施設です。もう一つは,フランスのランス川にまたがる大々的な発電施設であり,現在では毎年5億4,400万㌔ワットの電力を生み出しています。「だから不可能ではないのだ」と技術者たちは言い,彼らはいま自分たちの技術を巨大なファンディーとなんとか取り組ませようとしています。

別の理由は,潮力に伴う根本的な問題が解決されるようになったことにあります。潮力の場合には,産出されるエネルギーの量が潮の干満という自然のリズムに支配され,エネルギーの必要な時間と必ずしも一致しないという問題がありました。しかし,新しい逆流式タービン発電機の開発と,毎日できるだけ定量のエネルギーを供給するための新しい計画法とによって,潮力利用の実際性が見直されるようになったのです。

そして今,ファンディー湾への新たな注意を促している大きな要素は,エネルギー危機の問題でしょう。また,しだいに高まる汚染の問題も関係しています。潮力は本来“きれいな”動力であり,大気,土地,水などに対する汚染の問題は知られていません。さらに,潮力は鉱物資源の場合のように尽きてしまうということがなく,絶えることのない潮の干満と同じく常に存続する動力源です。

こうして,動力に対する需要はあり,それに応ずるエネルギーは存在しています。また,技術上の問題の多くも,複雑で難しい面を含むとはいえ,今日解決しがたいものではありません。では,ファンディーの潮の干満から人間がいっそうの益を得ることを阻んでいるものはなんでしょうか。費用です! そのような膨大な計画を財政的に支えてゆくこと,莫大な建設費,それに,高い利子率と高まるインフレの傾向とが大きな障害となっているのです。経済上の利益が優先されることの多い今日の世界の事物の体制では,これは確かに障壁となり,ファンディーの並はずれた大きな潮の満ち引きも当分は活用されることがないでしょう。

[8ページの地図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

ニューブランズウイック州

シグネクト湾

パサマコディー湾

メーン州

ニューハンプシャー州

大西洋

ファンディー湾

ノバスコシア州

ミナス海盆

セント・メリー湾

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