世界展望
スポーツにおける憎しみ
◆ スポーツ競技は人格を向上させると言われている。しかし,“接触のない”スポーツに参加している人々でさえ,敵意や憎しみを表わすことは珍しくない。「現代心理学」と題する本は,「一人で座り,頭を垂れ,目を閉じて,次の敵に対する敵対心と憎悪を高めようとしている」あるオリンピック選手について述べている。多くの場合,スポーツを行なっている当人だけでなく,観衆も同様の望ましくない特質を示すものである。
“つまみ”に伴う危険
◆ 金属性のつまみの付いたかん入りの飲み物が多く出回っている。こうしたリング状の金属性“つまみ”は,行楽地,公園,海岸などによく散らかっている。そうしたつまみは,はだしで歩く人々だけでなく,幼い子供にも危険である。米国シカゴ市のある医師は,三年半の間に,金属性のつまみを飲み込んだ幼児七人を治療した。そのうちの四人は手術を必要とし,うち一人は死亡した。呼吸困難に陥った,生後四か月の赤子の場合,丸く巻かれた金属性の“つまみ”が声帯の間につかえていることが分かった。
市は喫煙を禁止する
◆ ソ連の黒海沿岸にある保養地ソチ市では,学校や病院だけでなく,海岸,レストラン,官庁,そして公共の乗り物および自家用車内での喫煙を禁止した。同市は,国内での最初の“禁煙都市”であると自称している。大通りでの喫煙を禁じる法律はないが,そうした喫煙をもやめさせようとする強力な市民運動が起こっている。ソチ市の市長はこう述べている。「近い将来,たばこを口にくわえて公衆の面前に出ることが,パジャマのまま[大通りを]歩くのと同じほどこっけいに感じられるようになることを,我々は望んでいる」。
丈夫なキツツキ
◆ キツツキは一日に幾百回となく木をつつく。頭を傷つけないように保護しているものは何だろうか。米国ロサンゼルスのカリフォルニア大学の学者たちは様々な学説を立てた。しかし,その後英国で行なわれた研究はそれと異なり,先の学者たちが出した結論と部分的に相反するものでさえあった。それゆえ,キツツキの頭が傷つけられないようにどんな方法で保護されているかは,依然明らかにされていない。キツツキが行なう特殊な“仕事”のために,最大限の保護が得られるよう頭を形造る方法を,その鳥の創造者が適確に知っておられたということは確実である。
銀行口座を活用する
◆ 米国の銀行法には時折り変更があるが,そうした変更はそれほど広く知らされないため,一般の人々はそれに気付かないでいる。その一例は,出し入れのない,つまり“睡眠”口座に関するニューヨーク州の法律である。以前は,利子の書き込みや預金の出し入れによって,最新の記録がなされていない銀行口座は,十年後に州に譲渡されることになっていた。最近ニューヨークの条例が改正され,睡眠口座はわずか五年後には州に譲渡されることになった。
飛行恐怖症
◆ 飛行恐怖症に悩む人は少なくない。この恐怖症の程度は,飛行機に乗ると非常に神経質になる人から,全く飛行機に乗れない人まで様々である。米国だけでも,この恐怖症に悩んでいる人が2,000万人はいるとされている。
より優れた抵抗力
◆ 相対的に言って,女性は男性よりも体内の脂肪が多い。米国サンフランシスコのジョアン・ウルヨット博士の述べるところによると,女性はその理由で,風雨や飢えにさらされた場合により優れた抵抗力を発揮できる。難破や,山での遭難の際に,男性よりも女性の方が生き残ることが多いのはそのためである,と同博士は語っている。
子供たちのわいせつな手紙
◆ 米国カリフォルニア州の小学校五年生の一クラスは,同州選出の上院議員にあてて,ある問題に関する自分の意見を記した手紙を書くよう割り当てられた。それらの手紙の四分の一は「わいせつな言葉と下品な絵で満ちており,封筒までがそうであった」と一政府職員は述べた。子供たちの手紙は,今日の人間社会全体に見られる道徳の質の低下を反映している。
ユーモアを解する心
◆ 今年の初め,米国ワシントン特別区の警察と連邦捜査局(FBI)の刑事が,盗品を売りさばく人々を捕らえるために,偽の盗品故買を行ない,多数の人々を逮捕した。二,三か月後,この事件が一般に知らされていたにもかかわらず,当局はこの盗品故買を再度行なうことにした。再び多くの人々が盗品を売ろうとして捕らえられ,その中には以前の事件の際に逮捕された者が大勢いた。二度目の盗品故買の際に使用された偽の会社に警官が付けた名は,“G.Y.A.有限会社”であり,これらの文字は“Got Ya Again”の略で,“再逮捕”を意味していた。
“同性愛自慢週間”
◆ 米国カリフォルニア州ロサンゼルスでは,7月4日を最終日とする1週間が公に“同性愛自慢週間”とされた。「同性愛者は我が国の歴史上重要な役割を果たした」と,同市の市長は宣言した。しかし,全国各地の新聞に寄稿するパトリック・J・ブカナンは,「ロサンゼルス市民は[同性愛者の]個人的な業績を祝すよう求められているのではない」と述べている。そうではなく,「同性愛という共通の悩みを祝すよう求められているのである」。アルコール中毒者各人は,社会に「大きく貢献してきた」とブカナンは述べている。「しかし我々は,アルコール中毒感謝週間を公に宣言する市の長老たちについてどう考えるだろうか」。
非常に珍しい労働組合
◆ ロンドンのサンデー・タイムズ紙の伝えるところによると,コロンビアのボゴダで700人のくず屋が,「ごみ集め人の地位および労働条件の向上」を目指して,「世界でも珍しい労働組合」を結成した。その記事によると,ごみ集め人は「幾千ものハゲタカやノスリ,ブタと競争で[働いており],時には悪臭を放つ汚物の中にひざまで入って歩き回っている」。しかし,過去6か月間における同組合の一つの業績は,買い手のつく品物を各家族および各団体の間で仕分けることによって種々のごみの奪い合い(時には殺人事件まで起こす)を減らしたことである」。同組合のあるスポークスマンは,政府は今のところ,同団体を正当な業務を代表するものとして認めていないと述べている。
“スーパーネズミ”
◆ ニューヨーク市の伝染病予防局は,一時期にネズミ取りにかかったネズミの12%が“スーパーネズミ”種に属していることを発見した。それは,普通のネズミの致死量の10倍にあたる毒薬を食べても死なないネズミである。また,この種のネズミは増えて,徐々に仲間の弱いネズミに取って代わりつつある。予算の削減のため,市内のネズミの総数(現在約900万匹)と“スーパーネズミ”の割合は増加するであろうと当局者は述べている。“スーパーネズミ”用の新しい毒薬が試みられているが,この毒薬は非常に危険なため,人々の手の届かない所に置いたり,またネズミの死体を拾い集めたりして,注意深く管理しなければならない。なぜなら,その死体を食べるネコも死んでしまうからである。
貧困は残る
◆ 米国は地球上で最も豊かな国である。しかし,上院議員のジョージ・マクガバンによると,約1,800万人の人々が何らかの形で食糧援助を受けている。同議員は次のように述べた。「もし食糧援助が与えられていなければ,米国には社会革命が起こるだろう。この計画のお陰で人々はかろうじて家族を養っていくことができるが,そうでないとしたら,デトロイトなど失業者の多い地域の状態はどうなるだろうか」。援助を受けている人の中には,本当は貧しくない人も含まれているとして,この計画を非難する人々もいる。
宇宙の年齢を測定する
◆ 長年の間科学者は宇宙の年齢を確定しようと努めてきた。数十億年の古さだと算定した人々がいたが,その後,約100億年と言われた。さらに後には,150から170億年と推定された。最新のものは,サイエンス・ニューズ誌に載せられた説で,200億年とされている。科学者の推定は,ウランのような特定の元素の放射性崩壊に基づいている。宇宙に年齢があると認められたことは,取りも直さず,宇宙に始まりがあることを意味しており,それは聖書の創世記 1章1節に述べられている。
“多額の借金”
◆ 一経済学者の計算によると,アメリカ人の財産の総額は,5兆7,000億㌦(約1,710兆円)に上る。ところが,別の経済学者は,連邦政府だけでもその債務すべてを支払うのにそれと同額の資金が必要であると算定している。ウォールストリート・ジャーナル紙の社説はこう述べている。「議会は,すべての株,債券,銀行預金,土地,建物,道路,機械,金,その他国内にあるすべてのものに相当する金額を支払う約束をしている」。さらにこう付け加えた。「そうした富がある一方,連邦政府の負債に加えて,各州政府や地方自治体の負債がある。結論は次のようなものである。我が国は確かに豊かであるが,それにもかかわらず多額の借金のある国でもある」。
増加する喫煙
◆ 肺ガンで死ぬ人のおよそ九割が喫煙によるものとされており,健康を害することがはっきり分かっているにもかかわらず,この悪習慣は増加しつつある。ラジオやテレビによるたばこの宣伝の禁止が実施された1971年には,米国で5,470億本の紙巻きたばこが売られた。しかし,1975年には最高記録である6,000億本が売られた。十代の若者,特に少女の喫煙の急増が憂慮されている。たばこの箱や,たばこの広告すべてに書かれている米国公衆衛生局局長の警告にもかかわらず,こうした増加が見られる。
殺虫剤に伴う別の問題
◆ 近年になって,様々な殺虫剤の使用が,人命に危険であるという理由で禁止されてきた。米国の国立ガン協会が最近発表したところによると,ケポネ(工業用クロルデーン)は動物にとってはガンの,また人間にとっては重い神経系の病気に伴う諸症状の原因となることが分かった。ケポネが製造されていた工場で以前に働いていた135人の工員を対象にした調査によると,その半数以上の人の血液からその殺虫剤の成分が高濃度で検出され,80人が中毒症状を起こしていた。夫がその工場で働いている間に妊娠した五人の女性のうち,二人は死産をし,一人は流産した。米国のバージニア州では大きな川がこの殺虫剤で汚染されていた。
絶滅にひんする植物
◆ ここ数年間,絶滅にひんしていた動物は,米国の法律により保護されてきた。今度は,米国の魚類・野生生物局が,絶滅にひんしている植物およそ1,700種のリストを発表した。同局は,商業上の目的でこれらの植物を他の州や国へ持ち出すことを禁ずるよう提案した。もしこれらの植物が絶滅すると,ある種の鳥やこん虫,またその他の小さな生物が危険にさらされる。それらの動物は,こうした植物を食物としているからである。