世界展望
テレビと子供
◆ “スーパーマンやスーパーウーマン”のめざましい活躍ぶりを扱ったあるテレビ番組は,韓国の年若い視聴者の一部に悪い影響を与えている,と韓国のコーリア・ヘラルド紙は伝えている。その説明によると,ソウルの六歳の子供はある番組が原因で橋から飛び降り,命を失う結果になった。別の例では,四歳の女児が,あるテレビ番組の女主人公が行なったと思われる空中飛行をまねしようとした。同紙によれば,その子は自分の二階家の屋根から飛び降り,頭に重症を負ったが,“かろうじて命は取りとめた”。父親の談話では,その娘はテレビの“スーパーウーマン”のように空を飛ぼうとして,テーブルやいすからも飛び降りていたという。「もちろん私は子供の関心がテレビからゲームやおもちゃに振り向けられるようにあらゆる手をつくした」と父親は語っている。
喫煙者のみなさん,健康の改善を図ってください
◆ ワールド・ヘルス紙の指摘するところによると,世界保健機関(WHO)の専門家たちは次のような見解を表明している。すなわち,「先進諸国における身体障害や若死にの要因は,喫煙と関連した病気にある。ゆえに,これらの国々において健康の改善を図り人々の命を延ばすためには,予防薬の分野全体で個々の活動を行なうより,喫煙を統制する方がはるかに有効であろう」。例えば,呼吸器官の疾患による死亡率は,喫煙者の方が喫煙しない人よりも高いと報じられている。しかし同誌は励みを与える説明として「年若い患者の場合禁煙することによって肺の機能は正常に戻る」と述べている。
約4億5,000万円の聖書
◆ きわめて貴重な一冊の聖書が,最近約4億5,000万円で人手に渡った。それは5世紀以上も昔,ヨハネス・グーテンベルクがマインツで紙に印刷した,有名なグーテンベルク聖書のうちの一冊である。この本には幾分欠陥があり,8ページが抜けている。これは西ドイツのマインツにあるグーテンベルク博物館が,ニューヨーク市の書籍商から買い取ったものである。印刷された200冊のグーテンベルク聖書のうち,今日でも残っているのは47冊だけであり,その大部分は公共団体が所有している。
刑務所はホテルより費用がかさむ
◆ 全米犯罪非行協議会が最近伝えたところによると,ニューヨーク市は6,600人の囚人の住居費として年間1億7,300万ドル(約432億円)を必要としている。この額は一人当たり一日71.87ドル(約1万8,000円)になる。他の経費を含めると囚人一人につき一日に76.19ドル(約1万9,000円)という数字になる。ちなみに,プラザホテルの個室の経費は一日47ドル(約1万2,000円),ニューヨーク,ワルドルフホテルの豪華な個室は一日65ドル(約1万6,000円)であり,刑務所の独房の経費よりも安い。
司祭たちの離職は法王の悩みの種
◆ バチカンの最近の報道によれば,総数40万5,000人の司祭のうち4,000人以上が1975年にその職を去った。1976年と1977年の数字は明らかにされていないが,バチカンの観測筋の意見では,最新の全世界的なデータを見た法王は,この問題が「きわめて大きな悩みの種」であると語ったようである。システィナ礼拝堂に集まった司祭たちの前で法王は「誓いにそむきたいという衝動を感ずる弱い人々の運命を考えると,我々は困惑させられ神の憐れみを祈願しなければならない」とつけ加えた。
尼僧の間では問題はもっと深刻である。バチカンの明らかにしたところでは,およそ百万人の尼僧のうち,1973年から1975年の間に毎年約一万人が修道院を去った。
虫を凍死させる
◆ エール大学の図書館は,貴重な蔵書の中に潜むかぶと虫などのあらゆる昆虫を根絶する計画を実行に移した。ある種の昆虫は繊維素,にかわ,皮革をよく食べるが,虫に食われた古い書物の数は比較的少なかった。それで3万7,000冊の書物を大規模に凍結させたのは主に予防措置のためであった。書物はポリエチレンの袋に入れられ,摂氏零下30度の空気を吹き付けられた。三日後,虫のいなくなった書物は室内の温度の書棚の上に戻された。この方法が本をいぶす場合と違って問題もなく,非常に良い成果を上げたので,同図書館はこの技術をすべての蔵書に適用する決定を下した。
炭酸飲料は危険か
◆ ダニエル・M・トンプソン医学博士は米国医師会ジャーナル誌に寄稿し,自分の経験から判断すると,炭酸飲料の飲み過ぎは血尿症(尿に血液が混ざる病気)を招くと述べている。同博士はこの病気にかかった二人の患者の例を挙げている。二人共清涼飲料の工場で働いており,「のどが渇くとベルトコンベヤーで運ばれてくる炭酸飲料のびんを抜きだしては飲むことを習慣にしていた。この二人はめったに水を飲まなかった」。炭酸飲料をこれ以上飲まないように,という医師の勧めに従ってから,彼らの病気は快復した。同博士の言葉によるとその後も「炭酸飲料を飲み過ぎる人々」の間に血尿症の例が数多く見られるという。また尿中にうみが発見された例も「かなりの数」に上り,それは「炭酸飲料を習慣的に飲むことと関係がある」のではないかと同博士はみている。博士の結論は次の通りである。「大人も子供も炭酸飲料を飲み過ぎる我々の社会では,胃痛のために食べることができず,カフェインを取りすぎて寝つけず,ひりひりする痛みのせいで排尿もできない。どの患者も炭酸飲料に関する経歴を持っているはずである」。
メッカでの巡礼者の死
◆ ナイジェリア巡礼者委員会の事務局長であるA・I・アッタ博士は,383人のナイジェリアの回教徒が昨年のメッカ巡礼の際に死亡したことを最近明らかにした。その報告によれば,死亡の重要な原因は,祈りのために大勢の人々が一か所に長時間集まっていたことにある。比較的弱い人々が衰弱するのだが,人間の数と“すわる取り決め”に妨げられて,そうした人に治療を施すこともおぼつかないと同博士は説明している。しかしメッカで死亡する事故は,ナイジェリアだけに限られているわけではないと同氏は語っている。
喫煙と記憶
◆ カリフォルニア州の研究者チームは何人かの喫煙者たちに実験を行ない,ある人々にはニコチン入りのたばこを与え,他の人々にはニコチン抜きのたばこを与えた。その実験の結果ニコチン入りのたばこを吸うと学習・記憶の能力が低下することが明らかになった。ロサンゼルスにあるカリフォルニア大学の心理学教授ジョン・P・ヒューストンは「ニコチンを含むたばこを吸うことによって言語に関する短期間の記憶は著しく妨げられる」と語っている。
テレビ受信機の普及率
◆ 一人当たりのテレビ台数が最も多いのはどの国だろうか。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の最新版の統計年鑑によると,それはモナコである。この国では1,000人につき640台のテレビが備え付けられている。次はアメリカで571台。そのあとカナダが411台,スウェーデンが352台,イギリスが320台,デンマーク308台,西ドイツ307台と続いている。東ドイツとフィンランドはそれぞれ306台だった。
自然への欲求
◆ 原子力潜水艦の中は,庭園を見ることなど思いも及ばない所の一つかもしれないが,現在数多くのソ連の原子力潜水艦にはそれ相当の理由があって,そのおのおのに庭園が設けられている。それらの潜水艦は探知されないようにするため,公海でも浮上することはない。そのため乗組員たちは長期間の航海中に心理的な緊張を感ずるようになる。この問題を解決するため,ソ連側の専門家はミサイルを積載する場所の一部分に庭園を設けることにした。そこには「実際に森の中を流れているかのような」川が壁に描かれている。しかし実際の草や花もその場を飾っており,カナリヤのような小鳥たちがさえずりながら自由に飛びまわっている。乗組員たちはここで水槽に入った魚も見物できる。最近潜水艦が数日の間海底に垂直に突っ込んで動きが取れなくなった時,この庭園の価値が証明された。極度の緊張が乗組員の間に生じたものの,この庭園を見物することによってその緊張もかなり和らいだ。
自家所有者を計算する
◆ 国連がまとめた統計によると,自分の家を持っている人の比率から見ると,米国は世界の国々の中で第10位である。それよりも上位にある国々はオーストラリア,インド,イスラエル,メキシコ,パキスタン,フィリピン,チュニジアなどである。
出席の強要
◆ 米国アイオワ州のガリーオーウェンにある聖パトリック教会の主任司祭は,夕方のミサの終わる前に幾人かの教区民が教会から出て行くのに最近気が付いた。その司祭は教区民を早く帰らせまいとして,扉に電子錠を取り付けた。その後土曜日夕方のミサの時,司祭が祭壇のスイッチを動かして電子的に扉に錠をかけた。その晩帰ろうとした人々は信者席に戻るのを余儀なくされてしまった。“教会に閉じ込められた”人々すべてが気持ちよく思ったわけではないようだ。彼らのうちの一人がこの事件について消防署長に告げたからである。アイオワ州の消防署は教会の電子錠を直ちに取りはずすよう命令した。
英国の子供たちと神
◆ 英国国教会の教育委員会は,最近行なった調査により,英国の多くの子供たちが神よりも空想科学小説に信仰を抱いていることを明らかにした。パメラ・スウィフトはパレード誌の中で次のように書いている。彼らは「遺憾ながら,今日の宗教の教えが実際には自分たちに何も与えてくれないと告白している。神については半信半疑だという人々が大勢いた」。
世界の人口
◆ 最新版の国連統計年鑑が明らかにしたところによれば,世界の人口は1975年の半ばから1976年の半ばにかけて7,700万人増加し,40億4,400万人に達した。36のヨーロッパ諸国のうち,27か国は年間増加率が1%以下であった。アフリカは,統計が取れた43の国々や地域のうち,37の国や地域で年間2%以上の増加率を示し,成長の速度が一番速かった。アフリカの九つの国々では,増加率が3%以上に達した。
快適な住まいのために
◆ アイザック・アシモフが最近編集した「エネルギーとあなたの住まい」と題する小冊子は,家庭で使われるエネルギーのうち,75ないし90%が冷暖房や温水のために消費されると指摘している。とりわけ大きすぎる暖房炉や冷暖房装置は非能率的だとされている。大きすぎる暖房炉は維持費がかさむだけでなく,それほど快適なものではない。なぜならその装置は“作動”期間,“停止”期間が短く,そのために温度の幅が非常に広くなって室内に空気の層ができてしまうからである。並はずれて大きな冷暖房装置も“作動”期間が短いために湿気を十分に除くことができない。このような住宅用設備を購入する時に,こうした要素を考えてみるのは賢明かもしれない。