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目ざめよ! 1978
目78 11/22 16–20ページ

鳥に倣う

日本の「目ざめよ!」通信員

「鳥のように飛んで,青空を漂い,白い雲に触れてみたい」。これは,遠い昔の人の夢でしょうか。おそらく,その通りでしょう。大空を飛び回りたいという人間の夢は,ダイダロスという名の発明家が登場する古代のギリシャ神話にまでさかのぼります。ダイダロスは,羽をろうで付け合せて翼を作り,息子イカロスと共に,鳥のように飛びました。しかし,太陽の熱で翼が溶けたため,イカロスはあえない最期を遂げました。

しかしながら,1680年に,この種の飛行は不可能であることが明らかになりました。イタリアの数学者ジョーバンニ・A・ボレリの計算によって,鳥と同じように腕力だけを頼りに翼を動かして飛び上がろうとしても,人間は地面を離れられないことが明らかになったのです。

人間が鳥のように上空から大地をながめたのは1783年になってのことでした。その年,二人のフランス人がリンネル製の気球に乗ってパリの上空を飛びました。その後,幾年にもわたって,たこやグライダーを使った実験が行なわれ,驚嘆すべき動力飛行へと道が開かれていきました。

今日では,500人近くの乗客もしくは90㌧の貨物を時速960㌔以上のスピードで運ぶジェット機も珍しくありません。時速3,200㌔を超すスピード記録や1万6,000㌔の無着陸飛行記録が樹立されました。こうした航空術の進歩に畏敬の念を抱く人は少なくありませんが,その一方で,無騒音の低空(600㍍から900㍍),低速飛行に大きな喜びと満足を見いだしている人もいます。これがグライディング(滑空)の世界です。

グライダーの使用

最初,グライダーは飛行の実験に用いられました。それ以来,訓練,輸送,戦闘,調査,スポーツなどの目的に使用されています。米国,ドイツ,オーストラリアなどでは,グライディングがスポーツとして盛んに行なわれています。これらの国々では,グライダー飛行の様々な記録が樹立されています。例えば,1万4,102㍍という高度の世界記録は1961年に米国で樹立されました。また,最長直線滑空距離1,460.8㌔の記録はドイツで,全長500㌔の三角形コースを時速140.7㌔で飛んだスピードの最高記録はオーストラリアで達成されました。

日本には,3,000人近くのグライダー愛好家がいますが,その半数は学生です。1975年の新聞の報道によると,その当時,二人の熟練パイロットが,標高3,776㍍の富士山の頂上から太平洋横断飛行にたつべく,新型グライダーを使って進空訓練を行なっていました。必要な酸素と食糧が運搬でき,適正な高度を保てれば,理論的には太平洋横断飛行は可能であると考える人もいます。しかし,この飛行計画は実施されませんでした。日本では,グライダーの上昇高度が450㍍以下に制限されているため,世界記録は一つも樹立されていません。それでも,富士山のすそ野に近い,山と海にはさまれた小さな漁業の町蒲原にあるグライダー基地では,楽しみや訓練のための飛行が相変わらず行なわれています。あなたも,このグライダー基地を紙上訪問して,エンジンを備えていないこれらの滑空機が,鳥と同じように空を飛ぶ夢を,どのように現実化しつつあるかを調べてみるのはいかがですか。

グライダー基地を訪問する

格納庫に入ると,グライダーを空中にえい行する二機の単発機と,エンジンの付いた二機のグライダーが目に入ります。これらのグライダーは,25馬力の小型エンジンを備えており,空中でエンジンのスイッチを切ることができるようになっています。他のグライダーはどこにあるのでしょうか。二階のドアが開いているので,首を伸ばして中をのぞくと,グライダーが一列に並んでいるのが見えます。機体の重量が250㌔から350㌔ほどしかないため,ホイストで持ち上げて地面へ下ろすことができます。滑走路へは手で押して行きます。大都市の近代的な空港の騒音と雑踏に慣れている人には,このグライダー基地はそれほど深い感銘を与えないかもしれません。狭い滑走路には砂利が敷き詰められており,屋根に無線のアンテナを取り付けた自動車は,必要に応じて滑走路の近くに移動します。しかし,音もなしに滑空するスリルを味わえるのですから,鳥といっしょに大空を飛ぶ際の興奮は,他の飛行に比べて勝るとも劣りません。

周囲を見回すと,様々な形のグライダーがあることに気付きます。あまりかっこうのよくないグライダーもあれば,滑らかな流線型をしたものもあります。こうした違いがあるのはなぜでしょうか。プライマリーグライダーはまさに滑空機<グライダー>そのものです。翼面積は大きいのですが,そのデザインや重量のためえい行機から離された後は,地上に向けて滑空することだけが目的です。しかし,滑らかな形のセイルプレーンはソアリング用に設計されています。ソアリングとは高度を獲得しながら飛行することを言います。この種のグライダーは,山の斜面を吹き上げる風や“サーマル”と呼ばれる上昇温暖気流を利用して飛行します。長距離を飛行したり,幾時間も空中に滞在したりできるのは,ソアリング用に設計されたこの型のグライダーです。

ところで,これらのいわば人工の鳥は,どうして大空を漂うことができるのでしょうか。飛行の原理の基本を知っておくなら,これを理解しやすくなります。

グライダーと関係のある飛行の原理

飛行中の飛行機に影響を及ぼす次の四つの力があります: (1)引力(重量のあるものに働きかけて,それを地面に引き付けようとする自然力),(2)揚力(翼の設計や上昇気流によって造り出される引力とは正反対の力),(3)抗力(前向きの運動を妨げる空気抵抗),(4)推力(抗力に逆らって機体を前方へ進ませる推進力)。グライダーを進空させるための最初の推力は,機体を自動車または飛行機でえい行するか,滑走路の遠くの端に据え付けた巻き上げ機とケーブルで引っ張ることによって得られます。ひとたびこうした動力源から切り離されると,空気力学的に設計されたグライダーの構造と揚力によって引力や抗力が相殺され,グライダーは空中に浮きます。揚力は,(1)翼の湾曲構造と(2)上昇気流によって得られます。

人間は,鳥の翼の形を研究していくうちに,湾曲した形が揚力を得ることを知るようになりました。ところで,翼はどんな形をしているでしょうか。翼の下面は平らで,上面は湾曲しており,後方もしくは後縁に向かうにつれて細くなっています。グライダーが静止している時は,翼の上部と下部にかかる圧力は同じです。しかし,前方に動き始めると,翼の上部にかかる圧力が変化します。翼の湾曲した上面を流れる空気は,下面を流れる空気が翼下を流れ抜けるのに要するのと同じ時間内により長い距離を動かなければなりません。ですから,翼の上面を流れる空気の流速は大きくなり,空気そのものも薄くなって圧力が減少します。圧力の高い空気は,圧力の弱い部分に入り込もうとしますから,翼の下の空気は,翼の上の低圧域に力を及ぼします。しかし,間に翼があるため,翼の下面に揚力が加わることになります。

次に,自然の上昇気流があります。グライダーはこれに乗って上昇することができます。巧妙に設計された軽量のグライダーは,空中を舞うのにあまり多くの上昇風を必要としません。山や丘の斜面を吹き上げる風や高山地帯の風下に生じる波状気流を利用して揚力を得ることができます。冷たく重い空気が暖気にぶつかると,暖かい空気は上方に押し上げられます。こうした“シヤライン”も揚力を得る助けになります。また,耕作地や,都会のアスファルトやコンクリートで覆われた土地など,ある種の地面は太陽の熱をよく吸収します。こうした地面の近くの空気も熱せられて上昇します。セイルプレーンを操縦するパイロットは上昇中の鳥や積雲を捜します。というのは,これらは,その付近に“上昇温暖気流<サーマル>”のあることを示すしるしである場合が少なくないからです。セイルプレーンは,上昇気流の中を旋回しながら高度を獲得し,次いでそこを離脱して別の方向に進み,他の上昇風を捜します。

グライダーを操縦する

グライダーを巧みに操るにはどうしたらよいでしょうか。パイロットはどのようにセイルプレーンを操縦しますか。グライダーには,次の三つの基本的な動きがあります: (1)縦揺れ(翼端と翼端を結んだ横線を軸にした運動),(2)横揺れ(機首と尾部を結ぶ縦の線を軸にした運動),(3)偏揺れ(機体の中心を垂直に貫く線を軸にした運動)。縦揺れは水平尾翼の後縁にある“昇降舵”を上下させて制御します。機体を横転させるには,翼の後縁にある可動部分つまり補助翼<エルロン>を動かします。左に横転するには,左の補助翼を上げ,右の補助翼を下げます。右に横転するには,それと逆の操作をすればよいのです。偏揺れつまり左右の動きは,垂直尾翼後縁の方向舵によって制御されます。

このように聞くと,かなり複雑なように思えますが,操縦室を一見すると,操作は比較的簡単であることが分かります。床から突き出ている操縦桿は,縦揺れや横揺れを制御します。これを前に倒すと,機首が下がり,後ろに引くと,機体は上昇し始めます。操縦桿を左に動かすと,左翼が下に傾き,左に横転し始めます。操縦桿を右に動かすと,補助翼が逆の方向に動き,機体は右に横転します。方向舵の左右の動きは,二つのペダルによって制御されます。左のペダルを踏むと,グライダーは左に旋回し,右のペダルを踏むと,右に旋回します。左右の旋回や横傾斜は,自分の進みたい方向に方向舵を動かし,これに横揺れを加えることによって行なわれます。

また,操縦士室の中には,えい行索を切り離すノブや,フラップとスポイラーを操作するレバーも見えます。フラップは,翼の付け根近くの後縁部にあり,主に着陸時にスピードを減じる目的で下方に伸ばされます。スポイラーも同様の目的を果たしますが,これは翼の上面の中央部にあって,上に開きます。計器類は,対気速度計,高度計,コンパス,バリオメータ(グライダーの昇降率を示す計器)などがあるくらいで,それほど多くありません。たいていのグライダーには,小型の無線装置が備えられています。

グライダーによる飛行はどれほど安全か

ここ何年かの間,グライダーに対する関心が高まってきました。特に,比較的費用のかからない,たこに似たハング・グライダーに人気が集まっています。わたしたちと話をしたセイルプレーンのパイロットの何人かは,セイルプレーンとハング・グライダーの違いをすぐさま指摘しました。30年の経験を持つあるパイロットは,危険が伴うため,ハング・グライダーの飛行を勧めることはできない,と言いました。そのパイロットの説明によると,ハング・グライダーは安定性に欠けており,全体を操縦者の体の動きで制御しているため,ひとたびコントロールを失うと,それを取り戻すのは困難です。ですから,ハング・グライダーは突風に弱く,未熟な操縦者が扱うと事故を起こしやすいのです。ハング・グライダーの墜落事故による死傷者が後を絶たない原因がここにあるのは明白です。

セイルプレーンについてはどうでしょうか。どれほど安全でしょうか。その精巧な設計と優れた操縦性はセイルプレーンの安全性に寄与しています。静岡県航空協会主催の無料の一日グライダー教室で聞いたところによると,グライダーの安定を失った場合は,操縦桿を離して機体の平行を取り戻すのが,おそらく最善の策だろうということでした。セイルプレーンはそのように設計されているからです。また,同協会の会長は,グライダー基地まで自動車を運転して来る時よりもグライダーに乗っている時の方が安全に思える,と語りました。故障を起こす可能性のあるエンジンに頼っていないため,グライダーは一般の飛行機よりも安全であると考えている人もいます。もちろん,グライダーのパイロットが基地から離れすぎ,しかも上昇風が見当らないなら,平らな空地を捜して着陸しなければならないでしょう。一般的な経験則によると,基地からグライダーを見る仰角が30度以上であれば,グライダーは帰還できるとされています。これは,滑空比(glide ratio)つまり降下する間に機体がどれだけ進むかを示す割合が比較的高いためです。多くの場合,1㍍降下する間に30㍍進みます。中には,この滑空比が1:50以上になるセイルプレーンもあります。それに対して,飛行機の滑空比はわずか1:10にすぎません。

グライダーのパイロットは,単独飛行を許可される前に,訓練を受け,免許を取らねばなりません。そのためには,50時間以上の滞空経験が必要とされます。加えて,安全な飛行には良い判断も求められます。わたしたちがグライダー基地を訪れた時は,台風が近づいており,かなりの風が吹いていました。そのため,その日の飛行は中止されました。グライダーの飛行は比較的安全であるとはいえ,他のすべての飛行に共通しているように,ある程度の危険は付きまといます。機体の欠陥や人間の側の過失,予測不能の事態など,危険は常に存在しています。グライダーに乗ることを考えている人々は,こうした点を真剣に考慮しなければなりません。

基地を訪問して考えた事柄

機影を地面に投じながら上空を飛ぶ,ガラス繊維と金属製の“鳥”を見るのは楽しいことです。また,航空術が70年にわたって進歩してきた後の今日,人間が依然,エンジンを用いない初期の単純な飛行に喜びを見いだしているのを知るのは興味深いことです。

また,鳥からどのように学べるかを知ったわたしたちは,謙そんであるべきことを教えられました。セイルプレーンの翼の形は高く舞い上がる鳥の翼をそっくりまねたものにほかなりません。上空を見上げると,五羽のタカが上昇気流に乗って上昇しており,その同じ気流に乗ってセイルプレーンが上昇しているのが見えました。人間が鳥をまねるには,まだまだ学ばねばならない事柄が多く残されていることは明らかです。

[19ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

横揺れ

補助翼によって制御される

偏揺れ

方向舵によって制御される

縦揺れ

昇降舵によって制御される

方向舵

フラップ

昇降舵

スポイラー

補助翼

操縦士室

計器類

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