世界展望
悪化する食糧事情
◆ 世界食糧理事会のタンコ議長は最近,英国議会の開発・協力委員会に出席し,「第三世界の10億の飢える民衆に代わって皆様に嘆願するためここに参りました」と語った。同議長の指摘によると,開発途上国では昨年5,000万もの餓死者が出た。子供たちのうち3人に一人は5歳になるまでに死亡するというショッキングな統計もその席で明らかにされた。飢えと病気のために死んでゆくのである。世界の食糧事情は悪化しつつあり,ほとんどの開発途上国では食糧生産力が低下している,とタンコ議長は語った。
ガリレオは海王星を観測していた?
◆ 太陽から8番目の惑星海王星は,1846年にベルリンの一青年天文学者によって発見されたとされている。しかし,現在二人の天文学者は,17世紀の天文学者ガリレオが海王星を観察していたと考えている。イタリアのこの天文学者は1612年から1613年にかけて,木星のそばに幾つかの“恒星”を観察したと伝えられている。天文学者のチャールズ・コワルとスティルマン・ドレークは,17世紀の天体の位置を示す表を注意深く研究した。その結果,ガリレオは実際には海王星を見ていたに違いないとの確信を得るに至った。コワルは次のように語っている。「ガリレオの観測した『恒星』の位置,両者の方角がぴったり一致すること,その付近に明るい星が全くないことから,ガリレオは実際には海王星を観察していたものと確信するに至った」。もしそうであるなら,海王星ははるか昔の1612年から1613年にかけて図らずも発見されていたことになる。
「人種差別をしない唯一の組織」
◆ ウォール・ストリート・ジャーナル紙は最近,その第一面に,「南部に広く残っている,人種差別の動かし難い現実」という見出しの特集記事を載せた。その副題は,同紙の記者の取材結果を要約している。「新たな法律の施行にもかかわらず,特に二,三の大都市の周辺部に旧習が依然として残っている」と書いた。ミシシッピー州ローレルで取材した同記者は次のようにも述べている。「黒人と白人の青年が社交的な交際をすることはごくまれにしかなく,そうした交際は好ましくないとされている。……ローレルでは,大人の間でも異人種間の社交的な交流はほとんど見られない。この地で人種差別をしない唯一の組織といえばエホバの証人の教会ぐらいのものであろう」。
消えゆく日曜学校?
◆ 米国の日曜学校の出席者数は1974年に予想されていた増加率を初めて下回ったが,その後急激に減少を続けている。米国カリフォルニア州パサデナの教会勢力伸長促進協会のチャールズ・アーンはこう語っている。「過去10年間だけを例に取っても,全国の日曜学校の在籍者数は4分の1近くも減少した。主要な宗派の多くは,ここ10年間に日曜学校の在籍者の30%から50%を失った。……事実,この減少が……同じ割合で続くなら……我々の知る日曜学校は2世代のうちに姿を消すであろう」。
ミイラの展示をとりやめる
◆ カイロ博物館では1881年以来古代エジプトのファラオのミイラ27体を展示してきた。しかし,見学者たちはもはやそのミイラを見ることができなくなった。サダト大統領がイスラム教に対する儀礼上のジェスチャーとしてゆくゆくはミイラを埋葬するよう命じたためである。ミイラを王家の谷の元の墓に埋葬し直すか,特別な部屋に一緒に埋葬することになっている。
政府の決定
◆ 政府の行なう決定の中には不首尾に終わるものが非常に多いのはなぜだろうか。インドのヒンズー紙のコラムニスト,G・K・レディが指摘している点は理由の一つかもしれない。レディはこう書いている。「閣僚の中には,難しい事態に面すると,自分の賢明な判断に頼る代わりに占星術師の言葉に盲目的に従って悲痛な思いをする人がかなりいる」。他の様々な国の政府の指導者についても確かに同じことが言えよう。
同性愛者が引き起こす刑務所内での暴力行為
◆ 米国の連邦刑務所の一監督官によると,刑務所内で発生する殺人事件の主な原因には同性愛行為が関係している。ルイスバーグ刑務所で26か月間に発生した8件の殺人事件について調べたところ,そのうちの5件は同性愛行為が原因で起きたことが判明した,とピーター・L・ナッチ博士は報告している。同博士によると,同刑務所で発生した37件の暴力事件の25%は同性愛行為にからんだものであった。
簡素化される韓国の結婚式
◆ 韓国政府が行なっている現在の節約奨励運動の一環として,社会省はぜいたくな結婚式を禁じた。花嫁が結婚の費用に83万ウオン(約31万円)以上かけると,懲役1年の刑と最高100万ウオン(約37万円)の罰金を科されることがある。同省のガイドラインは,特に,花嫁が新しい靴1足とスーツ1着以上のものを花婿に贈ってはならないことを定めている。新しい衣服を購入するよりこれまでの衣服をていねいに洗濯することが勧められている。
サンピエトロ大聖堂までの不正乗車
◆ イタリアのミラノで発行されているジオナーレ紙によると,ローマの交通機関では盛んに不正乗車が行なわれている。毎年,市街電車やバスの乗客でこうした不正を働く者は150万人から700万人もおり,被害額は2億円にも上っている。運賃は30円足らずだが,「無賃乗車をする者の多くは外国人である」と同紙は伝えている。法王謁見日の水曜日に無賃乗車が最も多く,しかもサンピエトロ大聖堂に通じる路線で一番ひどい。
キングズ・イングリッシュが最善か
◆ 英国の言語学者ジェフリー・リーチ教授は英語の正しい用法について調べるため,英国と米国の出版物をコンピューターを使って比較してみた。驚いたことに,100万語を比較した結果,米国の出版物の方が英国の出版物よりも英語を正しく用いる傾向にあることが判明したのである。同教授は次のように語った。「英国人は英語の守護者を自任しているが,英語に関心を払っていない。明らかにアメリカ人はこの点で我々よりも注意を払っている」。リーチはさらに,両国民の間で話されている英語は「次第に歩み寄ってきている。英国人はアメリカ人を模倣しつつある」とも語った。
ブラジルにおける僧職の危機
◆ カトリック教会と関係のある宗教統計・社会調査センターの行なった一調査によって,第二バチカン公会議の開会に先立つ1960年から1963年にかけて,ブラジル全土で80人の司祭が僧職を離れたことが明らかになった。これは年平均20人に相当する。特別免除を受けるのに必要な要求が緩和された結果,この数は増加してその後の12年間に2,116人となった。これは年平均176人の割合である。僧職を離れる理由は様々であった。教会組織そのものとの対立を理由にする者もいれば,童貞制が引き続き要求されていることを理由にする者もいた。ジョルナル・ド・ブラジルの伝えるところによると,その大半がかつて司祭であったことを隠したがる。司祭であったことは,「社会生活を送る上で汚点でもあるかのようにみなされている」からである。
ビタミンの濃度とガンの間には関連があるか
◆ 英国の医学雑誌ザ・ランセットに,ビタミンの不足とガンの間の関連を調べた5年にわたる研究の結果が載った。1万6,000人を対象に行なわれたこの研究によって,ビタミンAの血中濃度が最も低い人たちはその濃度が高い人たちに比べて2倍もガンにかかりやすいという事実が明らかになった。そうした関連性は肺や胃腸のガンに特に認められた。この発見はガンにかかりやすい人を探し出す新しい方法の開発につながるかもしれない。ビタミンAの濃度が異常に低い人に適正な食事を摂るよう勧めるなら,ガンを減らすのに役立つものと思われる。ニンジン,レバー,卵,乳製品には,ビタミンAが豊富に含まれている。
糖尿病の予防
◆ 米・国立衛生研究所の一部局の報告によると,ほとんどの糖尿病患者,それも特に太り過ぎの人は,病気の治療法とその症状を軽くする方法を学べるという。その方法は,減量,ある程度の運動,炭水化物系の食物の摂取を抑えることから成っている。すでに知られているように,糖尿病患者の家系に生まれた人はこの病気にかかりやすいが,太り過ぎの人はその危険がさらに増す。余分の体重を減らすことによって,病気を予防もしくはその発病を少なくとも遅らせることができよう。
勧められている第2段階は運動だが,運動をすると患者自身のインシュリンが血糖の量を抑えやすくなる。第3段階の食事について,カナダ糖尿病協会の代表者は,「単糖類(精糖や甘味を加えた果物,フルーツジュース,ミルク,エンドウ豆やニンジンなどのある種の野菜)よりも複合炭水化物(精製していない穀類やパン,澱粉質の野菜類)を食べること」を勧めている。「複合炭水化物のほうが単糖類よりも吸収に時間がかかるためである」。炭水化物は1日に二,三回少しずつ摂るようにして,その摂取量が特定の時間に偏らないようにしなければならない。
中国で増える高血圧症
◆ 高血圧症は一般に西欧諸国特有の悩みとみなされてきた。ところが,北京にある心臓血管医療センターの呉<ウ>院長の報告によると,中国では高血圧症が急増しているとのことである。同院長はこう語った。「長いこと,中国には高血圧症があまり多くないと考えられてきた。現在でも概して諸外国よりも高血圧症は少ないが,過去20年間に見られたような増加の割合が続けば,間もなく諸外国並になるものと思われる」。上海や北京のような大都市では,高血圧症が10%も増加しており,米国と肩を並べるほどの増加率を示している。
『今世紀最悪の干ばつ』に見舞われたブラジル
◆ ブラジル北東部に住む1,300万の住民は,『今世紀最悪』と言われる干ばつに脅かされている。政府は,800台のトラックを被災地に投入して毎日1,700万㍑の水を配給しているが,それでも間に合わない。ソレダド市の市長はこう言明した。「農村部ではここ3か月間,一滴の水もない状態が続いている。ひと月もしないうちに都市部も同様の事態に見舞われるだろう」。ブラジル・ヘラルド紙はこう報じた。「現在干ばつに見舞われている北東部は,植民地時代,草木に覆われた肥沃な土地であった。主にサトウキビ栽培者によるものだが,この地域は荒廃が進み,現在では事実上砂漠と化している」。
貯蓄好きのスイス人
◆ 国際貯蓄銀行協会によると,スイス人は世界で“最も貯蓄の好きな”国民である。この国の国民一人当たりの平均預金高はほぼ1万6,000㌦(約384万円)である。それに対し,世界第二位の日本では1万1,755㌦(約282万円)と差がつく。アメリカ人はそれよりはるかに少なく,銀行に一人平均5,000㌦(約120万円)余り貯金しているにすぎない。オーストリア人は平均およそ6,000㌦(144万円),オランダ人はおよそ4,300㌦(約103万円)を銀行に預金している。