ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 目82 11/22 3–6ページ
  • 英国の王制 ― 1980年代を生き延びるか

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • 英国の王制 ― 1980年代を生き延びるか
  • 目ざめよ! 1982
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • 昔ながらの華麗な行事
  • 君主の役割
  • では,どれほどの費用が掛かるのか
  • 英国国教会における役割
  • 英国人はどう考えているのか
  • 貴婦人
    聖書に対する洞察,第1巻
  • 豊かに報われた訪問
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1999
  • 女王,王妃
    聖書に対する洞察,第1巻
  • より優れた王制
    目ざめよ! 1982
もっと見る
目ざめよ! 1982
目82 11/22 3–6ページ

英国の王制 ― 1980年代を生き延びるか

英国の「目ざめよ!」通信員

重大な年となった1914年以来,30ほどの王制がこの世界から消えてゆきました。それらの王制は,地上の至る所で生じつつあった政治形態の急速で激しい変化に順応できなかったか,または順応しようとしなかったかのいずれかです。王室の中でまだ残っているものに,英国のウインザー家があります。この危機的な時期に,同王室は国家の名目上の君主という,威厳はありながらも限定された役割を受け入れてきたので,民主的な事の進展を何ら妨げることがなかったのです。

それでも,この王室の将来については幾つかの疑問が起こります。その存続は国民にとって重要なことでしょうか。失業率が高く,金詰まりの昨今,王室を維持してゆくための費用を容認できますか。それはどんな益をもたらすでしょうか。一般の人々はその存続を願っているでしょうか。王制を賛美する人も,それに反対する人も一様にこうした疑問を抱いています。読者もこのような事柄について考えられたことがあるでしょう。

昔ながらの華麗な行事

英国の王制はこれまですでに千年以上続いています。その間に英国は,それ以前のどんな国よりも強大な世界強国になりました。その後,議会が力を得て統治権をしっかりと掌握するに及び,初期の数世紀間に見られた専制的な権力は衰えてゆきました。さらにこの20世紀に入ってここ数十年間に,英国は植民地を手放し,それらの植民地を独立した国家から成る英連邦に加盟させ,自国の海岸線にまで退きました。昔日の華麗さはほとんど残っていません。残っているとすれば,それは王制にのみ見られます。

過ぎし日のこうした華麗さの名残は,毎年議会が開かれる際の荘厳な行事に見られます。女王は王室の他の成員を従え,きらびやかな制服に身を固めた近衛騎兵隊に護衛され,飾り立てられた馬車に乗ってウエストミンスターの国会議事堂に乗り付けます。こまかな事に至るまで仰々しい儀式をもって,下院議員が上院に呼び出されます。そこで女王は玉座から,時の政府が草稿を書き,その会期の計画を概略した演説を朗読します。古くからの伝統が注意深く守られます。

時にはそれよりもさらに華麗な行事が行なわれる場合があります。1981年7月29日に行なわれた英国皇太子の結婚式をテレビでご覧になった方もおられるでしょう。それは堂々たるスペクタクルでした。64人の騎兵から成る儀仗隊に護衛された11台の馬車が,王家の新郎新婦とその親族をバッキンガム宮殿からモール街とストランド街を経てセントポール寺院まで運びました。海外からやって来た幾千幾万もの人を含め,約100万人が沿道に並びました。世界人口の6分の1に当たる約7億のテレビ視聴者が,この世代にはめったにお目に掛かれないこの華麗な行事に見入りました。国民はこの儀式を大いに楽しみました。

そしてその結果,王室は新しい成員,皇太子妃を迎えました。その皇太子妃はほどなくして女王に次いで,王室の中で一番の人気者になりました。そして国民は6月に彼女に生まれた最初の王子,ウイリアムの誕生を大きな関心を抱いて待ちました。ウイリアムは現在の王位継承者であるチャールズ皇太子に次ぐ王位継承権を持つ者となりました。

君主の役割

立憲君主としての女王の役割には必然的にどんな事柄が伴うでしょうか。ペアーズ百科事典は次のように説明しています。「法律上女王は行政府の長であり,立法府の重要な成員,司法府の長,三軍の最高司令官,英国国教会の俗人の首長である。事実上は女王の役割は純粋に形式的なもので,君臨すれども統治はしない。重要な事柄すべてにおいて,女王は閣僚の助言に基づいてのみ行動する。しかし,女王は国家元首また英連邦の首長として今でも象徴的に重要な役割を果たしている」。

女王はどんなことをして一日を忙しく過ごすのでしょうか。女王の行動および王室の他の成員の行動は,幾つかの新聞の王室関係ニュース欄に毎日載せられているので,一般国民の前に公開されています。ロンドン・タイムズ紙の一読者は,1981年中にこれらの記事に載せられていた行事を要約し,同紙に寄せた手紙の中で,エリザベス女王が1981年中に400を優に上回る会合の約束を果たしたことに注意を向けました。それは内外における公式訪問から,謁見や叙任式,大使との接見,首相の週ごとの訪問などに及びます。女王はその日の予定の要領書を読み,公報や古参閣僚の閣議の議事録などを読み,数多くの文書に署名します。忙しいスケジュールであることは一目で分かります。女王は極めて良心的にその役割を果たしていると一般の人はみています。他国を訪問する場合に,エリザベス女王が英国随一の大使となることに疑問の余地はありません。マープランの行なった世論調査によると,調査の対象になった774人の人が女王の仕事ぶりを評価して,10点満点中,平均9.1点を付けています。

王室の他の成員について言えば,エリザベス女王の夫君であるフィリップ殿下および王位継承者であるチャールズ皇太子はいずれも忙しい日程をこなしています。女王の母親で,ジョージ6世の未亡人である皇太后は既に80代に入っていますが,やはり数々の公的な式典に出席します。

こうした行事すべてに王室の成員の出席が必要かどうかは疑問視されることがあります。市長のような地方の高官が“臨席”すればそれで十分ではないでしょうか。そのような行事を組織する人はそう考えません。王族が臨席すると,一般の人の出席がはるかに多くなるのです。これは他の人では集めることのできない関心を,王族が集めていることを示しています。また,そのような行事に女王や王族の他の成員が臨席することによって,政府の閣僚は多くの時間を取られる式典に出席せずにすみます。

ですから英国の大衆は一般に王制を家宝のようなものと見ていると言えます。それを大切にし,見せびらかしたりはしますが,日常生活には大きな影響を及ぼしません。しかし,この風格のある家宝を維持してゆくための費用に二の足を踏む人がいるのです。

では,どれほどの費用が掛かるのか

王室の維持は議会で毎年のように問題になり,盛んに報じられます。その口火を切るのは“王室費”に関する討議です。それはもう1年王制が機能してゆけるようにするために政府が上程する予算です。それは二つの部分から成っています。一つは女王のためのもので,もう一つは他の王族の必要を賄うためのものです。

1982/83年度の女王のための王室費は8%増額されて354万1,000ポンド(約16億円)になり,その4分の3は個人秘書から宮殿の掃除人に至るまで王室に抱えられている人々のための給料の支払いにあてられます。1982/83年の王室費はまた,他の7人の王族の生活を維持するために76万7,000ポンド(約3億4,500万円)を供しています。これらの王室費のほかに,政府の各省庁は宮殿や王室ヨット,6機からなる女王の編隊,お召し列車などを維持するために約1,500万ポンド(約67億5,000万円)が費やされています。

しかし,王制を維持するためにこうした多額の出費をすることに対して,国民の側にはそれほど異存はないようです。前述のマープラン世論調査によると,調査の対象になった人の76%は,王制を保つことに伴う利点はそれを維持する費用を補って余りあると述べています。

しかし,すべての人がそのように考えている訳ではありません。ザ・タイムズ紙の伝えるところによると,一国会議員は,提出された王室費の予算は「彼らがどんな人間であるかをあらわにしている。貪欲で,欲の深いやからで,国が悩まされている様々な問題の解決に少しも役に立たない。人民が立ち上がって革命を起こす時は急速に近付いている」と語りました。しかし,そのようなことを意図しているにしても,これまでのところ人々にはその方向に向かう傾向はほとんど見られません。

英国国教会における役割

女王は英国国教会の俗人の首長ですが,これはその象徴的な名目上の長であるという意味にすぎません。女王には聖職者としての役割は全くありません。霊的な指導者また執行部の指導者はカンタベリー大主教であることが認められています。新しい大主教や主教を選んだり,ある主教をより格式の高い管区に移したりするためには,16人から成る王室任命委員会が二人の人の名を首相に提出し,首相はその内の一人を女王に推薦して任命がなされます。例えば,最近ロンドンの主教管区が空席になりました。委員会は二人の氏名を挙げましたが,首相はそのいずれをも退け,別の人を女王に対して推薦しました。「憲法上の原則に基づいて教会の首長はそれに服した」のです。ですから,少なくともこの点において,現在の女王は教会の問題に忙しく立ち回ったかつての国王ヘンリー8世のような人物の再来であると自ら考えていないことは明らかです。

英国人はどう考えているのか

今日王室に人気がある理由は,エリザベス女王とフィリップ殿下および今では成人しているその4人の子供たちの家族生活によるところが少なくありません。多くの人はその中に何かしら温かいもの,健全なものを見,それにあやかりたいと思うのです。自分たちの国家元首の家族が非常に献身的で一致した家族である証拠が見られると,安心感が得られるのです。

しかし,大勢の若い王族やそのいとこ達が今や成人に達しつつあることから,これらの若い王族すべてが成人して王室費の財政負担が増大しないように,「王室の役割,範囲,および規模について考えるのはよいことであろう」と一著述家は述べています。そこには将来へのむずかしい課題が横たわっていると言えるでしょう。

英国人が自国の王制にかなり満足している主な理由は,長い間機能を果たしてきた制度に対する,英国人の持ち前の保守的な敬意にあると言えるでしょう。英国人はそうした制度に慣れ切っており,それを変えるとなると慎重になるのです。非常に変わりやすい世にあって,王制は安定感と持続感を与えると感じているのです。自分たちの国家元首を,自国の政治家たちのような選挙運動の酔狂の対象にしたいとは思わないのです。憲法上,女王にはあまり権限が与えられていないので,君主の権力について神経質になってはいません。むしろ,選挙民の願いによって入れ替わる政治家たちに対して,女王は安定感を与える影響力となっていると見ています。300万人の失業者を抱えているにもかかわらず,国民は国の経済状態の責任を少しも王室に着せてはいません。それは政治家の扱う問題です。とはいえ,今日のひどい失業を前に,多額の費用を費やして多くの王族を支えることは,少なからぬ批判を呼んでいます。

将来について,エコノミスト誌は次のような考えを明らかにしています。「君主を頂く民主主義は英国にとって最も民主的な政府であり続けるであろう。昨年[1980年]の世論調査によると,英国人の86%がそれを望んでいる。政治家に導かれたそれに代わるいかなる単一の政体も今世紀に国民の86%の支持を得ることはないからである」。ですから,英国の人々が自分たちの選んだ人を支配者として持つ一方,国家元首としては王制による君主を頂くことに満足しているのは明らかなようです。

[5ページの拡大文]

ある世論調査によると,王制を保つことに伴う利点はそれを維持する費用を補って余りある,と人々は考えている

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする