テレビ ― そしてあなたの健康
「テレビの続き物に出て来る筋肉隆々とした主人公が四六時中強い酒を飲み,のべつ幕なしにスナックを食べていながら,体重は少しも増えないのを見て,テレビ中毒者たちは自分の健康に有害な習慣を身に付けることになりかねない」。
これは一昨年の秋にニューイングランド医学ジャーナル誌に載せられた報道の要旨で,スイスの日刊紙ラ・トリビューン・デ・ローザンヌが要約したものです。その報道はまた,テレビのために人々が医師を過度に信頼するようになっているとしてテレビを非難しています。テレビに出てくる医師は,自分の助言に従う者たちの心身両面の健康を保たせる奇跡的な力を授かってでもいるかのようにして,その小さな画面に現われます。
体の健康
公平に言えば,テレビが大部分の視聴者の病気の直接的な原因になっているわけではありません。しかし,テレビは健康上の様々な問題の間接的な原因になることがあります。一つの点として,テレビが自分たちの食習慣をどの程度変えてきたかに気付いている人は少なくありません。
食卓に着いて,おいしい出来立ての食事を取る代わりに,安楽椅子にだらしなくすわり“箱<ボックス>”を見ながらテレビ・スナックを少しずつかじって食事を済ませてしまう家族は少なくありません。たとえ食べる物に十分の栄養があったとしても(大抵の場合そうではないが),番組によって感情が高ぶっていると消化に悪いことがあります。
“栄養価の低いスナック食品”を食べるように宣伝するコマーシャルがありますが,そうすると,子供たちは母親の準備した栄養のある食事はいやいやつつくだけになります。これもテレビが食習慣に及ぼす影響の一つです。テレビの宣伝は栄養価の低いスナック食品を普及させただけでなく,健康を保つために食べたり飲んだりする必要のあるものについて,ゆがんだ見方を子供と大人の双方にしばしば与えてきました。
テレビの視聴が神経の疲労やストレスの面で果たしている役割も忘れてはなりません。さらに,睡眠の問題があります。例えば,フランスでは最も興味深い番組の幾つかは夜遅くに組まれています。夜遅くまでテレビを見ていると,深夜前の貴重な睡眠時間が奪われるだけでなく,その後に残されたわずかばかりの睡眠時間にも断続的な睡眠しか取れなくなりがちです。最後に,身体面での健康に関する限り,テレビばかり見るのは,職業柄座っていることの多い人々にとって最善の気晴らしとは言えません。
霊的健康
テレビ番組はその製作の対象になっている人々の社会を反映します。その社会はいよいよ,同性愛やフリーセックスを大目に見,暴力に訴え,物質主義的な目標を追い求める社会になってきています。そうしたものは現在の多くのテレビ番組の中に含まれています。手当たり次第にテレビを見ると,人の道徳心は弱められ,霊的に築き上げる資料を読むために必要な時間が失われることになります。
テレビはまた,家族生活と子供の教育とに影響を及ぼすことがあります。その点は続く記事の中に示されています。