オオカミ狩りに使われる近代的な科学技術
最近,ニューヨーク・タイムズ紙は,アラスカで人間が行なっているオオカミとの戦いで近代的な科学技術が用いられている様子を伝えました。アラスカは,フランスとスペインとイタリアを合わせたよりも大きい,広大な州です。その全人口は40万人をやや上回り,オオカミの数はわずか1万2,000頭にすぎません。米国の,アラスカ以外の地域には2億人余りの人間がいますが,オオカミはわずか1,000頭かそこらです。明らかに,オオカミの存続は危険にさらされています。それにもかかわらず,州の射撃の名手は飛行機でオオカミ狩りをしてきました。しかも,その効果を上げるため,オオカミの子をわなで捕まえ,小型のラジオ送信機の付いた首輪をはめます。そのオオカミの子が元の群れに戻ろうとすると,飛行機上のハンターたちは首輪から送られて来る信号をつけて行き,群れ全体にねらいを定めます。
なぜオオカミを殺そうとするのでしょうか。多くの人は認めませんが,それはオオカミが,人間のハンターの欲しがるアメリカヘラジカを殺すからです。ところで,次の事実を聞いて動揺する人は少なくありません。ラジオ送信機の付いた首輪は,絶滅にひんしている種の保護のために動物に関する知識を得る目的で開発されました。「滅ぼすために無線追跡が用いられたのは,今回が初めてである」と,ニューヨーク・タイムズ紙は伝えています。