世界展望
『もはや笑い事ではない』
● 「多年にわたり漫画家と風刺家は,破滅が近いと言いたてることを職業とする人々を種にして打ち興じてきた」と,ヘインズ・ジョンソンはワシントン・ポスト紙の中で書いている。「準備せよ! 世の終わりは近い」とふれ告げる人々について言及した後,ジョンソンは続けてこう述べている。「そして先日,家のドアの下に,宗教的なパンフレットの形で,よく知られた例のメッセージが置かれていた。陰うつな空と,我々に襲いかかる稲妻の電光とを背景に『ハルマゲドンは近づいていますか』という文字が読めた」。次いでジョンソンはこう述べている。「その種のメッセージが大目に見られ,ほほえみを誘った時代があったが,突如としてもはや笑い事とは思えなくなった」。
賭博について
● 英国国教会の調査委員会の報告によると「賭博は健康によい場合がある」と,ロンドンのガーディアン紙は伝えている。「村祭り,年ごとのダンスとクラブの親睦会は,ラッフルやトンボラなどの富くじがなければどれも面白味がなくなる」ということである。ある観測筋は,このギャンブル熱が英国にまん延していることの影響に注目し,自殺・うつ病・離婚・失業・犯罪をその影響として挙げている。ガーディアン紙の述べるところでは,全人口の94%が自分は賭け事をすると言っている。
宗教のすう勢
● ギャラップ調査によると,「アメリカ人は年ごとに宗教心を強めているが,逆説的なことに,教会へはますます足を運ばなくなっている」。神を見いだそうとする人々は増加している「が,日曜日に教会で神を求める人々は増加していない」ことが分かった。その調査の述べるところによると,1965年にはアメリカ人の73%が教会員だったが,それが今は67%になっている。さらに,カトリック信者の半分以上が「先週の日曜日のミサに出席しなかった」ことが判明した。その調査によれば,教会に行ったプロテスタント信者はわずか43.6%だった。調査の対象となった人の半数以上が,宗教には世界の諸問題に対する答えがあり,科学に頼ることをやめる明らかな傾向があると感じている。
米国政府の規模はどれほどか
● 米国連邦政府は「まさしく大企業」であると,ニューヨーク・タイムズ紙は述べている。米国政府は「1日24時間,1時間当たり9,100万㌦(約218億4,000万円)以上」を費やすと同紙は主張する。さらに,連邦政府は280万の人々を雇い,物品やサービスのために年間1,300億㌦(約31兆2,000億円)以上のお金を費やすことも示されている。さらに国有地は米国の土地全体の3分の1を占め,推定約3億㌶に上るため,大地主でもある。その報告は,米国政府が1日当たり9,500万食に助成金を出し,4,700万人に医療を施していると述べている。US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌によると,同政府は12兆5,000億㌦(約3,000兆円)相当の有形の資産を所有しており,それを米国内の男女子供一人ずつに割り振ると,5万3,800㌦(約1,291万2,000円)になる。したがってまさに米国政府の規模は巨大である。
忠誠の誓い ― なぜ?
● 「幾百万という教師たちが毎日幾百万という子供たちに忠誠の誓いを暗唱するように教えている。これはなぜだろうか」と問いかけているのは,北コロラド大学の政治学の教授レイ・B・ナップである。ナップ教授は,コロラド州グリーリー市の教育委員会では自発的にそうすることは構わないと定められたものの,学校の中で忠誠の誓いが占めるべき場はないと考えている。同教授が思い起こすのは,一人の生徒が誓いの際に立とうとせず,他の生徒から殴打されたことである。それでナップ教授はこう問いかけている。「どの教育委員会といえども忠誠の誓いの暗唱をどうして強制してよいものだろうか。我が国の最高裁判所は,40年前のウェストバージニア州教育委員会対バーネットの裁判でこの問題には結着をつけている」。
インドにおける持参金に関する論争
● 「持参金は1961年に非合法化されたはずだが,持参金にまつわる死亡事件がインド全土にわたって現代における災いとなっている」と,カナダのグローブ・アンド・メール紙は伝えている。姻戚側が述べる不満は,若い花嫁の持参する金品が十分ではないことである。持参する金品が余りにもわずかだったため,姻戚が花嫁に灯油を注いで焼き殺してしまった例もあると言われる。若い娘たちの中には,結婚資金を得るため,売春を行なわざるを得なかった人もいると報告にはある。花婿の要求する物品としては,「テレビ,スクーター,それに車やホームビデオも」ある。インドの首相インデラ・ガンジーは,この持参金制度は野蛮なもので,「根絶すべきだ」と述べた。
出産よりも堕胎のほうが多い
● トロントのグローブ・アンド・メール紙によると,「トロント市の住民の間では,出産の件数よりも堕胎の件数のほうが多い」。1981年のトロントにおける出産が7,597件だったのに対し,同年の堕胎は8,313件に上った。1975年当時,「出産の件数は……堕胎の件数のほぼ2倍であった」。一部の婦人たちは堕胎をしてもらうために6週間待たなければならない。その記事は,堕胎の28%は既婚の婦人や,男性と同棲している人々,63%は独身の婦人によって占められていると付け加えている。「残りの人々は,別居した人,離婚した人,あるいは未亡人だった」。十代の堕胎は1975年から1981年の間に2倍になった。
決して終わることのない宇宙
● 科学者たちの中には,宇宙はいつの日か瓦解すると推測する人もいるが,ロンドンのデーリー・テレグラフ紙はこう伝えている。「宇宙が永久に拡大を続け,そのため生命がほとんど永遠にわたって存続できることを示す新しい証拠が天文学者の一チームによって提出された」。この天文学者のチームは英国人,オーストラリア人,中国人で構成されており,さらに,「結局宇宙は,多くの科学者たちの予告とは異なり,それ自身の重さのために瓦解するはずがない」ことを示している。この結論と調和して,聖書はイザヤ 40章26節で,エホバ神が活動力の源であることを示しており,詩編 90編2節は,エホバ神がとこしえの存在であることを示している。
新型のタイプライターが新記録を樹立
● オランダのある会社が新種のタイプライターを発明し,そのタイプライターがタイプのスピードに関する世界記録を塗り変えたとのことである。毎分1,000文字を打てるスピードが達成されたと言われている。従来のタイプライターで得られた世界記録は毎分683文字である。この機械は一つ一つの文字の代わりに音節をタイプする。「キーボードは,指の動きを最小限にとどめ,2本の手の作業量が平衡を保つように調整されている」と,ニュー・サイエンティスト誌は伝えている。その中には1台のマイクロプロセッサーも組み込まれており,タイピストが「非常に速いスピードで打つ際に文字を間違えてしまう」のを防いでいる。
歌う『偶像<アイドル>』?
● 「年若い娘たちが失神し“ばたばたと倒れた”。……少なくとも3人の十代の若者が踏みつけられ……11台の車の屋根がめちゃめちゃにされ,市役所の窓が一枚壊された」。どんな時の出来事だろうか。ニューヨーク市役所から有名なロック歌手が出てきた時のことだった。ニューヨーク・ポスト紙はそれを「修羅場」と描写し,その歌手が姿を現わすや崇拝するファンたちが「耳をつんざくような叫び」を上げたと述べている。この芸能人は,ファンが警察の列を突破した時,市役所の階段から建物の中に引き返し,最後には変装して警察官の制服を身に付け,群衆から逃れた。
非常に重いかぼちゃ
● カナダのノバスコシア州ファルマス市で隠居生活を送っていた人が,大きなかぼちゃの栽培で今期の世界チャンピオンとなった。この人のかぼちゃは218㌔という堂々たる重量のもので,以前のチャンピオンの座を奪った。過去4年間優勝し,今回2位に入った人は216㌔のかぼちゃを出品したが,この人は,今なお空前の世界記録を保持しており,223.9㌔という非常に重い世界最大のかぼちゃを栽培した。今年は国際的な電話回線が設けられ,この年中行事も真の意味で世界競技会となった。審査会場はカナダ,米国,英国に設けられた。英国のある種苗業者は,これらのかぼちゃすべてを負かすことのできる英国の栽培者に1万ポンド(約350万4,000円)の賞金を申し出ることさえした。英国が出品したかぼちゃも,181㌔という相当なものだった。
補聴器に関するニュース
● 補聴器の必要な人々にとって良いニュースがもたらされるかもしれない。日本では5年間にわたる研究の末,「世界初の超小型高性能補聴器」を開発した,と英文毎日が伝えている。この新しい補聴器はマイク,増幅器,電池,接続線,振動器から成っており,必要な電池の型にもよるが,16㌘から36㌘の重量である。それは,内耳に接続しているあぶみ骨に音を伝え,「従来の補聴器に比べるとひずみのないはるかにきれいな音」を出す,とその記事は結論している。
異例のマラソン
● “太平洋沿岸道路”を1日に37㌔,合計870㌔走った10歳の少年が,走って米国を横断することを決意した。ニューヨーク・ポスト紙の報道によると,少年は6月6日に西海岸を出発し,163日後の11月16日には5,509㌔におよぶマラソンを完了し,警察の万全の警護のもとでニューヨーク市のブロードウェイを『スパートした』。なぜこのようなマラソンをしたのだろうか。身体障害ゆえに勉強や話に支障を来たし,そのことをからかわれたために「この少年は自分がひとかどの人間であることを実証したいと思ったのである」とその記事は述べている。
「良きサマリア人」の法律
● 「13歳の少女が数人の傍観者の見ているところで二人の若者から40分にわたって強姦された。11歳の少年がようやく警察を呼んだ」と,ニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。こうした出来事を防ぐため,ミネソタ州は緊急事態に直面している人を「助けることを義務づける」法律を制定した。他の州には「良きサマリア人」の法律があり,「緊急事態に助けを与える際,賠償責任が免除される」ことを定めているが,ミネソタ州の法律の修正箇条では,助けることを義務と定めている。暴力の関係した状況では,自分の身を危険にさらさない道理にかなった助けが要求される。それは警察を呼ぶことを意味するかもしれない。「目撃者が無視したために犠牲者の受ける害がひどくなる場合,その目撃者は少なくともある程度の法的義務を負うことになるかもしれない」と伝えられている。
中国における極刑
● 中国では29の犯罪に対して死刑が定められており,「殺人,強姦,強盗,爆破,および公共の安寧をはなはだしく脅かす他の活動に携わった犯罪者」に対してそれが執行される,とニューヨーク・タイムズ紙は述べている。その記事によると,この厳しい処置を取った2か月後,犯罪は近年の最低のレベルに落ち,ひと月で46.7%減少し,翌月にはさらに11.5%減少した。北京の一当局者は,殺人者を処刑しないとしたら,他の人々は自分たちも死刑を免れられると考えるかもしれないと論じている。この厳しい取り組み方からどんな結果が生じただろうか。一人の中国人はこう述べている。「以前は午後11時以後に外出することはできなかったが,今では全く安全になった」。