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目ざめよ! 1986
目86 9/22 8–11ページ

土には何が起きていますか

大都市のアスファルトやコンクリートの狭い通路にそびえるアパートやマンションの住人はめったに目にすることはありません。家の表と裏に,狭い芝生のある一戸建て住宅に住む都会人はほとんど注意を払いません。郊外に住む人にとっては,靴に付いて家の中に入ってくる汚い厄介者です。

扱いは人によってさまざまです。少年は穴を掘り,幼女はどろのパイを作り,お母さんたちはそれを嫌います。洗濯機製造業者はおかげで思いがけない利益を得,ブルドーザーの運転手はそれを移動させて暮らしを立てています。農夫は鋤を当て,耕作し,種をまきます。毒性のある化学物質の投棄場として用いられ,今後幾世代にもわたって使用不可能にされます。人間はそれで造られ,息絶えるとその中に埋葬されます。

地球上の最も貴重な資源の中で,この土ほど乱用され,誤用され,当たり前のものとみなされているものはほかにありません。あらゆる知恵を退けて,過度の耕作や植えつけがなされ,必要以上の肥料が施され,大いに汚染されてきました。

土は,海辺の砂のように豊かな,無限の資源であるかのようにみなされてきました。新しい地域に移った開拓者や移住者たちは土地を安く買い求めては,そこにある木や多くの植物を伐採し,丘陵地に縦にまっすぐな溝を作って種をまきました。それで雨が降ると,鋤き返された溝は水路に変わります。水路はさらに大きな溝になって土地を損ない,表土を河床に流し,やがてそれは海に運ばれます。そこによい土地がなくなると,人々は移動しました。人々は強情なまでに,自分たちの犯した過ちから学ぶことがなかったので,そのあとには荒廃した土地が残るということの際限のない繰り返しでした。その間移住者はどんどんやって来て,土地がやせて植えつけに適さなくなるまでに表土を耕し続け,一世代もたたないうちに土地は荒廃しました。

牧場主はおびただしい牛の群れを未耕作地に放牧し,不毛の荒野にしました。次に来たのは干ばつです。浸食された土壌,不毛の土地,吹きつける風は,1930年代に,米国中西部の五つの州にまたがる広範囲な耕地を荒廃させ大黄塵地帯を生み出しました。砂ぼこりは風に舞い雲のようになって何千メートルもの上空に達し,地平線から地平線に及びました。またそれは扉や窓のすき間から家の中に入り込み,通りや畑にうずたかく積もり,納屋やトラクターなどの農具を覆いました。

何百万ヘクタールもの耕地が土壌浸食によって台なしになりました。専門家によれば,わずか2㌢余りできるまでに幾百年もかかると言われている貴重な表土が,数か月で水や風と共に去ったのです。

しかしようやくにして人間は自らの過ちから学びました。土地を浸食から守るよう農業経営者を援助するために,全国的な保全管理機構が設置されたのです。等高線耕作法が導入され,丘陵地の斜面に縦にではなく横に,斜面を取り囲むように深い溝が作られました。この方法によって,水を溝の中に溜め地面にしみ込ませることが可能となり,水がはけるときに表土を運び去ることはなくなりました。保全管理に従事している人々はいろいろな地方に赴いて,農業経営者に等高線耕作を行なう必要があることを示しました。そのため,何百万ヘクタールもの表土が失われずにすみました。

しかし,これは地球の土壌をこうしたガンのような浸食から守るための万能薬になりましたか。1986年も終わりに近づき,悪名高い黄塵地帯ができた時代からほぼ50年が経過しましたが,神が造られたすばらしい地球の土地の世話を適切に行なっている管理者はいるでしょうか。世界中からの報告は何を示していますか。

表土の流失は進む

米国だけでも,土壌流失の危機は今日のほうがかえって大きくなっています。「ナショナル・ワイルドライフ」誌は1985年2月/3月号の中で次のように述べています。「現在,4億2,100万エーカー[1億7,000万㌶]の豊かな耕地のうち9,700万エーカー[3,900万㌶]は,自然が補充し得る“許容”水準の2倍を超える浸食が生じている。そのほかに,8,900万エーカー[3,600万㌶]の耕地における浸食は許容水準の1倍ないし2倍である。合計すると,全体の40%近くの耕地は土壌を失いつつある。アイオワ州では,一時1フィート[30㌢]の厚さがあった表土が今では6インチ[15㌢]しかないところもある。ワシントン州東部の肥沃な小麦の産地であるパルース地方の10分の1は,表土を完全に失ってしまった。ミズーリ州北部の幾つかの地方では表土の半分が流失し,依然として補充率の5倍程度の土地の浸食が続いている」。

黄塵の時代の浸食も,今日のアフリカの大部分に見られる浸食も風によるものですが,土壌浸食はすべて風によるとは限りません。特に米国では,浸食のほとんどは雨水によります。米国農務省の1977年度の報告には,およそ64億㌧の表土が農地や荒野や森林地帯,それに建設現場から流出したことが示されています。こうした表土の流失は主に,人間が行なうさまざまな活動が原因で速度を速めました。「キャタピラー付きの大型トラックはカリフォルニアの幾つかの地方から,自然が1,000年をかけて作り出すよりも多くの土を数年間でさらってしまった」と,ある専門家は語りました。

半世紀前に学んだ教訓,すなわち時の試練を経た等高線耕作法や雨水が流れるのを防ぐ防風林はどうなったのでしょうか。1970年代の初めにソ連をはじめとする外国市場からの穀物の需要に応じるため,米国の農業経営者たちに畑の“隅から隅まで”耕作することが奨励されました。それはすぐに,最大の穀物生産高につながりました。そして,農業経営者は風に対する警戒をすっかりゆるめ,浸食を受けた階段状の耕地や防風林の役目を果たして土壌を守る樹木をブルドーザーでならしました。使用に適さない土地を耕したり,丘陵地を上下に耕したり,土壌を維持する確実な方法である輪作をやめたりしました。多くの専門家が,乾燥しすぎていて耕作には向かないとみていた160万㌶の乾燥した放牧場が鋤き返されました。

なるほど農業経営者は穀物の増産を実現させ,それに伴って収益も増えました。しかし,果たしてその大きな利益は,自分たちの農地から1ヘクタールに付き何トンもの土が削り取られているのに気づいた同じ農業経営者たちの嘆きで相殺されてしまいました。公表された報告によると,米国はいま年間60億㌧の割合で表土を失っています。

「ナショナル・ワイルドライフ」誌はこう述べています。「こうした行為は数年後に重大な結果を生むかもしれない。この世界はすでに飢えた世界になっている。専門家が考えているように,仮に地球の耕地の3分の1が,自然が土を作るよりも速く浸食されているとしたら,我々は生産力を失っていることになる。同じ広さの土地を耕しても,土壌はやせつつあるので,食物の収穫は減少するであろう」。

世界の危機

世界監視協会の1985年の報告によると,世界中で年間250億㌧を超える表土が失われています。飢きんに見舞われたエチオピアでは,毎年10億㌧以上の表土が国土から流失していることを報告は示しています。「環境の悪夢が我々の眼前に展開している……生き残るために苦闘する何百万人ものエチオピア人が行なった事柄の結果である」と,米国国際開発庁による報告は述べ,さらにこう付け加えています。「浸食された土地の表面をひっかいて浸食をさらに進ませ,暖房用や燃料にするために樹木を伐採して国をまるはだかにする」。

世界監視協会は次のように報告しています。「ボリビア,チリ,エクアドル,ペルーなどアンデス山脈の国々が土地に飢えていることは,山の斜面を階段状にせずに上のほうまで耕作していることにはっきり表われている。それを見れば土地に特に詳しい人でなくても,急勾配の斜面の新しく耕された山腹の土がやがて水に洗われて,下を流れる川の河床に落ち,はだかの岩と飢えた人々だけが残されるということが分かる」。ブラジルでも広範囲に及ぶ同様の浸食の傾向が見られます。

中国を悩ませている表土の流失は著しいもので,毎年50億㌧の表土が河川に流出しています。インドでは年間60億㌧の表土が失われており,1億5,000万㌶の耕地に影響が表われています。「イタリアではここ10年間に200万㌶の耕地がだめになったということに,おおかたの意見が一致している」と,欧州からのある報告は伝えています。世界監視協会は,「同様に,過去20年にわたってユーゴスラビアやブルガリアの穀物生産地の収穫が減少したことは,険しい地形の農業地域の,浸食されやせてしまった土地から人々が移動したことを表わしている」と語っています。また,ソ連も他の国々同様,土壌の浸食は流行病の域にまで達し,悪化の一途をたどっていることを,モスクワ大学の土壌浸食研究室は認めています。

土壌の流失はあなたにとって何を意味するか

騒がしい大都市に住んでいようと,農場で暮らしていようと,土壌流失の付けは回ってきます。世界監視協会は,「今世紀末の食糧価格に関心があるなら,我々は現在の土壌の浸食率に注目していなければならない。土壌を失えば失うほど,食糧は高騰するのである」と述べています。

地球の住人が徐々に50億人に近づき,土地が人口の重圧を支えきれなくなる時,土壌は容赦なく姿を消すのです。例えば,耕地の減少が大きな問題となっている中国では,「地方の至る所に見られる土を盛った伝統的な墓に土葬にするのではなく火葬にするよう奨励することによって当局は今国土の保全に努めている。人口の多いこの国では,生者と死者が土地をめぐって争っているのである」と,レスター・R・ブラウンは「世界の状態 ― 1985年」という本の中で述べています。

人口が爆発的に増えると共に膨大な量の土壌が失われている国々では,災厄的な結果が生じることもあります。これがアフリカほどはっきりと表われている所はありません。アフリカでは,穀物の生産量が急激に落ち込み,飢きんの脅威が常に存在しています。「世界の状態 ― 1985年」という本に発表された報告によると,アフリカは1970年まで基本的に言って食糧を自給自足していましたが,1984年には全人口5億3,100万人のうちのおよそ1億4,000万人は輸入穀物で養われました。

状況は年々悪化するものと予想されています。わずか14年間に何がこんな違いを生み出したのでしょうか。「世界の状態 ― 1985年」は次のように述べています。「この下降は主に三つの,十分に確立した傾向に起因する。それは,過去いかなる大陸にも見られなかった急激な人口の増加と広範囲な土壌の浸食や砂漠化,それにアフリカの政府が農業に必要な援助をしなかったことである」。

推測によると,15億人,すなわち世界人口の3分の1が耕地や土壌が急激に減少しつつある国々に住んでいます。「我々が踏みしめる土のようなまさに基本的なものがこの割合のままで失われてゆくなら,今世紀の終わりには現在よりも一人当たり32%減少しているというのは信じられないことに思われる」と,ニュー・サイエンティスト誌は述べています。土壌や耕地が風や雨と共に去れば,爆発的に増える人口を世界が養うのはますます難しくなることでしょう。

専門家には解決策が分かっていません。問題は悪化するばかりです。地球を作物の十分取れる土地に回復させることができるのはエホバ神だけです。その時は間もなく訪れ,地は神の言葉が約束している通り,地平線から地平線まで,まさに地の果てに至るまで壮大な楽園となるのです。―詩編 72:1-8,16。

[10ページの図版]

土壌の保全と保水になる帯状作

[クレジット]

U・S・National Archives

[8ページの図版のクレジット]

U・S・National Archives

[9ページの図版のクレジット]

U・S・National Archives

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