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目ざめよ! 1989
目89 9/22 11–13ページ

原油流出事故 ― 人々に与えた影響

原油流出事故のあった1989年3月24日以来,バルディズの人口は爆発的に増加し,2,800人から1万人へと膨れ上がりました。エクソン社が原油流出事故による環境面の被害を一掃するために高い賃金で幾千人もの人を雇ったのです。多数の人の流入は社会的,経済的な混乱をもたらしました。以前は静かだったこの小さな町の元からの住民がこれを和らげるのは容易なことではありません。

アラスカの緊急通信機関の責任者であるピート・ワーペルは,日当の高い仕事を求める人々がどっと流れ込んだために生じた変化を幾つか取り上げ,インタビューの際にこう語りました。

「バルディズに及ぶ長期的な影響は,現時点で考えられる以上に厳しいものになるかもしれない。人々が大挙してバルディズに押し寄せたため,町の種々の設備が使用過剰になった。流出事故から7週間目には,電話会社の中継回線は60本から170本余りに増えた。下水道,電力,小型船の波止場,市のごみ処理場や道路網など,現在の需要に応じられるように設計されているものは一つもなかった。4月の間に乗り物は3,000台から9,600台に急増した。空港発着量も,通常は1日20便だが,ピーク時には680便を超えた。町の能力から言って,これは耐えられないほど大きな衝撃である。

「人口爆発によって生じた危機的状態は,原油流出や海岸の汚染,鳥やラッコの死,危うい魚卵孵化場,貝類に及ぶ損害などが強調されたため,影が薄れてきた。経済は混乱し,賃金幅は不均衡になっており,商店は信頼できる従業員を見つけるのに苦労している。物価高騰のため,固定給の人々の生活は苦しくなっている。

「こうした事柄はいずれも,原油流出事故の災難の重大さを小さく見させるものではなく,惨禍の全体像とそれが人々に与えた影響をよりよい視点から見させるものである。バルディズの住民の生活がめちゃくちゃになったことは,幾千もの鳥や動物の死が劇的に報道されたため,影が薄くなっている,と私は思う」。

長年バルディズに住んでいる人たちが幾人かインタビューを受けました。自分たちの町に人々が殺到したことで,彼らはどんな影響を受けているでしょうか。

電話会社のある従業員は次のような意見を述べました。

「事故が発生して2か月になるが,バルディズは全くの混乱状態だ。幾千人もの人が高い賃金の仕事を目当てに今でも集まってきている。いろんな種類の人がいる。警察に追われている人もいて,彼らは逮捕される。売春婦もやって来てせっせと商売をする。子供たちはもはや町を自由に走り回ることができない。親は子供から目を離せないし,もちろん目を離すべきではない。ほったらかしにされている子供もいる。両親がエクソンのために長時間働いているのだ。多くの人が金銭欲にとりつかれた。

「物価は暴騰した。一夜にして2倍になり,1週間もしないうちにまた2倍になる。貸し家を持っている人なら,一晩貸すだけで500㌦もうけられる。幾つかの部屋を貸せば,同じくらいの収入が得られる。寝いすを置く場所だけでも賃貸しできる。家賃は1月5,000㌦か6,000㌦。中には1月1万3,000㌦の家もあるという。車は1日250㌦で貸し出されている。

「エクソンが払う賃金は急に上昇した。他のビジネスは太刀打ちできない。従業員はエクソンで働きたくて辞めてしまう。新しい従業員はしばらくはとどまるが,やがて彼らも事故処理の仕事に出かける。レストランの経営は楽ではない。店は1日24時間開かれており,何千人もの人々に食事を出す。過去2か月間に四,五回,店員が入れ替わった店もある。エクソンの払う時間給がどんどん上がるので,店で働く人がいなくなるのだ。病院の従業員は半数がやめてしまった」。

このお金の魅力 ― お金に困っていて札束を切望している人にとっては,確かに誘惑です。『そうだ,日曜日に働ける。時給は30㌦か50㌦だ。日曜日だから12時間働けば,2倍稼げる。車の費用や請求書の支払いを全部済ませることができる』と考えやすいかもしれません。しかし,それは家族をおろそかにすることにもなり,霊的な価値観を見失うことにもなりかねません。『でも長い間ではない。経済的に立ち直れるまでのほんのちょっとの間だ』と自分に言い聞かせます。そうかもしれませんし,そうではないかもしれません。

欲求不満から生まれる感情にはもっと不気味なものがあります。ある人は次のように漏らしました。

「多くの人はエクソン社に対して腹を立てており,過激な行動も表面化している。今は価値体系は崩壊し,ゆがんでいる。人々は,欲求不満や怒りの気持ちから,普通なら嫌悪するような行ないにも,自然に引き寄せられる。多くの人は,原油流出事故が美しいプリンス・ウィリアム海峡や昔から人々の誇りであった幾千もの鳥,ラッコ,アザラシなどの野生動物に及ぼした影響に怒りを抱いている。

「一部の人々は,腹立ちまぎれにアリエスカ社の車を道路から追い出した。爆破するという脅迫もあった。バルディズではエクソン社の社長が,殺すぞという脅迫を何度か受け,臨時に幾百人ものガードマンが雇われた」。

ある代理教師はこう述べています。

「多くの子供は一人で支度をして登校します。私は幼稚園に通う5歳の女の子を知っていますが,その子は朝一人で起きます。母親も父親も何時間も前に流出油の仕事に出かけているからです。朝食を済ませ,学校に行き,帰宅し,夕食を食べ,両親が夜の9時か10時に帰って来るまで独りで過ごします。そういう生活からその子はどんな影響を受けるでしょうか。何を学び取りますか。お金に目がくらんでしまった親がおり,そういう親の子供たちは害を被っています。学校にいる時の子供たちは,余りにも緊張していて勉強どころではありません。教師たちは子供たちに無理強いをせず,物語を読んで聞かせたり,いろいろなゲームをしたりして遊ばせています」。

ある主婦は,無作法で怒りっぽくなったことに気づいています。

「過密状態なのでストレスや欲求不満が募ります。そのため,怒りっぽくなり,感情をぶちまけます。物資が限られているときなど,食料品を買いに出かけた女性の中には,自分が買おうとしていたパンやミルクを他の人に持ってゆかれた人もいました。レストランでは,後から来た人たちが割り込み,他の人たちが1時間待っていたテーブルを取ります」。

次の男性は,人々に生じている事柄についての懸念を表明しました。

「人口がほとんど3倍になったのですから,この地域への影響はかなり厳しいものになっています。人口約2,800人の町が人口9,000人以上の町になったのです。生活用品を手に入れることや,町の中を動き回ることにさえ問題があります。この小さな町の交通はますます混雑するようになり,動き回ることだけでも欲求不満やストレスの原因になります。

「勤め口を見つける機会も劇的に変化しました。時給20㌦ないし50㌦という求人があるので,物事の優先順位に関して平衡を保つことが難しくなっています。物質主義によって家族の責任や霊的な価値観が締め出されないようにするのは挑戦です。私たち夫婦のところにも,遠くフロリダ州やニューヨーク州,またテキサス州やオレゴン州にいる友人たちから長距離電話がよくかかってきました。それは皆,ここに仕事があるかどうかを尋ねる電話でした。

「今の世の中のことですから,どこでも経済面の苦労はありますが,友人たちにはこちらに来ないよう勧めました。彼らはエホバの証人で,私たちもそうですが,私たちは集会に出席したり,神の王国について他の人々に語ったりして霊的な物事を最優先するよう心がけています。彼らにとってもそうするのが最善ですが,今のバルディズのようにストレスの多い状況下では容易なことではありません。物質主義は霊性の成長を妨げるもので,ここではそれが手に負えない状態になっています。

「『金銭に対する愛はあらゆる有害な事柄の根(です)。ある人たちはこの愛を追い求めて信仰から迷い出,多くの苦痛で自分の全身を刺したのです』という,聖書のテモテ第一 6章10節の言葉のとおりです」。

これらのインタビューは,原油流出事故の2か月後に行なわれました。環境浄化作業は今ごろまでに完了すると言われていました。その計画が終了する予定日は9月15日でした。原油流出に関連した清掃作業が終わり,幾千もの勤め口がなくなり,投じられた膨大な額のお金が尽きるとき,長年当地に住み,自分たちの霊的な価値観を全く損なわずに守ってきた人々は,必要な調整を行なうことでしょう。

しかし,バルディズが再びかつての小さな静かな町に戻るまでには何年もかかりそうです。

[12ページの拡大文]

「バルディズは全くの混乱状態だ」

[12ページの拡大文]

暴力に訴えるぞという脅し

[13ページの拡大文]

『金銭に対する愛は,悪の根』

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