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目ざめよ! 1990
目90 10/22 3–7ページ

血液の販売 ― もうけの大きい商売

赤い金! この異名からも分かるように,これは非常に貴ばれている物質です。それは貴重な液体であり,金だけでなく石油や石炭にもなぞらえられてきた非常に重要な天然資源です。しかし,赤い金は,ドリルやダイナマイトを使って岩盤の鉱脈から採掘されるのではなく,より巧妙な方法で人の静脈から採取されるのです。

「お願いします。私の幼い娘が血液を必要としています」。米国ニューヨーク市のある繁華街に大きく掲げられた広告掲示板には,そのような嘆願の言葉が書かれています。ほかにも,「あなたが献血しなければ,この世界は生きてゆけない」,「あなたの血には価値があります。力を貸してください」といった広告があります。

人助けをしたいと思う人々は,その趣旨に賛同するようです。人々は世界の各地でこぞって行列を作ります。そういう人々,および血液を採取する人や輸血を行なう人の大半は,苦しんでいる人たちを助けたいという誠実な気持ちを抱いており,自分が人助けをしていると考えています。

しかし血液は,献血後,輸血される前に,大方の人の想像以上に多くの人の手に渡り,多くの処理が行なわれます。金と同様,血液も貪欲を駆り立てます。血液は,一定の利潤を得る目的で売られた後,さらに大きな利ざやを稼ぐ目的で転売されることがあります。中には,採血権を巡って争う人,血液を法外な値段で売る人,血液で一財産を築く人,果ては血液を国から国へ密輸する人までいます。世界中どこでも,血液の販売はもうけの大きい商売になっているのです。

米国では,かつて献血者は,提供した血液に対する報酬を即金で受けていました。しかし1971年に,英国の著述家リチャード・ティトマスは,そのような方法では貧しい人や病気の人が数ドルのために献血することになるので,アメリカの制度は安全ではない,と非難しました。そして,人助けのために自分の血を提供する見返りとして利益を得るのは倫理に反する,と論じました。ティトマスの非難を受けて,米国では全血の献血者に報酬を払う習慣は廃止されるようになりました(もっとも,所によっては今もなおその制度が存続しています)。それでも,血液市場から上がる収益が減少したわけではありませんでした。なぜでしょうか。

相変わらず血液がお金になった理由

1940年代に入って,科学者たちは血液を幾つかの成分に分別するようになりました。今は分別法と呼ばれるこの処理法のおかげで,血液の売買は以前にもまして利益の大きい商売になっています。どうしてでしょうか。考えてみてください。新型の車を解体してその部品を売ると,1台の自動車として売るときの5倍の値がつくことがあります。同様に血液も,分割して各成分を別々に売れば,価値はずっと高くなります。

血液全体のおよそ半分を占める血漿は,特にお金になる成分です。血漿には細胞成分 ― 赤血球,白血球,および血小板 ― が全く含まれていないので,乾燥させて貯蔵することができます。その上,献血者が全血を提供することは一人1年につき5回しか許されませんが,血漿アフェレーシスによって血漿を提供することは1週間に2回まで可能です。これは,全血を抽出して血漿を分離し,そのあと細胞成分を献血者の体内に戻すという方法です。

米国では今でも,献血者が提供した血漿に対する報酬を受け取ることは許されています。しかも,世界保健機関が勧告している年間許容量の約4倍の血漿を提供することが認められているのです。ですから,世界の血漿供給量の60%余りが米国で採取されているのも不思議ではありません。その血漿はそれ自体で約4億5,000万㌦(約675億円)の価値がありますが,血漿も様々な分画に分別できるので,市場ではもっと価値を帯びます。世界的に見れば,血漿は年間20億㌦(約3,000億円)の収益を上げる産業の拠り所となっているのです。

「毎日新聞」によれば,日本は全世界の血漿の約3分の1を消費しています。その血液成分の96%は輸入で賄われており,その大半は米国からの輸入です。日本国内の批評家たちは自国を「世界の吸血鬼」と呼んでおり,厚生省は血液で利益を得るのは不条理であるとして,その売買に歯止めをかけようとしてきました。事実,厚生省は,日本の医療機関は血漿成分の一つであるアルブミンだけで年間約300億円の差益を得ている,と非難しています。

ドイツ連邦共和国における血液製剤の消費量は,ヨーロッパの他の国々における消費量の総計を上回っています。「例えば,血液」(ドイツ語)という本は,血液製剤についてこう述べています。「半分以上は輸入されている。主に米国からだが,第三世界からも輸入されている。いずれにせよ,血漿を提供して収入を殖やそうとする貧しい人々から採取されたものである」。それら貧しい人々の中には,売った血液の量が多すぎて失血死してしまう人もいます。

民間の多くの血漿製剤製造所は,商売上有利になるように,低所得者層の住む地域や,比較的貧しい国々の国境付近に設けられており,貧困にあえぐ人々や浮浪者たちを引き寄せています。それらの人々は是が非でも血漿をお金に換えたいと思っているので,しかるべき量を上回る血漿を提供したり,持っているかもしれない病気を隠したりすることも十分に考えられます。そのような血漿売買は世界の25か国で盛んに行なわれるようになっています。一つの国で差し止められるとすぐに別の国で始まります。密輸はもちろん,公官吏への贈賄も珍しいことではありません。

非営利事業における営利

しかし最近,非営利の血液銀行も厳しい批判の矢面に立たされています。1986年に報道記者のアンドリア・ロックはマネー誌の中で,血液銀行が献血者から採血するのに1単位当たり57.5㌦(約8,625円),病院が血液銀行から血液を購入するのに88㌦(約1万3,200円),そして患者が輸血してもらうのに375㌦(約5万6,250円)ないし600㌦(約9万円)の費用がかかっていることを非難しました。

それ以降事態は変化したでしょうか。1989年9月,フィラデルフィア・インクワイアラー紙のギルバート・M・ゴール記者は,米国の血液銀行制度に関する連載記事を書きました。a 同記者の1年間に及ぶ調査に基づいた報道によると,一部の血液銀行は人々に献血を懇願したあと向きを変えて,集めた血液を半分も他の血液銀行に売り,かなりの利潤を得ています。ゴールの推測によれば,血液銀行はそのような方法を用いて,幾分証券取引所のような機能を持つ,年間5,000万㌦(約75億円)の取引のある後ろ暗い市場において,毎年約50万㍑の血液を売買しています。

しかし,政府がこの血液取引を監視していないという点で大きな違いがあります。その価格を統制することはおろか,その取引の規模を正確に計ることさえ,だれにもできません。多くの献血者はそれについて何も知りません。退職したある血液銀行関係者は,フィラデルフィア・インクワイアラー紙にこう語りました。「人々は欺かれている。人々は自分の血が我々の手元に集められることなどだれからも聞かされていない。そのことを知ったなら憤慨するだろう」。赤十字の一役員はその問題について,「血液銀行家たちは長年アメリカの民衆を欺いてきた」と簡潔に述べました。

米国だけでも,血液銀行は毎年約650万㍑の血液を集め,3,000万単位を上回る血液製剤を約10億㌦(約1,500億円)で売ります。これは莫大な金額です。血液銀行は「収益」という語を使わず,「出費に対する超過額」という表現のほうを好みます。例えば,赤十字社の1980年から1987年までの間の「出費に対する超過額」は3億㌦(約450億円)に上りました。

血液銀行は,自分たちは非営利組織であると言います。ウォール街の大企業とは違い,自分たちの基金が株主に配分されることはないと主張します。しかし,もし赤十字社に実際に株主がいたとしたら,同社はゼネラル・モーターズ社のような,米国でも指折りの多収益企業の一つに数えられていたことでしょう。実際,血液銀行の役員たちは高給を得ています。フィラデルフィア・インクワイアラー紙が調査した62の血液銀行の役員の25%は年俸が10万㌦(約1,500万円)を超えていました。中にはその2倍以上の俸給を得ている役員もいます。

血液銀行の関係者たちはまた,集めた血液を「売る」ことなどしていない ― 処理にかかる費用を請求しているにすぎない ― と主張します。ある血液銀行関係者はその主張に反駁してこう言います。「赤十字が自社は血液を売っていないと言うのには腹が立つ。それはスーパーマーケットがミルク代ではなくその入れ物の代金を請求しているにすぎないと言うのと同じことだ」。

世界的な市場

血漿の売買と同様,全血の売買も世界中で行なわれています。それに対する批判の声も世界中で上がっています。例えば1989年10月に日本赤十字社は,献血による血液製剤の価格を大幅に切り下げることによって日本の市場に割って入り,波乱を引き起こしました。病院側は保険請求に際し基準価格で血液を購入したと主張することにより,巨額の差益を得ていたからです。

タイの新聞「ザ・ネーション」によれば,アジアでは売血制度を廃止して赤い金の市場を取り締まらねばならなくなった国もあります。インドでは,生計を立てるために自分の血を売っている人が50万人もいます。やつれて力のない人々の中には,許容量以上に血を提供できるよう元気なふりをする人もいれば,血液銀行によって意図的に許容量以上の血を採取される人もいます。

ピート・J・ヘイガンは自著「血液: 賜物か,それとも商品か」の中で,血液銀行による後ろ暗い活動の最たるものはブラジルで行なわれている,と述べています。ブラジルの幾百という商業的な血液銀行は,7,000万㌦(約105億円)相当の取引高のある市場を操っており,無節操な人々を引きつけています。「血の収穫」という本によれば,コロンビアのボゴタにある無数の血液銀行には,貧しい人々や失業者がとぎれることなく詰めかけています。彼らは自分の血0.5㍑をわずか350ペソないし500ペソで売ります。患者は同量の0.5㍑の輸血を受けるのに4,000ペソないし6,000ペソも支払うことがあるのです。

以上の事実から,世界に波及している少なくとも一つの現実が明白になります。血液の販売はもうけの大きい商売になっているということです。『しかし,それがどうしたというのだ。血液でたくさんもうけることがなぜいけないのか』と言う人がいるかもしれません。

しかし,一般にもうけの大きい商売と聞いて眉をひそめる人が多いのはなぜでしょうか。それは貪欲が関係しているからです。例えば貪欲が表われるのは,その大企業が人々に実際には必要ではない物を買わせるときです。さらに悪いのは,危険であることが知られている製品を飽くまでも民衆に押しつけたり,その製品の安全性向上のための出費を渋ったりするときです。

もし血液産業がその種の貪欲に染まっているのであれば,世界中の幾百幾千万という人々の命は大きな危険にさらされていることになります。血液産業は貪欲に駆られて腐敗しているでしょうか。

[脚注]

a 1990年4月,ゴールの暴露記事は,ピュリッツァー賞(公共奉仕部門)を獲得しました。また,この記事の啓発によって,米国議会は1989年の末に血液産業の大規模な実態調査に乗り出しました。

[6ページの囲み記事/図版]

胎盤の売買

出産した直後の女性で,胎児に滋養物を運んでいた組織である胎盤の行方を心配する人は恐らくいないでしょう。フィラデルフィア・インクワイアラー紙によれば,多くの病院は胎盤を取っておいて冷凍し,売却します。米国は1987年の1年間だけで約800㌧の胎盤を船で海外へ送りました。フランスのパリ近郊のある会社は毎日15㌧の胎盤を買い入れています。胎盤からは産婦の血漿が容易に入手できるのです。その会社はそれを加工処理して様々な医薬品を製造し,およそ100か国で販売しています。

[4ページのグラフ/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

血液の主成分

血漿: 血液の約55%。その92%は水分であり,残りはグロブリン,フィブリノーゲン,およびアルブミンといった複合たんぱくで構成されている

血小板: 血液の約0.17%

白血球: 約0.1%

赤血球: 約45%

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