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  • 私が墜落事故に遭った理由と再び飛んだ理由
  • 目ざめよ! 1991
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目ざめよ! 1991
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私が墜落事故に遭った理由と再び飛んだ理由

私たちが6人乗りの単発機セスナ210に乗って,スウェーデンの空港から飛び立った直後のことです。地表近くに立ちこめる朝霧の中を飛んでいましたが,突然,数メートル前方に影のような物体が現われました。あっという間に,燃料を一杯に積んだ右翼がちぎれ,爆発しました。次に,私の脇にあったドアが吹き飛びました。炎に包まれた飛行機は急降下して地面をかすめ,バウンドしてから100㍍近く滑り,低木の茂みに突っ込んで止まりました。

意識がもうろうとして全く方向感覚を失っていましたが,一つのことだけは頭にありました。つまり,炎に包まれたこの残がいから脱出しなければならないということです。やはりガソリンを一杯に積んだ左翼の周りで,炎が燃え上がっていました。私は手探りで安全ベルトを緩め,ガソリンの炎の中に頭から飛び込んで数メートル先のぬかるみに降りました。その時初めて,左足のすねの下部がつぶれているのに気づきました。

飛行機を操縦していた同僚は,ショックを受けていたものの,ほとんど無傷でした。私は同僚に大声で呼びかけ,さらに数メートル移動するのを手伝ってもらいました。それが済むと,同僚は助けを求めに走って行きました。私は少しでも離れようと腹ばいで進みました。精根尽きかけたとき,左翼が爆発して空中に舞い上がりました。燃える破片が周りに降ってきました。静寂の中,ガソリンで発火した小さな火だけがパチパチと音を立てていました。

私はぬかるみに仰向けになって救急車を待っていた時,二人とも死んでいてもおかしくはなかったのにと思いました。その時ほど,命を当たり前に考えてはいけない,大切にして賢明に用いなくてはいけないと痛切に感じたことはありませんでした。

それにしても,私はもう一度飛ぶ気になるでしょうか。ただでさえ軽飛行機で飛ぶことにかなり神経質な人は少なくありません。その上こういう事故について聞けば,ますます恐ろしくなってくるかもしれません。しかし,どんな危険が潜んでいるか,また,そうした危険をどうすれば効果的に防げるかを正確に理解すれば,軽飛行機で飛ぶことについて抱くかもしれない,いわれのない恐れを和らげることができます。

なぜ墜落事故に遭ったか

私が自家用機に初めて乗ったのは20年前のことです。意外にも楽しい経験でした。『これは旅行するのにもってこいの方法だ。販売部長として仕事をしてゆくうえで,かなりの時間を節約できるかもしれない』と私は考えました。すぐに操縦の仕方を覚えました。今までの飛行時間は約2,000時間になります。技能証明にあるとおり,私は計器飛行の資格も持っています。これは視界不良のときに必要です。

しかし,あのドラマのあった朝,私は乗客として飛行していました。スウェーデン南部のエースレーブという町から首都ストックホルムまで約500㌔飛ぶ予定でした。帰りは新しい飛行機に乗って,エースレーブに戻ることになっていました。ところが,離陸後27秒で旅は終わりました。なぜでしょうか。人間的なミスがあったのです。パイロットは霧の中で位置の判断を誤り,下げ翼を上げるタイミングが早すぎてしまいました。そのため揚力を失って急降下し,塔に衝突したのです。

空の安全はおもに三つの要素にかかっています。つまり,飛行機の信頼性とパイロットの判断力と経験です。それでも,多くの手順が確立されており,そうした手順を踏めば極めて安全に空の旅ができるようになっています。

離陸前

良心的なパイロットは飛び立つ前に,自分の技能証明,体調,飛行機,天候,乗客,使う飛行場の状態などの要素を注意深く確認します。

今日の新型の飛行機の場合,物理的欠陥や機能的欠陥のために墜落することはめったにありません。とはいえ,すべての飛行機には飛行日誌が置いてあり,パイロットは毎回の飛行や発見した欠陥に関する記録をつけなければなりません。そうした欠陥は,次の飛行の前に公認の整備工場で修理する必要があります。その上,エンジンやプロペラなど飛行機の各部や大抵の計器類は,整備指定日まで一定の期間しか使うことができません。その期限が切れると,たとえ完全に機能するとしても,普通は航空規定によって交換か完全なオーバーホールが義務づけられています。パイロットは毎日,最初の飛行前に,決まったチェックリストに従って飛行機の点検をしなければなりません。大抵のパイロットは,こうした安全確保の手順を綿密に守ります。結局,パイロットの命もそれにかかっているからです。

興味深いことに,飛行機の幾つかの装置,例えばエンジンのマグネト発電機や点火装置,高度計,着陸装置などには,予備の装置があります。万一,主要装置が故障しても予備が代わりに働き,飛行機は安全に着陸できます。もちろんパイロットは,飛行機に生じ得る故障をすべて予期できるわけではありませんが,仮に何かの機械が故障した場合でも十分な技術によって大事故を防ぐことができます。

パイロットは飛行前に,有視界飛行方式で飛ぶか,計器飛行方式で飛ぶかということも決めます。計器飛行で飛ぶ飛行機は,レーダーを使った航空交通管制部によって監視されます。しかし軽飛行機のパイロットの中には,計器飛行の技能証明を持っていない人が少なくありません。

有視界飛行の危険を無くす

有視界飛行ができるのは,視界が良好なときだけです。では,天候が悪くなる場合はどうでしょうか。パイロットは徐々に高度を下げて,雲の下を飛行するかもしれません。そうするにはパイロットの側に確かな技能と注意力が求められます。それよりも,引き返して代替飛行場に着陸するほうがよい場合もあります。もしパイロットが飛行を続けることにするなら,一層大きな問題に陥るかもしれません。飛行機の無線装置や航法計器は高度が低いと能力が落ちるのが普通だからです。

低く飛ぶことができない場合,パイロットは直ちに航空交通管制部の助けを求めることができます。しかしまずしなければならないのは,安全な高度まで上昇することかもしれません。計器飛行の訓練を受けていないパイロットは,雲の中での飛行にまごつく場合があります。それで落ち着いて,最も重要なことに集中しなければなりません。適切な速度と角度でまっすぐ前方に向かって上昇するのです。無線航法の交信はすぐに回復します。すると飛行機はレーダーにとらえられ,しかるべき飛行場に着陸するための助けが受けられます。

助けを受けずに有視界飛行をしているときには別の危険もあります。無制限に多くの飛行が行なわれている所を飛ぶ場合は,常にあらゆる方向に気を配っていなければなりません。交通量の増加と高速化が原因で,そういう所での衝突事故が増えています。また,航路のミスがあったり,強い向かい風が吹いていたりすると,燃料が足りなくなる場合もあります。

しかし,こうした問題は大方,綿密な計画を立てれば防げます。良いパイロットは,15分から20分おきに位置を確認し,必要に応じてコースを修正します。位置が分からない場合は,航空交通管制部に連絡できます。管制部では,レーダーで飛行機の位置をとらえたり,飛行機の無線送信によって位置を確認したりできます。万一,これもだめな場合は,大きな湖や川など簡単に見分けのつく場所を目指して飛ぶことができます。(未熟なパイロットは見失った目印を探すために旋回しようとするかもしれませんが,普通は無駄に終わり貴重な燃料を消費してしまいます。)

着氷の問題

ある一定の大気条件のもとでは,着氷にかかわる問題が起こり得ます。ほとんどの自家用機は,除氷装置をわずかに備えているか,全く備えていないかのいずれかです。機体のいろいろな部分に氷が着くと,速度が徐々に落ちて,ついには飛行できなくなるかもしれません。雲の上層を飛ぶ場合は,夏の暖かい日でも着氷の危険が潜んでいます。

しかし着氷が実際に起きても,パイロットは暖かい所まで降下するだけで簡単に難を逃れることができます。とはいえ,地表付近の気温が氷点下に近いような場合はどうでしょうか。これは深刻な状況かもしれません。パイロットは飛行の是非を慎重に考えてみるべきです。しかし空気が乾燥していて晴れ上がっているなら,気温が低くても着氷の危険はほとんどないのが普通です。

雷雲の中の飛行

雷雲(積乱雲)の中を飛ぶことには,さらに別の危険が伴います。軽飛行機だけでなく大型の民間航空機も,そうした雲の中で深刻な被害を受けたことがあります。この場合に大きな脅威になるのは稲妻ではなく,ものすごい風力や,時にはこぶし大にもなる雹にぶつかることです。パイロットは大抵,そういう雲を見て避けることができます。しかし,そのような条件下で安全に飛行する方法がない場合は,どうしたらよいでしょうか。賢明なパイロットは,悪天候には逆らうなという言葉を知っています。地上にいるということです。

以上,小型自家用機で飛ぶことに伴う危険を幾つか考えました。正直に言って,全く危険を伴わずに自家用機で飛ぶということは不可能です。しかし,これはどんな乗り物についても言えることではないでしょうか。それでも自家用機は,きちんとした装備があって正しく操縦するならば,比較的安全で便利な乗り物です。ですから,乗客として旅行する場合であれば,パイロットが技能証明を持っていることはもちろん,賢明で信頼できること,生命を尊重する人であることを確認するようにしてください。

私は安全に関する要素を知っているので飛び続けています。パイロットとしていつも自問するのは,安全確保のために自分にできることがまだあるだろうか,万一に備えて十分な代替手段の計画を立てただろうかということです。他の人の命を預かるというのは大変なことです。ですから,無謀な冒険のような飛行は絶対にしてはなりません。飛行機は人の益と楽しみのために使うべきです。そして何よりも安全に飛行しなければなりません。―寄稿。

[15ページの図版]

不時着した場合すべてが,私の事故のように大破や負傷に至るわけではない(上)。この不時着した飛行機から3人が歩いて逃げた(挿入写真)

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