ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 目93 4/8 20–23ページ
  • 大勢の人が苦しんでいる ― 助けることは可能か

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • 大勢の人が苦しんでいる ― 助けることは可能か
  • 目ざめよ! 1993
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • 反対の声が上がるようになった
  • 今でも残っている
  • 誤った考えに基づく伝統
  • 宗教とのつながり
  • 女子割礼 ― なぜ行なわれるのか
    目ざめよ! 1985
  • 「うちの坊やに割礼を施すべきだろうか」
    目ざめよ! 1982
  • 割礼 ― 男らしさのしるし?
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 2007
  • 割礼
    聖書に対する洞察,第1巻
もっと見る
目ざめよ! 1993
目93 4/8 20–23ページ

大勢の人が苦しんでいる ― 助けることは可能か

アフリカの「目ざめよ!」通信員

もしあなたに力があれば,人の苦しみを取り除いてあげるでしょうか。もちろん,そうなさるに違いありません。しかしそれは力があればの話です。現実には,世界中に見られる苦しみや苦痛をすべて終わらせる手段を持ち合わせている人は一人もいません。

それでもあなたには,周囲で起きている苦しみを幾らかでも減らす力が,もしかすると防ぐ力さえあるかもしれません。例えば,様々な国で大勢の女性たちが,古くからある根深い伝統のために劇痛と苦痛にさいなまれています。親が伝統にしたがい,娘のためによかれと思って娘の性器の一部あるいは大部分を切り取るよう取り計らうのです。これは女子割礼と呼ばれてきました。a しかし,ほとんどの専門家は今ではこれをFGM(female genital mutilation,女性性器切除)と呼んでいます。この言葉のほうが,その慣例を正確に表わしています。

FGMについて述べた「ホスキン・レポート」によれば,性器切除は東アフリカから西アフリカにまたがる広い地域で,またそれに隣接する地域で行なわれています。痛みを伴うこの女性性器の切除は健康上の問題を引き起こし,命を脅かすこともあります。

反対の声が上がるようになった

この慣習に反対する意見を口にするのは容易なことではありませんでした。ケニアの新聞「スタンダード」はこう述べています。FGMは「これまでほとんど秘密に覆われてきた。この手術をやめさせたいと思う女性や男性が反対の声を上げるのは困難で,時には危険を伴った。彼らは,反伝統的,反家族的,反宗教的,反国家的,自分の民族と文化を退ける者としてしばしば非難される」。

同紙はこう説明しています。FGMは「“害のない文化的習慣”ではなく,女性や少女にとっては不治の身体障害や死の主因となるものである。……健康かつ正常に発育するという,少女ならだれもが有する権利への侵害である」。

アフリカ全土で,そして世界各地で,この慣習について人々を教育しようと声を上げる人は少なくありません。少女たちが幼い時から痛みと損傷に苦しめられています。FGMを正当化する医学的な証拠は全くありません。

痛みを伴う一生治らない障害が何件も起き,死亡例も報告されているため,多くの国の保健関係者や政府は憂慮しています。FGMはアフリカでのエイズ感染に一役買っているらしいとさえ言われています。アフリカや中東からの移住者がオーストラリア,カナダ,ヨーロッパ,米国などに流入しているため,FGMは,欧米の一部の保健機関で公衆衛生上の問題へと発展しつつあります。身体的な合併症や,少なくない心理的な傷に対する継続的な治療にかかる費用も見落とせません。

この慣習を抑制するための法律をすでに定めた所や,現在定めようとしている所があります。ヨーロッパでFGMが違法とされている国としては,英国,フランス,イタリア,スウェーデンなどがあります。カナダのグローブ・アンド・メール紙は,FGMは「オンタリオ州の医師たちを管轄している取締り機関によって禁止されている」と伝えています。さらに同紙は,「カナダの法律は女子割礼や陰部閉鎖術に直接言及していないが,連邦職員たちは,そのような習慣は児童虐待あるいは加重暴行の一形態と考えてよいと語った」とも述べています。

世界保健機関など,幾つもの国際機関はFGMをやめさせることに努めてきました。一つの里程標に到達したのは,1990年9月に,セネガル,ウガンダ,ジンバブエといったアフリカ諸国の大統領を含む,世界の指導者たちがニューヨークに集まり,子供の権利条約に調印した時でした。その条約では,女子割礼は拷問また性的な虐待とされています。

ロンドンのエコノミスト誌(英文)はこう伝えています。「女子割礼 ― 正しくは,性器切除と呼ばれる ― は今でもアフリカに残っている言語に絶する残虐行為の一つである。ロンドンを本拠地とする少数派権利擁護グループの報告によれば,……毎年幾千万人もの少女が影響を受けている」。

同誌は続けてこう述べています。「手術法は軽い痛みを伴うものから身の毛もよだつようなものまで様々であり,ナイフやガラスの破片やカミソリを使って陰核その他の器官を切り取ることもある。しかし,麻酔をかけることはめったにない。これは月経や性交や出産に関連した深刻な問題を引き起こし,心理的な障害や死さえ招きかねない。……女性の性に対する迷信的な恐れ,習慣,これが衛生的だという間違った考えなどがあるためにいまだに続いている」。

今でも残っている

多くの女性がこの手術を受けてきたアフリカのある国では,はなはだしい切除術は1947年に制定された法律で禁止されています。それでも,この儀式は今も行なわれています。どうしてなのでしょうか。数多くの善意の人々が,誤った情報を伝えられ,FGMは有益であるとの思い違いをしているからです。例えば,村の年配の女性たちはFGMが女の子のためになると信じています。そのため,ナイジェリアのガーディアン紙が伝えているとおり,「この習慣を続けている年長の女性たちの考え方を変える必要がある」と,少数派権利グループは言います。

ナーシング・タイムズ誌も同じように,「女子割礼と真剣に闘うには教育よりほかに方法はない」と論じています。さらに,「意識を高め,女性だけでなく男性も教育しさえすれば,この問題はすべて根絶できる」とも述べています。男性も教育すべきなのはなぜでしょうか。割礼を受けていない女性を受け入れない男性のところに娘を嫁がせようとして,手術代を払う父親が少なくないからです。

FGMがなくならないもう一つの理由にはお金がからんでいます。「アメリカ看護ジャーナル」誌はこう述べています。「割礼を施すことに関係している人たちにとって,割礼は確実な収入源である。したがって,割礼を存続させることに特別の関心を持っている」。年長の女性だけでなく,助産婦や理容師も手術を行なって支払いを受けます。また,病院の看護婦や医師の中には,少女たちを不衛生な手術による危険や外傷から守るため,割礼を施している人もいます。しかし,だれが施すにしても,損傷が伴うことに変わりありません。

子供を産める年齢の大人の女性が,この手術を繰り返し受けさせられるという例もあります。ニューヨーク・タイムズ・インターナショナル紙はこう述べています。「多くの女性は出産が終わるたびに,痛みを伴う割礼解除術と割礼再手術を何回も受ける。割礼による瘢痕部分を出産の前に切り開き,出産後に縫い合わせる。これは多量の出血を引き起こし,出産を長引かせ,胎児が脳の損傷を負う危険を大きくする」。

ニュー・サイエンティスト誌は,「不器用な手術者が陰部動脈や陰核背動脈まで切ってしまい,[多数の]少女が出血多量で死んでいる。だれも蘇生術を知らず,病院が遠いため,また関係者たちが手術の失敗を恥じて助けを求めるのを渋るため,術後ショックで死ぬ少女たちもいる」。

それでもこの習慣は続いています。FGMに関する記事は,相変わらずアフリカやヨーロッパの新聞に載ります。あるアフリカの雑誌は最近次のように伝えています。「女性性器切除の犠牲者の大部分は赤ちゃんや少女である。親は,それが正しい事また必要な事であると考えて娘に割礼を施すが,手術とその後の結果は拷問に匹敵する」。ロンドンのインディペンデント紙(1992年7月7日付)によると,最近の調査の結果,「英国では以前に考えられていたよりも広まっていた」ことが明らかになりました。英国では,1万人以上の少女が「女子割礼の危険にさらされており,そのほとんどは8歳以下の少女」です。

誤った考えに基づく伝統

中には,女性の性器は不潔で,切り取って清めなければならないという誤った考えを信じている人もいます。そのような人々は,性の喜びを味わう権利は男性だけが持っていると考えます。さらに,FGMは受精能力を高め,不貞を思いとどまらせ,若い女性が結婚できる可能性を大きくするとも考えられています。タイム誌は,「皮肉なことに,切除に起因する不感症や不妊のため,多くの夫が花嫁を遠ざける結果になる」と述べています。

最近ナイジェリアのラゴスでインターアフリカン委員会の会議が開かれ,出席者たちは,女子割礼を施しても女性が相手構わず関係を持つのを防げるわけではないとし,早くからの道徳教育のほうがはるかに有益であると述べました。間違った行為は切除することによってではなく,教育によって防ぐことができます。例えで考えてみましょう。赤ん坊が大きくなって泥棒にならないようにするため,赤ん坊の腕を切断すべきでしょうか。あるいは,悪い言葉を口にしないようにするため,赤ん坊の舌を切り取るべきでしょうか。

ナイジェリアのある夫婦は,娘に割礼を施すのを断わりました。夫の母親は,その子が大きくなって相手構わず男と関係を持つような女になってしまうと考えて激怒しました。しかし,この少女は道徳面で立派に育て上げられたので,純潔を保ちました。それとは対照的に,この家族が知っている何人かの子供たちは,親から時間をかけて立派な道徳観念を教わらなかったため,割礼を受けてはいましたが,最後には見境なく男性と関係を持つようになりました。今では,この夫の母親は,大切なことは割礼を受けているかどうかではなく,神の道徳律を子供に教え込むことだと確信しています。

娘を愛する親は,FGMが娘の生活にもたらす悪い結果について筋道を立てて考えるでしょう。そしてこの習慣を決して助長したり勧めたりはしないことでしょう。それには勇気が必要です。場所によっては,この伝統に従わせようとする地域社会の圧力が非常に強いからです。

宗教とのつながり

FGMの歴史は多くのことを教えてくれます。この習慣は何千年もの歴史を持ち,古代エジプトのミイラにもその跡が見られます。「形成・再建手術」という雑誌(英文)は,「女子割礼は古代エジプトで行なわれていたもので,神々は両性愛者であるというファラオの信念と関係がある」と述べています。今日でも,最もはなはだしいタイプのFGMは,英語ではファラオの名にちなんで呼ばれています。

古代の宗教儀式とFGMとが関係している所もあります。アフリカ人の一権威者の説明によれば,先祖の神と交渉を持つ行為とみなされているある特定の儀式があり,少女の手術が無事に終わるよう,また同時に少女に先祖の知恵が授けられるよう,その神に祈願が行なわれます。―コリント第二 6:14-18と比較してください。

FGMが行なわれている国に住む真のクリスチャンがこの伝統に従わない理由を理解するのは難しいことではありません。聖書の中には,女性の体を損なうそのような手術の必要をほのめかしている箇所すらありません。女性が結婚関係の中で性の喜びを味わえるよう創造者が女性をお造りになったことは明らかです。女性性器切除は,聖書が勧めている愛,感情移入,道理をわきまえるなどの原則と調和しません。―エフェソス 5:28,29。フィリピ 4:5。

最も大切なこととして,愛の神エホバは,体の一部を切除する道理に外れたこの行為と,その結果大勢の女性と幼い少女たちが苦しんでいることに心を痛めておられます。神が,だれ一人苦しむことのない新しい世を約束しておられるのは,本当にうれしいことです。―啓示 21:3,4。

[脚注]

a 「目ざめよ!」誌,1985年6月22日号の,「女子割礼 ― なぜ行なわれるのか」という記事をご覧ください。

[21ページの囲み記事]

男性の割礼はどうか

男性の割礼も体の一部を切除することではないかと質問する人もいるかもしれません。聖書の述べるところによれば,神はある時期,男性に割礼を義務づけておられました。後に,クリスチャン会衆が設立され,割礼は禁止はされませんでしたが,もはや要求されることはありませんでした。自分や自分の息子が割礼を受けるかどうかは,男性各人の決定に任されています。

今日,男性の割礼が行なわれている所は少なくありません。もちろん,手術をして体の一部を切り取ることが含まれるわけですが,決してFGMに対応するものではありません。通例,男性は割礼を受けた後,有害な作用を経験しません。それとは対照的に,女性の場合はFGMの結果,月経,性交,出産,排尿など,女性の正常な機能に一生激しい苦痛が伴うことになる場合が珍しくないのです。さらに,極度の難産のため,新生児に重大な先天的欠損症が現われたり,新生児が死んだりすることも少なくありません。

性交の際の感覚を全く失うほど陰茎に損傷をきたし,一生治らない痛みや健康上の危険を招くような手術を受ける,また息子に受けさせるような男性が何人いるでしょうか。確かに,男性の割礼とFGMでは比較になりません。

[23ページの囲み記事]

アフリカのある少女の率直な意見

『8歳の時に割礼を受けました。今11歳ですが,手術の様子は今でもよく覚えています。考えただけでも気分が悪くなり,時々いやな夢を見ます。ふだんは楽しくしていますが,そのことを考えると死んだような気持ちになります。

『最初にそれを聞いた時は,すごくうれしかった。家族も親戚の人も,プレゼントをたくさんあげると言ってくれたから。割礼の手術がどんなものか知りませんでした。痛いなんて思っていませんでした。

『わくわくした気持ちも消えてしまいました。わたしは泣きだし,とても怖くなりました。両手と両足を4人の女の人に押さえられ,一人は手でわたしの口をふさぐんです。振りほどこうとしたけど,力では勝てなくて,力ずくでまた押さえ込まれました。とっても痛かった。

『ナイフで切られると,そこらじゅう血だらけになりました。こんな痛さがあったなんて知りませんでした。手術が終わると,傷口には卵と砂糖を混ぜたものがあてがわれ,それから,両足をくっつけたまま縛られました。車で家に運ばれました。村に帰る途中ずっと泣き続けました』。―ケニアのスタンダード紙からの抜粋。

[20ページの図版のクレジット]

WHO/OXFAM

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする