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目ざめよ! 1995
目95 2/8 20–23ページ

自閉症 ― 謎めいた障害に対処する

クリストファーは目鼻立ちの整った行儀の良い男の子でしたが,1歳6か月の時に,自分の名前を呼ばれても反応しなくなりました。最初は,耳が聞こえないのではないかと思われましたが,キャンディーの包み紙の音はいつでも聞き分けました。

やがて,ほかにも不可解な行動が見られるようになりました。おもちゃを使って普通に遊ぶよりも,おもちゃの車輪をひたすら何度も空回りさせるのです。液体に異常な関心を抱き,事あるごとに液体をこぼしてしまいました。それに加えて,クリストファーはよじ登ることが好きだったので,危険な状況が数多く生じ,母親は大きな心配の種を抱え込むことになりました。

一番困った問題は,クリストファーが人々に気づかないことで,あたかも人が全くいないかのように,しばしば人々を見て見ぬふりをしているように思えることでした。2歳になるまでには,全く話をしなくなりました。暇さえあれば体を前後に揺すり,激しいかんしゃくを起こすようになり,その訳を両親が理解できないことも少なくありませんでした。当惑した両親は答えを探し求めるようになりました。

クリストファーに何が起こったのでしょうか。甘やかされたり,無視されたりしたのでしょうか。知恵後れ,それとも精神分裂病なのでしょうか。そうではありません。クリストファーは全米に少なくとも36万人いる自閉症患者の一人なのです。この謎めいた障害は,全世界の子供1万人当たり四,五人の割合で生じ,一生続く難問を突き付けて来ます。

自閉症とは何か

自閉症は脳の障害であり,社交的な行動や意思伝達の技術や思考力が正常な発育を遂げることができません。自閉症になると感覚器官を通して情報が処理される方法に影響が及び,患者はある種の感覚(視覚,聴覚,嗅覚など)に異常に反応したり,他のものにはあまり反応しなかったりします。自閉症が進むと,様々な種類の異常な行動特性が見られるようになります。普通,症状は3歳になる前に発現しますが,子供によって症状は大きく異なります。次に挙げる実例を考慮してください。

愛情をもってかわいい我が子と交流しようとしても反応がないとしましょう。これは自閉症の子供によくあることです。自閉症の子の大半は,人と交流を持つよりも独りでいることを好みます。抱かれるのを嫌い,目の接触を避け,人を道具のように扱うことがあります。他人の感情にはほとんどお構いなしです。ひどい場合には,家族と見知らぬ人の区別がつかないこともあるようです。自分だけの世界に住んでいるように見え,周りの人々や出来事を気に留めません。英語の“オーティズム”(自閉症)という語は“自己”を意味するギリシャ語のアウトスに由来し,この自己陶酔の特質を指しています。

自閉症の子供たちは人々に対しては無関心ですが,特定の物体や活動に夢中になることがあり,一度に数時間,奇妙な方法で繰り返しそれを行ない続けます。例えば,おもちゃの車を本物とみなして遊ぶ代わりに,それをきちんとまっすぐに並べたり,車輪を際限なく回したりすることがあります。他の方法で同じ動作をずっと繰り返すこともあります。自分たちの日課に変化が生じることには我慢できず,毎回全く同じ方法で行なうと言い張ります。

自閉症の子供たちは,遭遇する出来事や状況に対して異常な反応を示すこともあります。自分が経験していることを表現できない子がほとんどなので,彼らの反応は不可解なことがあります。ほぼ半数は口がきけず,話せる子も言葉遣いはたいてい普通ではありません。はいと言って質問に答えるよりも,質問をただ繰り返すこと(反響言語と呼ばれる現象)があります。その場にそぐわない奇妙に思える言い方,その子供の“暗号”に通じている人しか理解できない言い方をする子もいます。例えば,ある子供は「窓」を表わす表現として「外は真っ暗」という言い方をしました。身ぶりを使うのが難しい子供も多く,必要を知らせるために金切り声を上げたりかんしゃくを起こしたりすることがあります。

適切な治療を受ける

自閉症は他の点では問題のない子供の感情的な引きこもりであるというのが,1940年代,50年代,60年代の多くの専門家の見方でした。子供の問題に関する責任は両親,特に母親にあるとされました。1960年代に,自閉症がとらえ難い脳障害に起因することを強力に裏づける証拠がそろい始めました。(ただし,その実体は今でも正確には分かっていません。)そのため,自閉症の治療については,精神療法から教育へと,力点の置かれる場所が変わりました。教育のための特別な技術が開発され,問題となる行動を軽減する面でも,必要な技術を教える面でも効果をあげてきました。このことや他の進歩の結果として,多くの自閉症患者がりっぱな進歩を遂げ,中には適切な援助と支援により,仕事を持って半ば自立した生活を送ることのできる人もいます。

しかし,自閉症の子供が適切な治療を受けることは闘いとなる場合があります。様々な理由により,自閉症が数か月,ある場合には数年間も認知されず,適切な診断が下されないことがあります。他の障害のために作成された教育プログラムが自閉症の子供たちの特別な必要に合致しないかもしれません。それで多くの親は子供のために必要な世話を受けようとして,医師や教育家や福祉関係の事務所など,不慣れな世界に何度も踏み込んでゆくことになります。

日常生活

ほとんどの若者とは異なり,自閉症の子供たちは周囲の状況から情報を直ちに吸収することはしません。彼らに家庭や地域社会で必要とされる基礎的な技術を教えることは難題であり,ゆっくりとした地道な過程です。毎日の雑事のため,親は仕事から仕事へと追い立てられることがあります。服を着たり食事をしたりトイレに行ったりするのを助け,破壊的で不適切な振る舞いを矯正し,事故の後片づけをする,といった仕事です。ある親は,「[息子が]10歳になるまでは,一日一日を生き延びるのがやっとという感じでした」と述懐しています。

こうした緊張に加えて,絶えず子供を監督している必要もあります。「トミーを四六時中見守っている必要があります。なぜならトミーには危険に対する感覚がほとんどないからです」と,母親のリタは言います。自閉症の多くの子供たちは睡眠のパターンも定まっていないので,寝ずの番が夜まで続くことも珍しくありません。この記事の冒頭で述べたクリストファーの母親フローレンスは,「私は言わば片目を開けたまま眠りました」と注解しています。

子供たちが大きくなるにつれて,こうしたことの必要性は減少する場合もありますが,必要が大きくなることもあります。進歩しているとしても,自閉症患者のほぼ全員が,生涯を通じてある程度の監督を必要とします。成人の自閉症患者に適した住居施設はあまりないので,自閉症の子供を持つ親は,これから終生の世話を自宅で行なうか,それが不可能なら,成人した子供を施設に入れるかという問題に直面します。

一般の人々と接する

ローズマリーはこう述べています。「ジョイはもう18歳ですが,私たちにとって一番大変なのは息子を人前に連れ出すことです。大半の自閉症の子供たちと同じように,息子も外見は正常ですが,振る舞いが振る舞いですから人々はじっと見て笑い,いろいろと言います。時々,ジョイは通りの真ん中で立ち止まり,指で空気にものを書き始めます。車のクラクションやせきのような大きな音を聞くとひどく興奮し,『ノー,ノー,ノー』と叫びます。いつでもそうですから本当に神経を使います」。別の親は,「人に説明するのが難しいですね。『息子は自閉症です』と言っても理解してもらえません」と付け加えています。

こうした難しい問題があるわけですから,おもに面倒をみる親(大抵は母親)は,ともすると孤立しがちです。「私はもともと内気な人間で皆に注目されるのは好きではありません。それで,早朝や食事の時など,人が普通はいない時間帯にジミーを遊び場に連れて行きます」と,メアリー・アンは言います。(詩編 22:6,7と比較してください。)他の親にとっても,大きな問題となるのは,外出させることです。シーラは,「私は時々,家の中に監禁されているように感じることがありました」と述べています。

家族が一緒にいる

「自閉症の子供たち」の中で,マイケル・D・パワーズは,「自閉症の子供にとって最も大切なことは……子供の家族がそばに一緒にいることである」と書いています。これは大変な難題です。自閉症の子供を育てる難しさが,感情面で大きな衝撃を与える,想像を絶するほどの体験に加味されるのです。強烈で痛みの伴う恐怖心が芽生え,配偶者との意思の疎通が抑制されることがあります。双方が特別な愛と支えを必要としている時に,どちらもあまり与えることができないかもしれません。こうした特別の圧力にもかかわらず,数多くの夫婦がこの難題に首尾よく立ち向かってきました。

ロビン・シモンズが書いた「涙の後で」という本には,そのように成功している夫婦の経験から引き出した次の三つの提案が載せられています。第一に,「最もつらい感情を調べ,それを分かち合う」方法を探すことです。第二に,家の中の役割と取り決めに再検討を加え,仕事の荷がふさわしく分担されるよう調整を図ることです。第三に,二人きりで一緒に物事を行なう時間を定期的に計画してください。パワーズ医師はさらにこう述べています。「優先順位を定め,自分の時間を振り分け,すべての人の必要に関して平衡を保ち,どれだけの時間を充てることができるかを決定するに際しては,お子さんの必要やお子さんへの愛着のゆえに家族生活を危険にさらしてはならない」。―フィリピ 1:10; 4:5と比較してください。

自閉症の影響は深刻ですが,自閉症の影響を受けている人は助けを得ることができます。重要な要素は早期発見であり,そうするなら適切な治療が可能です。その後,産出的な方向に向けて努力することができます。意思の伝達が十分になされ,バランスよく資産が用いられているなら,家族が不必要に疲れ果てることはないでしょう。(箴言 15:22と比較してください。)親にとって,親族や友人からの理解と積極的な援助は,どうしても必要な支えです。人々が自閉症を知り,地域社会内の自閉症患者を受け入れるなら,思慮を欠いてそうした家族の重荷を増し加えてしまうことは避けられます。こうしてわたしたちは皆,自閉症という難題と取り組む点で自分の分を果たすことができます。―テサロニケ第一 5:14と比較してください。

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ある親は,「[息子が]10歳になるまでは,一日一日を生き延びるのがやっとという感じでした」と述懐する

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特別な能力

自閉症の子供たちは,細かい小さなことをすばらしく記憶できるといった特別な能力を示すことがあります。音楽の能力にたけている子もいて,音符が読めなくても複雑な楽節を演奏することができます。過去や未来の特定の日の曜日をすぐに言える子供もいます。数学の才能がある子もいます。

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他の人はどのように助けになれるか

接触を保つ: 最初のうち家族は問題に押しひしがれているので,自分の気持ちを他の人に伝えることはできないかもしれません。辛抱強く,識別力と根気強さをもって,援助の手を差し伸べてください。彼らが話す気になっている時には,圧力をかけずに聴いてください。

すぐに助言を与えない: 自閉症の子供たちは一見甘やかされた子,もっと効果的に訓練すればそれですむ子だと思われがちです。ですから両親は,善意に基づいてはいても状況を知らない他の人からの助言を受けることが多いのです。そのような“単純な解決策”は奮闘している両親に屈辱となり,だれも理解してくれないと感じさせることがあります。

その家族と共に様々な活動に携わる: 自閉症の子供を抱えている家族は,他の家族が楽しんでいる社交的な活動やレクリエーションから外されていると考えることがよくあります。彼らを家族の交わりに招待してください。特別な配慮に値する必要があるなら,彼らのために便宜を図るようにしてください。その家族は特別な招待に応じることができなくても,招かれたことに感謝するでしょう。

子供の世話を申し出る: 家族が最も必要としていることの一つは,自閉症に関係してひっきりなしに生じる仕事から,しばしの間解放されることです。まずは,一度に数分間だけ子供を世話することを申し出ることにしましょう。やがて,家族は一晩外出できるようになるかもしれず,週末の休暇も可能になるかもしれません。そのような休息は新たな力を得るよう家族を助ける点で大いに貢献します。

家族に与えられる具体的な援助に勝って大切なのは,他の人から愛されている,高く評価されているという自覚です。要するに,自閉症の子供を持つ家族のためにできる最善の事柄は,彼らの友達であり続けることです。

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