世の終わりに関する予言
「これまで何千年にもわたって,陰うつな預言者たちは,世の終わりが近いと予言してきた」―「予感: 未来への飛躍」。
キリストの死後ちょうど1,000年たった1033年のこと,フランスのブルゴーニュ地方の住民はひどくおびえていました。その年に世の終わりが来ると予言されていたのです。すさまじい雷雨がいつになく多く,大飢きんも起きるに及んで,いよいよ最後の審判の時が来たという緊迫感が高まりました。大勢の人が公に悔い改めを表明しました。
その数十年前,キリストの誕生から1,000年目の年(当時受け入れられていた年代計算による)が近づいていた時,多くの人は世の終わりが迫っていると考えました。ヨーロッパの修道院での芸術活動や文化活動はほとんど停止したと言われています。エリック・ラッセルは自著「占星術と予言」の中で,「『今や世の終わり近ければ』という文句は,10世紀後半に作成された遺言の中ではごくありふれた決まり文句であった」と述べています。
マルティン・ルターは16世紀に宗教改革を開始した人ですが,自分の生きているうちに世の終わりは来る,と予言しました。ある筋によれば,ルターは,「私としては,裁きの日は確かに間近いと思う」と述べました。別の著述家はこう説明しています。「ルターは歴史上の出来事と聖書預言を相互に関連させることによって,最後の大変災の近いことを布告することができた」。
19世紀には,一般にアドベンティスト教会の創設者とされるウィリアム・ミラーが,キリストは1843年3月から1844年3月までの間のどこかの時点で再来する,と予言しました。その結果,ある人たちはその時になったら天に連れ去られるものと期待しました。
比較的最近では,ウクライナで発足した「白い兄弟」という宗教団体が,この世界は1993年11月14日に終わる,と予言しました。米国では,ラジオ福音伝道師のハロルド・キャンピングは,1994年の9月に世の終わりが来る,と述べました。世の終わりの日付に関するそれらの予言が間違っていたことは明白です。
こうしたことから,人々は世界が終わると考えなくなったでしょうか。いいえ,その逆です。1994年12月19日号のUS・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は,「西暦2000年に始まる新たな千年期が近づいているため,最後の審判の日に関する預言が氾濫している」と述べています。また同誌は,「アメリカ人のほぼ60%は,将来いつかはこの世界が終わると考えている。また,その3分の1は,今後二,三十年のうちに終わると考えている」と報じています。
世の終わりに関する預言がこれほど多いのはなぜでしょうか。世の終わりが来ることを信じるもっともな理由はあるのでしょうか。