人間はなぜ死ぬのか
「峰はみな しずもり 梢に 風の そよぎなく 小鳥は森に深く黙す 待てしばし やがて おまえも憩えよう」― ドイツの詩人,ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテ(生野幸吉・檜山哲彦 訳)。
1,2 (イ)人間はどんな欲求を持つ者として創造されましたか。(ロ)最初の人間夫婦はどんな生活を享受しましたか。
神は,永遠に生きたいという欲求を持つ者として人間を創造されました。確かに,神は「彼らの心に永遠性の感覚」を置かれた,と聖書は述べています。(伝道の書 3:11,ベック訳)しかし神は,永遠に生きたいという欲求を付与する以上のことをされました。永遠に生きる機会をも人間にお与えになったのです。
2 人間の最初の親であるアダムとエバは完全な者として創造されたので,思いや体に欠陥がありませんでした。(申命記 32:4)考えてみてください。慢性的なうずきや痛み,それに病的な恐れや不安もありませんでした。それだけではなく,神は二人を楽園という快適な住みかに置かれました。人間が永遠に生き,地球がやがて人間の完全な子孫で満たされることが神の目的でした。(創世記 1:31; 2:15)では,どうして人間は死ぬのでしょうか。
不従順は死をもたらす
3 アダムとエバにとって,とこしえの命は何に依存していましたか。
3 神はアダムにこうお命じになりました。「園のすべての木から,あなたは満ち足りるまで食べてよい。しかし,善悪の知識の木については,あなたはそれから食べてはならない。それから食べる日にあなたは必ず死ぬからである」。(創世記 2:16,17)ですから,アダムとエバにとって,とこしえの命は条件付きのものでした。それは神への従順に依存していたのです。
4 アダムとエバが罪をおかした時,二人が楽園でとこしえに生きるという見込みを失ったのはなぜですか。
4 ところが悲惨なことに,アダムとエバは神の律法を破りました。(創世記 3:1-6)そのために二人は罪人となりました。「罪は不法」だからです。(ヨハネ第一 3:4)その結果,アダムとエバは,もはやとこしえの命の見込みを保てなくなりました。なぜでしょうか。「罪の報いは死」だからです。(ローマ 6:23)それで,神はアダムとエバに宣告を行なうに当たり,「あなたは塵だから塵に帰る」と言われました。そののちに最初の親は楽園の住みかから追放されました。アダムとエバは罪をおかした日から徐々に,しかし確実に死へ向かう道をたどり始めたのです。―創世記 3:19,23,24。
『死がすべての人に広がった』
5 死はどのように人類全体に広がりましたか。
5 今やアダムとエバの遺伝子には罪が深く刻み込まれました。そのため二人は,不完全な鋳型が完全な製品を生み出せないのと同じように,完全な子孫を生み出すことができませんでした。(ヨブ 14:4)実際,人間の最初の親が自分たちと後代の子孫の完全な健康やとこしえの命を失ってしまったことは,人間が誕生するたびに立証されています。クリスチャンの使徒パウロはこう書きました。「一人の人を通して罪が世に入り,罪を通して死が入り,こうして死が,すべての人が罪をおかしたがゆえにすべての人に広がった」― ローマ 5:12。詩編 51:5と比較してください。
6 人間が死ぬのはなぜですか。
6 今日,科学者は人間が年老いて死ぬ理由を理解していません。しかし聖書は,人間が罪深い者として生まれ,そのような状態を人間の最初の親から受け継いだゆえに死ぬという説明をしています。では,人は死ぬとどうなるのでしょうか。