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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1958
塔58 4/1 123–124ページ

現代の青少年の落し穴

大人の掘つた道徳の堕落という落し穴は,現代の青少年を捕えるわなとなりました。10才台の母親が生む私生児の急速な増加,10才台の者の性病が驚くほどに増加したこと,青少年の恐るべき性の乱行事件がその結果です。

現代の世を道徳の低い暗い穴におとしいれたのは大人です。大人こそ,結婚の神聖さを汚し,不道徳きわまる醜聞で新聞を埋めつくしている者です。不法な性関係を主に採り上げた雑誌,本,劇を作つているのは大人なのです。大人はわいせつな映画,わいせつな広告を製作しています。性の自由という風紀を乱す理論を持ち出したのは彼らであり,この世をとりまく道徳腐敗の環境を生み出したのも彼らなのです。この環境の中で子供たちは生まれて育てられます。非常に多くの青少年が不道徳という落し穴に落ち込んだことに,不思議があるでしようか。

性の自由をひろめた大人は,今日の青少年を道徳堕落の落し穴にひき込んできました。ホワード・ウイットマンは1957年7月の「より良い家庭と庭園」という雑誌に出た『青少年と自然の欲求』という記事の中でこの点につき意見を述べています。『伝統的な道徳の水準は,第二次世界大戦後の12年間に打ちこわされてしまつた。それは「時代おくれ」として風刺され,不適応と神経症へ導く偏狭な道と非難され,「非科学的」という極印を押されてきた。性の自由という新しい水準が試みられた。そして私生児のかつてない増加,離婚の圧倒的な増加,精神病の患者の今までにない増加をもたらした。青少年は著しい害を受けた。社会施設や法律が介入して,妊娠,強制結婚,性病などを調査するとき,明らかになる害もある。取り乱した家族が何とかして内輪にとどめ」,もみ消してしまつた害もある。また,青少年が「幸運」で,何とか「やりおゝせた」という表立たない害もある。自責,後悔,自尊心の喪失,個人の将来の生活に投げかけられる暗い影 ― これら表立たない害が最大の害である。』

性の放縦を認める標準は建て起すものでなくて,破壊します。それは一つの道徳の律法を軽視させ,そのうえ他の道徳の律法に対する無関心に導くものです。

両親は重い責任を持つています。世の悪い道徳の影響から子供たちを守ることは,両親にかかつているのです。それには幼少の時から正しく教えることが必要となります。子供が10才台になるまで待つことはできません。ごく幼いときから始めねばならないのです。『子をその道に従いて教えよ,さらばその老いたる時も之を離れじ。』― シンゲン 22:6。

両親は子供に性器官の目的や機能を教えることによつて,困惑,心配と悲しみから子供たちを救うことができます。子供が自分で学ぶのに任せてはなりません。放任されると,子供はかならず性について間違つた考えを抱く結果になります。すばらしい生殖の力は子供の心の中で高められ,最も高い敬意を受けなければなりません。生殖の力は神から委ねられた聖なるものとして見られるべきです。

子供が性の働きを理解したとき,性の誘引の力を理解するでしよう。そして,慎重にしないならば,それが何に導くかを知ります。それによつて,子供は用心深くなるでしよう。性関係は結婚という聖なる絆の中で表わされる愛の表現であつて,その絆の外では存在しないことを悟るでしよう。最後に配偶者として選ぶ者のために,童貞を守ることは彼らの願いとなるでしよう。

子供によく知らせねばならないことは,性を誤つて用いると,病気になる危険があるだけでなく,大人の生活にまで及ぶ重大な精神的害を与えるということです。しかし,そのことにもまして,性の濫用は神から罪に定められます。御自身が人間に与えられた賜物が誤まり用いられることを,神は認められません。『それとも,正しくない者が神の国をつぐことはないのを,知らないのか。まちがつてはいけない。不品行な者,偶像を礼拝する者,姦淫をする者,男娼となる者,男色をする者,……はいずれも神の国をつぐことはないのである。』― コリント前 6:9,10,新口。

道徳の堕落という落し穴から子供たちを守るには,性教育以上のことが必要です。高い道徳の原則に対して敬意を持たなければなりません。これらの原則は聖書に記されているゆえに,両親は子供に聖書を教えることが必要です。この事は両親の義務であつて,教会の義務ではありません。原則は是非とも必要です。世の不道徳の嵐にもまれるとき,子供がつかむことのできる,しつかりしたものは原則なのです。

自分の教える原則に従つて生活するのでなければ,両親は子供を高い道徳をもつ人に強く育てることはできません。これは両親のため,これは子供のためというような二重の原則はあり得ません。子供は目ざとく偽善を知ります。

10才台の青少年は群集の行いに極めて従いやすいのです。彼らは仲間のすることをしなければならないと感じています。それで,仲間が不道徳な行いという道を採つたとき,道徳を守るかどうかは厳しく試されます。子供が自分の道徳の原則を守ることができるかどうかは,幼少時に受けた訓練の質に依存しているのです。

高い道徳に対して同じ尊敬を持つ人々を仲間に選ぶのは,更に良いことです。聖書は賢明にも述べています,『悪い交わりは良い道徳を腐敗させる。』― コリント前 15:33,ア標。

現在の世がつづく間,道徳は若い人にとつてひきつづき落し穴となるでしよう。堕落した大人の作り出す環境は,ひきつづき子供たちに影響を与ることでしよう。そして,この環境は神の御国が現在の組織制度を滅ぼすまでは変りません。従つて,子供たちの道徳を守りたいと望む両親は,子をその行くべき道に教育する責任を負わねばならないのです。

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