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三位一体論を攻撃する神学者たち
● イエスは神であるとする教会の伝統的な教理にいどむ新しい本が英国で出版され,議論の的になっています。「化身した神の神話」と題するその本を著わした,英国の七人の著名な神学者は,イエスは人間の形を取った神ではなく,特別な役割を果たすべく「神に是認された人間」であった,と論じています。
バーミンガム大学の神学教授でもある,この本の編者ジョン・ヒックは,「実際のところ,この本の中心主題には特に新しい点は何もない」と語っています。「歴史上の実在人物であったイエスが化身した神であると言わなかったことはすべての[神学者]の認めるところである。……今日の平信徒のクリスチャンはこのことに十分気づいていない。[イエスは]三位一体の教理を教えなかった」と,ヒックは語っています。
この本を著わした神学者たちは聖書の述べるところと違って,イエス・キリストのことを本当に『神のみ子』であるとは述べていませんが,キリスト教世界の諸教会が教えている三位一体論が誤りである点に人々の注意をひいています。イエスご自身,自分が神であると唱えたことはありませんでした。むしろ,『父はわたしより偉大なかたです』と言われました。―ルカ 1:35。ヨハネ 14:28。また,ヨハネ 20:17もご覧ください。
再吟味される犯罪者更生策
● 「犯罪者の更生に関する我々の理念は覆された。刑務所で更生させることでは犯罪はなくならないであろう」と,スウェーデンの主席検事ホルガー・ロマンダーは語りました。スウェーデンの刑務所システムは世界で最も進んだものの一つとされていますが,それでも前科のある者の七割以上が再び刑務所に戻っています。世界の他の地域と比べて,この割合は決して低くありません。これに関して,西ヨーロッパ在住のある刑務所問題の専門家はこう言いました。「これにはがっかりさせられる。スウェーデンと比べれば,我が国の犯罪者の取り扱いは依然中世並である」。
犯罪者更生策について,当の犯罪者はどのように語っているでしょうか。カリフォルニア州の常習犯罪者49人を対象に行なわれたランド社の最近の調査によると,その大半は,どんな措置がとられても,つまり刑務所内の取り扱いを厳しくしても,服役期間を長くしても,逮捕の確率を大きくしても,自分たちを犯罪から引き戻すことはできないだろう,と語りました。常習犯罪者の大多数が犯罪を自分に適した職業と考えていました。「私にはしゃばでうまくやっていく備えがなかった。まともな人間といっしょにいると不愉快になる」と,そのうちの一人は語りました。
ハーバード大学の政治学の教授ジェームズ・Q・ウィルソンが,自著「犯罪について考える」の中に書いているように,「邪悪な人間が存在している」ことは明らかです。もちろん,人間の考え出した犯罪者更生システムもある人々の心を動かすには至らないかもしれません。しかし,人間の創造者は人の心をご存じであり,真に邪悪な者たちを地から取り除くためにまもなく行動を起こされることをわたしたちは確信できます。―詩 37:10,11。
真理を“もてあそぶ”
● ドイツのババリア地方の村,オーベルアンメルガウでは,10年に一度,“世界に名高いキリスト受難劇”と呼ばれる劇が上演されてきました。第二バチカン公会議が反ユダヤ主義を非としたため,この劇の台本は細部に至るまで吟味されることになりました。オーベルアンメルガウ村当局は,改訂された受難劇の試演のために約1億円の予算を計上しました。この改訂劇では,キリストの受難の責任が,ユダヤ教の宗教指導者にあるのではなく,ローマの兵士にあることになっています。聖書では,その責任はユダヤ教の宗教指導者にあったことが示されています。―使徒 3:12-15。
こうした改訂をすべての人が喜んでいるわけではなく,4,800人の住民のうち820人が改訂に反対する請願書に署名しました。なぜですか。真理のためですか。そうではなくて,主な理由はお金にあるようです。というのは反対者たちは,どんな変更であれ,劇の上演がこれまで村にもたらしてきた利益を減少させるかもしれないことを恐れているのです。(1970年には,この劇が93回上演されて,約20億円の純益がありました。)
しかし,村議会がこの新しい改訂劇を最終的に認めようと認めまいと,企画中の,イエスの死を扱った劇がいずれも真理を無視したものになるのは皮肉です。イエスが,ご自分の死ぬその日にピラトに次のように言われたので,特にそう言えます。「真理について証しすること,このためにわたしは生まれ,このためにわたしは世に来ました」。(ヨハネ 18:37)反ユダヤ主義が間違っているのは極めて明白です。しかし,歴史上の事実をねじ曲げることによっては,何も成し遂げられません。