開拓者からの手紙
各地にいる兄弟,姉妹のみなさん
わたしたちの愛する神権家族は年々拡大していますので,開拓者であるわたしたちすべてが,日本じゅうの他の大ぜいの伝道者ひとりびとりに会うことはできません。しかしこの手紙によって,みなさんに,わたしたちのことを少なくとも,もっとよく知っていただきたいと思います。
最初に,会衆の伝道者のみなさんが,戸別伝道,再訪問,家庭聖書研究の司会,さらに,大ぜいの新しい人々を円熟へと導くわざにおいて,これまで何年間にもわたり成し遂げてきたことを,わたしたちがどんなに深く認識しているかを知っていただきたいと思います。実際のところ,会衆の伝道者のみなさんは力を合わせて,ほとんど毎月,平均16時間というすばらしい奉仕を行なっています。
みなさんの中のあるかたが払っていらっしゃる個人的な努力も,確かに賞賛に価するものです。多くのかたは家庭を持っておられ,子どもを世話し,家族を扶養するために苦労しなければなりません。そういうかたは月に数時間の奉仕をするだけでも,健康で,目標を達成するのに妨げのないわたしたち開拓者より,はるかに大きな努力が必要となる場合もあることでしょう。しかし,全心臓をこめて奉仕を行なうなら,『わずかな価値しかない2つの硬貨』を寄付したやもめを喜ばれたエホバは,時として,たとえそれが人間の目にきわめてわずかなものとして映ったにしても,あなたのささげる賛美を同じく喜ばれるのです。―マルコ 12:41-44。
わたしたちもかつては会衆の伝道者でした。しかしエホバのお名前に賛美をもたらし,王と王国とを宣べ伝え,真理の知識によって人々を幸福にするわざに,より多くの時間を費やせるように生活の事情を調整することができました。その結果,エホバへの奉仕で満ちた現在の生活から,わたしたちはいっそう大きな喜びと満足とを味わっています。おそらく,みなさんの中には,全時間の伝道に携わるよう取り決めることのできるかたがおられるでしょう。
わたしたちの中にはずい分前に開拓奉仕を始めたかたが多くいます。たとえば,20年近くも開拓奉仕を続けている人さえいます。しかし付図(第1図)をごらんになれば,開拓者の大多数は,開拓奉仕を始めてから10年に満たないことがおわかりでしょう。ですから,みなさんを開拓者に招待するわたしたちの動機は,単に,古くから奉仕しているだれかの代わりを補充するためではありません。むしろ,時の緊急さと,この「終わりの時」の最終部分に成し遂げるべき膨大な量の仕事が残されているという実状に動かされたのがおもな理由です。
とはいっても,「すべての国民・部族・民族・国語からの大群集」を集めるわざが,始まったばかりだと言うのではありません。それどころか,この大々的なわざの最終的な結末が近づいているからこそ,皆さんを開拓奉仕へ招待しているのです。―黙示 7:9,10,新。
開拓奉仕にはいるには大きな決定が伴います。わたしたちは自分自身の経験からそのことをよく知っています。ですから,決定を下す前に,何が要求されているかを十分に知っておかねばなりません。
もちろん,「ともしび」の本(194~200頁)には,正規および休暇開拓者が満たさなければならない基本的な資格が略述されています。しかし,最近わたしたちと交わりはじめたばかりの新しい人々のために,それらの点のいくつかを簡単に復習してみましょう。まず第一に,正規開拓者として任命される前に,バプテスマを受けてから少なくとも6か月経ていなければならず,さらに,過去6か月間,定期的な伝道者として毎月平均少なくとも10時間および6つの再訪問を報告していなければなりません。また,申し込みの時に,少くとも1つの家庭聖書研究を司会しているべきです。あなたのふるまいが,クリスチャンにふさわしいものとして人々の目にうつっていなければならないのは言うまでもありません。
正規開拓者の名簿に載せられると,その時から毎月平均100時間(1年で合計1,200時間)を宣教に費やすことが期待されます。これはさほど多くの時間ではありません。というのは,その時間を分析してみると1日平均3時間20分になるからです。もし必要なら,一世紀のパウロや他の人々と同じように,開拓奉仕を続けるため,パートタイムの世俗の仕事につくこともできます。―使行 18:2-4; 20:33,34。
何かの事情で正規開拓者になれない人のために,1か月あるいはそれ以上の期間,「休暇」開拓奉仕を行なう特別な取り決めが設けてあります。2週間だけ続けて休暇開拓ができるなら,その月の間75時間を奉仕に費やすことが要求されます。休暇開拓は,バプテスマを受けたばかりの証人にとっても特別な特権といえます。なぜなら,そのような人でも6か月待つ必要がないからです。6か月間定期的に伝道してきたのであるなら,バプテスマを受けた翌日からでも,休暇開拓奉仕に携わることができます。
あなたは休暇開拓を行なえますか
協会の設けてくださったこの特別な取り決めは,確かに愛ある備えといえます。なぜなら,会衆の伝道者のみなさんも,限られた期間,開拓奉仕を行なえるからです。まだ学校に通っている十代の若者ばかりでなく,家族を持っていて,全時間の開拓奉仕のできない父親や母親も,わたしたち開拓者がいつも味わっている喜びにいくらかでもあずかることができます。健康,経済的な事情,その他の理由で,一年中行なうのは不可能である人にとっても,これはすぐれた取り決めです。また,バプテスマを受けたばかりで,正規開拓者になる資格のまだない伝道者にとっては,これこそ,みなさんが最も望んでおられることを今始める機会を提供するものではありませんか!
休暇開拓奉仕は,ヒナ鳥が自分の翼と自分自身に確信を持つためにする飛行訓練になぞらえることができるでしょう。成功を納めたときの満足感に促され,大ぜいの人々がくりかえし短期間の休暇開拓をし,やがては,その奉仕を定期的に行なえるようになります。
休暇開拓奉仕は,わたしたちの多くにとって,正規あるいは特別開拓者,巡回もしくは地域のしもべ,宣教者やベテル家族の成員となる道を乗り出す第1歩であったことをご存じですか。
伝道の書 3:1のことばを覚えておられるでしょう。「いっさいのことには定められた時があり,天の下のいっさいの事柄には確かに時がある」。(新)会衆の伝道者であろうと,開拓者であろうと,わたしたちすべての生活において,これは真実ではありませんか。わたしたちは毎年,生活の肝要な事柄,すなわち食事や睡眠などに一定の時間をさいています。また,ある程度,娯楽や休暇を楽しんだりします。しかし最大の喜びは,わたしたちの神エホバへの崇拝と奉仕に時間をささげることから来ると言えませんか。
律法によって要求されていた通常の崇拝に加えて,イスラエル人は自発的に,「ナザレ人の誓願を立て……その身をエホバに帰」することができました。その間彼らは,特別に身を「エホバに帰せしむる」ため,生活の通常の活動のいくつかを差し控えたものでした。(民数 6:2-8)今日ナザレ人の誓いを立てることはできませんが,休暇開拓をする会衆の伝道者としてあなたも同様な事柄を行なえます。「ともしび」の本の186と199ページで,休暇開拓が「特別の奉仕の特権」の1つとして考慮されているのはそのためです。
資格にかなう人は1年じゅういつでも,この特別な奉仕の特権にあずかれます。巡回のしもべの訪問中,より多くの時間をエホバにささげようと,休暇開拓の申込書を提出する人は大ぜいいます。3月か4月を,開拓奉仕のための月として取っておく人もいます。その他,学校や世俗の仕事が休みになる夏や冬の期間を利用して,休暇開拓を行なう人々もいます。
特に過去2年間,休暇開拓者として,少なくとも1年に1度「エホバに帰せしむる」人の数が著しく増加してきました。この増加の状態は第2図にグラフで示されており,545という数字は各月に報告している休暇開拓者の平均数を表わしています。休暇開拓者任命の延長の数が,増加の一途をたどっていることにも注目してください。ある伝道者は,数か月連続して,あるいは1年に2回以上休暇開拓者として奉仕してきました。たとえば,昨年の10月に休暇開拓奉仕を楽しんだ749人のうち94人が,11月も引き続き休暇開拓者として奉仕するよう申し込みました。
「人はそのはたらきによりてたのしみをなすに如はなし」としるされています。(伝道 3:22)わたしたちは,開拓者として自分自身のはたらきからこの喜びを刈り取るには,エホバへの全時間奉仕にまさる方法がないことを知っています。みなさんも会衆の伝道者として,たとえば3月か4月,あるいはその2か月のあいだ休暇開拓のために時間を当てるなら,その喜びを経験することができます。
家族や会衆の中で休暇開拓のことを話題にして,いっしょに休暇開拓できるよう,あるいは自分がその特権にあずかるため協力してもらうよう励ますのはいかがでしょう。さらにたいせつなこととして,それを,天におられる全能の父への祈りに加えるのはどうでしょうか。
休暇開拓者としてこの特別な仕方でエホバに奉仕するなら,あなた自身の「はたらき」から,従来にもまさる満足感を味わうことでしょう。そしてこの3月か4月に休暇開拓奉仕に携わるなら,エホバへの献身に対する励みが得られ,まさにそれがきっかけとなってついには,増大する正規開拓者の隊伍に加わることになるかもしれないのです。それも,とりわけ喜びに値する特別なものになるかもしれません。これらの図の数字が2倍になら,さらに何百万時間という単位の時間がエホバへの賛美にささげられることになるのです。
開拓者自身はなんと言っていますか
わたしたちが何に励まされて正規開拓者になったか,実際の経験をいくつか聞きたいとは思いませんか。
次に紹介する姉妹の場合,エホバへの愛が十分な動機となりました。彼女はこう語っています。「わたしはエホバを愛しており,自分の能力の最善を尽くしてエホバに仕えたいと思っています。それを実行するのに,人々の家を戸別訪問して,エホバが現在の病める世界に差し伸べておられるすばらしい希望を伝えることほどよい道があるでしょうか。わたしは若く,独身ですし,健康にめぐまれ,しかも献身しています。開拓者にならないためのいいわけなど,全くありません」。別の開拓者は「全時間奉仕によって,エホバの愛に対する認識を深めることすらできます」と語っています。
開拓奉仕と大学進学。どちらがよい道でしょうか。カリフォルニアに住むひとりの若者はこう話しています。「高校を卒業する前,わたしが持っていた悩みのひとつは,大学へ行こうか,行くまいかということでした。わたしは,父がじっくりと話をしてくれた日のことをはっきりと覚えています。父は,時が短いことや,現在わたしたちが危機の時代に住んでいることを指摘してくれました。わたしが大学を出るころに,現在の事物の体制は終わっているかもしれません。わたしは何ひとつ成し遂げず,おそらく自分の命さえ失っていることでしょう。それで,わたしは開拓奉仕をすることに決心しました」。みなさんの中に,10代のお子さんをお持ちの父親のかたがいらっしゃるならば,子どもたちと腹臓のない話し合いをすべきではないでしょうか。
あなたは,今の世代に残されている時が尽きようとしていることをほんとうに信じておられますか。ひとりの姉妹はこう語っています。「わたしは以前,ほかの3人の姉妹と開拓奉仕について話し合いました。その時に得た結論は,これがエホバの組織であり,ハルマゲドンが現実にこようとしていることをほんとうに信じているなら,永遠の命を得たいと望む人々を助けるために,自分ができ得るかぎりのことをすべきであるということでした。その話し合いの結果,わたしたち4人は正規開拓奉仕を申し込みました」。
あなたは開拓奉仕を生がいの仕事として考えたことがありますか。次に紹介するアメリカの一開拓者は過去をふり返りながら,開拓奉仕を生がいの仕事としたことを,幸福に思っています。「30年前,わたしは家族全員(妻とふたりの子ども)で,進んで家や持ち物を処分し,開拓奉仕にはいりました。そのようにしたのは,自分の残りの人生を開拓奉仕者として過ごしたいという強い気持ちがあったからです。わたしはもうすぐ78歳になりますが,妻もわたしも,長年にわたって,多くの人々がエホバの証人になるのを援助できたことは,大きな特権だったと申し上げたいと思います」。
開拓奉仕から学ぶ多くの事柄のひとつは,実際的な計画を立てられるようになるということです。たとえば,ある姉妹はこう語っています。「自分の立てておいた計画がたいへん実際的なものでしたので,休暇開拓の期間が終わったあとも,なんの苦労もなく,引き続き休暇開拓の奉仕時間を入れることができました」。
次に紹介する開拓者は,時間を計画的に使うことによって,生活上の障害を克服することができました。その姉妹はこう語っています。「わたしは,自分の健康の問題,夫が未信者であること,それに家事のことが特に心配で,長いあいだ開拓奉仕からしりごみしていました。ところが,開拓奉仕者になってみると,からだはじょうぶになりましたし,家事も従来どおりきちんとでき,夫も喜んで協力してくれるようになりました。そして,開拓奉仕者になった今,わたしの味わっている喜びは,以前よりもはるかに大きなものです」。
良い計画を立てたために,家族で開拓奉仕をすることができたという,次のような経験もあります。「家族全員が4月に休暇開拓をしたあと,みんなですわって,母とわたしは正規開拓,3人の妹は学校の休みのあいだに休暇開拓ができるよう計画を立てました。父も,妹たちが学校を卒業したら,正規開拓者になれるようパートタイムの仕事を計画しています」。
開拓者として,わたしたちはだれとて,いろいろな問題にぶつかります。しかし,それは避けられないことです。この点について,ある開拓者から良い助言を聞いてみましょう。「開拓奉仕を数年しているあいだに,いく度か失望したことがあります。でも,わたしは,問題から逃げても,その解決にはならないということを学びました。エホバの助けとともに,良い計画と強い決意とによって,わたしは今まで問題を解決することができました」。
他方,会衆の伝道者が持っている問題の中には,開拓奉仕を始めると解消されるものがあります。次に紹介する開拓者の場合がそうです。「わたしは25年間伝道者でしたが,昨年の10月に休暇開拓をしようと決心しました。それがとても楽しかったので,11月にもう一度申し込み,そのあと冬のあいだじゅう,休暇開拓奉仕を続けました。冬は自分にはきつすぎるから,正規開拓者にはなれないと,いつも思っていました。ところが,それまでよりも,ずっとじょうぶに冬を過ごせました。かぜもあまり引きませんでしたし,流感にもそれほどかかりませんでした。子どものころのように,雪を楽しみました」。
2歳の子どもをかかえながら,再訪問をたくさんしなければならないというジレンマに立たされたひとりの姉妹が,どのように問題を解決したか聞いてみましょう。「休暇開拓奉仕を終えた時,1週間に2,3度出かけるだけでは,とても十分な再訪問などできないことがわかりました。ただ1つの解決策は正規開拓奉仕をすることでした。でも,わたしには2歳の男の子がいました。しかし,エホバと家族から,それに他の姉妹たちからの助けを得て,正規開拓をこれまで続けてくることができました。今までこれほどしあわせだったことはありません。このように平安な思いを経験したのは初めてです。この特権をエホバに感謝します」。
全時間奉仕から得られる深い喜びについて,別の開拓者は次のように率直に述べています。「わたしは,開拓者が自分の得た喜びについて話しているのをよく聞きましたが,それは誇張だと思っていました。今,自分自身が開拓者になってみて,シバの女王のように,『その半ばも我に聞えざりしなり』と言えます」。
決定! そうです,決定がたいせつです。決定が将来に押しやられる結果,されずじまいになることが実によくあります。ひとりの開拓者は,多くの人が開拓奉仕をすべきかどうかという問題に直面することを次のように述べています。「開拓奉仕を妨げる聖書的な義務が自分にはない,ということを,わたしは,ほんとうにしばらくしてから気がつきました。ただ,開拓奉仕を始め,それを行ない続けてゆくための具体的な日付けを決めるだけが問題でした。現在,わたしには,開拓奉仕者をしていなかったなら応じきれなかったほど多くの再訪問や研究があります」。
おそらく,会衆の伝道者のみなさんの中にも,わたしたちと同じようにして,開拓者になれるかたが大ぜいいらっしゃることでしょう。あなたはそれについて考えたことがありますか。あなたが50代あるいは60代でも,また30代か40代,10代か20代のかたであっても,開拓奉仕という祝福された特権にあずかることができます。もし,あなたが1度も開拓奉仕をしたことがないのであれば,今年の3月か4月に休暇開拓をしてみてはいかがですか。そうすることのできる自由な立場にあるかたなら,真剣に,考慮し,祈るようお勧めいたします。あなたがこの招待に応じられるなら,あなたも,自分の奉仕を拡大し得た大きな喜びを味われることでしょう。
わたしたちの愛とともに,
あなたとともにエホバに仕えるしもべ,
各地の開拓者より
[3ページのグラフ]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
1
開拓者
年平均
888
126
3 18 46
1950 1955 1960 1965 1970
[4ページのグラフ]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
2
休暇開拓者
年平均
545
114
30
0 0
1950 1955 1960 1965 1970