細胞分化のメカニズム

人の命は受精卵と呼ばれるとても小さな1つの細胞から始まります。そして約10カ月後には赤ちゃんが誕生します。1つの細胞が分裂を繰り返し，さまざまな形，大きさ，機能を持つ200種類以上の細胞に変わるのです。

考えてみてください 受精卵は同じDNA配列を持った2つの細胞に分裂します。そして，それぞれの細胞が何度も分裂を繰り返していきます。これらの細胞は全て，基本的に受精卵と同じ遺伝情報を持っていて，体をつくるのに必要などんな細胞にもなることができます。

受精から1週間後，細胞は2種類に分化し始めます。将来胎児になる細胞と，胎盤などの胎児の成長を助ける細胞です。

3週目までに，胎児になる細胞は3つのグループに分かれます。1つ目は神経や脳，口，皮膚などに分化します。2つ目は血液，骨格，腎臓，筋肉などに分化します。3つ目は肺やぼうこう，消化器系などの臓器に分化します。

妊娠期間中，一部の細胞は特定の場所から別の場所へ移動します。個別に移動するものもあれば，グループで移動するものもあります。一方，別の細胞は結合してシート状になったり，折り重なってひもやポケットのような形になったりします。これには絶妙な連携が求められます。例えば，ある時点でシート状の細胞が丸まって小さな管になります。これは胎児の体のあちこちで同時に起こります。この管は伸びて枝分かれしていき，最終的にはつながって完全な循環器系を作り出します。

何千億個もの細胞が，適切なタイミングで，適切な場所に，特定の役割を持って分化することで健康な赤ちゃんが生まれるのです。

どう思われますか 細胞分化のメカニズムは進化によるものでしょうか。それとも，だれかが設計したのでしょうか。