核時代と宗教
「されどヘリくだるものは国をつぎ,また平安のゆたかなるを楽しまん」― 詩 37:11
1 今日の人類は,考えさせられるどんな質問に直面していますか。しかし創造主は何を保証していますか。
いまから100年後の地球はどうなっていますか。これは考えさせられる質問です。私たちの孫の時代には,ボタンひとつ押せば何でも用の足りる核時代が実現しますか。地上では共産主義と資本主義あるいはそれから出た二つの対立する主義の間でなお闘争がつゞけられていますか。それとも地球は核戦争によって荒廃に帰するでしょうか。10年以内に人類が滅亡すると預言する人さえいます! しかしひとつの事は確かです。すなわち10年後,100年後たとえ1000年後になっても,地球と人間は存在しているという事です。真実の預言の与え主である地球の創造主ご自身のことばは,その事を保証しています。創造主は「いたずらにこれを創造されず,これを人のすみかに造られた」― イザヤ 45:18,新口。
2 過去100年間に人間はどんな著しい変化を経験しましたか。
2 地球が何時までも人間のすみかであるとすれば,この核時代のなりゆきはどうなるのですか。世界は過去100年間に見られたと同じ急速な変化を遂げてゆきますか。人間はきわめて短期間のあいだに馬車の時代から宇宙人の時代にすゝみました。とくに西暦1914年以来,世界をふるい動かす出来事が起きています。二つの世界大戦が地を荒廃させ,王国や帝国の崩壊が相つぎました。第一次世界大戦中に出現した共産主義国家は今や世界人口の3分の1をその支配下におさめ,キリスト教国を成す資本主義諸国と権力を争っています。キリスト教国のほうでも国際連盟,のちの国際連合の設立に指導的な役割をはたし,それに希望を托して「平安がないのに『平安,平安』と言って」います ― エレミヤ 6:14,新口。
3 世の宗教は何に失敗していますか。
3 意外に思う人があるかも知れませんが,核時代の重大な問題の答は,宗教にあるのです。核兵器競争をやめさせようとして,みじめにも失敗した宗教に何ができるだろうかと,人は問うかも知れません。たしかに世の宗教は分裂しており,無力です。キリスト教国は神のことばよりも人間の教え,物質主義的な哲学を重んじています。(エレミヤ 2:13)旧教と新教それにいわゆる異教は相変らず対立をつゞけており,新しい宗教も加わって宗教界はますます混乱の様相を呈してきました。核兵器はますますふえ,人が宗教に何を期待しても,宗教宗派の指導者は無力で何もできません。エゼキエルはこの事を預言しました,「滅びが来るとき,彼らは平安を求めても得られない。災に災が重なりきたり,知らせに知らせが相つぐ。その時,彼らは預言者に幻を求める。しかし律法は祭司のうちに絶え,計りごとは長老のうちに絶える」― エゼキエル 7:25,26,新口。
4 赤い宗教は平和をもたらす手だてを持っていますか。
4 しかしくり返して言うと,問題の解決策は宗教にあるのです。こゝで宗教というのは共産主義の赤い宗教のことですか。もちろんそうではありません。たしかに地球上の多くの場所で共産主義の進出と共に,既成の宗教は影をひそめてしまい,国家と英雄の崇拝が行なわれるようになりました。モスクワの群衆が宇宙飛行士(たとえば1962年8月に宇宙飛行した二人)の大きな写真を熱狂的に歓呼しているのを見ても,共産主義者の宗教は根深いことが感ぜられます。そのうえこの宗教は恵み,真実,正義と平和といったすぐれた性質をかえりみないで,核の優位を誇っています。(詩 85:10)著名な寄稿家は最近次のことを書きました,「ソ連と中共が共産主義のいわゆる宗教を奉じていると言っても,両者の間に深刻な争いが起き得る。キリスト教国において激しい宗教戦争が行なわれたことを忘れてはならない。これらの戦争を生き延びてきた我々は,共産主義陣営の中で戦争が始まるのを見ても,驚くにはあたらない」。a これほどの事態が起きるかどうかは別としても,共産主義という宗教が平和をもたらさない事は確かです。
5 世の宗教の最後は何ですか。
5 核時代の問題を解決するのが宗教ならば,それは1000に余るキリスト教国の宗派,異教また共産主義とは全く異なった宗教でなければなりません。地上に平和をもたらすどころか,これらの宗教はその頼みとする核諸国と共に滅びてしまうと預言されています。黙示録 17章の預言によれば,淫婦に見たてられた宗教は国連をあらわす獣に乗っており,自ら後援した組織から生じた「角」が淫婦を滅ぼします。これら急進的な「角」はたとえ勝利を得ても,それは長つゞきしません。ハルマゲドンの裁きが臨むとき,彼らもまた滅びてしまうからです。(黙示 16:14,16。ハガイ 2:21,22)人間の作った神を拝み,ICBM,宇宙ロケット,惑星爆弾を頼みとして戦いの神を崇める者は災です。―詩 20:7。
6 救いとなるのはどの宗教ですか。その宗教は何を約束していますか。
6 救いとなる宗教は,滅びに定められたこの世のものではありません。それは新しい宗教ではなく,共産主義,新教,旧教,回教はおろか長い歴史を持つ東洋の諸宗教よりも古いのです。それは人間の最初の宗教であり,核戦争による滅びよりもはるかにまさったものを約束しています。それは次のことを言われる全能の神に対する信仰をすすめているからです。「あしきものは久しからずしてうせん,なんぢこまかにその処をおもひみるとも在ることなからん されど謙るものは国をつぎ,また平安のゆたかなるを楽しまん」― 詩 37:10,11。
7 唯一の救いの道はどこにありますか。
7 真の宗教の教える創造主なる神に信仰をもつことは,核時代において必須の要求です。それは唯一の救いの道に人を導きます。「信仰がなくては,神に喜ばれることはできない。なぜなら,神に来る者は,神のいますことと,ご自身を求める者に報いて下さることとを,必ず信じるはずだからである」― ヘブル 11:6,新口。
「神のいますこと」を信ずる
8,9 (イ)神はだれを用いてご自身の目的を記録させましたか。(ロ)霊感を受けて書いた最初の預言者はだれでしたか。資格の点から見てその預言者どんな人でしたか。
8 生き残るには,真の神に信仰をおくことが絶対に必要です。苦しい時が臨むのを先見された神は,信仰の基となるものを人間に与えました。それは神のお目的とみわざの記録であり,この記録は全く信頼に足るものです。「神は,むかしは,預言者たちにより,いろいろな時に,いろいろな方法で,先祖たちに語られた」のであり,このような神のことばは後の時代のためにくわしく記録されました。(ヘブル 1:1,新口)これが聖書です。「これまでに書かれた事がらは,すべてわたしたちの教のために書かれたのであって,それは聖書の与える忍耐と慰めとによって,望みをいだかせるためである」― ロマ 15:4,新口。
9 霊感によって書かれ,聖書におさめられた記録を書くためにまず用いられた預言者はモーセでした。モーセはこの任をはたすための資格をどのようにして得ましたか。それは最もすすんだ古代文明のひとつに数えられる「エジプト人のあらゆる学問を教え込まれ」たからですか。(使行 7:22,新口)エジプトで受けた教育が間接に役立ったことはいうまでもありませんが,決定的に重要な役割をはたしたのは,その生みの母親であるヘブル人ヨケベデが幼少の頃授けた敬虔な教育でした。(出エジプト 2:1-10)パロの家でぜいたくで安楽な生活をつづけるか,それともしいたげられた神の民と苦しみを共にするか,選択を迫られたとき,モーセは「信仰によって」神の民と共に行くことを選びました。―ヘブル 11:23-28,新口。
10 モーセは何を編集しましたか。何の導きを受けてそうしましたか
10 モーセは神を信じました。それでモーセの書いたものは,私たちの信仰を強めるはずです。神の霊に導かれてモーセは,人間の手になる最も古い記録を編集して,今日の創世記を造りました。その中には最初の人間自身が書いた「天地創造の由来」と「アダムの系図」が含まれています。(創世 2:4; 5:1,新口)「人となり柔和なこを,地上のすべての人にまさっていた」モーセは,神の活動力に導かれるままに神の創造に関する記録を作ったに違いありません。それは信頼できる,永続する記録です。モーセは「聖霊に感じ,神によって語った」信仰の人の一人でした。―民数 12:3。ペテロ後 1:21,新口。
11 創造の記録に関するどんな事実は,神に対する信仰を強めますか。
11 モーセが残した創造の記録は,批評家の攻撃に耐えてほとんど3500年のあいだ不動の地位を占めてきました。これは聖書が神の霊感によって書かれたことをいっそう確信させます。そのうえ今日の科学から見ても,神の創造の記録は正しいことが証明されています。創造物を支配する法則を定めた神が偉大な科学者であってみれば,創造の記録が科学的に正しいのも当然です。創世記の記録が正確で不変なことは,信仰を強めます ― マラキ 3:6。
12 創世記 1章1節の正しいことはどのように証明されましたか。
12 どんな現象を説明するにしても,正しい説明はたいていの場合,いちばん簡単な説明である ― これは科学の格言です。聖書の冒頭の言葉は実に簡潔で,しかも深い意味を蔵しています。「はじめに神は天と地とを創造された」。(創世 1:1,新口)宇宙には初めがなく,ひろがりの面でも時間の面でもとぎれることなく続いている,また天は地より古いなどの論がかって出ました。しかし100インチ望遠鏡や人工衛星による観察の結果は,3500年前にモーセの書いたことの真実を裏づけており,批評家を敗退させました。天文学が明らかにしたところによると,五,六十億年の古さを持つ宇宙は膨張しており,創造のとき行なわれた最初の爆発の結果いまなお星雲は後退しつつあります。この最初の大きな核爆発は,それが実際に起きたとすれば,秩序と調和のある広大な宇宙を造り出すのに賢明なものであったと言えます。それとくらべて核時代の人間が行なった核爆発は非常に小さく,しかも破壊する目的に使われています。
13 科学の発見したどんな事柄は,創世記 1章,2,3節と調和しているように思われますか。
13 「地は形なく,むなしく,やみが淵のおもてにあり,神の霊が水のおもてをおおっていた」。(創世 1:2,新口)これは初めに創造のわざが行なわれてから何十億年も後の状態です。ここでも神を信じない科学者は,神がその霊を用いたという事だけでなく,「やみが淵のおもてにあり」と述べらていることに反論します。しかしまず次のことを尋ねてごらんなさい。それが神の活動力でなかったとすれば,地上の動植物また無機の世界に見られるデザインと目的は,どんな知的な力によって作り出されたのですか。「やみ」についても,強力な望遠鏡によって観察された結果は,批評家の間違いを示しています。天文学者は銀河系と類似した天体の集団,広く散らばった暗黒の星雲を発見しています。この星雲の中でやがて太陽が形成され,附近の天体に光を与えるようになると考えられています。これはモーセの書いたことと一致しています,「神は『光あれ』と言われた。すると光があった」― 創世 1:3,新口。
14,15 ほかに創造のどんな事実は,創造主の無限の知恵を物語っていますか。
14 創造の六日間の記録全部を節を追って順にしらべることができます。この創造の一日は聖書のほかの簡所から見てそれぞれ7000年の長さです。b 陸地が現われ,地が植物を出し,天体が姿を現わし,魚,鳥,動物そして人間が現われた順序を聖書は示しています。そして科学はこの順序が正しいことを証明しているのです。科学の進歩につれて,ダーウインの説よりも,神は「種類にしたがって」生物を創造されたと述べている昔からの聖書の言葉の正しいことが証明されました。それで神の定めた種の範囲内において生物はそれぞれの種族をふやし,またその範囲内においてのみ変種がみられるのです。(創世 1:11,12,21,24,25)これは同一の製品が工場で生産されるのとは様子が違って,各類の間には驚くほど多くの変化が見られます。
15 人間はこの地上に創造されたものの中で最もすぐれ,創造主の大きな力を示しています。人間は動物よりも高等に造られており,神から知恵を与えられているゆえに,精神的なものの価値を知り,道徳観念を持っています。また創造主と隣人に対して愛を表わすことができます。また神から与えられた次の命令をはたす能力も授けられていました。「生めよ,ふえよ,地に満ちよ,地を従わせよ。また海の魚と,空の鳥と,地に動くすべての生き物とを治めよ」。(創世 1:26-28,新口)人間の住みかは地球であって,月や他の天体ではありません。
16 地上に見られる宗教的な混乱を,創造主なる神がもたらしたはずはありません。それはなぜですか。
16 創造されたものすべてに見られる調和とデザインは,秩序を尊ぶ神の性質を物語っています。自然界に秩序の見られることから神の存在を論証する人は,少なくありません。同じ論法によって,幾多の宗教の間に分派のあることは,これらの宗教が神から出たのではないという明らかな証拠です。「神は無秩序の神ではなく,平和の神である」。(コリント前 14:33,新口)神は地に住むすべての人のために唯一の宗教をもくろまれました。この現実的な宗教によって,すべての人は天の神を父とし,互に一致することができます。この宗教は経文を唱えたりする形式的なものではなく,愛と感謝の気持で創造主なる神に奉仕することです ― ヨハネ第一 2:17。
17 偽りの宗教はどのように始まりましたか。それは何を生み出しましたか。
17 最初の人間は,はじめ従順な神の子でした。しかし後になって神に対する信仰を自ら捨て,悲しむべき結果に陥りました。最初の人は真の宗教を捨て,反逆の道に足を踏みいれたのです。その結果,偽りの宗教は大多数の人間を呑みつくしてしまい,真の神とその宗教は見失われました。(コリント後 4:4)今日の核時代の諸問題も,結局は偽りの宗教が生み出した実と言えます ― マタイ 7:15-20。
18 創造主なる神について,一般に何が知られていませんか。
18 創造主である神の存在を認める人は今日大ぜいありますが,それでもその人々は神のお名前を知りません。神がどなたであるかをはっきり知らないのです。神はイエス・キリストであると言う人があります。しかし聖書によればイエスは「忠実な,まことの証人,神に造られたものの根源」です。(黙示 3:14,新口)イエス,創造主,聖霊の三者が一つの神を成すという三位一体の教えがあります。そして地上にいた時のイエスは神の化身であったと教えられています。しかし聖書によれば,地上にいた時のイエスは単なる人間でした。「神は唯一であり,神と人との間の仲保者もただひとりであって,それは人なるキリスト・イエスである」。(テモテ前 2:5,新口)神の化身という考えは,もともと異教のものです。それは皇帝を神の化身として崇めたローマの宗教に見られ,また戦後,廃止された日本の天皇崇拝において天皇が現人神すなわち人のかたちに現われた神とされたのにも類似しています。真の神また創造主がどなたであるか,はっきりわからない人は世界中にいますから,神をそのお名前によって知ることは大切です。
神を知りまた信ずる
19 神のみ名は何ですか。モーセはどのようにそれを崇めましたか。
19 モーセは信ずるに足る創造の記録のほか,創造主なる神とその畏怖すべきお名前について多くのことを書きました。あるとき神は岩の裂け目にモーセを入れ,その前を過ぎてご自身の名を宣言されました。それは「主,主」でしたか。そうではありません。神は「エホバ,エホバ」とご自身の名を述べ,み名の表わす輝かしい性質を述べられました。(出エジプト 33:21–34:7)さまざまの経験を経て信仰を強めたモーセが,み名を呼んでエホバを崇めたのは当然でした。「我はエホバの御名をたゝへあげん我らの神に汝ら栄光を帰せよエホバは磐にましましてそのみわざは完くその道はみな正しまた真実ある神にましまして悪しき所なし只正しくして直くいます」― 申命 32:3,4。
20 み名はなぜ大切ですか。
20 モーセの手になるこの霊感の記録が示すように,神は輝かしいみ名を持たれます。ヘブライ語で書けば,それは,יהוהであり,ローマ字で書きあらわした場合のYahweh<ヤウエ>のように発音されたと考えられます。これは英語の発音ではJehovah<ジエホバ>,スペイン語ではJehová<ヘオバ>,日本語ではエホバとなります。言語によって発音が違うのは当然としても,どの言語の場合にもみ名は独自のものであり,聖書また世俗の歴史に出てくる低い主や神々から,宇宙の主,全創造物の神を区別する役目をします。このみ名には独自の意味があります。「我は有て在る者なり」。(出エジプト 3:14)エホバはエジプトに災を送り,遂にその軍勢を紅海に滅ぼしてイスラエルをエジプトから救い出し,み名を負う民にしてご自分の名を立証されました。これは将来に起きる事の影です。「是に於て民エホバを畏れエホバとその僕モーセを信じた」のも当然と言えます ― 出エジプト 14:28-31。使行 15:14。
21 現代の多くの宗教は,み名に対する不敬をどのように示していますか。
21 今日,聖書を奉じながら,しかも聖書の神,創造主エホバに信仰をおくことを潔しとしない宗教がとくにキリスト教国の中にあります。それでこのような宗派は神を信ずると言いながら,エホバを神としていません。創造についてモーセが書いたことは受け入れても,神についてモーセが書いたことを受け入れないのです。そのかわりに神秘的な三位一体の神,神の化身,名前のない主を崇拝しています。またエホバという名を聞いただけでもびくびくしており,聖書の現代訳の中からみ名を除いてしまいました。エホバのかわりに主または神を使うことは翻訳ではなく解釈であって,神のことばをへらすことです。それはモーセを通して,申命記 4章2節に与えられたエホバの戒めを破る行ないです。
22 み名をしりぞけた理由として,あるほん訳委員会は何をあげていますか。それは正当な理由ですか。
22 英国諸教会の合同委員会が選んだ10人を代表して,ゴドフリイ・ドライバー教授の語ったところによると,旧約聖書の新しいほん訳にはエホバのみ名が出ていません。それはなぜですか。「エホバという言葉は一五〇二年に作られたもので破格に過ぎないからである」と,ドライバー教授は述べています。c エホバの語が破格(原語からの逸脱 ― ウェブスター)ならば,ほん訳者としては神のみ名を原語のままにしておくのが妥当なやり方ではないでしょうか。英語のJehovah<ジエホバ>また他の言語でこれに相当する語は,長いあいだ使われてきたため,神の名として通用しています。発音が元の通りではないという理由で名前を除いてしまうのは,馬鹿げています。同じ論法でゆけば,イエスの名もヘブライ語のエホシュアをギリシャ語化したもので原語からは離れており,やはり取り除くべきだという事になります。元の発音がほん訳中に伝えられていない名前は他にいくらでもあり,同じ筆法でゆけばそれらの名前も「彼」「彼女」などの代名詞あるいはだれであるかわからない名前を使わねばなりません。このようなほん訳者は,発音が間違っているというので名前のひとつも出てこない聖書を作るかも知れません。
23 み名を拒絶したことの背後には,どんな理由がひそんでいますか。
23 神のみ名のことになると,このように多くの人が口をつぐんでしまうのはなぜですか。これには大きな理由があります。キリスト教国の巨大な宗教組織は創造主エホバ神に信頼することをやめ,核兵器を保有する西の陣営の諸国家に生存の希望を托しています。それで聖書の神エホバのみ前における責任を逃れるため,自分の好む宗教を勝手に選びました。こうして敵対する神すなわち地上に存在する無数の宗教の創始者,おさたるエホバの証者キリスト・イエスが「偽りの父」と呼んだ者に組しているのです。(ヨハネ 8:44,新口)従って霊的イスラエルであるクリスチャンの国民の上にモーセが預言的に与えた祝福に与る資格がありません。「イスラエルよ汝は幸福なり誰か汝のごとくエホバに救はれし民たらんエホバは汝をまもる楯汝の栄光の剣なり」― 申命 33:29。
24 「神のイスラエル」はなぜ幸福といえますか。
24 エホバのクリスチャン証者から成る「神のイスラエル」は今日,幸福です。彼らは「エホバに救はれし民」であり,「栄光の剣」が核時代の問題をすべて解決する時を確信を以て待ち望んでいます。それは悪魔的な破壊の兵器もろとも諸国家がハルマゲドンの戦いで神に滅ぼされてしまう時です。紅海におけるエホバの奇跡的な勝利を見てモーセが歌ったのと同じく,彼らは信仰をもって勝利の歌を歌います。「わが力わが歌はエホバなり彼はわが救ひとなりたまへり彼はわが神なり我これをたたへん彼はわが父の神なり我これを崇めんエホバよ神の中に誰か汝に如ものあらん誰か汝の如く聖くして栄あり賛ふべくして威ありて奇事を行ふ者あらんやエホバは世々限なく王たるべし」― 出エジプト 15:2,11,18。
25 「モーセおよび小羊の歌」は何を歌っていますか。
25 エホバは世々限りなく王となります。すでに西暦1914年,エホバは神の小羊,み子キリスト・イエスの手によって天の御国を設立しました。キリストの直接の追随者の多くはすでに復活してキリストと共に天国の栄光にあずかっていますが,その全部は「神の僕モーセの歌と小羊の歌とを歌って」います。「全能の神エホバ神よ。あなたのみわざは偉大ですばらしいものです。永遠の王よ,あなたの道は正しくて真です。エホバよ,あなたを恐れず,あなたのみ名をあがめない者があるでしょうか。あなたこそ忠節なおかたです。すべての国民は来て,あなたを拝みます。あなたの正義の裁きは示されたからです」― 黙示 15:3,4,新世。
26 善意者はいまどんな信仰を抱いていますか。
26 今日真の宗教を受け入れてエホバを崇拝するようになった善意者が,あらゆる国民の中にいます。その人々はエホバの正義の裁きを宣べ伝えるわざに励んでいます。また神の小羊の犠牲が永遠の生命の益をもたらすことを信じています。実り多い,幸福な生活が地上で営まれ,人は神の同労者となって神のみ心を行ない,この地球を喜びの楽園に変えるでしょう。このようにしてエホバに崇拝と奉仕をささげる真の宗教は,ハルマゲドンに生き残る人々,その子供,そのまた子供に永遠の喜びをもたらします。この人々の父,そのまた父,および人間歴史の何千年のあいだ墓にはいった他のすべての人の中で,エホバが復活によって生命によみがえした人々は,この真の崇拝から永遠の喜びを得ます。(ヨハネ 5:28,29)真の宗教を選んで実践するすべての人は地上で永遠に生きて,あらゆる名にまさる偉大なみ名 ― エホバを喜びつつ永遠に賛めるでしょう。―出エジプト 3:15。
[脚注]
a ウォルター・リップマン,1962年4月10日付ニューヨーク,ヘラルド・トリビューン。
b くわしくは「神を真とすべし」170-173頁をごらん下さい。
c 1962年8月19日,ロンドン発AP電。
[652ページの図版]
科学と聖書の創造の記録とはいま一致する。