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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1971
塔71 1/1 9–16ページ

神の王国の方法によって人類を救う

「あなたの王国が来ますように。あなたの意志が,天におけるごとく,地にも行なわれますように」― マタイ 6:10,新。

1 人類に関するどんな良いたよりがありますか。それはどんな権威と源に由来しますか。

人間が地球から出て行くことはありません。人類は救われ,幸福で終わりのない命を地上で享受します。それは良いたよりではありませんか。そうです。しかも,それは最高の権威に基づき,最も信頼できる情報の源から発しているものなのです。

2 (イ)そうはいっても,現代の科学者をさしてはいません。なぜですか。(ロ)科学者を権威とすることに関して,どんな疑問が生じますか。

2 ということは,20世紀の現代の科学者をさしているのですか。いいえ,全然違います。科学者は,何十億年かのうちに宇宙に大異変が起こると想定しています。その際,地球は,太陽または宇宙の他のしゃく熱の天体から焦熱を受けて,地上の住民は焼きこがされて死滅し,焦土と化した地球は,生命の存在しない惑星となって,太陽の周囲をめぐるというのです。そうした遠い将来に起こるかもしれない,宇宙の大災害に関しては,今の世代の人類は困惑しないかもしれませんが,科学者は同時に,近い将来,人類が絶滅するという見方をも持っています。今の世代は数々の脅威にさらされているため,人々が困惑するのは当然といえます。したがって,現代の科学者の観点からするならば,全人類の間近な将来でさえ,きわめてあんたんたる様相を呈しています。しかし,単なる科学者が,そうした重大な問題に関する最終的な権威なのでしょうか。新しい事実や真理を発見するためにあらゆる実験を重ねた結果,人間がここ地上に存在する目的を科学者は権威をもって明らかにしたとでも言えますか。

3 ここでいう権威と情報源がなんであるゆえに,わたしたちは元気を出し,確かな希望を持つことができますか。

3 人間が地上に存在する目的,さらには,地球そのものの創造の理由について知っているのは,人間の創造者だけであることは,科学者でさえ,否定できません。創造者だけが,なぜ人間を地上に置いたかをご存じです。ゆえに,創造者こそ至高の権威であり,決してまちがいを犯すことがないゆえ,最も信頼のおける情報源と言えます。したがって,人類が救われ,美化された地上で,幸福で終わりのない命を享受するという良いたよりを創造者から受けたからといって,そら頼みをしているわけではありません。その理由で,わたしたちは元気を出し,かつ確かな希望を持つことができるのです。

4 とはいっても,のんきに構えるわけにはいきません。なぜですか。

4 では,気楽にして,のんきに構えてよいかというと決してそういうわけにはいきません。この記事の主題そのものは,わたしたちをも含めて,全人類が,ぬぐい去られる深刻な脅威にさらされていることを暗示しています。人類の存続が,単に一般の人々によってではなく,世情に明るい,各国の識者によって疑問視されており,大災害はさし迫っています。月は避難場とはなりません。人間を放任して思うままにさせるなら,自滅するおそれがあるのです。しかも,科学の進歩した今日,人間が思いのままに用いうる手段たるや,きわめて強大な破壊力を伴っているのです。

5 人間がみずからを自滅の脅威にさらしている,現代の手段とはどんなものですか。

5 人間の用いる手段といっても,超速に大量殺人をなしうる,現代戦争の核その他の兵器だけをさすのではなく,平時に地球を荒廃させうるさまざまな仕方をも含んでいます。それはすなわち住居の建設・人命維持のための食品生産・食品の供給分配方法・大企業の廃物処理方法・地球の資源開発・人間の自然環境の損壊などです。数年以内に世界が飢きんに見舞われるという警告には,正当な根拠があるのです。世界の平和と安全のための組織とされる国際連合には弱点が多く,能力に限りのあることがいよいよ明らかにされています。10年以内に紛争を解決し,対抗意識を捨てないかぎり,世界は大災害に突入するであろうと,繰り返し諸国に与えられてきた忠告は,確かな判断ならびに歴史の教訓に基づくものであり,こうした事態はわたしたち個人個人に深い影響を及ぼしています。

6 では,人間自身からは何を期待すべきことが明白ですか。何に,あるいはだれを頼みにしても,無益ですか。

6 人間自身に期待できるものは,科学による救いではなく,人類の滅亡であることは明白です。許されている期間が数百万年にすぎないのであるなら,科学者の言う,いわゆる“人間の進化”に救いを求めることは不可能です。人間の考え方を変えること,また,人間を一致させて大災害を回避できるよう,新しい人格を築かせることを,世界中の心理学者と精神病医に求めても,それは不可能です。諸国家に適切な行動を取らせ,この地球を安全な住みかとしうるほどに強力で,独立した公正な国際警察が組織されることを期待するのも無理なことです。

7 (イ)どうにもならない危急の際,地球および人間以外のどんなものにたよることはできませんか。(ロ)だれにたよるのは最も合理的ですか。なぜそう言えますか。

7 科学者は快く認めようとしないにしても,人類が救われるには,人間以外のもの,人の住みかである地球以外のところに解放を求めねばならないことは明らかです。とは言っても,人間が苦もんしているという信号に答えて,他の惑星から架空の“火星人”が援助に来る,というのではもちろんありません。また,宇宙飛行士が月よりはるかに遠い惑星に着陸して,非常に高度な知力を備えた超人間的な生物を連れて地球に戻り,手おくれにならないうちに,助けてもらおうというのでもありません。知力を備えた人間以外の実在者,全人類を合わせたよりも偉大なかた,じゅうぶんな知恵と力を持つだけでなく,どうにもならない危険の際に援助に来てくださるだけの愛に富むかたに,わたしたちは救いを求めねばなりません。人類の創造者以外のいったいだれにたよれば,最も合理的で,分別と理性にかなったことと言えるでしょうか。人類が今日,依然として生存している以上,創造者もやはり今日,生きておられるのです。

8,9 (イ)地球を創造し,その上に人間を置いた時,創造者はどんなことを考えてはおられませんでしたか。(ロ)そのことを創造者は,どこで,また,どのように語っておられますか。

8 生命の存在しない,焦土と化した惑星として宇宙の軌道を回るよう,またはそうなるよう,創造者が地球を創造されたのでないことは,人類が現に地上にいるという事実が証明しているところです。創造者が人類を創造されたのは,人類がついには自滅し,いわばドードー鳥のように絶滅してしまうためではありませんでした。地球を創造し,人間を地上に置かれた創造者のわざは,むなしいもの,ざせつさせられるもの,また,ご自分を失敗にさらさせるものではありません。人類をこの地上に置いた卓越した目的を説明して,創造者みずからこう宣言しておられます。

9 「エホバは天を創造したまへる者にしてすなはち神なり また地をもつくり成てこれを堅くし徒然にこれを創造し給はず これを人の住所につくり給へり エホバかく宣給ふ われはエホバなり我のほかに神あることなしと……我エホバはたゞしき事をかたり直きことを告ぐ」― イザヤ 45:18,19。

10 (イ)その宣言を聞いたのはだれですか。どのようにして,それを聞きましたか。(ロ)そのことばの収められている本は,人類にとってどれほど価値のあるものと考えられていますか。

10 その神エホバがこう語るのを地上で聞いたのはいったいだれでしたか。歴史の事実によると,それはずっと昔の人で,アモツの子,イザヤという名の,エルサレムの住人でした。彼の存命中,数人の王がその有名な都で統治しました。イザヤが神からの前述のことばを聞いたのは,霊感,すなわち,霊あるいは神の見えない活動力の働きによるものでした。(イザヤ 1:1)幻を通して見聞きしたこと,ならびに当時の歴史的できごとを,イザヤは,自分の名をもって呼ばれている書物,つまりイザヤ書にしるしました。それは聖書と呼ばれる神聖な書物に収められている66冊中の1冊を成しています。そして,引用された前述のことばは,イザヤ書 45章18,19節にあります。イザヤ書を含め,聖書は全人類に重要な価値を持つものと考えられてきたため,すでに244の言語に翻訳されたうえ,いろいろな箇所が1,169の他の言語に翻訳されています。歴史上の人物であったイエス・キリストでさえ,預言者イザヤのことばを霊感を受けた真理として何度も引用されました。

11 (イ)イザヤの時代になされた,神のその宣言は,神と人間に関して何を示していますか。(ロ)神は何に対して必要な行動を取られますか。

11 ご自分の名前がエホバであると告げた神は,こうして,地球をいたずらに創造したのではなく,人の住みかとして作ったことを預言者イザヤに宣言されました。この宣言は,エホバという名を持たれる神が,人類の最初の両親,つまり最初の男女を創造された時から33世紀後になされたものです。それは,神がそのとき依然生きており,地球とその住民である人間に関心を持ちつづけておられたことを証明しています。この神は人類を見捨ててしまい,自分が創造した人間の状態には無関心で超然としているゆえに,死んでいると言いうるような神ではありません。キリスト教世界の僧職者が,“神は死んでいる”と言うのは絶対に誤りです。神は不滅であり,永遠に生き,永久に神であられます。(詩 90:2)人間の創造以来,創造者は人類に対する関心を維持し,人類にかかわるご自分の悠久な目的がざせつすることがないよう,人間の歩みを見守ってこられました。27世紀前の預言者イザヤの時代における人間の状態を,創造者はよくご存じでしたし,今日の人類の状態についても同様です。創造者は必要な行動を取られます。

12 (イ)至上者が存在することは,どのように明らかにされようとしていますか。(ロ)人類を救うために払われているだれの努力は失敗に帰しますか。

12 「神はもはやいない」と題する本の中で,「神がいるとしても,神を至上者として語るわけにはいかない」と述べた,牧師の発言が引用されていますが,その人は自分がはなはだしくまちがっていたことをまもなく思い知らされて,恥辱をこうむるでしょう。その牧師と真っ向から対立する次の祈りのことばは,霊感の下に人間の創造者に語りかけられたものですが,それがまもなく成就するのは必至です。「かれらをとこしへに恥おそれしめ あわてまどひて亡びうせしめたまへ 然ばかれらはエホバてふ名をもちたまふ汝のみ 全地をしろしめす至上者なることを知るべし」。(詩 83:17,18)これまでの人類史を通じて,創造者の目的がざせつをきたしたことは一度もありませんでしたし,全人類に臨んでいる現在の危急の時にあっても,やはりざせつすることはありません。それには,最悪の事態に陥っている人類を救う必要があります。人類を救うために人間が現在払っている努力は,効果がないうえに,非現実的で,失敗に帰すことは必至です。ご自分の創造された人間を救う,エホバの方法こそ効果があり,現実的で成功します。その救いの方法とは,神の王国によるものです。

時代遅れの方法ではない

13 (イ)神の方法は王国によるものであるとはいえ,西暦1917年以降のどんな政治上の事実にもかかわらず,偏見をいだくべきではありませんか。(ロ)神の方法が一般的でないとか,時代遅れであるとかとは言えないのはなぜですか。

13 人類を治める支配形態として,王国は今日あまり人気のあるものではありません。第一次世界大戦終結前の1917年当時に比べると,今日,人間を治める王国の数は少なくなっています。人民による支配形態がそれに取って代わったからです。それにしても,神の方法が王国によるものだからといって,思いや心臓に偏見をいだくべきではありません。民主主義国家といえども,人間の建てた王国同様失敗に帰しました。残存している,人間の建てた王国と同様,民主主義国家も今日,死の苦しみにもだえています。キリスト教世界の諸王が,一般に主張されているように,“神の恩ちょうによって”統治したことは一度もありません。そうした王国は,この世の他のすべての王国と同様,人間による王国,つまり人間の建てた王国にすぎませんでした。エホバ神は人類を救うご自分の方法として,そうした王国のどれ一つをも用いられません。ゆえに,神の王国による方法は一般的でないとか,時代遅れであるとは言えません。

14 (イ)では,人類を救うための神の手段である王国とはなんですか。(ロ)その王国の伝道が影をひそめたのはいつ,また,なぜですか。しかし,今はそれを伝道すべき時です。なぜですか。

14 では,人類を救うために神が用いられる王国とはなんですか。それは,19世紀前,パレスチナの地のここかしこで,イエス・キリストが次のように述べて宣明された王国です。「天の王国が近づいた」。(マタイ 4:17,23; 10:7,新)それは,「神の王国は近づいた」と言うことと同じです。(マルコ 1:14,15,新)西暦4世紀,ローマのコンスタンチヌス帝の時代に,キリスト教世界が確立されて以来,それが原因となって,神のこの王国が伝道されることは実質的にもはや聞かれなくなりました。教会の僧職者が,キリスト教世界の,人間の建てた王国を,神の王国の構成要素として歓迎したからです。しかし,伝道者であったイエス・キリストは,神の真の王国の良いたよりが,現在の事物の体制の終わりに至るまで,世界中で伝道されるであろうと言われました。苦悩する現在の事物の体制が終わる前ぶれとなる,しるしに関する驚くべき預言の中で,イエスはこう言われました。「王国のこの良いたよりは,すべての国の民に対する証として,人の住む全地で宣べ伝えられるであろう。そして,それから,終わりが来るのである」。(マタイ 24:14,新)今日,その終わりは明らかに近づいており,まさしく預言にたがわず,その王国が伝道されるのをわたしたちは聞いています。

15 (イ)地上にいた時のイエスは,神の王国が近いことを伝道されましたが,それは王国に関するどんな重要な点をさし示していましたか。(ロ)キリストがくいの上で処刑された際,イエスの治める王国にかかわる希望が打ち砕かれたかどうかに関しては,なんと言えますか。

15 西暦1世紀の遠い昔に,「神の王国は近づいた」と,イエス・キリストが伝道した事実は,地上の人間に由来するものではない,その王国の一つの重要な点をさし示しています。どんな点ですか。当時,地上で人々の身近かにおられたイエス・キリストは,広く伝道されたその神の王国で統治すべく,神から任命されたかたであるということです。しかし,イエス・キリストが統治する神の王国に対する希望は,イエスの死とともに打ち砕かれたのではないのですか。イエスは,神の王国を伝道したために殺されたのではありませんか。イエスを扇動者として処刑するように要求した人々は,こう言いました。「われらこの人が,わが国の民を惑し,貢をカイザルに納むるを禁じ,かつ自ら王者のキリストと称ふるを認めたり」。(ルカ 23:1,2)神に任命された王としてのイエス・キリストの統治する神の王国に対する希望は,エルサレムの外でイエスがくいにかけられ,不当な処刑を受けたからといって,決して打ち砕かれたわけではないのです。なぜですか。なぜなら,絶対にざせつさせられることのないエホバ神は,イエス・キリストをその死後三日目に,天の霊的な命によみがえらせ,報いとして不滅性をイエスに付与されたからです。イエス・キリストは,ご自分の弟子たちに何度も現われて,復活したことを証明されました。

16 支配者としてのイエス・キリストが,“王”と呼ばれるのにはどんな理由がありますか。

16 それにしても,なぜイエス・キリストを“王”,そして,その政府を“王国”と呼ぶのですか。今日,人間の王は名目上のかしらにすぎず,国家の象徴としての役割を果たしてはいますが,実際の行政をつかさどっているのは元首あるいは首相であり,法律は議会または立法府で制定されます。しかし,人類史の過去にさかのぼると,“専制君主”,つまりひとりで国家権力を行使した王がいました。そして,イエス・キリストは地上の王の子孫であり,正当な相続者ですから,王の位につけられるのは正当なことです。もちろん彼は,ダビデ王よりも偉大なかたの子でした。エホバ神はイエスがご自分の子であることを,人々が聞こえるように,はっきり宣言されました。ですから,イエスは天の王の子であられます。エホバ神は,ご自分が選んだ地上の民の王として,みずから位につかれたからです。(サムエル前 8:7; 12:12)そして,いわば専制君主としての至高の神に関して,イザヤ書 33章22節のイザヤの預言はこう述べています。「エホバはわれらをさばきたまふもの エホバはわれらに律法をたてたまひし者 エホバはわれらの王にましまして われらをすくひ給ふ」。しかし,エホバ神がダビデに対し,ダビデの王国の永久相続者として立てることを約束されたのは,イエス・キリストです。

17 (イ)神への崇拝の場所に対するダビデの誠実な気づかいのゆえに,ダビデとの間でどんな取り決めがなされましたか。(ロ)ダビデの永久相続者には何が要求されますか。その者はどんな資格を備えますか。

17 至高の神に対する崇拝のため,エルサレムに壮大な神殿を建立したいとの,ダビデ王の誠実な願いのゆえに,エホバ神は永遠の王国に関する厳粛な約束,つまり契約をダビデと結びました。預言者ナタンを通してエホバはダビデにこう言われました。「汝の家と汝の〔王国〕は汝のまへに永く保つべし 汝の位は永く堅うせらるべし」。(サムエル後 7:1-17,〔新〕)ダビデの子ソロモンは死に,エルサレムの王座についたその後継者たちも死んだので,そのうちのだれひとりとして,ダビデの王国を永続させる永久継承者であることを実証した人はいません。ダビデの王国の永久相続者となり,ダビデに対する神の王国契約を成就するには,ダビデの子孫で死ぬことのない人物が必要とされました。ダビデ王の後継者として,その永久相続者は,“王”の資格を備えることでしょう。

18,19 (イ)ダビデの永久相続者の母になる者として,エホバはだれを選ばれましたか,王国を受け継ぐ正当な権利はどのようにして,その相続者に譲り渡されましたか。(ロ)ガブリエルが,その相続者の未来の母親につかわされたのはなぜですか。ガブリエルは彼女になんと語りましたか。

18 およそ2,000年前,エホバ神がご自分の天の子の,人間の母となるべき処女を選ぶに際し,ダビデ王家出身の処女を選ばれました。その時,彼女は,やはりダビデ王家の出身である男と婚約していました。その人は,処女から誕生するむすこの養父となり,生まれてくる子どもを長子として養子に迎え,ダビデの王国を受け継ぐ正当な権利を,その子に譲り渡せるようになっていたのです。(ルカ 3:23-31。マタイ 1:1-18)マリヤとヨセフの両人が夫婦としていっしょになる前に,神は天使ガブリエルを処女マリヤのもとにつかわし,事情を彼女に知らせ,全能の神がご自分の霊,すなわち,見えない活動力によってマリヤをみごもらせることに関し,彼女の同意を求めさせます。その説明の中で,ガブリエルはマリヤにこう語りました。

19 「なんぢみごもりて男子を生まん,その名をイエスと名づくべし。彼は大ならん,至高者の子と称へられん。また〔エホバ〕神,これにその父ダビデの座位をあたへ給へば,ヤコブの家を永遠に治めん。その〔王国は〕終ることなかるべし」― ルカ 1:26-38,〔新〕。マタイ 1:18,19。ロマ 1:3,4。

救い主の誕生

20,21 (イ)ダビデの永久相続者はどこで生まれることになっていましたか。それはどのように起こりましたか。(ロ)ベツレヘムにいた羊飼いたちに天使がつかわされたのはなぜですか。天使は彼らになんと言いましたか。

20 マリヤに対するその宣言は,イエスが,ダビデとの神の王国契約を成就する,ダビデ王の永久相続者であることを保証するものでした。したがって,ダビデ王の家系に生まれるよう,神の天の子の命は神の霊によって処女マリヤの胎内に移されました。ミカ書 5章2節の神の預言を成就するものとして,マリヤとヨセフは,ダビデの出生地である,ローマ領ユダヤの,ベツレヘムに移動しました。ダビデはかつてベツレヘムで羊飼いをしたことがありましたが,マリヤが男の長子を奇跡的に生んだ時にも,羊飼いがベツレヘムにいました。この事件は全人類にとって重要な意味をもつものであるゆえに,人類の中の目撃証人によって,真実であることを証明される必要がありました。したがって,イエスがダビデの誕生した町で生まれた夜,神は天使をつかわして,ベツレヘムの野にいた羊飼いたちに,ご自分の子の人間としての誕生を告げさせたのです。光輝く天使は,驚いた羊飼いたちの恐怖の念を静めて,こう語りました。

21 「おそるな。視よ,この民,一般に及ぶべき,大なる歓喜の音信を我なんぢらに告ぐ,今日ダビデの町にて汝らのために救主うまれ給へり,これ主キリストなり。なんぢら布にて包まれ,馬槽にふしをるみどりごを見ん,これその徴なり」― ルカ 2:1-12。

22 (イ)そのみどりごはどういう意味で「キリスト」になろうとしていましたか。だれの主となり,どれほど多くの人々の喜びとなるはずでしたか。(ロ)その際,天使の軍勢はなんと言いましたか。

22 ここに神の目的が述べられています。それは,このみどりごイエスがメシヤまたはキリストになること,つまり,その先祖ダビデが,神の選ばれた民を治めるよう油をそそがれて,王位についたと全く同様に,イエスも油を注がれて王位につくようになるということです。しかも,イエスはダビデよりも偉大な王となるはずでした。なぜなら,イエスは預言的な意味を持つ詩篇 110篇1,2節の成就として,ダビデの「主」になるかただったからです。同時に,「救い主」ともなるはずでした。それが,人類の救い主になることを意味していないとするなら,イエスの誕生を告げる良いたよりに,どうして「この民,一般」が「大なる歓喜」を味わうべき理由がありますか。宇宙的な重要性を持つこの奇跡的な誕生に際し,神聖な天ではすでに,「大なる歓喜」がありました。その証拠として,イエスが地上におられた時代に生きていた,ある人のしるした文書はこう述べています。「すると突然,天の大軍がその天使とともになり,神を賛美して,言った。『上なる高い所では神に栄光,地上では善意の人々の間に平和があるように』」― ルカ 2:13,14,新。

23,24 (イ)その時,その「大なる歓喜」は地上のだれの間で沸き上がることになっていましたか。(ロ)それらの人は,どのようにして,その「大なる歓喜」にあずかりますか。

23 エホバ神が善意を持たれる地上の人々の間に,その良いたよりを聞いて「大なる歓喜」の沸き上がる時がついに到来したのです。光輝く天使は,「大なる歓喜の音信」を羊飼いたちに告げ,彼らはダビデの町ベツレヘムに行き,馬槽の中で起きたイエスの誕生の目撃証人となり,その良いたよりの歴史的根拠を証明しなければならなかったのです。その天使は羊飼いたちに「徴」を与えました。その夜,エルサレムの内外で生まれたと考えられるどの男の子からも,問題のみどりごが区別できるためでした。羊飼いたちはこの問題に“関係する”ことを好みませんでしたか。それとも,「徴」を確証し,地上で起きた誕生の中で最も重要なその誕生に関する,責任ある目撃証人となることを望みましたか。事情を調査した正直な一記述者は,その答えをこう述べています。

24 「御使たちさりて天に往きしとき,牧者たがひに語る『いざ,ベツレヘムにいたり,〔エホバ〕の示し給ひし起れる事を見ん』すなわち急ぎ往きて,マリヤとヨセフと,馬槽にふしたるみどりごとに尋ねあふ。すでに見て,この子につき御使の語りしことを告げたれば,聞く者はみな牧者の語りしことを怪しみたり。しかしてマリヤは凡てこれらのことを〔心臓〕に留めて思い回せり。牧者は御使の語りしごとく凡ての事を見聞せしによりて神を崇め,かつ讃美しつつ帰れり」― ルカ 2:15-20,〔新〕。

25 (イ)現代の僧職者が否認しているとはいえ,それが普通の誕生でないことをどんな一連の事柄が示していますか。(ロ)今日,わたしたちは,どのようにして,いわば,その時の羊飼いに加われますか。それとも,当時のどんな人々に似る可能性もありえますか。

25 その男の子の誕生が,まず夫と性関係を持ち,その結果妊娠した女からの普通のものであったなら,神や天使たち,それに神を恐れる人たちが,その誕生をそれほど大きく取り上げる必要があったでしょうか。わたしたちは,真実であることを羊飼いが確証した「徴」を否認し,イエスは処女から誕生したはずがないと述べる,キリスト教世界の多くの僧職者に加担しますか。目撃証人となった羊飼いに加わって,確証された「徴」に「大なる歓喜」を感じ,それについて他の人に語りながら,神に栄光と賛美を帰しますか。それとも,当時エルサレムで治めていたヘロデ大王のようになりますか。約2年後,イエスの誕生に関する知らせを聞いたヘロデは,自分の王国のことを心配して,イエスを殺そうとしました。しかし,ベツレヘム内にいた,2歳以下の男のすべてを殺しえたにすぎません。幼子イエスは難をのがれ,主キリストによって人類を救う神の方法をざせつさせようとしたヘロデ王の努力が,ざせつさせられました。―マタイ 2:1-23。

26 キリスト教世界はクリスマスの時節に,「大なる歓喜」にあずかっている,と言えませんか。“クリスマス”に関して,どんな基本的な事実を考慮しなければなりませんか。

26 キリスト教世界の成員は今日,ベツレヘムにいたそれら羊飼いのようであるのが当然ではありませんか。10億人に近い教会員は,毎年クリスマスを祝っては,「大なる歓喜」を表わし,神に栄光と賛美を帰しているのではないのですか。歴史が明らかにするところによれば,ベツレヘムのそれら羊飼いが,馬ぶねの中の幼児イエスを訪れた後,毎年クリスマスを祝ったことはありませんでした。マリヤはイエスを生んだ後,イエスを世に生み出したその日にクリスマスを祝いませんでした。イエスの使徒や弟子たちは,毎年,彼の誕生日にクリスマスを祝って,イエスにたくさんの贈り物やぶどう酒をおくって,ともにごちそうを食べたりはしませんでした。イエスの奇跡的な誕生をわたしたちに告げている聖書は,その誕生の約百年後に完成したものですが,その日を祝えるよう,イエスの誕生日をしるすということさえしていないのです。聖書にはクリスマスという名称さえ載っていません。それは4世紀に確立されたキリスト教世界が後日作りあげた名称で,架空の日付けを付して祝われています。ローマ・カトリックと新教徒が祝うクリスマスの日付けはギリシア正教のそれとは異なっています。

27 キリスト教世界が,遠い昔のイエスの誕生に,「大なる歓喜」を今日ほんとうに感じているかどうかは,どのように判断されるべきですか。伝道之書 7章1,8節は,この点でどんな関係を持っていますか。

27 イエス・キリストの処女降誕に「大なる歓喜」をいだかせるため,キリスト教世界は「この民,一般」に何を与えてきましたか。キリスト教世界は,今日のイエス・キリストに対し,「大なる歓喜」に満たされ,それゆえに,イエスがはるか昔に生まれたことに対して,「大なる歓喜」に満たされていますか。人々が今日,イエスがベツレヘムで昔生まれた事実に「大なる歓喜」を持つとするなら,その誕生の結果としての今日のイエスに対して,「大なる歓喜」をいだくことを意味しています。聖書が述べるとおり,「名は美あぶらにまさり,死る日は生るゝ日にまさる。事の終はその始よりも善し」。(伝道 7:1,8)イエス・キリストご自身は,みどりごだった1,900年前よりもはるかにまさっておられます。

28 (イ)殉教の死に至るまで忠実を保ったイエス・キリストに対し,神はどのように報いを与えられましたか。(ロ)したがって,この点に関し,キリスト教世界にかかわるどんな適切な質問が生じますか。

28 神の王国の関心事に対して,エルサレムにおける殉教の死に至るまで忠実を保った報いとして,イエス・キリストはエホバ神により,死から天の不滅の命へよみがえらされました。神は「親切にも,他のあらゆる名にまさる名を彼に与えられた。…それは,天と地と地の下のもののあらゆるひざが,イエスの名によってかがみ,また,あらゆる舌が,イエス・キリストは主であることを公に認めて,父なる神に栄光を帰すためである」。(ピリピ 2:5-11,新)しかし,クリスマスを祝う,キリスト教世界はどうですか。至上者としての神に対する服従を表わすために,イエスの名によって今日ひざをかがめていますか。誕生日を祝うキリスト教世界は,イエス・キリストがその主であることを,みずからの舌をもって公に認め,キリストの父なる神に栄光を帰していますか。20世紀の歴史は,否と答えます。

29 それらの質問に,20世紀の歴史が,否と答えているのはなぜですか。

29 キリスト教世界は今日に至るまで,キリストの王国であるとの主張を放棄していませんが,その中で統治し,支配しているのはだれですか。イエス・キリストではありません。人間の建てた王朝から出た者,人民から選任された者,あるいは軍事もしくは政治的クーデターによって権力を掌握した者たちが,その国王・大統領・総督として統治しています。キリスト教世界の政治支配者は,舌ではイエス・キリストを「主」と呼ぶかもしれませんが,主としてのイエス・キリストに主権を委譲しようとはしません。人民はといえは,国民の支配権はいかなる王にでもなくて,自分たち,つまり人民に帰されるべきであると主張します。政治支配者にしろ,人民にしろ,キリスト教世界の人々は,今日,公式な地位について王として統治しておられるイエス・キリストを認めていません。

[12ページの図版]

神は人類を救うために人間の王国を用いられない。神の王国がそうした王国を一掃し,永久にこの地を支配する

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