どのように私は寄付できますか
ある人々は,お金を一番大事なものに見なします。しかし,神の僕にとって,お金は目的のための一手段に過ぎません。エホバの証者のクリスチャン社会が寄付のことを大声で騒ぎ立てずに,しかも大きなわざを行なっていることに,お金を愛する人々や,その他の人はびっくりしています。エホバの証者の大規模な全国大会や国際大会には,いつも大ぜいの人々が驚嘆しています。聖書とか聖書の文書が毎年多量に印刷される大きな印刷工場を見て,印刷業者や他の人々は驚嘆の声を放っています。エホバの証者は,また御国会館を幾千もつくり,宣教者を多くの国々に派遣しました。エホバの証者がこれらのことや他のことをすることができたという事実,しかも寄付盆を回すこともせず,資金集めの運動もせず,ビンゴ・ゲーム,バザー,富くじ,謝肉祭,坐席の賃借し,十分の一税,そして団体の支持をはかるための資金募集としてのいろいろの方法が使われていないことは,ほんとうに驚嘆に値することです!
最近エホバの証者が家庭聖書研究を司会している一青年は,次のような質問をしました。「今週,私は1962年度のエホバの証者の年鑑」(英文)を読んで,あなた方のしている大きなわざに深い感銘を受けました。しかし,私に理解できないことは,その資金の調達法です。世界的な制度を運営するために,お金のかかることはたしかです。でも,あなた方は,一度も寄付を求めたことがない。私に寄付を求めたことは一度もありませんでしたね。いったい,だれがお金を出すのですか。どうしてまかなって行くのですか。その秘密はどこにあるのか」。
この青年の持ったこの興味深い質問に対する答えは,彼を驚かせました。読者もその答えから益を受けるでしょう。その論議は次のようでした。
お金はどのように集められるか
証者: エホバの証者の合法的な機関であるものみの塔協会が,お金を調達する方法は秘密ではありません。もしものみの塔協会が商業的な制度なら,もちろんお金を得る方法についての質問は起さないでしょう。しかし,ものみの塔協会は慈善的な団体であって,寄付を徴集したり,10分の1税を集めたりするキリスト教国の宗教の用いる方法に従わないため,協会が金銭を得る仕方および協会の経営の仕方について,多くの人々がびっくりしています。
家の人: 協会はどんな手段で必要なお金を得ているのですか。
証者: 寄付者が自発的に,強制されずに,そして懇願されずにお金を寄付します。寄付する人々は,各自の資力と能力に応じて寄付します。
家の人: 寄付をする人々はだれですか。
証者: 主としてエホバの証者です。その動機は,神とその御言葉に対する愛,および寄付したいという気持ちです。彼らは神の御国による人間の救いの音信を広めるために,金だけでなく,時間や努力や能力を寄付します。
家の人: 驚きましたね。いつかタイム誌で読んだことをおぼえているのですが,ある牧師はこんなことを言っていました。今日の教会では特別な寄付徴集の方法が多いため,「キリストの福音を伝道できる日曜日は,1年に3回しかない」。あなたがたが,そのような寄付の徴集法を用いないのはすばらしいですね。
証者: エホバの証者は,ものみの塔協会のつくられた目的を理解し,十分に認識しています。その目的とは,正しい手段により,できるだけ多くの言語で聖書の真理をひろめることです。彼らはこのわざの遂行を見たいとのぞんでいるので,そのわざの支持をしたいという強い気持ちを抱くのです。
家の人: このように自発的にわざを支持する人は大勢いるのですか。
証者: エホバの証者が寄付を願い求めたことは一度もありません。私たちはこのことにつき神に感謝しています。これは神の仕事であり,神はその御霊により,この仕事を遂行せられているからです。神の御国の全世界的な証言のわざを支持するための数多くの特権を人々は自発的に,かつ快く受入れています。ゼカリヤ書 4章6節によると,人々をして,そのように答え応じさせるものは神の御霊であることを知ります。
家の人: それを聞いて,うなずけるのですが,また何か謙虚な気持ちにもさせられます。神は私たちに関心を持たれているのですね。
証者: そうです,使徒パウロが使徒行伝 17章27節で述べているとおり,神は「われわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない」。神はたしかに私たちに関心を持っておられます。
家の人: それを考えると心が落ちつきますね。
昔の例
証者: 昔のエホバの民も,今日の私たちのように寄付をしました。お考えになったことがありますか。
家の人: ちょっと考えたこともあります。寄付をするように命ぜられたのですか。かねがね疑問に思っていたのですが。
証者: エホバは,昔から人々が自発的な気持ちで,金銭,物質を寄付して,地上におけるご自分のわざを支持することを許してこられました。もしそうでなかったなら,ルカ伝 21章1-4節に述べられているやもめはレプタ2枚を宮の寄付箱に投げ入れなかったでしょう。彼女は他の寄付者以上に多くのものを寄付したとイエスは言われました。
家の人: 寄付箱を備えつけておいたので人々は寄付のお金を投げ入れることができたのですね。それはずい分興味深いことです。
証者: 時にはイスラエル人がきわめて公然と寄付したこともあります。たとえば,出エジプト記 35章5-9節と36章5-7節によると,寄付が徴収されて,人々はその召に快く答え応じたと示されています。ダビデ王は,宮を建てるために,1億4098万800ドル(507億3308万8000円)に相当する金と銀を,公然としかも自発的に寄付しました。彼の寄付は,その造営に対する彼の信仰を示すものでした。私たちの寄付は,エホバのわざに対する私たちの信仰を示します。詩篇 110篇3節によると,エホバの民は「心から喜んでおのれをささげるであろう」と書かれています。アベルの時から現代にいたるまでその精神に変わりはありません。
どこで,そしてどのように寄付するか
家の人: 自発的に心から寄付するということは,私の気に入りました。エホバの証者の会衆に寄付したいと思うとき,どうしたら良いのですか。
証者: それは造作ありません。エホバの証者のどの御国会館にも寄付箱が備えつけられています。たいてい,寄付箱は会館の後部にあります。お望みなら,そこに寄付を入れることができます。寄付の金額の記録はつけられません。実際のところ,あなたがどれだけ寄付したか,またあなたが寄付したかどうかを知る人はあなた以外にいないのです。
家の人: それは良い取決めですね。きまりの悪い思いをしなくて済みます。でも,仮に御国会館に行けないならどうですか。エホバの証者の一人に寄付を渡して,私の代りに寄付箱の中に入れてもらっても良いですか。
証者: もちろん,そうしてもけっこうですし,しばしばそうされています。しかし,私たちとしてはあなたが御国会館に来て,霊的なプログラムに参加してもらえば,いっそう幸いに思います。
家の人: ごもっともなことです。ちょっとぶしつけな質問かも知れませんが,寄付はどのように使われるのですか。
証者: そのお金は,御国の良いたよりの伝道をすすめるため,社会で聖書教育をひろめるために用いられます。寄付は一銭といえども奉仕者の俸給にあてがわれません。私たちはみな時間を寄付するからです。しかし,会衆が集まって神の言葉を聞いたり,互いの信仰を建ておこす集会所をつくるために金が必要です。そして,資金の中のいくらかは,協会の本部に送られて,他の面で伝道のわざを拡大するために使用されます。
家の人: それはどのように行なわれるのですか。
証者: 多数の会衆は,一定額の寄付を協会に定期的に送るという決議を採決します。巡回大会や地域大会でも,これはしばしば行なわれています。
家の人: 個人が直接協会に寄付することはどうですか。たとえば,私はものみの塔協会に直接寄付することができますか。
証者: もちろんできます。そのときは次の宛書で送って下さい。Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania,Treasurer’s Office,124 Columbia Heights,Brooklyn 1, N.Y. アメリカ合衆国外の国々に住む人は,各国の支部事務所に寄付することができます。支部事務所の住所は,協会のたいていの本や冊子の裏頁のリストに出ています。制度のわざの計画を助けるため,多くの人は1年の中どのくらいの金額を寄付できるか協会に通知し,それからその能力に応じて寄付を送ります。この取決めは,拘束的なものではありません。それは,協会の活動を計画する助けになります。
家の人: なるほど。どのくらいの金額を送れば良いのですか。
証者: 金高はいくらでもけっこうです。大切なことは,寄付額が大きいということでなく,その背後にある動機です。50セント(180円)を寄付しようと,50ドル(1万8000円)を寄付しようと,それはみな用いられます。あなたが寄付するときの精神および寄付の背後にある考えの方が大切です。コリント後書 9章7節(新口)で,使徒パウロは「神は喜んで施す人を愛して下さるのである」と述べています。
家の人: 私たちもそうではありませんか。たしかに,正しい動機で施すときに,幸福を感じますね。
証者: そうです,イエスもそう言われました。使徒行伝 20章35節(新口)には彼の言葉が記されています,「受けるよりも与える方が,さいわいである」。
寄付の使用法
家の人: ある国の寄付は,他の国の伝道のわざを支持しますか。
証者: ある程度までそうです。しかし,各国の証者は自分たちの国のわざを支持するために寄付します。会衆が貧し過ぎて会衆自身と支部事務所を支えることができないときだけ,経済的な援助が与えられます。しかし,私たちには暖かい家族的な精神があって,互いに協力しながら同じ仕事を達成します。それで,地震,ハリケーン,その他の災のために兄弟たちが苦しい目に会うなら,私たちは物質的な品物とか,必要な個人的な援助を与え,他の品物を寄付してよろこんで兄弟たちを援助します。
家の人: それはすばらしい。しかし,別の質問があります。協会に送られた寄付によって,どんなものの費用がまかなわれるのですか。
証者: ものみの塔協会の85の支部事務所の中,ある事務所は印刷工場を経営しています。また,印刷工場で働く人々は時間と労力をみな無料で提供しているので,それらの人々のための宿舎をも供給しています。これらの人々が時間を無料で提供しているので,協会は聖書や聖書研究の手引を廉価で一般の人々に配布することができるのです。たとえば聖書全巻の「新世訳」(英文)は,わずか1ドルで求めることができます。
家の人: 驚嘆すべきことですね。
証者: これに加えて,協会には宣教者を含めて,6377人の特別開拓者がいます。彼らは地上153のちがった土地で働いており,新しい会衆をつくるために,孤立した区域につかわされた奉仕者です。昨年,協会はこれらの奉仕者を援助するために232万8819ドル69セント(8億3837万5088円)を使いました。平均すると毎月1人につき30ドル(1万800円)をちょっと超えるほどです。協会には,1170人の巡回の僕と地域の僕がいます。彼らはものみの塔協会の旅行する代表者で,約2万1557の会衆に奉仕しています。これらの奉仕者にも若干の援助が与えられます。また,ものみの塔ギレアデ聖書学校の徹底的な訓練を受けるため,地上のあらゆる場所から104人の奉仕者が招待されました。協会はその費用をみな払いました。さらに,毎年ビラとかパンフレットのようなものが幾百万部も無料で人々に配布されています。
家の人: でも大きな本とか雑誌の場合には,いくらかの寄付があるのでしょう。
証者: その通りです。しかし,協会の印刷物が配布された時に受取る金は,もっと多くの聖書研究の手引を印刷して配布するために用いられます。ところが,そのような寄付の金額では,世界的は規模を持つ御国の伝道をまかなうことはとうていできません。文書に対する寄付以外の寄付によって,多数の国の伝道のわざはまかなわれているのです。エホバの証者のしている活動がどの程度のものかご存じですか。
家の人: いいえ。でも大規模なものだと思いますね。
証者: 昨年96万5169人の証者は,神の御国の良いたよりを伝道するために1億3269万5540時間を奉仕しました。彼らは興味を持つ人に4500万4266の再訪問をし,毎週62万2665の家庭聖書研究を司会しました。―これもその時間の中に表わされています。
家の人: それは本当に良い記録ですね。
証者: たしかにそうです。証者はそのわざをすすめるために資金を用いており,ちょうどルカ伝 16章1-9節に記録されているたとえの中でイエスが示したように,彼らはエホバ神とキリスト・イエスの友になっています。彼らはあらゆる面で熱心につとめることによって,神をよろこばし,神の恵みと,新しい世における永遠の生命を得ることを希望しています。これらの事実を十分に認識する人々は,地上におけるこの最も肝要で有益なわざを拡大するためによろこんで寄付します。