若い人は尋ねる…
就職の面接試験のときはどうしたらよいのだろう
「就職の面接試験のときは,不安でたまらないという気持ちでした。今まで仕事をした経験がなかったので失敗するのではないかと恐れていたのです」と,セールは初めて就職しようとしたときのことを思い起こしています。
あなたも仕事に応募することを同じように感じていますか。そう感じるのはあなただけではありません。面接試験のことを想像しただけでも,多くの人々は年齢に関係なく冷や汗をかきます。それが最初の面接試験であればなおのことです。それに,仕事に就いている人はほとんど例外なく最初の就職試験を済ませています。でもそのような人々はうまく切り抜けましたから,あなたも切り抜けることができます。
若い人々が就く仕事は賃金が低く,面白みも少ないのは事実です。仕事を望む若者たちの数に比べて,仕事が少ないのも事実です。では,仕事に就こうとするのは意味がないということになりますか。それは誤りです。『機会がない』という考えには用心しなければなりません。その気になって探しさえすれば,機会は毎日でもやって来ます。個人的な責務のために全時間の仕事の必要な人もいれば,パートタイムの仕事の欲しい人もいるでしょう。どちらの場合にせよ,進取の精神を示せば就職の面接試験をパスし,仕事に就くことができます。そして進取の精神は,雇用者がこれから働いてもらう人々に求める重要な特質の一つなのです。どうしてもこの最初の段階は踏まなければなりません。
就職の面接試験を成功させる上での障害を,克服できないものと考えてはなりません。むしろ,その障害を飛び越えるべきものと考えてください。聖書の箴言は,「怠惰な者の道はおどろの垣のようであり,廉直な者たちの道筋は盛り上げられた道である」という助言を与えています。怠惰な者にとっては,挑戦となるどんな事柄も,やっかいでどうにもならない「おどろの垣」のように思えます。それで何もしません。しかし賢い人にとってその道は「盛り上げられた」道であり,石のような障害物がすべて取り除かれた高速自動車道のように滑らかで広い道に見えます。賢い人は喜んで前進し,挑戦に応じます。―箴言 15:19。
試験の前
あなたは自分の長所と短所を知っていますか。自分の長所と短所について実際的な見方をすることは,職探しに必要な準備の一部ですから,自分に正直であってください。このことを知っていると,うぬぼれたり不当な要求をしたりしないで済みます。職業セミナーに携わっている相談員のクリーブランド・P・ジョーンズ氏は,多くの若い人々に見られる態度についてこう説明しています。「できるだけ少なく働いてできるだけ多くのお金を得られる仕事を若者たちは望んでいる。だが,今の世の中でそんな考えは通用しない。はしごの一番下から始めるのだということを忘れてはいけない」。
より良い仕事に移る権利は努力しなければ得られません。しかし,仕事を得ることが先決です。そして自分の務めをきちんと果たし,実際に仕事をして貴重な実地経験を積むなら,自分に自信が付いてくるだけでなく,雇用者があなたに寄せる信頼も強まります。より大きな責任を担う準備ができてくるのです。
仕事を望むだけでは不十分です。その仕事に何が求められているかを調べ,その要求にかなうよう準備をしなければなりません。雇用者から求められる事柄を一々はねつけてしまうようでは,より良い仕事に就く機会を逸してしまうでしょう。それらの要求は,従業員としてのあなたの可能性を測る物差となるのです。「『もしラジオを聞かせてくれないのなら,働けません』と雇用者に言ったため首になった人を知っています」と,ジョーンズは述べています。
「就職の面接試験を受ける前に,第一印象は永続するということを覚えていてください」とジョーンズは述べています。そして,面接試験にはブルージーンズやスニーカーを避けるようにと注意し,清潔できちんとした身なりをする必要があることを強調しています。『でも,自分には自分の好きな物を着る権利がある』と言う人がいるかもしれません。雇用者の側にも,自分の採用したい人を採用する権利があるのです。仕事を持っているのは向こうで,あなたはその仕事を探している立場です。良いほうにせよ,悪いほうにせよ,人は服装に似た働き方をするものだ,と雇用者は結論するかもしれません。
ですから,事務の仕事であれ工場の仕事であれ,就職の面接試験にはきちんとした服装で臨むほうが無難です。事務の仕事を志望しているならビジネスマンが着るような物を着ます。工場の仕事に応募するときには清潔でプレスのきいたズボンとシャツを身に着け,きちんとしたくつをはきましょう。女性の場合は,つつましい服装をし,化粧もほどほどにします。事務の仕事に応募する場合には,長いくつ下と,控え目な服装に合ったくつをはいてください。
履歴書(自分の様々な資格を簡潔に書き記したもの)がいつも必要でしょうか。米国の場合,工場の仕事のような多くの仕事の場合には必要ではないかもしれませんが,事務の仕事の場合には大抵必要です。
面接試験のとき
面接試験に臨む時にはいつも一人で行きなさい,とジョーンズ氏は忠告しています。雇用者側はあなたと話し,あなたがその仕事を望んだ理由を,あなたの友人ではなくあなたから聞きたいのです。母親や友だちを面接試験に連れて行くなら,雇用者はあなたがまだ成長しきっていないと判断するかもしれません。
『以前に仕事をした経験がありますか,と雇用者から尋ねられたら,何と答えたらいいのだろう』と考えておられるかもしれません。相手をだましてはなりません。「正直に言わなければなりません。うそをついたり,作り話をしたりすれば相手はすぐに分かります」とセールは言います。
自分では気付かないかもしれませんが,それが最初の仕事である場合でも,以前にある仕事を経験したと言えるかもしれません。なぜそう言えますか。夏の期間だけアルバイトをしたことはありませんか。ベビーシッターをしたことがありますか。自分の家で家事の割当てをいつも受けていましたか。あなたの崇拝の場所で,一定の務めを行なう責任を与えられていましたか。人々の前で話す訓練を受けたことがありますか。もしそうであれば,責任をもって仕事が行なえることを示すためにそうした事柄を面接試験の際に話すことができますし,履歴書に書くこともできます。
雇用者の別の重要な関心事は,あなたが会社に対し,また与えられる仕事に対しどの程度興味を抱いているかということです。ですから,あなたがその仕事を望んでいることやその仕事を扱えること,またそれを証明する機会を望んでいることを雇用者に確信させなければなりません。「自分に向くかどうか」という態度を示すと,あなたに対する試験官の関心は押しボタンスイッチを押すよりも早く消え失せてしまうでしょう。試験官が関心を抱いているのは,会社があなたにできることではなく,あなたが会社に対してできることなのです。
全時間あるいはパートタイムの仕事に応募し,その仕事を得るというのは一つの挑戦ですが,それに立ち向かって成功を収めることはできます。そしてその仕事が自分だけでなく他の人々を助けるための手段ともなるなら,自分が満足できるかどうかは二次的な問題になります。
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履歴書
サルバトーレ・ジェームズ・ジョーンズ
11201 ニューヨーク市,ブルックリン
4番街 123,321号室
電話: (212)989-4586
希望職種
消費者部門代表者
学歴
高校卒業 ― 1978年9月から1982年6月まで,ニューヨーク市ブルックリン,ブルックリン高校に在籍
職歴
1981年7月と8月,ニューヨーク市ブルックリンのグリーン食料品店で在庫係の夏期アルバイト
1980年9月から1981年6月まで,ブルックリン・タイムズ紙の朝刊配達
その他の職歴
毎週45分間開かれる,話し方の訓練課程に出席
1972年から現在に至るまで,ニューヨーク市ブルックリンのエホバの証人の王国会館において,6週間に1回,95人の聴衆の前で5分間の話をする
1980年から現在に至るまで,週1回行なわれる王国会館の芝生並びに植込みの世話の手伝い
身元保証人
サムエル・グリーン,グリーン食料品店々長。11201 ニューヨーク市,ブルックリン,スプルース通り 789
ジョン・P・シェパード,主宰奉仕者。11201 ニューヨーク市,ブルックリン,エルム通り 456
アンナ・テンプル夫人,近所の人。11201 ニューヨーク市,ブルックリン 4番街 125
個人的データ
年齢: 18
身長: 5フィート9インチ
体重: 150ポンド
既婚未婚の別: 未婚
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就職の面接試験での心構え
● 子供じみた態度を避け,まじめであること。敬意のこもった態度で雇用者にあいさつする。「ミスター」と呼び,「ジャック」とか,「君」などと呼ばない。
● 背筋を伸ばしていすに座り,足をきちんと床に着ける。きびきびした感じを示す。前もって計画すれば,冷静さと落ち着きを保つことができ,緊張せずに済む。
● 質問に答える前に考える。礼儀正しさ,正確さ,正直さ,率直さを心掛ける。十分な情報を提供する。自慢してはならない。
● 自分の職歴のすべて,仕事をしていた期間,得ていた賃金,以前行なっていた仕事の種類,その仕事をやめた理由などを記したメモを携帯すること。
● 前に受けた訓練と仕事の経験が,いま希望している仕事を行なう上でどのように助けになるかをすぐに示せるようにしておく。
● 身元保証人として,あなたとあなたの仕事を知っている信頼できる3人の名前(と完全な住所)を述べる。
● 自信を持ち熱心であるべきだが,うそをついてはならない。言葉遣いを正しくし,はっきり話すこと。しかし話し過ぎてはならない。
● 注意深く耳を傾ける。礼儀正しく,巧みであること。とりわけ,雇用者となる見込みのある人と議論するようなことがあってはならない。
● 雇用者はあなたが適任かどうかということにしか関心がない。個人的な家庭の事情や金銭の問題を話すことは避ける。
● 希望の職に就けそうもないなら,その会社でこれから募集があるかもしれない別の仕事について,雇用者の助言を求める。
● 面接試験の直後に感謝状を雇用者に送る。a
[脚注]
a 出典: ニューヨーク州雇用業務局発行のパンフレット,「雇用者に“自分を売り込む”方法」。