賢人はどんな意味で述べたか
価値のある知恵とは何ですか
ソロモン王は,人間に関する事柄の全容を丹念に調べた後,自分の達した結論を書き留めました。ソロモンは,自分の探索から益を得るよう他の人々を助ける努力について,次のように書きました。「召集者は,自分が賢い者となったことに加えて,民に絶えず知識を教えもした。また,熟考し,丹念に探索した。多くの格言を整理するためであった。召集者は喜ばしい言葉を見いだし,真実の正確な言葉を書くことに努めた」― 伝道 12:9,10,新。
伝道之書 12章9,10節のギリシャ語セプトゥアギンタ訳は次の通りです。「そしてさらに,伝道者が賢い者であったため,また伝道者が人類に知恵を教えたため,耳がたとえ話から適切な事柄を見いだせるよう伝道者は喜ばしい言葉と正しい事柄,つまり真理の言葉を見いだすよう勤勉に努めた」。(トムソン訳; 列王上 4:29-34; 新英語聖書とギンズバーグの注釈もご覧ください。)ソロモンはその書の中で,喜ばしい言葉をもって,また興味深く,真に価値のある論題をもって読者の心を動かそうとしました。ソロモンは神の霊の助けを得ていましたから,今日のわたしたちはソロモンの達した結論を疑問の余地なく受け入れることができます。さらに,そうした結論は,時という試験を経てきました。
ソロモンは,当時存在していた文書すべてに関してどんな結論に達しましたか。ソロモンはこう書いています。「賢い者たちの言葉は牛追い棒のようであり,文言を集めることに専念する者たちは,まさしく打ち込まれたくぎのようである。それらは一人の羊飼いから与えられた。これら以外のことについては,わが子よ,警告を受けなさい。すなわち,多くの本を作ることには終わりがなく,それらに大いに専念すると肉体が疲れる」― 伝道 12:11,12,新。
それゆえ,最も有益な書物は,「一人の羊飼い」,つまりエホバ神の知恵を反映する書物です。しかし,他の知識の源に注意を払いすぎる人は,永続する本当に価値のあるものを多く得ることもできずに,むだ骨を折って疲れてしまいます。とりわけそうした書物がこの世的な推論の所産であって,神の知恵と相反するなら,それは不健全で信仰を損なうものとなります。一方,神の知恵の書かれた書物の言葉は,牛追い棒のように,そこに記されている知恵と調和して進歩するよう聴き手あるいは読み手を促すでしょう。また,文言,つまり真に価値ある金言を集めることに専念する者たちは,くぎのようです。なぜなら,そうした人々の持つ,エホバ神の知恵を反映する良い言葉は,聞き手をしっかり支えるのに役立つからです。
ソロモンは,自分の調べた事柄全体を要約して,次のように述べています。「すべてのことが聞かれたからには,事の結論はこうである。真の神を恐れ,そのおきてを守れ。それが人の務めの全体だからである。真の神はあらゆる種類の業をそれが善いか悪いかについて,すべての隠されたことに関連して裁かれるからである」。(伝道 12:13,14,新)創造者への健全な恐れや尊敬の念があれば,わたしたちは,言い知れぬ困難を自分自身にもたらすような無謀な生き方をしないよう守られるでしょう。また,創造者の目を逃れられるものはないということを認めれば,創造者のおきてを守るよう心を動かされます。至高者は,人間の目からは隠されている事柄をも含めてすべての事柄を裁かれます。至高者のおきては,わたしたちの永続する福祉を図って作られているのですから,そのおきてを守るのは正しいこと,また本当に賢明なことではありませんか。