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「御心が地に成るように」(その19)ものみの塔 1959 | 10月1日
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四の国である。これはすべての国と異つて,全世界を併合し,これを踏みつけ,かつ打ち砕く。十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり,かつ,その三人の王を倒す。彼は,いと高き者に敵して言葉を出し,かつ,いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と,ふた時と,半時の間,彼の手にわたされる。』(ダニエル 7:23-25,新口)記録されている歴史の事実は,その預言の真実なることを証明しています。
15 この象徴的な第4番目の獣はどのように始まりましたか。どのような面でその最初の発展は以前の獣の発展と異なつていましたか。
15 この象徴的な第4番目の獣が,以前の3匹の獣と異つているということは,繰り返し述べられています。この『獣』は,ローマ帝国と共に始まりした。そして,ローマ帝国については,エッチ・ジー・ウェルズは『世界の小歴史』(英文)という本の中で,次のように述べています。
キリスト前2世紀と1世紀に西欧世界を支配した新しいローマ強国は,いくつかの点でかつて文明世界を支配した大帝国とは異つたものである。それは最初独裁君主国ではなく,一大征服者がつくり出したものでもない。それは共和帝国中の最初のものではなかつた。…しかし,それは絶滅をまぬがれて,新しく発展した最初の共和帝国であつた。…中央アジアやペルシヤで確立することはできなかつた。なぜなら,それらの場所は行政の中心地からは余りに離れ過ぎていたからである。それは…程なくして世界中のほとんどすべてのギリシヤ人を統合した。その人口は,以前の帝国とくらべてハム族とセム族の力がずつと少い…それでローマ帝国は,主としてアリアン族を支配しようとした最初の試みであった。それは,歴史上まつたく新しい型であつて,…拡大したアリアン共和国であつた。…ローマ帝国は成長してきたものである。計画を立てなかつた新しい成長であつた。ローマの国民はほとんど知らぬ間に大きな行政経験に参加していたのである。…それは常に変化していた。それが固定したということは一度もない。ある意味で(行政の)実験は失敗した。ある意味で実験は未だ終了していない。そして今日の欧州とアメリカは,いまでもローマ人が最初に直面した世界的な行政のなぞの解決を図つている。―第33章『ローマ帝国の成長』149-151頁。1922年出版。
16 この第6次世界勢力は,どのように拡大しましたか。しかし,それは何に解体して預言を成就しましたか。
16 ローマの世界強国は地中海のまわり全部に拡大し,モロッコとスペインをも含むようになりました。それは北西の欧州にひろがり,英国の海峡を越えて英国にも入りました。キリスト前55年,カイザル・オウガスタスの大叔父にあたるジュリアス・シーザーの下に英国に対する最初のローマ侵略が行われました。(西暦)120年,ハドリアン皇帝自身は英国を訪問し,タイン河からソルウエイ入江までローマ城壁を建てました。(西暦)204年,ローマ人は南部の英国を支配して2つの地区に分割しました。しかし,ヱホバの預言の示すところによると,この貪欲で圧制的な第6次世界強国は,以前の国々が取つた道を取りました。ローマ帝国も解体しました。それがこなごなに砕けた断片は,恐ろしい第4番目の獣の頭についていた10の角で象徴されました。その10という数は,この地にかんして全部ということを象徴します。
17 3つの角を倒した他の角は何を象徴しましたか。「ブリタニカ百科事典」は,それが異なつているとどのように述べていますか。
17 ダニエルは,3本の角を抜け落させるために出てきた他の角が何を意味するのか,特に知りたいと思いました。今日,間ちがいのない歴史的な記録により,その角は知られており,識別されています。それは大英帝国として出てきました。特に17世紀以来そうです。御使は,勝利を得るこの角の表わす「王」について説明しました,『彼は先の者と異なり』この相異ということに関して,「ブリタニカ百科辞典」(1910年の第11版)第4巻,606a頁と610a頁は,1910年についてこう述べています。
大英帝国という名前は,いま地域の全集合に漠然と与えられている。この地域に住む人々は,いろいろの形の政府下にいるが結局には英国の王冠を最高の頭と仰ぎ見る。『帝国』という言葉は,この場合,便宜上のために使用されているのであつて,歴史における古い帝国と独裁的な帝国に等しい意味で使われているのではない。
国家の大集合体は,その性格がかなり異り多くのちがつた方法で取得されたものにせよ,自分たちの政府,自給自足,そして自己防衛という一般的に受け入れられた三重の原則について王冠の最高の頭の下に結集する。その原則は,帝国の或る部分では,他の部分よりも,良く適用されている…
18 英国の一歴史家は,その角が異なつているものであることをどのように述べていますか。
18 英国の歴史家エッチ・ジー・ウエルズは次のように語つています。
ここで1914年の大英帝国構成図のいろいろの性格について簡単に気をつけて見よう。蒸気船と鉄道は,それらの構成図をむすびつけたのである。それは過去でも現在でも全く独自な政治結合であつた。その種類のものは,いままでに存在したことがない。その全組織の第一にして中心的なものは,連合大英帝国の『王冠を持つ共和国』であつた。…それで,明らかに分るごとく,一つの職務,一つの頭脳は,大英帝国全部を理解することはできない。それはいままで帝国と呼ばれていたものとは全く異る成長と蓄積の混ぜ合わせであつた。…アテネ帝国のごとく,それは海外の帝国であつた。その道は海の道でその共通のきずなは英国海軍であつた。すべての帝国と同じく,その結合は通信連絡の方法に全く依存していた。…「世界の小歴史」(英文)365,366,368頁の第64章『1914年の大英帝国』
19 どのような面で,この象徴的な角は『全地を併合しま』したか。それのどんな部分は,更にその力を増し加えるようになりましたか。
19 大英帝国はたしかに『全世界を併合』しました。すなわち全世界的なものになつたのです。それで,太陽は大英帝国の領土の上に沈みませんでした。地上の4分の1の国が抱括され,地の人口の4分の1は含まれました。それは世界の歴史上で最大の帝国でした。しかし,それ以上のことがあります。1775年,アメリカにあつた13の英国植民地は反逆し,8年にわたる戦いの後にその独立を確立しました。アメリカ共和国に王はありませんが,大統領を政府の首理とし,戦いを行つて拡大し,大西洋海岸から太平洋の海岸にいたるまで,北アメリカ大陸中にひろがりました。アメリカ共和国はアラスカを買い取り,海洋中のいろいろの島を所有するにいたりました。やむを得ぬ周囲の状況により,アメリカ共和国は母国の同盟国となりました。そして,二つの世界大戦の際には英国とアメリカはくるしい戦いをして勝利を得ました。第二次世界大戦以来,アメリカ共和国は世界の優勢な国として表われました。しかし,肝要な事柄では英国と強いきずなを保ち,協力し合つています。
20 それで,いちばん最近の発展において,その角は何を象徴しましたか。それはどんな3つの角を倒しましたか。
20 予めに告げられていた『この角には目があり,また大きな事を語る口があつて,その形は,その同類のものよりも大きく見えた。』この角は,英米両国の世界強国であると歴史上識別されています。それは,聖書の預言内で予めに告げられていた第7次世界強国です。この強力な角が1914年前に倒した3つの角または『三つの王』は,(1)スペイン,(2)ネーデルランド,そして(3)フランスの海軍力でした。a
21 どんな面でこの象徴的な角は目を持つていますか。その口は,どのように大きなことを語り,最高者に敵対の言葉を語りましたか。
21 7番目の世界強国であるこの英米世界強国は,極めて目ざとく,抜け目なく,外交が巧みでこの世的に賢明です。それは『目がある角』です。それは『大きな事を語る口』があつて,世界の大部分の政策をつくり上げます。そして,この世界の代弁者または預言者としての働きをいたします。(黙示 16:13。19:20)諸国家は,自分たちの道を決定する前に,英米世界強国の言葉に耳を傾けます。以前にあつた世界強国エジプト,アッスリア,バビロン,メデア ― ペルシヤ,ギリシヤ,そしてローマと同じように,英米世界強国はヱホバ神に敵対の言葉を語り,ヱホバの忠実な証者たち,すなわち地上の『聖徒』たちと係り合いを持ちました。『彼は,いと高き者に敵して言葉を出し,かつ,いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。』(ダニエル 7:25,新口)このすべてにもかかわらず,『彼』はクリスチャンであると主張するのです!
22 この象徴的な角は何の一部ですか。それは,どのように神の御国のために働かず,また神の御こころにしたがつて語りませんでしたか。
22 この英米両国の世界強国が,キリストの教えに従わぬこの世の一部であることは間ちがいありません。それは,『この世のすべての国々とその栄華』の一部です。サタン悪魔は,誘惑の山でそれをイエス・キリストに提供しましたが,イエスは拒絶して,次のように言いました。『サタンよ,しりぞけ!「あなたの神ヱホバを崇拝し,ヱホバ神のみに聖なる奉仕を捧げねばならない」と書かれている。』(マタイ 4:8-10,新世)目と口を持つこの象徴的な角は,良心のとがめなどを気にかけず,世界支配を得ようと努め,神の約束された御国のために働こうとしませんでした。その口は,この世の指導権を得ようとする目標を述べており,よく話す口であつて,罪がないとは言えず,また外交的な偽りがないとも言えません。それは最高者の御こころと目的に敵対して語り,『ヱホバという名を持ち給う汝のみ全地をしろしめす至上者なることを』認めません。―詩 83:18。
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設計者がいなければならぬものみの塔 1959 | 10月1日
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設計者がいなければならぬ
すべての生物は偶然に存在するようになつたでしようか,実際のところそんなものはひとつもありません。化学者エドモンド・コーンフェルドはこう言いました。『有機化学の ― ことに生きた組織の ― 中の複雑ながらも行きわたつた秩序を見た者にとつては,偶然という考えなどは甚だしい矛盾である。分子構造や相互作用に関する科学を研究すればするほど,それを創案し設計した者が必ずいるということをますます確信するようになる。』
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