「自分のことを必要以上に考えてはなりません」

1. フィリピ 2章3節にあるどんな考え方をすると，他の人と良い関係を保てますか。

私たちは謙遜な態度でエホバの基準に従います。自分にとって何が最善かを知っているのはエホバであることを認めているからです。（エフェ 4:22-24）謙遜であれば，エホバの望むことを自分の望むことよりも優先し，自分より他の人の方が上だと考えます。結果として，エホバとも兄弟姉妹とも良い関係を保てます。（フィリピ 2:3を読む。）

2. パウロもどんなことを認めていましたか。この記事ではどんなことを取り上げますか。

² それでも，気を付けないと今の世界の高慢で自分中心の考え方に影響される可能性があります。b 1世紀のクリスチャンの中にも，そのような考え方に影響されていた人たちがいたようです。使徒パウロはローマのクリスチャンに次のように書いています。「私は……皆さんに言います。自分のことを必要以上に考えてはなりません。……健全な考え方をしましょう」。（ロマ 12:3）パウロも認めているように，私たちは自分のことをある程度考える必要があります。謙遜であれば，その点でバランスの取れた見方を持てます。この記事では，うぬぼれた態度を取らずに謙遜であるべき，3つの分野を取り上げます。（1）夫婦の関係，（2）さまざまな奉仕の機会，（3）ソーシャルメディアの使い方です。

夫婦の間で謙遜である

3. 夫婦の意見がぶつかる場合があるのはなぜですか。そのような場合，どう考える人もいますか。

³ エホバは，夫と妻が結婚から喜びを得られるようにしました。でも人は皆不完全であり，夫と妻の意見がぶつかることがあります。パウロも，結婚するなら苦難を身に招く，と書いています。（コリ一 7:28）夫婦がいつも言い合ってしまうと，結婚したのは間違いだった，と考えるかもしれません。世の考え方に影響されていると，もう離婚するしかないと思うことでしょう。大切なのは自分の気持ちに正直になることだ，と考えるのです。

4. どんな考え方に気を付ける必要がありますか。

⁴ 自分の結婚は失敗だった，とすぐに考えてはなりません。聖書が離婚の根拠として挙げているものは性的不道徳だけです。（マタ 5:32）ですから，パウロの言う「苦難」に遭う時，次のような高慢な考え方をしないようにしましょう。「私はこの結婚で十分に満たされているだろうか。私は十分に愛されているだろうか。ほかの誰かと一緒になった方がもっと幸せになるだろうか」。こう考える人は自分のことしか考えていない，ということにお気付きでしょうか。この世の知恵は，「あなたの気持ちに正直になり，あなたの幸せを考えなさい。離婚という結果でも構いませんよ」とささやき掛けてきます。一方，神の知恵は，「自分のことばかり考えずに，他の人のことにも気を配りましょう」と諭しています。（フィリ 2:4）エホバは，あなたが結婚を終わらせることではなく，絆を守ることを望んでいます。（マタ 19:6）あなたが，自分の考えよりもエホバの考えを優先させることを願っています。

5. エフェソス 5章33節に述べられている通り，夫と妻には何が求められますか。

⁵ 夫婦は互いに愛と敬意を表す必要があります。（エフェソス 5:33を読む。）受けることよりも与えることを考えるように，と聖書は教えています。（使徒 20:35）どうすれば愛と敬意を表せますか。謙遜であることによってです。夫と妻は謙遜であれば，「自分のためになることではなく，[相手]のためになることをいつも優先」します。（コリ一 10:24）

6. スティーブンとステファニーのコメントのどんな点が参考になりますか。

⁶ 多くの夫婦は，謙遜であることによってもっと幸せになっています。夫であるスティーブンはこう言っています。「チームなので，問題にも一緒に取り組みます。『何が自分にとってベストか』ではなく，『何が2人にとってベストか』と考えます」。妻のステファニーも同じ考えです。「けんかが絶えない家で生活したいとは思いません。意見がぶつかる時，衝突の原因を探ります。それから一緒に祈り，出版物を調べ，よく話し合います。お互いを攻撃するのではなく，問題そのものに取り組みます」。夫と妻がそれぞれ，自分よりも相手のことを考えるなら，幸せに生活できます。

「いつも謙遜」にエホバに仕える

7. 何かの務めを委ねられた兄弟は，どのように考えるべきですか。

⁷ どんな形であれ，エホバに仕えられるのは光栄なことです。（詩 27:4; 84:10）兄弟がエホバへの奉仕のために自分を差し出せるなら，それは素晴らしいことです。聖書にも，「監督になろうと努めている人は，立派な仕事を望んでいます」と述べられています。（テモ一 3:1）それでも，監督の務めを委ねられた兄弟は自分のことを必要以上に考えてはなりません。（ルカ 17:7-10）兄弟姉妹に謙遜に仕えることを目標にすべきです。（コリ二 12:15）

8. デオトレフェス，ウジヤ，アブサロムの例からどんなことを学べますか。

⁸ 聖書には，自分のことを必要以上に考えて失敗した人の例が挙げられています。デオトレフェスは厚かましくも，「会衆で一番上に立とうとして」いました。（ヨハ三 9）ウジヤは高慢だったので，エホバから割り当てられていない務めを果たそうとしました。（代二 26:16-21）アブサロムは王になりたかったので，ずる賢い方法で人々を味方に付けようとしました。（サム二 15:2-6）これらの記述から分かるように，エホバは自分の栄誉を求める人のことを喜びません。（格 25:27）誇りや野心は人を破滅させます。（格 16:18）

9. イエスはどんな手本を示しましたか。

⁹ イエスはこの人たちとは異なり，「神のような方でしたが，神の立場を奪って神と同等になろうなどとは考えませんでした」。（フィリ 2:6）エホバに次ぐ立場にいても，自分のことを必要以上に考えたりしません。弟子たちにこう言ったこともあります。「あなたたちの間でより小さな者として行動する人こそ偉いのです」。（ルカ 9:48）イエスの謙遜さに倣う開拓者，援助奉仕者，長老，巡回監督と共に働けるのはうれしいことです。エホバに謙遜に仕える人たちは愛を表します。その様子を見て，人々はエホバの組織を見分けることができます。（ヨハ 13:35）

10. 会衆に何かの問題があり，その問題がきちんと扱われていないと感じる場合，何ができますか。

¹⁰ 会衆に何かの問題があり，その問題がきちんと扱われていないと感じる場合はどうしたらよいでしょうか。不平を言うのではなく，謙遜であってください。教え導いている人たちを信頼しましょう。（ヘブ 13:17）次のように考えてみてください。「これは正されるべき深刻な問題だろうか。今正すのが最善だろうか。私にはその問題を正す権限があるだろうか。正直なところ，会衆が一致するようにということを本当に考えているだろうか。それとも，自分に注意を引こうとしていないだろうか」。

11. エフェソス 4章2，3節に述べられている通り，謙遜にエホバに仕えるならどんな結果になりますか。

¹¹ エホバは能力よりも謙遜さを，効率よりも一致を大切にします。ですから，謙遜にエホバに仕えることを心掛けてください。そうすれば，会衆の一致に貢献できます。（エフェソス 4:2，3を読む。）宣教に意欲的に取り組んでください。兄弟姉妹に仕えて親切にする機会を探しましょう。何かの務めを委ねられている人に限らず，どんな人をももてなしましょう。（マタ 6:1-4。ルカ 14:12-14）兄弟姉妹と共に謙遜に働くなら，兄弟姉妹はあなたの能力だけでなく，謙遜さにも注目するでしょう。

ソーシャルメディアの使い方と謙遜さ

12. 友達を持つことについて，聖書は何と述べていますか。

¹² エホバは私たちに，友人や家族との交友を楽しんでほしいと思っています。（詩 133:1）イエスには良い友がいました。（ヨハ 15:15）聖書は真の友の価値について述べています。（格 17:17; 18:24）自分を孤立させるのは良くない，とも言っています。（格 18:1）ソーシャルメディアを使えば友達がたくさんでき，寂しくならないで済む，と考えている人は大勢います。でもソーシャルメディアを使うときには注意すべきことがあります。

13. ソーシャルメディアを使うことで寂しさが増す場合があるのはなぜですか。

¹³ ソーシャルメディアで他の人の写真や投稿をチェックすることに多くの時間をかけると，かえって寂しさが増し，気分がふさぎ込む，という研究結果があります。なぜでしょうか。考えられる1つの理由は，ソーシャルメディアに載せられる写真は大抵，生活の中できらきらしている場面ばかりだからです。自分や友達のベストショットや，楽しかった場所が載せられます。そういうものと比べると，自分の生活が何だか地味で，つまらなく思えてくるのです。19歳の姉妹はこう言っています。「周りの子たちが休みの日に遊んでいて，自分はどこにも出掛けなかったと思うと，気分が沈みます」。

14. ソーシャルメディアを正しく使う上で，ペテロ第一 3章8節の言葉はどのように役立ちますか。

¹⁴ もちろん，ソーシャルメディアは正しく使えば，家族や友人と連絡を取ったりするのに便利です。でも投稿の中には，自己アピールの強いものもあると感じたことはありませんか。そのような投稿をする人たちには，「私を見て」という心理が働いているのかもしれません。自分や友達が投稿した写真について，わざとショッキングな内容やわいせつな内容の書き込みをする人もいます。こうした行動は，仲間の気持ちを考えて謙遜であるように，というクリスチャンに対する勧めに反しています。（ペテロ第一 3:8を読む。）

15. 人から注目されたいという気持ちがあるなら，聖書のどんな言葉を考えるとよいですか。

¹⁵ ソーシャルメディアを使っている人は，こう自問してください。「私のコメントや写真や動画を見て，自慢している，と思う人はいないだろうか。嫉妬心をあおってしまわないだろうか」。聖書にはこうあります。「世の中のもの，すなわち罪深い欲望，見ることから生じる欲望，持ち物を見せびらかすことは皆，父からのものではなく，世から出るもの……です」。（ヨハ一 2:16）「持ち物を見せびらかす」という表現は，ある英訳聖書では，「重要人物と見られたがる」と訳されています。クリスチャンは，自分をアピールする必要があるとは考えません。聖書の次の勧めの通りにします。「自己中心的になってはなりません。競い合ったりねたみ合ったりしないようにしましょう」。（ガラ 5:26）謙遜であれば，人から注目され，うらやましがられたいという世の精神に染まらないで済みます。

「健全な考え方をしましょう」

16. 高慢にならないようにすべきなのはなぜですか。

¹⁶ 謙遜さを身に付けましょう。高慢だと「健全な考え方」ができなくなるからです。（ロマ 12:3）高慢な人は，対抗心を抱き，自己中心的です。そのような人の考え方や行動は，他の人ばかりか本人にも害を及ぼします。考え方を改めないなら，健全な思考が遮られ，サタンによって考え方が腐敗させられてしまいます。（コリ二 4:4; 11:3）一方，謙遜な人は健全な考え方をします。自分についてバランスの取れた見方をし，他の人の方が多くの点で自分より上であることを認めます。（フィリ 2:3）「神は傲慢な人に敵対し，謙遜な人に惜しみない親切を示してくださる」ことも知っています。（ペテ一 5:5）健全な考え方をする人は，エホバに嫌われたいとは思いません。

17. 謙遜であるために何をする必要がありますか。

¹⁷ 謙遜であるには，「古い人格とそれに伴う習慣を脱ぎ捨て，新しい人格を身に着けましょう」という聖書のアドバイスを当てはめる必要があります。これは簡単なことではありません。イエスの手本を学び，できる限り倣う必要があります。（コロ 3:9，10。ペテ一 2:21）そのような努力は報われます。謙遜であるなら，夫婦の仲は良くなり，会衆の一致に貢献できます。人から注目されるためにソーシャルメディアを使ったりはしません。何よりも，エホバに祝福され愛されます。