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征服する者となるよう努力する啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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5 スミルナのクリスチャンの前途にはどんな試練が横たわっていましたか。
5 このような憎しみに直面したスミルナのクリスチャンは,イエスにより慰められます。「あなたが受けようとしている苦しみを恐れてはならない。見よ,悪魔はあなた方のうちのある者たちを次々に獄に入れるであろう。それは,あなた方が十分に試されるため,また十日のあいだ患難に遭うためである。忠実であることを死に至るまでも示しなさい。そうすれば,命の冠をあなたに与えよう」。(啓示 2:10)イエスはここで,「あなた」という意味のギリシャ語の複数形を3回(英文)使って,ご自分の言葉が会衆全体を包含していることを示しておられます。イエスは,スミルナのクリスチャンの試練が間もなく終わるということを約束するわけにはゆきません。その一部の人たちは引き続き迫害を受け,投獄されるのです。彼らは,「十日のあいだ」患難に遭うことになります。十という数は,地的な十分さ,もしくは全体を象徴しています。忠誠を保つ,霊的に富んだそれらの人たちでさえ,肉体でとどまっている間,徹底的な試みを受けるのです。
6 (イ)スミルナのクリスチャンはどうして恐れるべきではありませんでしたか。(ロ)イエスはスミルナの会衆に対するその音信をどのように結ばれましたか。
6 とはいえ,スミルナのクリスチャンは恐れたり,妥協したりすべきではありません。もし,終わりまで忠実を保つなら,彼らには報いとして「命の冠」,つまり彼らの場合は天における不滅の命が蓄えられているのです。(コリント第一 9:25。テモテ第二 4:6-8)使徒パウロはこの貴重な賞を他の一切のもの,自分の地的な命をさえ犠牲にするだけの価値のあるものとみなしました。(フィリピ 3:8)
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「十日のあいだ患難に」
7,8 クリスチャンの会衆は1918年に,スミルナのクリスチャンと同様,どのように「十分に試され」ましたか。
7 今日のヨハネ級の人々とその仲間たちも,スミルナのクリスチャンの場合と同様,「十分に試され」てきましたし,引き続きそのように試されます。試練のもとで示された忠実さは,彼らが神ご自身の民であることをしるし付けています。(マルコ 13:9,10)主の日が始まって間もなく,スミルナのクリスチャンに対するイエスの言葉は,エホバの民の小さいながらも国際的な群れに真の慰めをもたらしました。(啓示 1:10)それらの人たちは1879年以来ずっと,神のみ言葉から霊的な富を掘り出しては,惜しみなく他の人々と分かち合ってきました。ところが,第一次世界大戦中,彼らは激しい憎しみと反対に遭遇しました。それは,一つには,彼らが戦争熱に巻き込まれなかったため,またキリスト教世界の誤りを恐れずに暴露したためでした。キリスト教世界の一部の指導者による扇動のために彼らが受けた迫害は,1918年に絶頂に達しました。それは,スミルナのクリスチャンがその地のユダヤ人共同体から受けた迫害に匹敵しました。
8 アメリカ合衆国における迫害の波は,ものみの塔協会の新しい会長ジョセフ・F・ラザフォードと7人の同僚が,その多くは20年の刑に処せられて,1918年6月22日に刑務所に送られた時,最高潮に達しました。彼らは9か月後,保釈されました。1919年5月14日,上訴裁判所は彼らの受けた誤った有罪判決を破棄し,その審理は130箇所で誤っていたことが示されました。1918年当時,それらのクリスチャンの保釈に反対した,聖グレゴリウス修道会会士,ローマ・カトリックのマントン判事は後日,1939年に,賄賂の要求と受け取りにかかわる6件の訴因で2年の懲役と罰金1万㌦の判決を受けました。
9 エホバの証人はナチ・ドイツでヒトラーによりどのように扱われましたか。僧職者はどんな反応を示しましたか。
9 ナチがドイツを支配していた間,ヒトラーはエホバの証人の宣べ伝える業を完全に禁止しました。幾千人もの証人たちは何年もの間,残酷にも強制収容所や刑務所に入れられ,多くの人たちがそこで亡くなりました。一方,ヒトラーの軍隊に入って戦うことを拒んだ約200人の若者は処刑されました。1938年5月29日付,ジャーマン・ウェイ紙に載せられた,あるカトリック司祭の言葉は,僧職者がそのすべてを支持していたことを証明しています。同司祭は一部次のように述べました。「今や,いわゆる……聖書研究者[エホバの証人]の業を禁止した国が地上に一つある。それはドイツである。……アドルフ・ヒトラーが政権を執り,ドイツのカトリック司教団がその要請を繰り返したところ,ヒトラーはこう言った,『これらいわゆる熱心な聖書研究者[エホバの証人]は厄介者だ。……彼らはいかさま師だと思う。ドイツのカトリック教徒が米国のラザフォード判事のためにこのように汚されるのをわたしは黙って見てはいない。わたしはドイツの[エホバの証人]を解散させる』」。これに対して,同司祭は,「うまいぞ!」という喝さいの言葉を付け加えました。
10 (イ)主の日が経過するにつれ,エホバの証人はどんな迫害に直面しましたか。(ロ)それらのクリスチャンが信教の自由のために法廷で戦ったため,しばしばどんな結果がもたらされましたか。
10 主の日が経過しても,蛇とその胤は,油そそがれたクリスチャンとその仲間に対する戦いを決してやめませんでした。それらの人たちの多くは投獄され,猛烈な迫害を受けました。(啓示 12:17)これらの敵は『法により害を謀り』続けてきましたが,エホバの民は,「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」という立場をあくまでも堅持します。(詩編 94:20,ジェームズ王欽定訳。使徒 5:29)「ものみの塔」誌は1954年に,「過去40年間の色々の時期に70以上の国々が法律で制限を課し,エホバの証人を迫害しました」と報告しています。信教の自由のために法廷で戦える所では,これらのクリスチャンはそのようにして戦い,幾つもの国で大勝利を収めました。エホバの証人は米国の最高裁判所だけでも,50件の勝利を得ました。
11 イエスがご自分の臨在のしるしについて話されたどんな預言が,主の日の期間中,エホバの証人の上に成就してきましたか。
11 カエサルのものはカエサルに返しなさいというイエスのご命令にこれほど良心的に従ってきた団体はほかにありません。(ルカ 20:25。ローマ 13:1,7)しかも,これほど多くの違った形態の政府のもとで,またこれほど多くの国々で成員が投獄された団体はほかにありませんし,南北両アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,およびアジアではそのような投獄が現在でも続いています。イエスがご自分の臨在のしるしに関して話された偉大な預言には,次のような言葉が含まれていました。「その時,人々はあなた方を患難に渡し,あなた方を殺すでしょう。またあなた方は,わたしの名のゆえにあらゆる国民の憎しみの的となるでしょう」。(マタイ 24:3,9)この言葉は確かに,主の日の期間中,エホバのクリスチャン証人の上に成就してきました。
12 ヨハネ級の人たちは迫害に備えて神の民をどのように強化してきましたか。
12 ヨハネ級の人たちは,患難に備えて神の民を強化するため,スミルナのクリスチャンに対するイエスの言葉の趣旨を引き続き思い起こさせてきました。例えば,ナチによる迫害が始まった時,「ものみの塔」誌には1933年ならびに1934年に,マタイ 10章26節から33節について論じた,「彼らを恐れてはならない」という記事や,ダニエル 3章17節と18節に基づく「るつぼ」,およびダニエル 6章22節を主要聖句として論じた「ライオンの口」と題する記事が掲載されました。本書の初版が発行され,エホバの証人が40以上の国々で激しい迫害に遭った1980年代には,「ものみの塔」誌は,「迫害されても幸福!」,「クリスチャンは忍耐をもって迫害に立ち向かう」などの記事で神の民を強化しました。b
13 クリスチャンであるエホバの証人はどうして,スミルナのクリスチャンのように迫害を恐れていませんか。
13 クリスチャンであるエホバの証人は確かに,象徴的な十日の間,身体的な迫害や他の試みに遭っています。証人たちはスミルナのクリスチャンのように恐れたりはしませんでした。また,この地上の諸問題が悪化しても,わたしたちはだれをも恐れる必要はありません。わたしたちは苦しみに耐え,『自分の持ち物が強奪される』ようなことさえ甘受する覚悟ができています。(ヘブライ 10:32-34)
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