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  • 生命はどのようにして始まったか
    あなたのことを気づかう創造者がおられますか
    • [36,37ページの囲み記事/写真]

      疑問視される古典的規範

      スタンレー・ミラーの1953年の実験は,生命の自然発生が過去には起こり得たことの証拠としてしばしば引き合いに出されています。しかし,ミラーによる説明の妥当性は,地球の原初の大気が「還元的」であったという仮定に基づいています。これは,遊離した(化学的に他と結合していない)酸素がほんのわずかしかそこに含まれていなかった,という意味です。どうしてでしょうか。

      「生命起源のなぞ: 今日の理論の再評価」(The Mystery of Life's Origin: Reassessing Current Theories)という本は,遊離した酸素が多く存在したならば,『アミノ酸は一つとして形成されることさえなく,何かの偶然で形成されたとしても,すぐに分解してしまったであろう』と指摘しています。a いわゆる原始大気が還元的であったというミラーの仮定はどれほど確かなものでしょうか。

      その実験から2年後に公表された規範的な論文の中で,ミラーはこう書いていました。「これらの考えはもちろん推測である。地球が形成された時その大気が還元的であったかどうか,我々は知らないからである。……直接的な証拠はまだ得られていない」―「アメリカ化学学会ジャーナル」(Journal of the American Chemical Society),1955年5月12日号。

      以来,証拠は得られていますか。およそ25年後,科学評論家ロバート・C・カウインは,「科学者たちは自分たちの想定の幾つかについて再考を余儀なくされている。……水素に富む非常に還元的な大気という考えを支持するような証拠はほとんど出ておらず,むしろ幾つかの証拠はそれを否定している」と伝えました。―「科学技術評論」(Technology Review),1981年4月号。

      それ以後はどうでしょうか。1991年,ジョン・ホルガンは,サイエンティフィック・アメリカン誌(Scientific American)にこう書きました。「最近10年ほどの間に,大気に関するユーリーとミラーの想定に疑念が増してきた。研究室での実験とコンピューター処理による大気の復元を何度も重ねた結果は……今日であれば大気中のオゾンによってさえぎられる太陽からの紫外線が,大気中の,水素を基にする分子を破壊したであろうことを暗示している。……そのような大気[二酸化炭素と窒素]は,アミノ酸その他の生命前駆体の合成に資するものではなかったであろう」。

      ではなぜ多くの人は今でも,地球の初期の大気は還元的で,酸素をあまり含んでいなかったという見方をしているのでしょうか。「分子進化と生命の起源」(Molecular Evolution and the Origin of Life)の中で,シドニー・W・フォクスとクラウス・ドーズは次のような答え方をしています。大気は酸素を欠いていたに違いない; なぜなら,一つには,「実験室での実験からすれば,化学進化は……酸素によって大いに抑制される」からであり,また,アミノ酸のような化合物は「酸素の存在する中では地質時代を通じて安定してはいない」からである。

      これは循環論法ではないでしょうか。生命の自然発生はそれ以外では起こり得なかったから,初期の大気は還元的であった,と論じられています。しかし,それが還元的であったという裏付けは実際には何もないのです。

      もう一つ注目すべき点があります。もしその混合気体がその時の大気を表わし,電気火花が稲妻を模したもので,沸騰した水が海の代わりなのであれば,その実験を準備して,実行した科学者は,いったい何,あるいはだれを表わすのでしょうか。

      [脚注]

      a 酸素は非常に反応性の高い元素です。例えば,鉄と化合してさびを作り,水素と結び付いて水を作ります。アミノ酸が組み立てられている時に大気中に多量の遊離酸素があったなら,酸素がすぐに結び付いて,形成されるその有機分子を次々に破壊したでしょう。

  • 生命はどのようにして始まったか
    あなたのことを気づかう創造者がおられますか
    • ハロルド・ユーリーの研究室で働いていた科学者スタンレー・L・ミラーは,水素,アンモニア,メタン,水蒸気を(これが原始の大気であったと想定して),沸騰した水を底部に入れた(海に相当するものとして)フラスコ装置の中に密閉し,電気火花を(稲妻のように)それら蒸気の中に放ちました。1週間たらずのうちに,赤みを帯びた粘っこい物質がかすかに生じていました。ミラーはそれを分析して,タンパク質の基本成分であるアミノ酸を多く含んでいることを発見しました。この実験についてはこれまでに何度もお聞きになったことがあるかもしれません。科学の教科書や学校の授業で多年にわたって引き合いに出され,地上の生命がどのように始まったかを説明しているかのように扱われてきたからです。しかし,本当に説明しているのでしょうか。

      実のところ,ミラーの実験の価値については,今日まじめな疑問が提出されています。(36,37ページの「疑問視される古典的規範」をご覧ください。)

  • 生命はどのようにして始まったか
    あなたのことを気づかう創造者がおられますか
    • ミラーその他の人たちがアミノ酸を合成した後,科学者たちは,タンパク質とDNAを造り出すことを手がけました。これらはどちらも,地上の生命に必須なものです。前生物的条件とされるところでなされた幾千という実験から,どんな成果が得られたでしょうか。「生命起源のなぞ: 今日の理論の再評価」(The Mystery of Life's Origin: Reassessing Current Theories)という本はこう記しています。「アミノ酸合成におけるかなりの成功と,タンパク質やDNAを合成する面でのいつも変わらぬ失敗との間の対照はいかにも印象的である」。この後のほうの試みは,「すべて一様に失敗」というのがその特徴です。

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    • [35ページの囲み記事]

      「[最小のバクテリアでも],スタンレー・ミラーのこしらえた化学的混合物に比べたらずっと人間のレベルに近い。それはすでに,これら器官系統の特性を備えているからである。それで,バクテリアから人間に進むほうが,アミノ酸の混合物からそのバクテリアへ進むよりもむしろ小さなステップなのである」― 生物学の教授リン・マーグリス

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