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オーストラリアのアボリジニー ― ユニークな民族目ざめよ! 1994 | 2月22日
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[17ページの図版]
アボリジニー美術の代表例
[クレジット]
Australian Overseas Information Serviceの厚意による
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オーストラリアのアボリジニー ― ユニークな民族目ざめよ! 1994 | 2月22日
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アボリジニーの芸術
そもそも,アボリジニーの文化には意思を伝達するための文字がありません。それで,アボリジニーの詩人で画家でもあるケビン・ギルバートは,『芸術はアボリジニーにとって,最も効果的な意思伝達手段である上,万人に理解されるものである』と説明し,「芸術は,書き記された言葉よりも効果的に意思を伝達し,一層深い意味が込められている」と述べました。
それで,視覚芸術や音楽・舞踊などによる意思伝達は,アボリジニーの生活と密接な関係を持つようになりました。つまりアボリジニーの芸術は,二つの目的を果たしていることになります。すなわち,言葉による意思伝達を補いましたし,部族の歴史物語や伝統的な宗教上の事柄を思い起こすための助けとして役立ちました。
キャンバスや紙といった類の材料がなかったので,アボリジニーの絵は,岩や洞くつや樹皮などに描かれました。大地の色が主色で,これらの色はアボリジニーのすべての絵画で特に目を引きます。アボリジニーは,区域ごとに際立っていた色を使って絵を描きました。絵の具の原料は土から取られました。
おそらく,アボリジニーの絵画でとりわけ珍しい特徴は,ほとんどの絵が点や線から成っていることです。最初は単色に見える背景でさえ,近づいてよく見ると異なった色の点から成る複雑な模様であることが分かります。
ある研究会の「1990年代のアボリジニー美術のマーケティング」と題する刊行物には,1980年代に「アボリジニー美術は……『民族芸術』から『商業芸術』へと大躍進を遂げた」と書かれています。また,点描法を用いたアクリル塗装画の需要について述べ,人気が高まっていることを絶賛している人たちもいます。
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