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  • 権威に対する敬意 ― 欠けているのはなぜか
    ものみの塔 2000 | 8月1日
    • 権威に対する敬意 ― 欠けているのはなぜか

      「宗教的な権威や世俗的な権威,社会的な権威や政治的な権威など,立てられた権威に反抗する態度は世界的な現象であり,いつの日か,この10年間の顕著な出来事として数えられるだろう」。

      歴史家で哲学者のハナ・アレントがこの10年間と述べた1960年代から,数十年がたちました。今日,権威に対する不敬という波はこれまで以上に勢いを増しています。

      例えば,最近ロンドンのタイムズ紙は,「一部の親は子どもに対する教師の権威を認めようとせず,教師が子どもを懲らしめようとすると文句を言う」と報じました。子どもが学校で懲らしめられると,親が学校にどなり込み,教師を脅迫するだけでなく,暴行を加える例は後を絶ちません。

      英国全国校長会の一スポークスマンの言葉を引用すれば,「一般の人々は『私には責任がある』と言うよりむしろ,『私には権利がある』と言う」のです。一部の親は,権威に対する健全な敬意を子どもに植え付けないばかりか,子どもを矯正せず,他の人がそうするのを許そうともしません。自分の「権利」を主張する子どもが,親の権威も教師の権威も侮るままにされるなら,結果は目に見えています。コラムニストのマーガレット・ドリスコルは,「権威に対する敬意がなく,正邪の概念もほとんどない新しい世代」と表現しています。

      タイム誌(英語)は「ロスト・ジェネレーション」という記事の中で,ラップのトップ・ミュージシャンの言葉を引用して,ロシアの多くの若者たちが感じている幻滅を的確に示しました。そのミュージシャンは,「永続するものが何もなく,フェアーなものも何もないこの世に生まれた人間が,どうして社会を信じられるだろうか」と述べたのです。社会学者のミハイル・トパロフはそのような感じ方を認め,「それら若者たちは愚かではない。国家にだまされて貯金も仕事も失った親たちを目にしてきたのである。その彼らが権威を敬うことなど,どうして期待できるだろうか」と述べました。

      しかし,権威に対する不信感は若い世代だけの特徴だと決めつけることはできません。今日,あらゆる年齢層の人々が,あらゆる権威に対して不信感だけでなく,嫌悪感をさえ抱いているからです。ということは,権威を信頼することはできないという意味でしょうか。権威は「人の行動を支配したり裁いたり制限したりする力もしくは権利」と定義されており,正しく行使されるなら,善をもたらす力となります。個人にとっても,地域社会にとっても益となり得るのです。続く記事では,どうすればそうなるのかを考えます。

  • 権威に対する敬意 ― 肝要なのはなぜか
    ものみの塔 2000 | 8月1日
    • 権威に対する敬意 ― 肝要なのはなぜか

      警察には,人の財産を盗んだり家族を脅かしたりする犯罪者を逮捕する権威があります。そのことをありがたく思わない人がいるでしょうか。また裁判所には,地域社会を守るために犯罪者を処罰する権威があります。わたしたちはそのことに感謝しているのではないでしょうか。

      さらに,道路の維持・管理,衛生設備,教育など,ふつう政府当局が税金を徴収して賄っている有益な公共事業なども思い浮かぶかもしれません。真のクリスチャンは,正式に任命された権威に対する敬意が肝要であるということを,率先して認めます。しかし,どの程度まで敬意を示すべきなのでしょうか。また,生活のどの分野において,権威に対する敬意が必要なのでしょうか。

      地域社会における権威

      聖書は,地域社会の益のために働く行政当局に対して,信者であれ未信者であれ,すべての人が敬意を示すようにと教えています。その点について,クリスチャンの使徒パウロは,ローマにいる仲間の信者に手紙を書き送りました。ローマ 13章1節から7節に記されているパウロの言葉を考慮するのは有益です。

      パウロは,当時の世界強国ローマの市民でした。西暦56年ごろに書いた手紙の中でパウロは,模範的な市民になるようクリスチャンたちを諭し,こう書きました。「すべての魂は上位の権威に服しなさい。神によらない権威はないからです。存在する権威は神によってその相対的な地位に据えられているのです」。

      パウロはここで,神の許しがなければ,人間の権威はどれも存在することはなかった,と説明しています。そのような意味で,上位の権威は神の目的の枠組みの中で相対的な地位に据えられているのです。ですから,「権威に敵対する者は,神の取り決めに逆らう立場を取っていることになります」。

      上位の権威は善を行なう市民を称賛することもありますが,悪行者を処罰する権限も与えられています。悪を習わしにする人たちには,上位の権威が持つ「復しゅう者」として行動する権利に対して恐れを抱くべき十分の理由があります。政府は「神の公僕」としてそうするからです。

      パウロは論議をこう締めくくっています。「したがって,あなた方がどうしても服従するべき理由があります。その憤りのためだけではなく,あなた方の良心のためでもあります。それゆえに,あなた方は税を納めてもいるのです。彼らは,まさにこのために絶えず奉仕する神の公僕だからです」。

      税金の使い道を決める責任は,納税者にではなく,上位の権威にあります。クリスチャンは,正直な市民として正しい良心を保ちます。そして,上位の権威に服することにより,また,しかるべき税を納めることによって,自分の生活している地域社会の規律を擁護しているだけでなく,神のご要求と調和した生活を送っているという理解を得ています。

      家族と権威

      家庭内の権威についてはどうでしょうか。生まれたばかりの赤ん坊は,泣いたり,さらには金切り声を出したりして注意を引こうとする傾向があります。しかし賢い親は,赤ん坊が何を本当に必要としているかを見極め,かんしゃくを起こしている子に振り回されることはありません。一方,ある子どもたちは,大きくなってゆくにつれ,したい放題にしたり自分勝手な規準を設けたりするに任されます。そうした子どもたちは,経験がないために犯罪や他の悪行に巻き込まれ,家族や地域社会を大きく混乱させるかもしれません。地元の大勢の当局者たちは,そのことをいやというほど知っています。

      「この親にしてこの子あり」(英語)という本を書いたロザリンド・マイルズは,「親はしつけを始めるのが遅すぎる。始めるのは生まれた時である」と述べています。親がごく最初から,親切で親身な世話をする権威者としての口調で話し,一貫した行動を取るなら,子どもたちは権威や,そこから与えられる愛ある懲らしめをすぐに受け入れるようになるでしょう。

      聖書には家庭内の権威に関する情報が非常に多く収められています。「箴言」の書の中で賢人ソロモンは,神を恐れる両親が子どもたちの前で示す一致に注意を引き,「我が子よ,あなたの父の懲らしめに聴き従え。あなたの母の律法を捨て去ってはならない」と述べました。(箴言 1:8)両親が子どもたちの前で道理にかなった結束を保つなら,子どもたちは親の立場を知ることができるでしょう。子どもは自分の思い通りに事を運ぼうとして両親を対立させようとするかもしれませんが,一致した親の権威は若い人たちを守ります。

      聖書は,夫には子どものためだけでなく妻のためにも霊的福祉を顧みる主要な責任があると説明しています。それは頭の権という言葉で描写されています。この頭の権をどのように行使すべきでしょうか。パウロは,キリストが会衆の頭であるように,夫も妻の頭であるという点を指摘した後,こう付け加えています。「夫たちよ,妻を愛し続けなさい。キリストが[ご自分の霊的な花嫁である]会衆を愛し,そのためにご自分を引き渡されたのと同じようにです」。(エフェソス 5:25)夫がイエスの模範に倣って頭の権を愛ある方法で行使するなら,妻からの「深い敬意」をかち得ることができるでしょう。(エフェソス 5:33)そのような家族の子どもたちも,神がお与えになった権威の価値を理解し,それを受け入れたいと思うようになるでしょう。―エフェソス 6:1-3。

      配偶者を亡くした人を含め,ひとり親である人は,この問題にどのように対処できるでしょうか。父親であれ母親であれ,それらの人たちはエホバ神とイエス・キリストの権威に直接訴えることができます。イエスは常に,み父の権威や霊感による聖書の権威によって話されました。―マタイ 4:1-10; 7:29。ヨハネ 5:19,30; 8:28。

      聖書は子どもたちが直面する問題に関して,貴重な原則を豊富に与えています。それらの原則を探し出して従うことにより,親は子どもたちに愛ある有用な諭しを与えることができるでしょう。(創世記 6:22。箴言 13:20。マタイ 6:33。コリント第一 15:33。フィリピ 4:8,9)親は,特に子どもを訓練するための助けとして書かれた,聖書に基づく資料を引き合いに出すこともできます。a それは,聖書の権威に敬意を払うことの益を認識できるよう訓練するためのものです。

      クリスチャン会衆と権威

      「これはわたしの子,わたしの愛する者である。わたしはこの者を是認した。この者に聴き従いなさい」。(マタイ 17:5)エホバ神は,自らこのように語ることにより,イエスが神の権威によって話す者であることを保証されました。イエスの言葉は四福音書に記録されており,容易に調べることができます。

      イエスは昇天する直前,弟子たちに,「わたしは天と地におけるすべての権威を与えられています」と告げました。(マタイ 28:18)イエスは会衆の頭として,ご自分の足跡に従う地上の油そそがれた追随者たちをずっと見守ってこられました。それだけではありません。西暦33年のペンテコステの時に彼らに聖霊を注いでからは,追随者たちを真理の経路として,また「忠実で思慮深い奴隷」として用いてこられました。(マタイ 24:45-47。使徒 2:1-36)イエスはクリスチャン会衆を強めるために,そうした事柄すべてをどのように成し遂げてきたのでしょうか。「高い所に上った時,彼はとりこを連れ去った。彼は人々の賜物を与えた」とあります。(エフェソス 4:8)ここで言う「人々の賜物」とは,クリスチャンの長老たちです。長老たちは聖霊によって任命され,仲間の信者の霊的関心事を顧みるために権威を与えられています。―使徒 20:28。

      そのようなわけでパウロは,「あなた方の間で指導の任に当たっている人々,あなた方に神の言葉を語った人々のことを覚えていなさい。そして,その行ないがどのような結果になるかをよく見て,その信仰に倣いなさい」と諭しました。それら忠実な男子はイエスの歩みにしっかり従っているので,その信仰に倣うのは確かに知恵の道です。次いで,パウロはこう付け加えています。「あなた方の間で指導の任に当たっている人たちに従い,また柔順でありなさい[「あなた方の指導者たちに従い,その権威に服しなさい」,新国際訳(英語)]。彼らは言い開きをする者として,あなた方の魂を見守っているのです。こうしてあなた方は,彼らがこれを喜びのうちに行ない,嘆息しながら行なうことのないようにしなさい。そのようなことはあなた方にとって損失となるのです」。―ヘブライ 13:7,17。

      このような指示を無視すると,どうなるでしょうか。初期クリスチャン会衆の中には,この指示を無視したために背教した人がいました。ヒメナオとフィレトは,ある人たちの信仰を覆した者として述べられています。彼らのむだ話は「聖なる事柄を汚す」ものでした。二人の主張には,復活はすでに起きたということが含まれていました。霊的な復活か象徴的な復活について述べていたようですが,いずれにせよ,二人は神の王国のもとで今後さらに復活が起きることはないと言っていたのです。―テモテ第二 2:16-18。

      任命された権威者たちが救援にやって来ました。クリスチャンの長老たちはそのような論議の誤りを証明することができました。イエス・キリストを代表する者として,聖書の権威を用いたからです。(テモテ第二 3:16,17)今日のクリスチャン会衆でも同じことが言えます。クリスチャン会衆は「真理の柱また支え」と描写されています。(テモテ第一 3:15)優れた委託物としてわたしたちのために聖書に保存されている「健全な言葉の型」が,偽りの教えによって損なわれることは決して許されません。―テモテ第二 1:13,14。

      世の中では権威に対する敬意が急速に失われているとしても,わたしたちはクリスチャンとして,地域社会においても,家庭内においても,クリスチャン会衆内においても,わたしたちの益のために立てられたふさわしい権威を認めます。権威に対する敬意は,わたしたちの身体的,感情的,霊的な福祉のために肝要です。神から与えられたそのような権威を認めて敬意を払うなら,とこしえの益をもたらす極めて偉大な権威者であるエホバ神とイエス・キリストによって保護されるでしょう。―詩編 119:165。ヘブライ 12:9。

      [脚注]

      a ものみの塔聖書冊子協会発行の,「若い人が尋ねる質問 ― 実際に役立つ答え」,および「幸せな家庭を築く秘訣」という本をご覧ください。

      [5ページの拡大文]

      聖書には家庭内の権威に関する情報が非常に多く収められている

      [6ページの図版]

      ひとり親はエホバ神とイエス・キリストの権威に直接訴えることができる

      [7ページの図版]

      クリスチャンは,家庭内においても,クリスチャン会衆内においても,地域社会においても,わたしたちの益のために立てられたふさわしい権威を認める

      [4ページの図版のクレジット]

      Photo by Josh Mathes, Collection of the Supreme Court of the United States

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