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知恵を探求した君主目ざめよ! 2007 | 1月
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アルフォンソ聖書
トレドの学者たちが大量の文書を翻訳して得た経験は,アルフォンソが聖書の幾つかの部分をスペイン語に訳すように命じた時,大いに役立ったに違いありません。スペインの歴史家フアン・デ・マリアナによると,王がこの聖書翻訳を手がけさせたことには,それを通してスペイン語がさらに洗練され,豊かなものになるようにという願いがありました。このような初期の聖書翻訳が,確かにスペイン語の発展に寄与したことに疑問はありません。
聖書は人類を教えるために貴重なもの,というのが王の見方でした。王は,「スペイン年代記」の序文にこう書いています。「聖なる書から流れ出る益について述べれば,世界の創造,族長たちの往来,……約束された主イエス・キリストの到来,さらにその受難と復活と昇天などの教えの中にそれが見られる」。
王はまた,大々的な文芸プロジェクトとして自ら「総合歴史」と呼んだものの準備を監督しました。それには,ヘブライ語聖書の一部をスペイン語に訳したものも含まれていました。(ギリシャ語聖書の部分訳が後にこれに加えられました。)この堂々たる書物は「アルフォンソ聖書」(ビブリア・アルフォンシナ)と呼ばれ,この手のものとして中世に刊行された中では最大の版です。それは幾度も写本され,一部はポルトガル語やカタロニア語にも訳されました。
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知恵を探求した君主目ざめよ! 2007 | 1月
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[13ページの図版]
王とトレドの翻訳者たち(上),清書を担当した筆耕たち(中),「アルフォンソ聖書」のルカ福音書(下)
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