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音のない世界から目ざめよ! 1988 | 7月8日
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我が身のことになって初めて私も,ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という名称を知りました。アブミ骨は,中耳にある変換器の最後のものです。大抵,耳硬化症はこのアブミ骨にまで広がり,骨が硬くなるにつれて,内耳リンパ液に伝わる振動はいよいよ弱くなり,結果として気導聴力が失われます。アブミ骨硬化症は,普通,手術によって矯正できる一種の伝音性難聴です。
私が最初に学んだのは,伝音性難聴とは何かということです。簡単に言えば,伝導を妨げる何らかの状態のために音が中耳を通って伝わらない,という意味です。でも,もし神経の機能が依然良い状態であれば,その人は手術を受ける良い立場にあります。幸い私の神経の機能は良い状態にありました。
アブミ骨切除手術
アブミ骨の手術中は何の物音も聞こえないだろうと思っていましたが,全く逆でした。局所麻酔をかけられていましたが,医師が顕微鏡を使いながら耳道からアブミ骨を切除し,その代わりに金属線の人工器官を埋め込んでいた時には,大きな音が聞こえました。そして急に,まだ手術台の上にいたのに,医師が看護婦に話す声が非常にはっきりと聞こえました。次に医師は私に,「どうですか」と言いました。「何でも聞こえるわ」と,私は思わず声をあげました。でも医師は,耳の中がはれてくるので間もなく聴力は減退するけれども,数週間もすればまた聴力は回復する,と言いました。
医師は手術室を出る前に,小さなプラスチックの容器に入った私のアブミ骨を私に手渡してくださいました。
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音のない世界から目ざめよ! 1988 | 7月8日
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[21ページの図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
アブミ骨の手術
段階1: 硬化したアブミ骨
段階2: アブミ骨を切除する
段階3: アブミ骨を金属線に代える
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